モンテヴェルディ
2010年10月21日
衝動買い
久々に前回記事にしたアーノンクールのオペラを観て、
やっぱりアーノンクールはすごい!を実感。
アーノンクール指揮のオペラDVDが欲しい!と
購買意欲に火がついてしまい、一気に3枚も購入してしまいました。
昨日観たのは、モンテヴェルディの『オルフェオ』です。
最古のオペラとして知られているのは、ペーリの『ダフネ』。
でも、残念ながら現存していないそうです。
で、現存している最古のオペラが同作曲家の『エウリディーチェ』。
でも、これは上演されていないので上演される最古のオペラは、
モンテヴェルディの『オルフェオ』なのですヨ。
モンテヴェルディ:歌劇《オルフェオ》 [DVD]
出演:アーノンクール(ニコラウス)
ユニバーサル ミュージック クラシック(2007-08-22)
販売元:Amazon.co.jp
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オペラ史上6作品目、
モンテヴェルディにとっては最初のオペラ作品『オルフェオ』。
正直、昨日観るまで、もっとつたないオペラを想像していました。
音楽劇程度のものだろうと。(^_^;)
衝撃的でした。
これが史上6作品目?!
まず、その規模の大きさに驚かされました。
私はもっと小規模のオペラを想像していたのですヨ。
このオペラ、当時4千人の観客を前に演奏した記録が残っているそうです。
確かにそういう規模のオペラなのですよ。
それから音楽表現の奥行きと幅広さ。
この時代のオペラがこんなにも表現豊かだったとは、本当に驚きでした。
もちろん再現したアーノンクールと演出家ポネルの手腕にもよるのでしょうけれど、
それにしてもすごすぎです。
このオルフェオ。
誰もが知っている有名なギリシャ悲劇が題材です。
竪琴弾きのオルフェオが、
死んで冥界へ行ってしまった妻エウリディーチェを連れ戻しに行く・・・という内容です。
オルフェオの奏でる音楽に心打たれた冥界の王妃は、
エウリディーチェをオルフェオに返すよう冥界の神に頼みます。
王妃をこよなく愛する冥界の神は、
ある条件を出した上で、エウリディーチェをオルフェオに返すのです。
作曲家にとって非常に魅力的な素材のように思えますが、
その反面とても難しい素材ではないでしょうか。
冥界の王妃が心を動かすほどの音楽は、
想像上だからこそ説得力があるわけで、
実際の音にするとなったらそれはそれは大変だろうと思うのです。
その音楽は奇跡の音楽と誰もが認める音楽でなければならないのですから。
ところが、モンテヴェルディはそれを見事に達成したのです。
冥界の王妃の心を揺り動かすオルフェオの歌。
ヴァイオリン、ツィンク、ハープの美しい間奏。
耳が、体全体がこの音楽に釘付けになりました。
一体モンテヴェルディって何者なの?
ベートーヴェンやバッハ同様に、
もっともっと知られていい作曲家なんじゃないの?
これほどまでにすごい才能を持った作曲家の音楽を
何故私は聴かないまま過ごしてきてしまったのか?
