楽典

2010年03月05日

音程&音階のお話

このブログで私お気に入りの教材ミュージックツリーに興味を持ち、
私にメールをくださった方がいらっしゃいました。
その方があまりに熱心なので、私もつい夢中になってしまって。(笑)
なによりお気に入りの教材に興味を持ってくださったことが嬉しくて嬉しくて。
一度大阪という遠いところからレッスンに来てくださったこともありました。

そんな関係で、この方から質問のメールがくると、
私も面白くて夢中になって返信してしまうのです。
今日久々に、面白い質問のメールがきました。
日々当たり前と思っていることが、
新しく勉強する人にとっては当たり前ではなく(当然!)、
こういう方に説明することは、
私にとっては「わかりやすい指導」を手に入れるチャンスともなっています。

今回、この質問って結構面白いかも!と思ったので、
その方に返信したメールを、そのままコピーして、
ブログにアップすることにしました。



line-tamablue



Q.完全5度というのは、全音3つと半音1つの組み合わせのことでしょうか。


A.そういう風に考えると、間違いが生じるかもしれません。
 例えば、シ-ファ♯は完全五度ですが、
 同じ音でもシ−ソ♭となると、これは減6度という違う音程になってしまうのです。
 こういうのを異名同音というのですが、
 シとファという呼び方は、シドレミファで5度系ですが、
 シとソという呼び方は、シドレミファソで6度系になっちゃう。
 だから、単純に全音3つと〜なんて考え方では間違いが生じてしまうのです。

 ということで、まずは体で完全5度を覚えてしまうことをお勧めします。
 簡単ですよ。
 基本は、音階の1番目の音と5番目の音の関係なのです。
 ハ短調もハ長調も、1番目の音は「ド」で、5番目の音は「ソ」ですね。
 だから、短調・長調は関係ありません。
 とにかく音階の1番目と5番目の音の関係が完全5度ということです。

 で、これらを机の上にかじりついて勉強するのはアホラシイ(笑)ので、
 ピアノで弾きながら覚えてしまいましょう。
 かなぁりラクチンなのでご安心を!!
 ルールは、この音程を親指と小指だけで弾くこと。
 その方が覚えやすいです。
 だって、1番の指と5番の指なんだもの!(笑)

 基本的に、白鍵-白鍵、黒鍵-黒鍵、という関係です。
 ド−ソは白鍵同士だし、ド♯-ソ♯は黒鍵同士です。
 ド−ソ、ド♯-ソ♯、レ-ラ、レ♯-ラ♯、ミ-シ、ファ−ド〜という風にして、
 どんどん鍵盤を上へのぼっていくと、
 どうしても白鍵同士、黒鍵同士ではいかなくなる音同士が出てきます。
 その音さえ覚えればイイ!(笑)
 だってそれ以外は、白鍵同士、黒鍵同士で考える必要なんてないんだもの。

 その白-黒、黒-白、という関係になる完全五度は、
 たったの2つです。

 シ♭-ファ、シ-ファ♯

 これだけです。

 あとは、ド-ソから完全五度でどんどんのぼっていく練習をしていけば、
 完全五度の響きと感覚的な指の位置を覚えて、
 悩まなくなりますヨ。




Q.全音というのは、テキストAでいうところの2度の音のことでしょうか。
  (テキストA→ミュージック・ツリーテキストA)


A.基本的にはそういうことです。
 でも、実は半音も2度なのです。(笑)
 先ほど5度系、6度系と言いましたが、
 2度にもいろいろあるんですよ。
 短2度、長2度、減2度、増2度と・・・。
 で、全音の2度は、長2度というタイプの2度です。
 そして、半音は短2度になります。

 
要するに、ミファと言葉だけだと単純に2度ですが、
 ミファにはいろんなミファがあって、
 そのまま白鍵隣同士のミファもあれば、
 ミ-ファ♯なんてものもある。
 ミ−ファ♯だと間に一つ鍵盤がありますよね。
 本当の隣同士ぢゃぁない。
 これを長2度というのです。いわゆる全音です。
 短2度は、本当の隣同士。
 鍵盤上で間に鍵盤を挟まない2度のことです。
 ド−レの間には、黒鍵が一つ挟まっているので、
 これは長2度。
 でも、ド-レ♭となると、間に鍵盤がなくなるので短2度となるのデス。



