ロシア
2011年11月15日
ロシア人作曲家ピアノ作品集
気合いの入った企画と思ふ。
渾身の1冊。
ラフマニノフとスクリャービンが登場する1世代前に、
ロシアではすでにピアノ音楽が開花していたのです。
チャイコフスキーとラフマニノフの中間の世代。
この作品集はその世代を代表する4名にスポットを当てた楽譜です。
アナトーリー・リャードフ
セルゲイ・タネーエフ
アントン・アレンスキー
アレクサンドル・グラズノフ
ロシア音楽の成立に始まり、
この4名の略歴、
モスクワ楽派とペテルブルグ楽派の関係、
ロシア音楽史におけるこの世代の位置、
次世代のピアノ音楽への影響(ラフマニノフ、スクリャービン、メトネル)、
この楽譜で取り上げた作品の解説。
なんて充実した解説内容!!
ルビンステイン兄弟が設立した、
モスクワ音楽院とペテルブルグ音楽院に、
このような特色があったのだということ、初めて知りました。(^_^;)
昨日丸々1冊、さらりと弾いてみました。
あぁ、こんなところにロシアのピアニズムの原点があったのか!と目から鱗。
私が好きだと感じるロシアの抒情性というか、文学性というか、
なんだろうなぁ、あの、私の琴線に触れてくるロシアピアニストの演奏は、
こういった楽曲に親しんできた中で育まれたものなのだろう、と感じたんですヨ。
これらの楽曲に触れることで、私の感性も育まれるかもしれない?!
そんな淡い期待を持ってしまいました。(笑)
ところで、私はリャードフがとぉっても気に入りました。
リャードフの作品集が出版されたら絶対買っちゃう♪
それから、グラズノフ。
最近よく目にする名前だったのですが、
楽曲に触れたことはありませんでした。
グラズノフもいいですね〜♪♪♪
ヤマハの紫色の楽譜。
これ、シリーズ名あるのかな?
このシリーズ、すごい力作ぞろいなのでは?と思い始めています。
ロシア帝国(現リトアニア)出身の作曲家であり画家であった、
チュルリョーニスの作品集も最近出たですよねぇ。
って、私は初耳の名前だったのですが。
ちょっと気になる。買っちゃおうかな。
この紫色の楽譜、他にどんな楽譜が出ているのか、
シリーズ名がわからないので調べられなくて、
今、私の本を担当してくださった方に問い合わせているところ♪
この楽譜への感動を、是非楽譜担当の方へお伝えしてほしい!と、
熱いメールを送ってしまいました。(笑)
最近のヤマハミュージックメディアは、
本の出版も、楽譜の出版も、
編集者の信念を感じるものが多くていいですね!
私は、そこに携わった方々の熱い情熱を感じる楽譜や本が大好きです。
これからもそういう本や楽譜を発掘していきたいな♪
・ヤマハミュージックメディア編集室ツィッター
http://twipple.jp/user/YMM_henshu
・ヤマハミュージックメディア出版部ツィッター
http://twipple.jp/user/YMM_shuppan

ヤマハミュージックメディア(2011-11-11)
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2011年11月10日
リヒテルとギレリスを育てた伝説のピアノ教師
しばらく自分の感性(耳)を育てていないということに気づき、
これじゃぁいかんと、久々に聴いたCD。ロシア・ピアニズム名盤選-11 1949年ショパン・コンサート・ライヴ/1958年ジュビリー・コンサート・ライヴ
アーティスト:ネイガウス(ゲンリヒ)
コロムビアミュージックエンタテインメント(2003-05-21)
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リヒテルとギレリスを育てた、ロシアでは伝説となっているピアノ教師、
ゲンリヒ・ネイガウスの演奏です。
ネイガウスはリヒテルを絶賛していました。
この演奏を聴くと、その理由がよくわかります。
2人には俯瞰した視点という共通点があるように思うから。
楽曲の全体を掌握してしまう能力。
楽譜という記号。
彼らには一体どんな風に見えている(聴こえている)んだろうと思ふ。
どんな風に頭の中で鳴り響き、
どんな風に全体が見えているんだろう。
究極のソルフェージュ力。
私はここ数年”精神性”を音楽で表現するにはどうすればよいのか、
ということについて悩み続けています。
リヒテルもネイガウスも、
自身が解釈した感情や情景というものを、
どう音作りしたら表出するのかを熟知していると感じます。
でも、私にはそれがない。
こうしたいと思っても、それをどう音作りしたら、
それらの感情や情景が表出するのか・・・。
リヒテルも天才。
ネイガウスも生まれた時代に恵まれなかったというだけで天才です。
彼らはきっと、感情や情景と音作りという技術が一体化しているのだと思います。
あとは、その通り演奏できるよう技術を磨くだけの練習。
私はというと、それが一体化していないものだから、
ああでもない、こうでもないと、音作りの段階で右往左往してしまう。
生まれ持ってそういう能力がないのだから、
あとは盗んで、ひとつひとつ自分のものにしていくしかない。
そこで、こういう名演を分析してしまうことになるのデス。
私が俯瞰した名演に共通していると感じることは、
経過句の絶妙さです。
これはピアノソロだけでなく、オケ曲にもいえますね。
私は経過句の演奏がすごく下手。
それから楽曲の切り替わりの呼吸、
間を空けるのか詰めるのかの選択、その表現の絶妙さ。
これも私は稚拙でわざとらしくて、全くなってない。
少しでも近づきたいと思うのに、
テクニックも楽譜を読む能力も、
ソルフェージュ力も、感性も、なにもかもが稚拙。
これだけの能力で楽譜を眺めるということは、
どんな奇跡的な体験なんだろうと思ふ。
ショパンのピアノソナタ第3番第3楽章。
楽譜からこの響きを読みとるネイガウスの感性!!