あぁ、ピアノを弾く人間にとって、
クラシック音楽の世界のなんと狭いことか。
もともとピアノという楽器は新しい。
チェンバロ時代にしても、ソロ楽器として台頭してきたのはバロック時代のことで、
それ以前は通奏低音楽器としてしか認識されていなかったのだから、
なおさらソロ楽器としての歴史は浅いのです。
そのため、私たちピアノ弾きにとっての音楽史といったらバロック時代からのもの。
しかし、クラシック音楽の土台はそれ以前にあったのですね。
音楽史でグレゴリオ聖歌を聴いたり、
趣味でルネサンス期の庶民の音楽を聴いたり・・・
そんなこんなを経て、ようやく昨日のオペラ。
やっとこさ実感しました。
ここに土台があったのか!と。
モンテヴェルディは、教会旋法から調性へと歩を進める時期にいた作曲家です。
先日記事にした「ポッペアの戴冠」では、
教会旋法の響きが薄くなり、調性の響きが濃くなっています。
しかし、最初の作品となるこの「オルフェオ」からは、
濃厚な教会旋法の響き、対位法の旋律が聴こえてきます。
モンテヴェルディは次の時代を作り上げた、すごい人なのかもしれない・・・。
音楽にできる表現の幅、
感情表現といっていいのか・・・その幅をグイっと押し上げた人。
それにしても、なんという才能。
特に『オルフェオ』は教会旋法を感じるという点で、
調性に耳慣れた私には、とても斬新で新しいオペラに聴こえてきますが、
教会旋法だとか古楽だとかじゃなくても、
このオペラは斬新で新鮮だと思います。
このみずみずしさは、400年経た今でも失われていない。
あぁ、出会えてよかった、モンテヴェルディ。
もっと聴かなきゃ、モンテヴェルディ。
ところで、モンテヴェルディと出会ったことで、
私にとってなんとなくうやむやだったある点が、
実感を伴ったものになりました。
フランスバロックとイタリアバロックの違い。
これ、鍵盤楽器の楽譜を見ただけじゃぁ、わからないものだったのですね〜。
リュリのオペラを見て、モンテヴェルディのオペラを見れば、
一目瞭然だったのだと気づかされました。
これですっきり♪
オペラにはストーリーがあり、登場人物の感情があるので、
そこにどのような音楽を付けているか具体的に聴くことができます。
鍵盤楽器の勉強ばっかりしてちゃぁ見えてこないこと。
表現の幅を広げたい、
楽譜からいろんなことを読み取れるようになりたいと思ったら、オペラ!
これお勧めです。
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2010年10月19日
モンテヴェルディ『ポッペアの戴冠』
私の大切な大切なDVDの中に、
アーノンクール指揮『ポッペアの戴冠』があります。
モンテヴェルディ:歌劇《ポッペーアの戴冠》 [DVD]
アーティスト:レンハルト(レナーテ)
出演:アーノンクール(ニコラウス)
販売元:ユニバーサル ミュージック クラシック
発売日:2007-09-26
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皇帝ネロに寵愛されるポッペアが、
新皇后となるまでのお話。
皇帝ネロとポッペアは現代でいうダブル不倫の関係です。
すごい題材。
このオペラが書かれたのは1642年。
バロック時代に片足を突っ込み始めた頃のこと。
カトリック教会への絶対服従が望まれた中世を経て、
理想的な人間像を高らかに歌い上げたルネサンス期。
まるでルネサンス期を象徴するような哲学者セネカは、
不倫をし理性を失う皇帝ネロをたしなめ、忠告します。
しかし、きれいごとばかりを並べたてる哲学者セネカは自害を命じられ、
愛の神に導かれたポッペアと皇帝ネロは結ばれるのです。
不条理な結末。
喜びや憎しみ、悲しみといった感情を抑えて生きることより、
生身の感情に身をゆだねて生きること。
そこに劇的な美を見出したのが、バロック時代だったのでしょう。
俗世界の宮廷と神聖な教会。
絶対王政と市民階級。
科学的発見と聖書。
相反するものが共存し、もしくは対峙していた時代。
他人を不幸に追いやり、
利己主義的な愛を貫き通したネロとポッペア。
この2人が歌い上げる最後の歌曲は、
それはそれは美しい愛の旋律なのです。
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2008年03月17日
モンテヴェルディ『ポッペアの戴冠』/アーノンクール
モンテヴェルディ:『ポッペアの戴冠』(DVD) 【アーノンクール/DVD---Amazon.co.jp】 ちょっと忙しくなってきたため、
アーノンクール指揮、ポネル演出
日本語字幕付き
オペラ上演史に燦然と輝くプロダクション、
ポネル=アーノンクールのモンテヴェルディ・シリーズ。
耽美的な映像で再現したモンテヴェルディ最後の傑作オペラ『ポッペアの戴冠』です。
ラシェル・ヤカール(ポッペア)
エリック・タピー(ネロ)
トゥルデリーゼ・シュミット(オッターヴィア)
ポール・エスウッド(オットーネ)
マッティ・サルミネン(セネカ)
ジャネット・ペリー(ドルシッラ)
フィリップ・フッテンロッハー(ルカーノ)
レナーテ・レンハルト(運命の神)
ヘルルン・ガードウ(美徳の神)
クラウス・ブレットシュナイダー(愛の神)、他
チューリヒ歌劇場モンテヴェルディ・アンサンブル&合唱団
ニコラウス・アーノンクール(指揮)
演出・監督:ジャン=ピエール・ポネル
収録:1978年、チューリヒ歌劇場
制作:ユニテル
収録時間:162分
画面:カラー、4:3
音声:PCMステレオ、DTS 5.1
字幕:日本語、イタリア語(on/off)
NTSC
クラシカチャンネルでずっと以前録画していたものを、
先日や〜っと観ました。
なぁんで今まで観ずにいたんだろぉ。(_ _;)
これはすごい!本当にすごい!!!
