ピアノ史
2008年11月27日
ピアノ史メモ年表のピアノ作品目録を眺めて
おととい・・・
【音楽史/本---Amazon.co.jp】
『HPのピアノ史メモ年表の更新続行中です。
ピアノ欄の作曲家名をクリックすると、
別ウィンドウで小さなウィンドウが立ち上がり、
作曲家の簡単な紹介とピアノ作品目録が出てきます。』
と書きましたが。
ピアノ作品目録をまとめていて、
気づかされることが結構あるんですヨ。
これをやることにしてよかったと思うのは、
ピアノ作品に的を絞ったということ。
そして、それを年代順に並べたということです。
年代順に並べ始めたのは、
モーツァルト以降のことなのですが、
面白いなぁって思うんですヨ。
本を読んでいれば情報として出ては来るんですよ。
この作曲家はこの年代にソナタばかり書いていた・・・とかね。
そういう情報。
でも、それって並べてみてみたわけじゃないのでピンとこないわけデス。
実感が湧かないというか。私って頭固いから。(^_^;)
でもね、並べてみると「ほほぉ〜」と思うわけデス。
例えばモーツァルト。
1767年、彼が11歳のときですが、
このときの作曲、ピアノ曲はピアノ協奏曲しか書いていないんですよねぇ。
・・・・・もしかしたら、私の調べ方が足りないだけで、
他の曲も書いているのかもしれませんが。
で、想像するわけです。
年齢からいっても、この頃のモーツァルトは、
ピアノ協奏曲を学ぶという意味合いで書いていたのだろう・・・と。
また、面白いのはソナタをバババッと書いている時代があるということ。
1775年16歳のときのことです。
一気に第1番から第6番まで1年で書いています。
全体を眺めていると、
ここいら辺から作品という本格的な匂いがプンプン漂ってくるんですよね〜。
17-8歳くらいから勉強の時代は終わって、
曲の規模や奥深さが増しているような気がします。
もう1人、面白いなぁと思ったのがシューベルト。
全作品目録からピアノ作品だけを抽出していたので、
いかに歌曲が多いか手に取るようにわかって面白かった。
いやぁ、歌曲だらけですよ。(笑)
歌曲王の由来を実感させられました。
ピアノ作品は歌曲の中にちょこっと混じっているといった程度。
でね、ほほぅ・・・と思ったのが、舞曲が多いということ。
他の作曲家に比べ、舞曲の割合がすごく多いんじゃぁないでしょうか。
数えたわけじゃないので、はっきりとは言い切れませんが、
ドイツ舞曲やらメヌエットやらが、随分と目に付くんですヨ。
また、連弾曲が多いのにも驚かされます。
女性と連弾するためにたくさん書いたのでしょうか?(笑)
それともシューベルティアーデのためかな。
また、この作品目録には”デュオ作品”という欄を設けていますが、
これも興味深い欄になったなぁと思います。
編曲ものも含め、
オリジナルの連弾曲or2台ピアノの楽曲が一目瞭然で、
我ながら見やすい欄になったのでは・・・と。
・・・・・シューベルトはほとんどがオリジナル作品。
シューベルトの連弾特集なんてコンサートがあったら、面白そうだなぁ。
一番最新の作曲家はメンデルスゾーンです。
これは結構苦労しました。
研究が他の作曲家ほど進んでいないんではないでしょうか。
もしくは進んでいたとしても、あまり流布していないか・・・。
どうなんでしょぉ?
作品番号のない作品が多い!