私は、実際にピアノの前に座って、
あぁだこぅだと、実際に弾きながら響きを探します。
でも、ネイガウスは違うのだろうと思ふ。
楽譜を眺めることで読みとった響きなのだろうな、と。
ネイガウスのこの世のものとは思えぬ響きは、
俯瞰していないと作りだせない音だから。
ところで、この演奏、
テクニック的にみなさんの耳を満足させる演奏にはなっていないと思います。
1941年、逮捕・投獄・流刑されたネイガウスは、
大病で悪くした右手の状態を、さらに悪化させたからです。
この演奏は右手に麻痺が残った状態での演奏です。
このショパンのピアノソナタ第3番に対する感想ですが、
私の感想は稚拙すぎるので、
他の言葉をご紹介しようと思います。
「これ以上に優れた演奏を聴いたことがない」(ゴドフスキ)
「第1楽章の柔和でうっとりするほど優美な旋律の第2主題は、
ネイガウスの手にかかると、
いわゆる夜想曲風の詩情とはまったく別のものになる。
彼は、それを格調高く、朗々たる音で奏でるのだ。」(ミリシテイン)
「ネイガウスの弾く第2楽章は驚くほど軽やかで、
完全な響きを持っていた。
さながら真珠のこぼれ落ちる滝のようだった。」(ミリシテイン)
「(第3楽章)耳を傾けよ!これこそは美なるものの行進---
ミューズに付き添われたアポロンの静かな、
しかし厳かな行進である。」(ネイガウス)
「そこには、不吉な地獄の影などなかった。
ネイガウスは、激しい闘争のイメージを喚起し、
緊迫感に満ちた音楽を演奏した。
ロ長調のファンファーレのコーダを、
ネイガウスは”勝関の声、勝利に翻る旗”と解釈していた。」(ボシュニアコーヴィチ)ピアノ演奏芸術―ある教育者の手記
著者:ゲンリッヒ ネイガウス
音楽之友社(2003-06-01)
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ネイガウスの著書。
ピアノ指導者にとって教科書のような本です。
お勧めですヨ。
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2010年11月12日
ロシアのピアノ教育
ネット検索していたら、とても興味深いレポートに出会うことができました。
諸外国のピアノ教育事情視察報告(ロシア編)
このレポートに出てくる学校は英才教育の専門機関であり、
生徒たちは皆選ばれた才能ある子ばかり。
だからこそできる教育ともいえるでしょうが、
ここから学ばない手はない!とも思うのです。
私が教えている生徒さんたちは、
みなさん趣味でピアノを学ばれている方々ですが、
趣味だからといって「この程度のレッスンでいい。」とは思いたくない。
それぞれの生徒さんの資質に合わせ、
また、それぞれの生徒さんのスタンスに合わせつつ、
質の高いレッスンを心掛けていきたい。
そのためには、こうしていろぉんな情報を手に入れて、
私自身が学んでいかなければならないのだと、つくづく思います。
第一、この専門学校で学んでいるような才能ある生徒さんがうちに来たとして、
私はどこまでその才能を伸ばしてあげることができるのか?
生徒さんの運命は、先生次第。
先生にどれくらい指導力があり、音楽能力があり、
文化的資質があり、人間的魅力があるのか。
これはもう、逃げられない、逃げちゃいけない大切なことだと思うんですよ。
私よりすごい先生は、世の中にたくさんたくさんいる!
私の生徒さんが、もっとすごい先生についていたらどうなるんだろう?
そうやって想像しながらレッスンすること、私はとてもとても大切にしています。
そう思い続けることが、きっと前進していくために必要なのでしょうね。
そして、そんなことを思うまでもなく、私はまだまだなのデス。
がんばろう!!
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