Q.半音が入る位置は長調と短調で決まっていて(それぞれ3度と4度、2度と3度)、
 
1度と2度とか、4度と5度の間というのはないのでしょうか。


A.音階は、これら全音と半音のという不公平な音程が集まることによって、
 成り立っているものです。
 全部が全音、全部が半音だとどこに落ち着いたらいいものかわからなくなるんですヨ。

 ハ長調は、やっぱりドに落ち着きたくなるし、
 ト短調は、やっぱりソに落ち着きたくなる。
 これは、音階の音程に不公平があるからなんですよね。

 そして、短調の音階は、
 1-2度間が全音、2-3度間が半音、3-4度間が全音〜
 短調の音階は、
 1-2度間が全音、2-3度間が全音、3-4度間が半音〜

 という風に決まっているのです。
 この決められた音程どうりに音を並べていけば、
 誰でも音階が作れる・・・という仕組みです。

 例えばニ長調を作りなさいと言われたら、
 「レ」の音から、長調の決められた音程を並べていけばいい。
 そうすれば、ニ長調が出来上がります。
 ハ短調を作りなさいと言われたら、
 「ド」の音から、短調の決められた音程を並べていけばいいのです。

 〜補足〜

1-2度間に半音が入ったら、どんな音階が出来上がるのか面白いですね〜。
音階って面白い。
こうして考えてみると、西洋音楽の音階なんて、結構単純かも。
世の中にはいろぉんな音階があるんですもの。

例えば、ヨナ抜き音階というものがあります。
ドレミソラドです。(4番目と7番目のファ・シが抜けていますよね。)
この音だけで適当にメロディを作ってみると、
あらあら不思議。懐かしいメロディになりませんか?
日本の音階です。
また、ラシドミファラなんてのもあって、
これは陰旋律といいます。
私は結構この音階も好きです。
雰囲気があるもの。

また、「ドレミファソラシド」という西洋の音階から、
レとラを抜いて、適当に弾いてみてください。
これまた聞いたことのある雰囲気になると思いますヨ。
レとラを抜くと「ドミファソシド」になりますが、沖縄の音階です。
これは、私が以前行ったバリでも聞いた音階です。

インドの音階なんてのもあって、これは難しくて私にはチンプンカンプンですが、
インドは旋法が多いという話を聞いたことがあります。
例えば、ド-レ-ミ-ファ#-ソ-ラ-シ-ド。

このようにそれぞれの音程が西洋音楽の音階とは違ううえ、
西洋音楽は7音で音階が成り立ちますが、
その音の数すらも違う音階がこの世の中にはワンサとあるんですよね。
5音音階なんて言葉があるほどですから。
実は西洋音楽にも中世に親しまれた音階(教会旋法)というものがあって、
これまた雰囲気抜群で、今のものとは全く違うんですヨ。
是非機会があったら「グレゴリオ聖歌」を聴いてみてください。
違いがはっきりわかると思います。

こうしてみると、自分でルールを設けて、
自分の音階を作ってみるのも面白そうですネ。(笑)
自作の音階から、どんな音楽が生まれるでしょう?

一言に音階といっても、世界各国いろんな音階があって、
その上、音程そのものも西洋では12音しかないですが、
日本の音楽などは、ドとレの間にも音があるような気がしませんか?
12音と使う音を限定しなければ、音階は無限に広がりそうです。
西洋音楽は世界の音楽の一端でしかなくて、
ハ長調とかいう音階も、その一端でしかないんですヨ。
ただ、クラシック音楽はそのルールにのっとって作曲されている、というだけなんですよネ。



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2008年11月06日

演奏に生かす楽典-第3音

私の大のお気に入り教材。


ピアノ学習者のための ピアノソルフェージュ(1)
ピアノ学習者のための ピアノソルフェージュ(1)