他の作曲家は、作品番号が新しくなっていたり、
いろいろ研究が進んでいるんだなぁ〜を実感させられながらまとめるのですが、
メンデルスゾーンはいまいちよくわからんデス。
まぁ、私が表面的なことしか知らない・・・というのが一番の原因なのでせう。(^_^;)
作曲家によりイロイロではありますが、
このようにピアノ作品だけを抽出することに、
楽しみを見出している私。
今後も地道にのんびりと続けていけそうデス♪
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2008年11月21日
ピアノ史メモ年表--久々の更新
久々の更新です。(^_^;)
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・・・・・ピアノ史メモ年表はこちら。
ちょこちょこ更新はしていたのですが、
今回の更新はちょっと一歩進めたかな・・・みたいな更新です。
というのも、悩んでいたんですよねぇ。
ベートーヴェンの時代(古典派→ロマン派)から、
ロマン派への移行部分。
表にしている以上、どうしても線引きせにゃいかんわけで・・・。
本当は歴史って繋がっているので、
線引きなんてできっこないんですが、
こういった形の年表にした以上、
なにがしかの線引きが必要になってくるのデス。
で、やっとこさ”ここいら辺かな”を見つけたという次第。
ベートーヴェンの時代(古典派→ロマン派)の欄は、
ナポレオンが没落する1812年あたりまでにし、
ロマン派の始まりをヴィーン会議を契機に・・・と見ることにしました。
ヴィーン会議が民衆や音楽にもたらした影響は大きそうだったので。
この先のロマン派内にある”ヴィルトゥオーソの時代”は、
1830年2つの革命を契機に、線引きしてみよっかなぁと思っています。
もしかしたら、ここはピアノメモだけに留めて、
歴史に関しては、ロマン派の始まりと一緒にしちゃうかも・・・。
でも別々に配置することで、
その後の国民主義的な作品の登場への繋がりが、
わかりやすくなるのかなぁと思ったり。
まだまだ揺れ動きそう。(^_^;)
たかだかメモ。されどメモ。
ここにあることぜぇんぶを記憶できるわけないので、
このメモは私にとってとても重要なんですヨ。
・・・・・とにかく私は記憶力が異常に悪いのです。
アルツハイマーになっても私も周りも気づかないだろうと思うほどに!
あれなんだっけ?みたいなとき、見ればいい。
そうすれば思い出せる・・・みたいな便利ツールにしたいと思っています。
でもネ、ただのメモじゃぁ嫌なんですヨ。
全体像がイメージしやすいメモがいい!
だから歴史も、美術も、文学も、全部ひっくるめて提示することで、
それぞれの時代をイメージしやすくしています。
作曲家が生きたそれぞれの時代を、
頭で理解するんじゃなくて肌で感じたい!
その分、あれもこれもで大変なのだケド・・・。<(;~▽~)
整理するのにすごく頭を使うので、鍛えられてるかも。
記憶力が鍛えられてるんじゃぁないですよ。(悲しいケレド)
なんだろうなぁ・・・時代の想像力というか・・・、
そういうものが鍛えられている気がシマス。
今回参考資料が一冊増えました。
ありがたやぁ〜。
この本のお陰で、ちょいと深みが増しましタ。
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2007年11月14日
ピアノの歴史を追いかけて・・・もう1年?!
ふと思ったのです。
ブログに書いている”ピアノの歴史”を
ピアノ史メモ年表に組み込んだら、
さらに見やすくなるんじゃないかな・・・と。
気づいたら鍵盤がどのように生まれたか・・・という、
”ピアノの歴史1”からもう1年経ってるんですね〜。
とろとろやってるなぁ〜というか。(^_^;)
どこまでもマイペースですねぇ、私。
ピアノ史メモ年表も古典派で手が止まったままだし。
ピアノの歴史もピアノ史メモ年表も、
私が自分の頭の中を整理する意味合いを込めて始めたもの。
整理しようと思ったら、
整理するどころかドツボにはまって・・・。(_ _;)
啓蒙思想で止まっちゃいました。
啓蒙思想って何よ?の方に興味が向いちゃったんですねぇ〜。
で、ちんたらちんたら本を読んでいるうちに1年。
同時進行でピアノの歴史を追いかけて・・・。
もっと先に進まねばと思いつつ、
「やっぱり古楽が好き!」
と、これまた寄り道する始末。
気持ちが乗らないと話も先に進まない進まない。
ショパン時代のフォルテピアノに接する機会があり、
ロマン派の古楽というものを知り・・・。
「これもいいじゃんいいじゃん!私好き!」
で、ちょいと前進。(笑)
好きにならんと前へ進めないのか・・・私・・・。<(;~▽~)
とはいえ寄り道が嫌いなわけじゃないのデス。
というか寄り道から得るものの方が多かったりもし。
私は私の人生に寄り道を大いに推奨しているのでス。
でも、寄り道しすぎでせうか?
