鍵盤

2007年08月23日

ピアノの歴史15【モーツァルト】

ピアノの歴史 銑は、ブログカテゴリ『音楽/ピアノの歴史』からご覧ください。

【モーツァルト(1756〜1791)】

モーツァルトの一生は、旅行に明け暮れたものでした。
6歳のミュンヘンとウィーンへの小旅行に始まり、
翌年には3年をかけての大旅行。
幼少期に西ヨーロッパの中心的な都市へ赴き、
様々な刺激を受けました。

当時のモーツァルトが演奏のため出入りしたのは、宮廷や上流社会。
そこには最高級の楽器があり、
幼少期のモーツァルトにはこれらの楽器を演奏する機会が、
豊富に与えられていたのでした。

モーツァルトがソナタの作曲を始めたのは1775年のこと。
1789年までの間に18曲のソナタを作曲しています。
これらの楽曲はすべて、
5オクターブ(F1-f3)の音域内で作曲されました。

oniki

 ・・・・・実際にピアノを前にしてこの音域を眺めてみると、
     現代のピアノに比べこじんまりした感を持ちます。
     その上、当時の鍵盤は今より1つ1つの鍵盤の幅が狭く、
     奥行きもなく深さも浅い。
     そんなことを想像しながら、
     モーツァルトの楽譜を眺めるのは、
     とても面白く楽しいことですネ。


モーツァルトのソナタは、4つに区分することができます。

 1)ミュンヘン滞在中・・・第1番〜第6番(1775年作曲)
 2)マンハイム・パリ旅行中・・・第7番〜第9番(1777-1778年作曲)
 3)ウィーン時代前半・・・第10番〜第14番(1783-1784年作曲)
 4)ウィーン時代後半・・・第15番〜第18番(1788-1789年作曲)


1777年にシュタインのフォルテピアノに出会う以前、
モーツァルトはチェンバロを愛用していました。
少年時代シュペートのフォルテピアノを父親から与えられていたのですが、
性能が思わしくなかったようです。

シュタインのフォルテピアノに巡り合ってからの作品は、
チェンバロ的なものからピアノ的なものになっています。
1781年、モーツァルトはなけなしの金をはたいて、
ワルター製の中古ピアノを購入します。
このピアノはペダルはありませんでしたが、
鍵盤が浅く、歌うようなメロディをペダルなしで演奏できたそうです。

 ・・・・・興味深いのは、日々モーツァルトが接していたワルター製のピアノは、
     シュタイン製のピアノより幾分暗い音色がする・・・ということです。
     一度聞き比べてみたいものですネ。


ところで、当時のウィーン式ピアノには、
たくさんのペダルを備えた楽器がありました。
フェルトで弦の響きを押さえるリュート・ペダル。
空洞の箱を楽器の共鳴版の下に取り付け、
箱を共鳴させることで音を増幅するフォルテ・ペダル。
低音弦の上に羊皮紙を載せ、
ファゴットのようなビリビリした音を作るファゴット・ペダル。

興味深いのは「トルコ行進曲」に適したペダルがあったということ。
楽器の下に小さなベル(鈴や鐘)や、金属の棒、小太鼓、
小型のバスドラムがいっせいに鳴り出すというトルコ・ペダルです。
 ・・・・・この仕掛けを思い浮かべて「トルコ行進曲」の楽譜を見ると、
     よく耳にする速く駆け回るように弾く曲なのか?という疑問に突き当たります。
     何故トルコ行進曲というのか?


モーツァルトは作曲家というだけでなく、
鍵盤楽器(オルガン・ハープシコード、フォルテピアノ)の名演奏家でした。
モーツァルトが演奏について語っている興味深い一文はコレ。

『ぼくが常に正確に拍子を守っていること、
それについてはみんなが感心しています。
アダージョでテンポ・ルバートするとき、
左手はそれと関係なくテンポを守るのも
彼らには理解できないことです。
彼らだと、左手がつられて遅れます。』


ハイドンはモーツァルトの演奏について、
グリージンガーというハイドンの最初の伝記作家にこのように伝えています。

『モーツァルトの音楽を聴く機会を
彼はけっして逃さなかった。
そして、モーツァルトの音楽を聴いて
なにかを学び取らないことはない、と口癖のように言った。
もっと年老いてからのハイドンは、目に涙を浮かべながら、こう語った。
「モーツァルトのクラヴィーアの演奏を生涯忘れることができない。
それは胸に響くものだった。』