この教材、ほんっとうによくできているんです。
感心しきりで、私も復習を兼ねてやってる感じ。
ピアノ学習者のための・・・とあるように、
演奏に生かすための楽典を学ぶことができる教材です。

まず5指の型のスケール。
これはこの教材に入る前のピアノ導入期の教材、
ミュージック・ツリーですでに経験済みなのですが、
ここではそれをさらにバージョンアップ・・・といったところでしょうか。

長調と短調の違い。
例えば、ト長調とト短調の5指の型によるスケール。

dur-moll

下に振ってある数字は、指使いです。
長調の3指を半音下げれば、そのまま短調に変身です。
この指使い、そのまま第1音、第2音、第3音という数字にも置き換えられますネ。
変化するのは第3音なのデス。
以前ブログでハーモニーにおける第3音の重要性について書きましたが、


cho3tan3

長3度の響きと短3度の響きの違い。
ハーモニーの響きの違いは、この第3音にゆだねられていたのでした。
この教材book1には、こういったハーモニーはまだ出てきませんが、
この時点ですでに”第3音の意識”への働きかけがあるように感じます。

3の指を半音下げて演奏するだけで、
どんな風に響きが変わるのか?
それを指と耳と脳と心で感じます。
そして、実際の楽曲で弾き比べます。


dai3on-1

課題となるこの曲。
まずは初見で演奏。
何調かの判断をします。
手が5指の型に収まっているので、調性判断はとっても簡単。
これは指がソラシドレに置かれるので、ト長調ですネ。

次に、この曲をト短調で弾きます。
3指を半音下げて、同じように弾けばいいだけです。
これまたとっても簡単。
簡単だからこそ、あとは感じればいいだけ・・・なんですよネ。


dai3on-2


楽譜にするとこんな感じになりますが、
 ・・・・・第3音の変化をわかりやすくするため、調号を省いています。
もちろんレッスンではいちいち楽譜にしたりしていません。
ただその場で弾くだけです。
大切なのは、3の指の音の変化により自分が何を感じるのか・・・です。

そして、最後にこれを3部形式にして演奏します。
私はこれがとてもとても重要なことだと感じています。
この瞬間が、本当の意味で楽典を演奏に生かす瞬間となるからです。


ト長調→ト短調→ト長調


これで3部形式の出来上がり。
ありがたいことに、この曲はメロディーの始まりが第3音です。
きっとそこまで意識して教材曲としているんだろうなぁと感じます。
ほんと、この教材は痒いところまで手が届いている教材なのですヨ。
ここで私が重要だと思うこと、レッスンで決して見逃したくないと思っていることは、


.板皇瓦らト短調へ移る、ト短調のメロディ最初の音の扱い。
▲斑残瓦らト長調へ移る、ト長調のメロディ最初の音の扱い。



この2つです。
この曲は、メロディの最初の音で、調が変わった!と
雰囲気の違いを感じることができる曲です。
メロディの最初の音が第3音だからです。
だから、この第3音への意識はとてもとても大切。
ないがしろにしちゃぁいけない音なのです。
変化を感じて弾かなきゃいけない。
ただサラサラサラッと弾いてしまっては、
感情も何も沸いてこない、のっぺらぼうな演奏になり兼ねません。

演奏に生かす楽典。
この音は長調の第3音なのか、
この音は短調の第3音なのか、
そこにどれだけの変化を自分が感じているか・・・ですよね。
それがそのまま音になる。

その音を強くとか、その音を弱くとか、それでは心を込めにくい。
でも、その音が変化しているのだということに気づくだけで、
自然と自分の心に変化が現れて、それがそのまま音になる。
演奏者における楽典って、こういうことなのだろうなぁと思うのデス。

それにしても、ミュージック・ツリーにしろ、この教材にしろ、
中村菊子さんが翻訳しているこのシリーズは、
ほんっとにすごい。すごすぎると思ふ。
最近ポピュラー側に立った楽典やハーモニー進行の教材を見かけますが、
この教材はクラシック側からのアプローチなんですよね。
こういう教材で、クラシック側からアプローチした教材って珍しいかも。
でなきゃ、いきなり受験用の楽典にいっちゃうもんなぁ。(^_^;)