ピアノの歴史、ベートーヴェンにまでたどり着くのに1年って。
おいおいっ・・・ですネ。とほっ
ただ、この寄り道のお陰で、
ピアノ史メモ年表がさらに立体的になったのが嬉しい♪
私ね、あのメモ全部頭に入ってるわけじゃないんですよ。
・・・・・当たり前!!
それぞれの時代の空気を感じたい。
そういう意味合いのメモなんです。
○○年に何があって、というテスト回答するためのメモじゃなくてネ。
・・・・・それだと私、赤点とっちゃいます。
時代の空気を感じるには、
それをイメージするための様々な情報が欲しくなる。
あのメモ年表はそのためのものデス。
ここに”ピアノの歴史”を組み込んだことで、
さらにイメージが立体化したような気がします。
イギリスの産業革命とピアノの発達は、
切っても切れない関係がありますしネ。
さぁ、来年は私の苦手分野に突入ですなぁ。
果たして進むのでせうか。
知らないことが多いだけに、
今まで以上に寄り道しそうな予感です。<(;~▽~)
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2007年11月01日
ピアノの歴史20【ウィーンピアノの衰退】
ピアノの歴史1〜19は、ブログカテゴリ『音楽/ピアノの歴史』からご覧ください。
【ウィーンピアノの衰退】 【ピアノ/本---Amazon.co.jp】
1815年頃のウィーンには、
なんと100以上のピアノ製作工房があったそうです。
ウィーンは、ヨーロッパでの主要なピアノ生産地だったのですね。
その中でも特に有名なのは、
ナネッテ・シュトライヒャーの工房、
コンラッド・グラーフの工房、
ベーゼンドルファーの工房(ブロトマンから譲り受けた工房)です。
シュトライヒャーのピアノは、これまで何度も登場してきました。
グラーフはベートーヴェン最後のピアノを製作しました。
クララ・ヴィーク(シューマンの妻、ピアニスト)にピアノを贈っています。
ウェーバーが所有していたピアノは、ブロトマンのピアノでした。
このブロトマンの弟子ベーゼンドルファーは、
1830年には王室御用達というタイトルを獲得しています。
19世紀半ばのピアノに求められていたもの。
それは音量の増大でした。
宮廷音楽から庶民の音楽へ。
狭い空間での演奏から広いホールでのコンサートへ。
そして、ピアノ奏法も格段にレヴェルアップし、
名人芸を披露するピアニストが多く輩出された時代だったのです。
音量の増大とともに必要だったのが音域の拡大です。
高音域を拡大するのは大して大変ではなかったようです。
弦が短いので、それほどフレームに負担をかけずに済みました。
しかし、低音弦は長く重たいものでした。
この弦の張力を支えるためには、フレームを強化する必要があったのです。
この弦の張力に耐えつつ音量を増大していかなければならないという、
フレーム構造の発展において、
ウィーンはイギリスやフランスより遅れていました。
シュトライヒャーは鉄片で強化したフレームを試作しました。
ホクサという人は鋳鉄のフレームを作りました。
グラーフは一生木のフレームにこだわり続けました。
軽いタッチと明るい音色を持つウィーンピアノの良さは、
木のフレームと切り離すことのできないものだったからです。
しかし19世紀半ばの需要は、
音量増大による輝かしい響きにありました。
私は技術者ではありませんし、物理も全くわからないのですが・・・。(^_^;)
フレームを強化しようと思うと、倍音を減少させることになるそうです。
しかし音量を増大させるためには、
弦の張力を大きくしてフレームを強化しなければなりません。
その上、この強い張力をもった弦を十分に鳴らすためには、
強い打弦が可能なアクションが必要になってきます。
弦の張力に負けないようハンマーを重くすると、
ピアニストが触れるキーはより深く、重たくなります。
ウィーン式ピアノの良さがなくなってしまう・・・。
また、これでは名人芸を披露するピアニストや、
それを求める聴衆に受け入れてもらえません。
ウィーン式ピアノは、この苦悩の時代を乗り切ることができませんでした。
現代のピアノは、ウィーン式ではなくイギリス式です。
私たちは普段、イギリス式のピアノにしか触れることができません。
しかし、ウィーン式の持つ軽いタッチや明るい音色はとっても魅力的!