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2007年08月21日

ピアノの歴史14【ハイドン】

ピアノの歴史 銑は、ブログカテゴリ『音楽/ピアノの歴史』からご覧ください。


【ハイドン(1732〜1809)】

ハイドンは1761年から1790年まで、
エステルハージ侯爵家に福楽長および楽長として雇われました。
ハイドンが所有していた大型のハープシコードは、
ウィーンの芸術史博物館に所蔵されています。
 ・・・・・しかし、ホルスト・ヴァルターの研究によると、
     この楽器をハイドンが所有していたという痕跡は、
     全くないそうです。


1785年ごろまでにハイドンが使用していた楽器が何であったか、
エステルハージ侯爵家の楽器が何であったかは、
何もわかっていません。
ただ、エステルハージ家での合奏やオペラの指揮に、
ハイドンがハープシコードを使ったことはよく知られています。

1780年以前のハイドンのソナタには、
ダイナミック記号などは一切書き込まれていません。
ハープシコードを念頭に置いて作曲していたからでしょう。
しかし、1780年に出版された楽譜(第35-39)には、
フォルテ、フォルテシモ、クレッシェンド、テヌートなどの記号が、
記入されています。
この頃にはハープシコードだけではなくピアノフォルテという楽器も念頭に置きつつ、
作曲していたのではないでしょうか?

ハイドンがピアノを購入したのは1788年のこと。
5オクターブ(f3-F1)の音域を持つスクエア・ピアノでした。
このピアノを手に入れて作曲されたエステルハージ時代のソナタは、
第48番と第49番です。
第49番をゲンツィンガー夫人に献呈する際、
ハイドンが夫人に宛てた手紙にはこう書かれています。

『アダージョだけがまったく新しいもので、
とくにこの楽章があなたの気に入るようにと思います。
(中略)
かなり難しいですが、感情に満ちています。
あなたがシャンツのフォルテ・ピアノをお持ちでないことだけが残念です。
もしこのピアノであなたがお弾きになれば、
2倍もの効果を創り出すことができるでしょう。』


また、当時のフォルテ・ピアノについてのこのような記述もあります。

『私たちの間で率直に申すなら、
本当に良いものは時々10台に1台しかなく、
またヴァルター氏の楽器はとびきり高価でもあります。
私はまたフォン・ニクル氏のフォルテ・ピアノも知っています。
それは見事ですが、あなたの指にはキーが重過ぎます。
誰もこの楽器で優雅に弾くことはできません。
したがって私はあなたがシャンツ氏の1台を
試してごらんになることをおすすめします。
彼のフォルテ・ピアノは特別に軽く、
快適なアクションを持っています。』


ハイドンがシャンツのピアノを購入した後のピアノ曲には、
ダイナミック記号のほか、
ハープシコードにとっては意味のないクレッシェンドやディミヌエンド、
スタッカートやスラーなどが記入されるようになりました。

1790年にエステルハージ侯爵が没した後、
ハイドンはこのピアノを持ってウィーンに移り住みます。
そして、1795年までに2回ロンドンへ行きました。
ロンドンではブロードウッドのピアノに出会うことになります。
これまで使用してきた軽いタッチのウィーン式ではなく、
重いタッチで力強い音がでるイギリス式のピアノです。

このときのハイドンのピアノ演奏についての感想文が残っています。
交響曲第98番が初演されたときのもので、
この交響曲の第4楽章には「チェンバロ・ソロ」の部分が含まれています。
ハイドンはこれをピアノで弾いたのでした。

『彼のピアノ・フォルテの演奏は、
この楽器についての第1級の芸術家という刻印を押すほどではないにしても、
論議の余地なく整然としており、かつ明確なものであった。
ある交響曲のフィナーレには、
ピアノ・フォルテによる魅力的で華麗なパッセージがあり、
この部分を彼は最上の正確さと明確さをもって演奏した。』



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2007年08月07日

バロック・古典の拍子感

拍子ってノリ。
このノリでリズムの感じ方すら変わってくる。
ジャズにノリがあるのと同じように、
クラシックにもノリがあるんですよね。

私もまだまだ勉強中なので、
これが絶対だぁ〜とは言えないのですが、
それでも指導していて感じることだったり、
ピアニストの演奏を聴いて感じることだったり、
まぁ、イロイロ考えさせられるのです。

