短調
2007年10月19日
マイナースケールを感じて/生きた楽典
私は短調のスケールを弾くのが好き。
長調にはない面白さというか、
響きがあるんです。
スケールって隣り合った音同士が並んでいますネ。
ハ長調ならドレミファソラシド。
これら隣り合った音同士の関係を”2度”といいます。
ドとレの関係は2度です。
レとミの関係も2度。
ミとファの関係も2度。
そして、そこにはいろんな2度があります。
黒鍵をまたいでの2度もあれば、
黒鍵が間にない2度もあります。
例えば、ドとレの間には黒鍵が1つあります。
しかし、ミとファの間には黒鍵がありません。
ドとレ、ミとファの音の幅は微妙に違う。
ミとファの方が狭いのです。
このように基本的に2度には2種類の2度があります。
長2度と短2度です。
間に必ずひとつ鍵盤がある・・・長2度。
間にひとつも鍵盤がない・・・短2度。
例えば、ミと#ファの間にはナチュラルのファ(白鍵のファ)があります。
だから、これは長2度です。
反対にドと♭レの間には、ひとつも鍵盤がありません。
だから、これは短2度です。
長音階は、これら2度が連なってできた音階です。
しかし、短音階にはこれ以外の2度があらわれるんです。
ここに普通じゃない2度があります。
ファと#ソの間には、いくつ鍵盤があると思いますか?
黒鍵の#ファ、白鍵のソ、間に2つの鍵盤があるんです。
今までで一番幅の広い2度です。
普通じゃない。
私はこの普通じゃない音と音の開きに魅力を感じるんです。
すごくエキゾチックな感じ。
だから、和声的短音階を弾くときはいつも、
この増2度の幅を感じて弾きたいと思います。
幅を感じずに弾くのと、大きな開きを感じて弾くのとでは、
第6音の弾き方も、導音である第7音の弾き方も違ってくるからです。
この和声的短音階は、
和声進行のために必要な臨時記号が加えられているため、
和声的短音階と呼ばれます。
なんか変ですよね。
教会旋法のような響きに聞こえてしまいます。
このような響きを避けるために、
導音である第7音を半音上げたのが和声的短音階です。
こうするとしっくりきますネ。
なら、そのまま調号に#をつけちゃえば?
なぁんて思ってしまうかもしれませんが、
半音上げる必要のないときだってあるのです。
例えば、次に説明する旋律的短音階。
何故下りは♯が付かないのか?
導音としての機能を必要としないからです。
導音は主音へ行く音。
でも、くだりのソは主音のラではなくファに行く音ですよね。
だから#は必要ないんです。
ということで、旋律的短音階です。
ここには普通じゃない2度はあらわれてきませんね。
その代わり折り返し地点に独特の変化があらわれます。
私はこの折り返し地点が大好きなんです。
##で主音まで上りつめた緊張感は、
主音直後に2つ続くナチュラルで解消されます。
私は特に、このナチュラルになった瞬間が好きです。
主音直後の”ソ”をすごく丁寧に弾きたくなります。
長調と短調の大きな違いは、
先日お話した第3音の変化のほか、
この第6音と第7音に特徴があるような気がします。
だから、短調の第6音と第7音には、
すごい思い入れを持ってしまう。(笑)
楽曲の中で、
メロディに和声的短音階が出てきたりしたら、
もうたまんないんですよね〜。(笑)
この増2度がたまらんっ!と思って弾いちゃいます。
増音程(2度に限らず)の幅が私の心にもたらす影響。
それは張り詰めた緊張感なのか、
憤りなのか、憐憫なのか・・・。
何をそこに感じるかは人それぞれですが、
増音程のあるところには、
必ず何かがひそんでいるんです。
楽典の問題で、
ときどき第6音に絡んだ問題が出題されます。
これってすごく重要だな、と思います。
でも、大切なのは机上で問題を解くことではないはず。
試験に迫られない時間のある生徒さんに、
私がやってもらっていること。
それは和声的旋律的ともに、
第6音から折り返して再び第6音に戻ってくる、
この折り返し地点だけを弾く、ということです。
弾いて実際に感じること。
楽典では音程の問題をたくさん解かされます。
それは、音程というものがとても大切だから。
しかし、机の上で数字だけ書いていても、
演奏には何の役にも立ちません。
大切なのは音程そのものを感じることなのですから。
短調のスケールって、
難しいんじゃなくて面白いんですヨ♪
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