私はまだウィーン式のピアノに触れたことがないんですよね。(T_T)
いつか触れてみたい。そしてその軽やかさと響きを指で感じてみたい。
・・・・・ベーゼンドルファーは19世紀後半にイギリス式アクションに切り替わりました。
そして、そのピアノでモーツァルトを弾いてみたいと思うのです。
【おまけ】
以前三大メーカーのピアノを聴き比べるという、
とっても魅力的な講座に行ったときのコト。
フレームのお話になったのです。
それぞれメーカーによってフレームの作りが違う・・・と。
でね、面白いのがそれによって倍音の出方が違うということなのデス。
メーカーは、こういうバランスの倍音が欲しい!と思いながら、
フレームを作るんですね〜。
この倍音の出方の違いが、そのままメーカー特有のピアノが持つ音色となります。
それぞれのピアノで、倍音を聞き比べました。
第3倍音が大きめに聴こえるピアノ、
それ以外の倍音も複雑に入り混じって聴こえるピアノ。
ベーゼンドルファーは、イロイロ入り混じっていて聴こえたピアノでした。
すごく個性的な音色だなぁと思ったんですよね〜。
家に帰ってきてカワイのピアノで試してみたら、
第3倍音だけが妙に響いてきて、それ以外の倍音はあまり聞こえてきませんでした。
安いピアノだったから、音色が単色なんだなぁ〜(^_^;)
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2007年10月29日
ピアノの歴史19【ベートーヴェン第4期】
【ベートーヴェン(1770〜1827)】 【ベートーヴェン/本---Amazon.co.jp】
このピアノは国立音楽大学楽器学資料館が所蔵している、
1820年製のブロードウッドです。
・・・・ベートーヴェンが持っていたピアノの音域と同じ。
写真で見る限り、形もそっくりです。
1817年47歳の誕生日を迎えたベートーヴェンに、
1台のピアノが贈られました。
カルクブレンナー、リース、フェラリ、クラーマー、クニヴェットら
ロンドンに在住していた音楽家からの贈り物、
ジョン・ブロードウッド・アンド・サンズのグランドピアノでした。
イギリス式のアクションを持ち、
音域は6オクターブありました。(C1-c4)
ダンパーペダルとシフトペダル付き。
右側のダンパーペダルは2本に分かれており、
そのうちの右側が高音域のダンパーを持ち上げ、
左側は低音域のダンパーを持ち上げました。
・・・・・一体どんな感じなんでしょうね〜。
面白い使い勝手のよさそうな機能ですよネ。
ベートーヴェンはこのピアノを終生所有し続けました。
現在、ハンガリー国立博物館が所蔵しています。
【1818-1821年頃・・・使用楽器ブロードウッド製C1-c4】
〜イギリス式6オクターブ〜
ピアノソナタOp.106第3-4楽章、Op.109、Op.110、Op.111
作品106の第1-2楽章には、このブロードウッドにはない高音域が使われています。
ブロードウッドを手に入れる前のピアノはf4までの音がありましたが、
このブロードウッドはc4に留まります。
しかし、低音域が4度も広がりました。
第3-4楽章をこのピアノで作曲したベートーヴェンは、
第4楽章で初めてC1という最低音を使っています。
この音は第4楽章の115小節目に出てくるのですが、
面白いことにすべての音がオクターブで書かれているにも関わらず、
最初の1音はオクターブで書かれていません。
これは、このピアノでは出せなかった音だからなのですね。
・・・・・こうやってみると、本当にベートーヴェンの意思を尊重するならば、
この音をオクターブで弾くべきなのでしょうか?