コンクールなどを聴きに行って、
とても違和感を感じることが多いのが古典派の演奏
私、バロックと古典の拍子感って、
ロマン派のそれとは明らかに違うと感じているのです。
でも、そういう演奏ってあんまり出会えない。
コンクール特有の演奏というものがあるのかないのか・・・。

これがピアニストレヴェルのコンクールになると、
あまりそういう違和感を感じることはないのですが、
小学生や中学生の演奏となると・・・なのです。

具体的にどう違うのかというと・・・。

hyousi1
イメージなので、とぉっても単純に図にしています。
私が基本的に感じるバロック、古典のノリ
キチッキチッとして、縦ノリというか・・・です。

で、ロマン派以降に感じるノリはこんな感じ。

hyousi2

きったない図ですねぇ・・・ごめんなさい。
上手く描けません。(T_T)
感じていただけるでしょうか?
前へ前へという推進力を感じるノリ・・・というか。

演奏に勢いを感じるのは確かに後者の方です。
だからかなぁ、コンクールで後者のノリが多いのは。
グイグイグイッという勢いで観客を惹きつける。
でも、前者じゃないと感じられないニュアンスっていうのもあって、
バロックや古典って、そのニュアンスが魅力だなぁと、
私は感じているんです。

古典でもモーツァルトやハイドンなどは前者。
ベートーヴェンは、この中間かな。

ちなみにロマン派以降の作品すべてが、
何がなんでも後者というわけでもないんですよ。
特に国民楽派の民族ダンスなどは、
前者のノリのものも多くある気がします。
ミューズスタジオにアップしているバルトークのバルバロは、
私のイメージは前者です。
 ・・・・・まだまだ荒く思い通りにいかない演奏ですが。(_ _;)

また、ショパンのポロネーズなども、
基本は前者かな。
1拍目のノリが前者、
1拍目へ向かう3拍目は後者かなぁ。

ちなみに、ポロネーズってこんな感じです。
http://jp.youtube.com/watch?v=oMuyUzU7GEg

これに対して、ワルツの1拍目は流れるような推進力がありますよね。
http://jp.youtube.com/watch?v=hrVLpvAE03w


リズムって拍子と一体化してるなぁと感じます。
拍子の感じ方次第で、リズムが生きたり死んだりする。
特に古典派の同音連打などは、
前者の拍子感がないと死んでしまう気がします。
私、古典派の同音連打って好きなんですよね〜。
もちろんロマン派にも、
これと同様のノリを持つ同音連打のノリはあるんですけど・・・。

コンクールに行くと、このような拍子感なしに、
とにかくテンポアップした演奏が目立ちます。
私の大好きな同音連打のノリは皆無になり、
なんだか面白みのあるニュアンスが激減し、
勢いだけの演奏になってしまって・・・残念。

特に4拍子の曲は、
3,4拍目に面白いニュアンスが含まれていたりするので、
テンポアップでそれが消えてしまうのは、
もったいないなぁと思います。

ただ、こういうニュアンスってすごく繊細で、
表現するのがとっても難しいんですよね。(_ _;)
ピアニストと素人の違いってこういうところにあるんだろうなぁと、
自分で練習していると思います・・・がっくりします。(自爆)
でも、私はテンポアップで逃げたくないなぁ。
そういう繊細な表現力を追求していけたら、
ピアノってすっごくすっごく楽しいと思ふ。


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2007年08月05日

音量に幅を持たせる

音量の幅。
よく使用される記号は、ピアニッシモからフォルテッシモまで。
でもね、いつも思うのです。
これは相対的なものであって、絶対値ではないと。
ようは、そのように感じればいい話。

例えばピアノの音楽に出会ったとき。
ちょっと歌いたいなぁと思って抑揚をつけると、
あっという間にフォルテの音量にまで達してしまう
その結果、押し付けがましいうるさい音楽になる。

例えばフォルテの音楽に出会ったとき。
最初から最後までフォルテで演奏してしまい、
聴くものの耳が強音に慣れてしまう。
慣れるということは、フォルテに聴こえないということ。

でも、自分に出せる音量の幅は限られています。
一体この決められた幅を、
どのようにしたら広く無限大に感じられる演奏になるのか?
何も考えずに、ただ大きく、ただ小さくと弾いていたのでは、
感じられる音量の幅は狭くなる一方です。