将来ポピュラーで遊びたいという人には、
ポピュラー側からのアプローチ教材がいいだろうし、
将来音大へという人や、クラシック音楽が好きという人には、
この教材がいいんじゃないかな〜と思っています。
こういう選択肢のある現代って幸せですネ。


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2007年10月19日

マイナースケールを感じて/生きた楽典

私は短調のスケールを弾くのが好き。
長調にはない面白さというか、
響きがあるんです。

スケールって隣り合った音同士が並んでいますネ。
ハ長調ならドレミファソラシド。
これら隣り合った音同士の関係を”2度”といいます。
ドとレの関係は2度です。
レとミの関係も2度。
ミとファの関係も2度。

そして、そこにはいろんな2度があります。
黒鍵をまたいでの2度もあれば、
黒鍵が間にない2度もあります。
例えば、ドとレの間には黒鍵が1つあります。
しかし、ミとファの間には黒鍵がありません。
ドとレ、ミとファの音の幅は微妙に違う。
ミとファの方が狭いのです。

2do


このように基本的に2度には2種類の2度があります。
長2度短2度です。
間に必ずひとつ鍵盤がある・・・長2度。
間にひとつも鍵盤がない・・・短2度。
例えば、ミと#ファの間にはナチュラルのファ(白鍵のファ)があります。
だから、これは長2度です。
反対にドと♭レの間には、ひとつも鍵盤がありません。
だから、これは短2度です。

長音階は、これら2度が連なってできた音階です。
しかし、短音階にはこれ以外の2度があらわれるんです。

zou2do

ここに普通じゃない2度があります。
ファと#ソの間には、いくつ鍵盤があると思いますか?
黒鍵の#ファ、白鍵のソ、間に2つの鍵盤があるんです。
今までで一番幅の広い2度です。
普通じゃない。
私はこの普通じゃない音と音の開きに魅力を感じるんです。
すごくエキゾチックな感じ。

だから、和声的短音階を弾くときはいつも、
この増2度の幅を感じて弾きたいと思います。
幅を感じずに弾くのと、大きな開きを感じて弾くのとでは、
第6音の弾き方も、導音である第7音の弾き方も違ってくるからです。

この和声的短音階は、
和声進行のために必要な臨時記号が加えられているため、
和声的短音階と呼ばれます。

waseiteki

なんか変ですよね。
教会旋法のような響きに聞こえてしまいます。
このような響きを避けるために、
導音である第7音を半音上げたのが和声的短音階です。

waseiteki2

こうするとしっくりきますネ。
なら、そのまま調号に#をつけちゃえば?
なぁんて思ってしまうかもしれませんが、
半音上げる必要のないときだってあるのです。
例えば、次に説明する旋律的短音階。
何故下りは♯が付かないのか?
導音としての機能を必要としないからです。
導音は主音へ行く音。
でも、くだりのソは主音のラではなくファに行く音ですよね。
だから#は必要ないんです。

ということで、旋律的短音階です。

senrituteki


ここには普通じゃない2度はあらわれてきませんね。
その代わり折り返し地点に独特の変化があらわれます。
私はこの折り返し地点が大好きなんです。
##で主音まで上りつめた緊張感は、
主音直後に2つ続くナチュラルで解消されます。
私は特に、このナチュラルになった瞬間が好きです。
主音直後の”ソ”をすごく丁寧に弾きたくなります。

長調と短調の大きな違いは、
先日お話した第3音の変化のほか、
この第6音第7音に特徴があるような気がします。
だから、短調の第6音と第7音には、
すごい思い入れを持ってしまう。(笑)

楽曲の中で、
メロディに和声的短音階が出てきたりしたら、
もうたまんないんですよね〜。(笑)
この増2度がたまらんっ!と思って弾いちゃいます。
増音程(2度に限らず)の幅が私の心にもたらす影響。
それは張り詰めた緊張感なのか、
憤りなのか、憐憫なのか・・・。
何をそこに感じるかは人それぞれですが、
増音程のあるところには、
必ず何かがひそんでいるんです。