しかし右手が大きく跳躍し上昇する勢いを感じるのは、
第2音目からだとするなら楽譜通りの方がいい気もしますし。
ベートーヴェンはピアノの性能をわかった上で、
この第1音目だけはオクターブで弾かなくてもいいように、
作曲したのかもしれないですよね〜。
オクターブで弾くか弾かないか。
ピアノを弾かない人にとってはどうでもよさそうなことでも、
実際弾く人間にとっては音楽の感じ方が全く異なってくるので、
結構重要だったりするんですよネ。
その後作曲された作品109や作品111には、
このピアノでは弾けない高音が使われています。
しかし、当時のピアノで不可能だったわけではなさそうです。
ウェーバーがこの頃持っていたピアノの音域は6オクターブ半あり、
これら作品を演奏できる音域を持っていたからです。
ベートーヴェンにとって最後となったピアノは、
コンラッド・グラーフが製作したものでした。
ベートーヴェンの死の数年前に作られたピアノのようです。
このピアノはウィーン式のアクションで、
ベートーヴェンが所有してきたピアノの中で一番広い音域を持っていました。
しかし残念ながら、
このピアノでピアノソナタやピアノ協奏曲が作曲されることはありませんでした。
『ベートーヴェンはピアノの不完全さについてひどく不満を述べ立て、
こんなピアノでは効果のある音も、力強い音も出すことができない、
と言ってブロードウッドのピアノを指し示した。
私の目に映ったのは、なんと惨憺(さんたん)たる場景だったことか。
高音部はもはや全然音が鳴らなかったし、切れた弦がからまって、
まるで嵐の突風に吹き寄せられた茨の塊のようなありさまであった。』
--------1824年9月、最後のソナタ(Op.111)を書き終えたベートーヴェン。
そのときベートーヴェンの自室にあったブロードウッドについて。
(ハープ製作者のヨハン・アンドレアス・シュトゥンプの手記より)
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2007年10月15日
ピアノの歴史18【ベートーヴェン第3期】
【ベートーヴェン(1770〜1827)】 【ベートーヴェン/本---Amazon.co.jp】
1809年秋頃からベートーヴェンが使用していた楽器。
どうやら判明していないものが多いようです。
作品の中から、どういったピアノだったのかを
ちょっと垣間見てみましょう。
エラールのピアノを物足りないと感じていたであろう
この時期のベートーヴェンが作曲した作品、
・・・・そして「傑作の森」の最後の年を飾る作品
告別ソナタとピアノ協奏曲第5番には、
これまでにない変化があらわれます。
それは、最高音c4を越える音が使われているということです。
・・・・F1-f4の6オクターブ
これら2曲は、これまで使用していたエラールでは演奏できません。
この時期のピアノは、使用音域やベートーヴェン書簡などから、
シュトライヒャーが貸したピアノを使用していたのではないかと考えられています。
当時シュトライヒャーのピアノには6オクターブの音域があり3本ペダルが付きで、
これらの楽曲に符号するからです。
告別ソナタから次の作品、ソナタOp,.90を作曲するまでには、
4,5年の空白がありますが、
この楽曲の音域はF1-c4と再びエラールの音域と同じです。
さらに2年後の1816年に作曲された次のソナタop.101では、
E1-e4の6オクターブの音域。
なんだかこれまでのベートーヴェンに比べ、
この時期のベートーヴェンは、
ずいぶんとピアノ作品の数が少ないですよね。
音域を広めたかと思うと再びエラールの音域になったりして、
これまでピアノの発展に合わせてイケイケ!で作曲していたベートーヴェンらしくないというか。
なかなか納得できるピアノに出会えなかったということなのでしょうか。
なんだかベートーヴェンのもどかしさを感じますね。
1816年ベートーヴェンの希望により、
シュトライヒャーが6オクターブ半のピアノを作ったという説があるようですが、
ベートーヴェンは1817年シュトライヒャーに宛てて手紙を書いています。
『さて、シュトライヒャーにとくにお願いがあります。
私の弱った耳にあうように、
あなたがたのピアノのうち1台を調整していただきたいというのが、
私の願いです。
できるだけ大きな音にしてほしいのです。』
1816年冬から翌年にかけて、
ベートーヴェンが2台のピアノを持っていたことがわかっています。
1台は5オクターブの桜材の古い二重弦のピアノ、
もう1台はマホガニー材の四重弦の6オクターブのピアノです。
シュトライヒャーから借用したと思われる、
このマホガニー材のピアノにはシフト・ペダルが備わっていました。
ソナタop.101には、
この鍵盤を横にずらし1弦だけを打つようにする、
「スール・ウナ・コルダ」の指定があります。
ベートーヴェンが初めてシフト・ペダルの指示を記入した作品です。
1812年ウィーンの出版者ゲッツルは、
ベートーヴェンが即興演奏したときのピアノの状態について、
こう書きました。
『もはや音楽を弾くどころの騒ぎではなかった。
弦の半分ほども切れてしまったからである。』
-------------------------------ベートーヴェン第4期は次回につづく
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