ピアノは、右手・左手と2本の手を使います。
左手が受け持つ低音の弦は太くて長く、
右手が受け持つ高音の弦は細くて短い。
このことを知るって、とても大切だなぁと思うのです。

例えば、右手に10段階の音量の幅。
左手に10段階の音量の幅があったとしましょう。
左右合わせると、20段階の音量の幅が持てるようになるのです。

極小さい音で演奏したい。
でも、少し抑揚をつけたい。
だけど、どうしてもうるさくなってしまう・・・。

そんなときは、是非右手だけで抑揚をつけみてください。
左手はがまんがまん。

もちろんメロディが左にきている場合は、
逆でも構わないのです。
その場合は、右手をがまんがまんです。

テクニック的に難しいのは、
このがまんがまんの手が、
歌っている方の手に流されないこと。
このように左右全く違う音量で弾けるということは、
表現の幅を広げるために、どうしても必要なことです。
 →このテクニックを身につけるための練習方法は、
  ミューズクリニックの
こちらをどうぞ。

長い長いクレッシェンドなのに、
あっという間に最高音量に達してしまう。
昔よく先生に言われました。
「もっと計算してクレッシェンドしないと。」
でも、自分の持てる幅は決まっています。
気持ちが高揚するとあっという間に最高点に達してしまう。

それは計算の方法がわからなかったから。
両手一緒くたに考えていたので、
自分の持てる幅がとても狭かった。
その狭い段階の中で計算するには限界があったのです。

低音の弦は太くて長い。
高音の弦は細くて短い。
このことを利用すれば、長い長いクレッシェンドが可能になります。

最初は右手でクレッシェンド。
そのとき左手はまだまだがまんの子。
少しずつ左手を加えていき、
最終的に両手でフォルテシモ。

どこまでも無限に大きくなり続けるのではないか・・・と思わせる、
そんなフォルテシモになります。

この方法を応用させていくと、
いくらでも音量に幅を持たせることができてきます。
右手と左手・・・と2本だけに分ける必要はないからです。
内声と外声がある。
左手でバスと内声の両方を受け持っていたのであれば、
そこで変化をつけることが可能になります。

onryou

上の楽譜のような音型が長く続くクレッシェンド。
こんなのはどうでしょう?

最初はバスのドだけで少しずつクレッシェンド。
次第に内声の「ミソドソミ」の音量を上げていく。

ぼやけていた内声がはっきりしてくるだけで、
すごいクレッシェンドを感じるものです。
このように、左右の音量に変化をつけられるというテクニックだけではなく、
片手だけでも使用する指によって音量に変化がつけられるということ。
音色の変化も多様性を増しますし、
音量の幅もグンッと広がるのです。


【他の指に影響されない指を作る練習】

たぶんみなさんやっていることだとは思うのですが・・・。

onryou2
onryou3

別にハノンじゃなくてもいいのです。
今弾いてる楽曲の一部を使ってもいい。
大切なのは「差をつける」ということです。
アクセントにくる次の音が重要です。
大抵の人は、アクセントに流されて次の音も大きく弾いてしまう。

練習の目的を”他の指に影響されない指を作る”ことに置くのであれば、
アクセントに流されたまま弾き続けていても練習になりません。
指は強くなるかもしれませんが、
指のコントロールまでは身につかないのです。

指のコントロールを身に付けたいのであれば、
アクセントの次にくる音を意識的に弱音で弾けなければなりません。
差は大きければ大きいほどいい!
私は生徒さんに”かすれるくらいの音”で構わないと言っています。
とにかく前の指に流されないこと。これが重要です。

すぐに早く弾きたくなってしまうものですが、
まずはゆっくりから。
大切なのは確実に音量に差をつけることです。
音量に差があまりないまま速く弾いても練習の意味がありません。
目的は速さではなく音量に差をつけることです。




onryou4

上の楽譜のように重音が続く長いクレッシェンドに出会ったら。
すべての音を同じようにクレッシェンドしていったのでは、
3小節も弾けば最高点に達し、あっという間に息切れしてしまうでしょう。

最初はすべての音量を等しくして極小さい音で。
次に最高音の「ド」を少しずつクレッシェンド、
それから最低音の「ド」を少しずつクレッシェンド。
最終的に内声を加えていく・
・・。