楽典の問題で、
ときどき第6音に絡んだ問題が出題されます。
これってすごく重要だな、と思います。
でも、大切なのは机上で問題を解くことではないはず。

試験に迫られない時間のある生徒さんに、
私がやってもらっていること。
それは和声的旋律的ともに、
第6音から折り返して再び第6音に戻ってくる、
この折り返し地点だけを弾く、ということです。

弾いて実際に感じること。
楽典では音程の問題をたくさん解かされます。
それは、音程というものがとても大切だから。
しかし、机の上で数字だけ書いていても、
演奏には何の役にも立ちません。
大切なのは音程そのものを感じることなのですから。

短調のスケールって、
難しいんじゃなくて面白いんですヨ♪


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2007年10月16日

機能和声を感じて/生きた楽典

楽譜をよく読む。
作曲家の意向を感じる。
クラシック音楽は再現音楽なので、
やはり楽譜を読み込む能力がとても大切。

とはいえ、そんなことを知ることが演奏に役立つの?
と疑問に思っても仕方がないですよね。
事実私もそうでした。(^_^;)
楽譜から感じたままに演奏すればいいじゃん!と。

確かにそうなんですよね。
感じればいい。
ただ、どれくらい感じることができるか・・・なのだと思うのです。
感じることが多ければ多いほど、
「こう弾きたい」という思いが具体的になります。

ということで、機能和声なのです。
ここでは和声ほど小難しくなく、楽典の本に載っている程度で。
私が楽典のレッスンで大切に思っているコト。
それは「生きた楽典」「体に染み付いた楽典」です。
演奏に生かせる楽典というコト。

大学受験やら検定試験やらを控えている場合は、
スピードアップのための机上のスキルもお伝えしますが、まずは鍵盤上で。
時間があるならじっくり取り組みたい。
試験に惑わされることのない生きた楽典を。


楽譜を読む楽しみが倍増する、楽典。
演奏する楽しみが倍増する、楽典。
音楽を感じる楽しみが倍増する、楽典。



・・・と、前置きが長くなってしまいましたが、機能和声なのです。
楽譜を読んでいて、とっても大切だなぁと思うこと。
それは、このハーモニーは「Cコードだ。」と思うことではなく、
トニックのドミソだ、ドミナントのドミソだ・・・と感じるというコト。
コードでハーモニーを感じるのと、
機能和声でハーモニーを感じるのとでは大きな違いがあるように思うからです。

クラシックの作曲家は、これらの機能和声を知り尽くして作曲しています。
意識してそのハーモニーを使っている。
どういう感覚を覚えさせたくてそのハーモニーを使ったのか?
作曲家が意図した狙いが、そこにはあるハズなのです。

私は楽典をやっている生徒さんに、
必ずすべての調で「記賢広機廚離デンツを弾けるようになってもらいます。
 ・・・・もちろん、子どもの生徒さんにも少しずつやってもらってマス。
これは、私が実際にやってよかったと思っているから。
調性への感覚がとても鋭くなるんです。
そして、そのとき必ず言うことがの進行。
機能でいうと、ドミナント→トニックです。
 ・・・・・カデンツの詳しくは
こちらをどうぞ

楽譜からドミナント→トニックが見えてくる。
聴こえてくる・・・と言った方が正しいかもしれません。
よくドミナントはトニックに解決する・・・と言いますが、
まさにその通りに聴こえてくるのです。

そこで、そういう耳を作るためにカデンツを練習してもらいます。
ドミナント→トニック(喉機砲蚤臉擇覆里蓮
導音が主音へ行くのを感じるということ。
わざとドミナントを大きめに弾いてもらい、
トニックを落ち着いた感じ、家に帰ってホッとした感じで弾いてもらいます。

音量でいうなら、ドミナントの後のトニックはドミナントの半分の音量で
すべての楽曲でこのような物理的音量差が発生するわけではありませんが、
基本としてこのような感じ方を身につけておくことは、
演奏上とても有効な気がしています。

