メソポタミア

2021年01月31日

西洋に偏らない音楽史

色んなことを考えながら『人間と音楽の歴史 メソポタミア』(音楽之友社)を読み進めています。西洋音楽を学んでいると、その基盤として古代ギリシャ音楽が取り上げられるけれど、それってずいぶん偏狭な歴史なんだなぁと。

音楽を哲学的に学問として取り入れ、単旋律でアポロン的なものに美学や徳性を見出し、ディオニソス的なものは音楽として認めなかった古代ギリシャ。

対して、古代メソポタミアには、古代ギリシャにポリスができる2000年も前に音楽職業家がいて、音程という概念があり、7音による音階もあったというのだからびっくり。春と秋は4度、春と冬は5度、春と夏はオクターブ。古代ギリシャには見られない、音程への感覚的な造詣はとても魅力的。

楽器の種類も多い!ホルン発祥はメソポタミアという学説があり、ハープやリラはもちろんのこと、紀元前2000年にはリュートまであったなんて驚き。宮廷には200人を超える音楽家がいたという粘土板の記録も残っているようで、そこには女性音楽家の名前がたくさん記載されているそうです。

古代メソポタミアのハープやリラ、数学的なアプローチが古代ギリシャに影響しただろうことは想像できるのだけれど、古代ギリシャの音楽はずっと抑制的。

古代ギリシャから中世ヨーロッパの合間にどんな音楽の歴史があるのか、私の中ではそこがすっぽりと抜け落ちているのだけれど、古代ギリシャの単旋律で抑制的という美意識が、中世の宗教音楽に繋がっているのかな、などと思ってみたり、ルネサンスというと古代ギリシャへの憧れのようなものをイメージするけれど、それは美術、建築、哲学、神話といったものから触発されての音楽であり、単旋律で抑制的だった古代ギリシャ音楽の美意識から影響を受けたわけではなかったのではないかと思ってみたり・・・。

あれこれと考えを巡らしていたら、イスラム原理主義のもとで音楽家は蔑視され、人前で楽器が演奏できなかったというドキュメンタリー映画を思い出しました。音程、アンサンブルなど古代ギリシャより音の彩りに豊かさを感じるメソポタミアの地で、現代は音楽が抑制され、古代ギリシャ人が朗誦を尊んだように、内容は違えどもコーランの朗誦が尊ばれている。

ぐるんぐるんと思考はまわり、わけがわからなくなるのだけれど、そんな風に考えを巡らせながら本を読むのが好き。タイプトリップできるなら、古代メソポタミアの音楽が聴いてみたいなぁ。きっとリズミカルで、様々な音程と楽器によるアンサンブル、合唱が聴けるんだろうなぁ。でも、抑制的な音楽も美しいから古代ギリシャの音楽も聴いてみたいなぁ!それはとても魅力的な想像。

人間と音楽の歴史2-2 メソポタミア
スービ・アンワル・ラシード



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emksan at 16:37|Permalink

2021年01月26日

古代文明が好き♬

このところはまっているのがシュメール文明。ずっと読んでみたかったギルガメシュ叙事詩、ようやく読めました!様々な時代に各地で翻訳された粘土板をもとに、損傷でわからない部分は[  ]で表記された、読みにくいけれど生々しさのある日本語訳。

ギルガメシュ叙事詩が各地に波及し、時代を超えて語り継がれてきたことなど、翻訳の経緯が詳細に書かれていて、とても面白かった!


でも、これでわかるのは神話の一部。シュメール文明がもっと知りたくなっちゃって!今はコレ♬


こういうタイムトリップな時間が大好き!


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emksan at 18:02|Permalink