こういう方法をとると、壮大なクレッシェンドになります。
この場合、必要となるテクニックは、
重音をそれぞれ異なる音量で弾けるということです。
それができずに、いきなりこのようなクレッシェンドをやろうとしても無理でしょう。
まずは、単純な練習をお勧めします。


〆嚢皺察屮鼻廚世餌腓く弾く練習。

右手だけで練習します。
「ミーソード」とずらして弾きます。
ミとソはかすれるくらい弱く、ドはしっかり大きく弾きます。
最初はゆっくりずらします。
それで確実に音量の差が出るようなら、
少しずつずらしを速くし、アルペジオのような感覚で弾いていきます。
速いアルペジオでも、確実に音量に差がつくようなら、
同時に「ミソド」の和音を弾いてみます。
ずらして弾いたときの指の感覚を思い出しながら弾きます。

どんな指でも、出したいと思っている指の付け根がしっかりしていないと、
他の指に流されてしまいます。
また、出したいと思う音の指をしっかり意識してつかむのもコツの1つです。

∈把祺擦痢屮鼻廚世餌腓く弾く練習。

左手だけで練習します。
基本的に,汎韻己法ですが、
この練習方法にはルールがあります。
強く弾きたい音を一番最後に弾くということです。
なので、この場合は「1指→5指」という順番で、
「ドードー」と弾くことになります。
1指を極小さな音で弾き、5指のドをしっかりした音量で弾きます。
あとは,汎韻犬任后

この方法は、内声に出したい音がきているときにも使えます。
その際もルールは一緒。
弱い音から弾きます。
例えば上の楽譜で、内声の「ミ」を一番大きく弾きたいと思ったら、
「ドーソーミー」と練習することになるのです。
ドとソは極小さい音で、ミをしっかりと弾きます。
内声にメロディがきている場合、
この練習方法は絶大な効果をもたらしてくれます。


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2007年08月04日

指使いの面白さ

譜読みをしていて、
いつも面白いなぁ、楽しいなぁと思うのが指使い。
指使いひとつでニュアンスが変わるからです。

ところで、みなさんはソナチネ・アルバムの楽譜、
どの楽譜を使っていますか?
私はコレです♪

ソナチネアルバム 第1巻 今井顕 校訂 初版および初期楽譜に基づく校訂版 (Zen‐on piano library)

この楽譜、初版に基づいて書かれているんです。
これまで使用してきた楽譜と見比べる楽しさもあります。

で、今日のテーマ”指使い”なのです。
この楽譜には、作曲家自身による指使いと、
普段私たちが選ぶであろう指使いの両方が書かれています。
私は生徒さんに、どちらも弾いてみてごらんと言っています。
普段使っているものもいいけれど、
作曲家自身が書いたのもいいな〜という発見があるからです。

普段使っている指使いは、
現代ピアノに向いた指使いで、
作曲家自身の書いた指使いには歴史を感じますが、
テクニック的に見るのではなく、
ニュアンスで見ると「なるほど〜」という発見があったりするのです。

↓は、クーラウ作曲Op.55-1の5小節目です。

yubidukai

青い指使いがクーラウ自身のもの。
普段私たちは赤い指使いを使いますよね。
この指使いに出会ったとき、
「ほよよよぉ〜〜なるほどぉ〜!」とワクワクしちゃった私。

是非是非試してみてください!
感じ方がまるで変わります。
クーラウ自身の指使いの方が軽やかで、
次の小節に続く「ドミ」に行きたくなります。

当たり前なのかもしれませんがこの指使いの方が、
ずっと古典派らしい音楽になりますね。
12で始まる指使いは手首を使いやすく、
下手をするとレガートがかかりすぎて、
ロマン派のようになりかねません。

もちろん鍵盤の幅が今より狭かったからなんだろうなぁとか、
鍵盤が浅くて軽かったからなんだろうなぁなどといった指使いもあり、
現代ピアノで弾くにはちょっと・・・というものもあるんですヨ。
でも、だからといってすべて却下する・・・というのももったいないなぁと思います。

どちらの指使いも試してみて、
「ほうほうっ」と感じ方の違いを体験してみるのも、
目の前が開けて面白いものですヨ。


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2007年06月27日

次はどんな曲を弾こう?