これらをすべての調で体感すると、
同じドミソという和音でも、
調によって感じ方が全く違ってくることに気づかれることと思います。
それがとってもとっても大切だと思うのです。
楽譜を読んでいて大切なのは、
そのドミソがどういうドミソなのか・・・ということ。

私はこのカデンツを5度圏で全調めぐってもらうようにしています。
これは属調を感じるいい機会となります。
そして、子どもたちがスケールの練習をするときにも、
この一番単純なカデンツを弾いてもらっています。
ハノンの最後についてくるカデンツは、ちょいと複雑すぎますね。(^_^;)
機能和声を感じるなら、まずは単純なこのカデンツがいいように思います。
これだと全調弾くのもそれほど苦ではないですし。
基本的なT→S→D→Tという文章を体で感じることができます。

このD→Tへの解決を体感できるようになると、
楽譜から大切なD→Tを見つけ出すことができるようになります。
見つけ出すというか、感じることができるようになるんです。
そうすると、感じるフレーズがとても大きくなります。
そして楽曲の全体が見渡せるようになってきます。

また、難しいハーモニーが使われていたとしても、
なんとなぁく「これってドミナントっぽい。」を感じるようになります。
そうすると隣り合ったハーモニーの関係性を体感しながら、
演奏することができるようになり、
「どういう風に弾こうか?」が具体的になってきます。
具体的になるというか、立体的になるんですよね。
それまで平面状でしか捉えられなかった楽譜が、
すごく立体的に見えてくる。
私は大人になってからこれを実感したので、
子どもの頃から当然のようにできてきた人には得られない、
目から鱗という感動を味わいましたヨ。

そしてなにより、
「先生にこう言われたから・・・。」と
わけもわからず言われたとおりに演奏するのではなく、
「こうなっているなら、私はこう弾きたい。」
自分の意見が言える楽しさを覚えました。


楽典を机上で終わらせずに、
生きた音楽として捉えていきたい。


この味わい深い楽しみは、
すべての演奏者に享受する権利があります。
そこには、聴くだけの愛好家や批評家には得られない、
演奏者にだけ与えられた喜びがあるんです。
プロだとか趣味だとかいった垣根なく、平等に与えられた喜び。

楽典は、その喜びを享受するためのです。
でもね、私はそのことに気づかないまま学生時代を過ごしてしまいました。
せっかくの喜びを享受できなかった。
そこには生きた楽典や和声がなかったからです。

机上でしか楽典や和声をやっていないと思われた人。
この喜びを享受してみたいと思われた人。
是非それを鍵盤上に戻してあげてください。
そして”感じて”ください。
音を文字にせず、音を音として感じてください。
演奏上の表現の幅がグッと広がるはずですヨ。



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2007年10月12日

響かせたい音/第3音

昔ハーモニーを演奏する際に、先生によく言われたこと。

『どの音を響かせたら一番キレイな音に聴こえるか、
すべての音で試してみて、いい響きを探しなさい。』


子どもの私にとって、この作業はとぉっても辛いものでした。
だってね、楽譜に書かれたすべてのハーモニーをいちいち取り出して、
1つ1つ試していたらきりがないんですよ。(^_^;)

そこで必要になってくるのが楽典和声
これらの知識が演奏に生かされる瞬間がココにあります。
子どもの頃は、こんな生きた楽典なんて知らなかったから、
本当に苦労しちゃったなぁ〜と思います。