次はどんな曲を弾こう?
クラシック音楽を基本として習っている生徒さんに
は、
4期すべての時代を経験してもらいつつ、
精進してもらいたいと思っているのですが、
今日はそれ以外の視点で見る選曲についてのお話です。

たぶん、クラシックだとかポップスだとかいう垣根なく、
共通して言えるコト。

’愎びした難しく感じる楽曲を選ぶ
∈の自分に丁度良い楽曲を選ぶ
今の自分に易しく感じる楽曲を選ぶ

大抵の人は、,△鯀ぶと思います。
せっかく習っているのだから・・・と。
上昇志向の表れですね。
でも、私はも重要だと考えています。

ちなみに,鉢△悪いというわけではありません。
,鉢△發箸討盻斗廚派要なこと。
大切なのは、この3つのバランスだと思うのです。

,録靴靴ち嬲,鮨箸砲弔韻襪っかけになります。
△郎やっていることの地固めになります。
はより豊かな音楽表現が身につきます。

,世韻任蓮△っと苦しくなるでしょう。
その上テクニックばかりに集中してしまい、
余裕のある音楽表現がいつまでも身につきません。

△筬だけではよりよい音楽表現は深みを増すでしょうが、
弾ける曲の幅を広げることはできません。
テクニックに限界があるからです。
また、テクニックに限界があるということは、
弾ける音楽表現にも限界があるということでもあります。

今あるテクニックだけでレパートリーを増やしていくタイプの人は、
△筬だけでも十分。
趣味としてピアノが生活に定着し、
楽しんで弾けているのであれば、私はそれもひとつのあり方だと思っています。
こちらの方が苦しみが少ない分、
より純粋にピアノと向かえるかもしれません。

上昇志向の高い人、
また子どもの頃から次々に新たな課題を与えられ、
次々に新たな曲に挑戦することに慣れている私のような(笑)悲しい人間は、
,世韻吠个蠅ちですが、
たぶんそれだけでは壁にぶち当たることでしょう。
「音楽って何?」という楽しさが半減していく。
ピアノがただただひたすら挑戦し続けるもの・・・になってしまうからです。

子どもの頃、なんであんなにピアノが嫌いだったんだろうと思うのですが、
それは次々に課題を与えられ、
ただひたすらそれをこなし続ける・・・という毎日だったからなのだと感じています。
一体何のためにピアノを弾くのか?
もう根本が揺らいでしまっている状態。
きっと音楽表現もいっぱいいっぱいのところでやってたんだろうなぁ、なんて思うのです。

私がに目覚めたのはピアノ講師になってからのこと。
導入期の教材にあるたった4小節の曲を、
美しく弾くことの難しいことったら!!

この4小節をいかに音楽的に弾くか・・・。
ピアノで表現するための引き出しの少なさに驚いたものです。

それからしばらく、ブルグミュラーなどの簡単な楽曲を、
いかに音楽的に表現するか・・・に挑戦しました。
ただただ音符を追っていただけの自分から、
楽譜から音楽を読み取る自分に変わっていきました。
・バランス ・拍子感 ・間(ま) ・タッチ ・リズム感 ・フレーズ感
様々な表現要素への理解が深まりました。

今まで苦しいだけだったピアノが、
本当に楽しくなった瞬間です。
どんなにテクニック的に易しい楽曲でも、
追求しようと思えばいくらでも追求できる。

を経験すると,筬△粒擽覆叛椶垢襪箸の自分が変わります。
,筬△魴亳海垢襪鉢がさらに豊かになります。

それは、テクニックが充実することにより、
「こう表現したい」というピアノ操作に指がついていってくれるからです。

,發いぁ△發いぁもいい。
どれもいい。

ただ、どれか1つに集中するというのは、あまりお勧めできません。
楽しくピアノを続けていくために。
楽しく音楽的に上達していくために。
たまには,癲たまにはも。
そのバランスが、楽しくピアノを続けていくコツな気がします。


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【ラフマニノフ/本・CD】
モスクワの憂鬱―スクリャービンとラフマニノフ
ラフマニノフ―その作品と生涯
伝記 ラフマニノフ
ラフマニノフ:作品集
ラフマニノフ:ピアノ作品集
ホロヴィッツの世界 ラフマニノ
プレイズ・ラフマニノフ
ラフマニノフ:24の前奏曲
ラフマニノフ・プレイズ・チャイコフスキー/メンデルスゾーン/ショパン/シューベルト、他
ラフマニノフ:自作自演集


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emksan at 06:55|PermalinkTrackBack(0)