本当はね、何故その音を響かせると美しく聴こえるのか、
理由がちゃ〜んとあるんです。
だって、作曲家は意識してそのハーモニーを使っているのですから。


で、第3音なのです。
1つ飛ばしの音で構成された和音。


dai3on


この1つ飛ばしの和音を”基本形”といい、
一番下の音を根音、一番上の音を第5音、
真ん中の音を第3音といいます。

ドミソから成る和音は、
どんなドミソの組み合わせでも、
根音はド、第3音はミ、第5音はソです。

dai3on2

これがファラドの和音の場合、
ファが根音、ラが第3音、ドが第5音となります。
ここまでは机上のお話デスネ。


ここで、2つの和音を聞き比べてみます。

dai3on3


赤と青の音の幅の違いを感じませんか?
第3音が半音下がっただけなのに、
全然違う響きになりますネ。

ほかの形のドミソでも聞き比べてみます。


dai3on4

第3音の響きの豊かさったら!
わざとこの第3音を他の音より大きめに響かせてみます。
さらに色合い・響きの違いを感じるのではないでしょうか。

作曲家はこの第3音の美しい音色と性格をよぉ〜くわかっていて、
意識的に使っているんだろうな〜と思うことがよくあります。
ギロックは第3音をメロディラインに持ってきていることが多いですね〜!
これがとぉ〜っても美しいのですヨ。

サラバンドの1小節目です。
ドはメロディのド・・・とだけ考えるのではなく、
ハーモニーが美しく響く第3音の”ド”という意識も大切ですね。

dai3on5



こちらはコラールプレリュードの1小節目
長3和音の第3音がソプラノにあると、
まるで光が差し込んでくるようですネ!

dai3on6


しかしこれらの例のように、
いつでも第3音がソプラノにきているわけではありません。
内声に第3音がある場合だってありますよね。
そんなとき、メロディの動きやバスの動きにだけ意識を使い、
このハーモニーの重要な要素である第3音への意識がなくなると、
とっても空虚な響きになってしまうことがあるのデス。

ハーモニーの変化、どこで変化し、
その変化によって自分はどう感じるのか?


例えばクーラウのソナチネop.20No.1


dai3on8

8小節目から左の部分だけ抜き出してみました。
8小節目のハーモニーと12小節目のハーモニーの違い。
長3和音が短3和音になったと意識するだけで、
気持ちの込め方がググッと変わってくると思いませんか?
 ・・・・・ある生徒さんがこれらを色にしてくれたことがありました。
     長3和音は赤、短3和音は黒というイメージだそうです。
     そこに何を感じるかは人それぞれ。
     大切なのは「何か」があるのだと気づくことだと思います。

また、突然表れる14小節目の#ファ。
いきなり一拍目にこれまでの調にはない音が表れます。
この音、実は次の調の導音。
もうソに行きたくて行きたくてたまらなくなる音です。
ソに行きたい〜〜と#ファを意識しながら弾くと、
とても自然な気持ちで第2主題へ行くことができます。


このほか、基本的に左が伴奏で右がメロディの場合。
すべてのバランスを右をしっかり、左を弱く・・・にしてしまうと、
空虚な響きに感じることがあります。
かなぁり細かい例になってしまいますが、
私はこういうちょっとしたニュアンスって大切だと思っているんですヨ。

クレメンティのソナチネOp.36No.2です。

dai3on7

ここまでずっと右手主体で動いてきた指。
でも、ここはハーモニーの動きがとても大切なところだと思うのです。
文章でいう句読点のようなものがココにあるからです。
それをないがしろにして、
これまで通りのバランスでつらつらつら〜と弾いてしまうのはもったいない。
ここで”レファラのファ”を今までの左手よりほんの少し響かせてあげるだけで、
響きがグンッと豊かになります。

そして、右手16分音符の♯ド。
これもと〜〜っても大切な響き。
第3音だから・・・という理由だけではありません。
この♯ドは次の調の導音で、
#ドがあるから次のレが導きだされるという大切な音なのです。

その大切な大切な♯ドを、
16分音符のレの勢いでなんとなく弾いてしまっては、
ぼやけた♯ドになってしまいます。
そうすると、ぜんっぜんカラフルな響きじゃなくなってしまうんですよね。
特にこの♯ドだけを大きく弾く必要はないですが、
”意識”が欲しいトコロ。
意識があるのとないのとでは大きく響きが違ってくるんですヨ。

長3和音⇔短3和音の変化、
音楽の句読点で現れるハーモニーの第3音。

「あっ、この音響かせたい!」

と思う瞬間です。



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emksan at 15:25|PermalinkTrackBack(0)