必見DVDでしょう。今頃おバカな私。
器楽演奏もすばらしい、歌手もすばらしい、
そして演技も舞台演出もすばらしい!
すべての完成度が異常に高いのですヨ。
アーノンクールって、やっぱりすごいんだなぁを実感。
もっとアーノンクールを聴かなきゃっ!
今まで名前ばかり知っていて、
実はあんまり聴いていない。
こりゃ、もったいない!
クラウディオ・モンテヴェルディは、
1567年-1643年の人。
ルネサンス期からバロック期への
過渡期に活躍した、
イタリアの作曲家です。
1613年ヴェネツィアのサン・マルコ寺院の
楽長を就任し、
ヴェネツィアで活躍しました。
この作品は、そんなモンテヴェルディが晩年、
1642年に書いた作品です。
ローマ皇帝ネロはポッペアに夢中になり、
ポッペアは皇后の座を狙って、
ネロを誘惑します。
アーノンクールは、オーストリアの指揮者です。
チェロやヴィオラ・ダ・ガンバの奏者でもあります。
1929年にベルリンで生まれ、
ウィーン国立音楽院でチェロを学びました。
なんと、ウィーン交響楽団にチェロ奏者として
17年も在籍していたんですね〜。
私は指揮者としてのアーノンクールしか知らなかったデス・・・。(^_^;)
その後、グスタフ・レオンハルトと共同でバッハのカンタータ全集を作り上げたり、
・・・・レオンハルトは古楽界の巨匠です。
チューリッヒ歌劇場でオペラに取り組み始めます。
このDVDはその時代のものです。
演出家のポネルとは、
モンテヴェルディやモーツァルトに取り組んだようです。
私が観たのは、そのうちのひとつなんですね〜。
こうなると全部観てみたくなっちゃうなぁ。
1980年以降は古楽に留まらず、
モダン・オーケストラも指揮しています。
バルトークのCDとか出てますもんね〜。
いやぁ、アーノンクールの世界は広い!!
これだけいろんな時代に深く取り組めるというのは、
よほどの能力ですよね〜。
羨ましい・・・と思いつつ、すっごい努力家なんだろうなぁ、とも思ふ。
この『ポッペアの戴冠』は、
いかにもルネサンス音楽!という響きもあれば、
どことなくバロックを感じさせる響きもあり、
とても興味深く面白い作品です。
ポッペアとネローネ(皇帝ネロ)の最後の2重唱が、
とてもとても美しいっ!
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アンナ・マクダレーナ・バッハの年代記 (公開題「アンナ・マグダレーナ・バッハの日記」)
アーノンクール指揮 モーツァルト 《レクイエム》
ベートーヴェン 歌劇《フィデリオ》チューリヒ歌劇場
アーノンクール指揮 J.S.バッハ 《マニフィカート》
モーツァルト:歌劇《フィガロの結婚》
モンテヴェルディ:歌劇《オルフェオ》
モーツァルト:歌劇《ポントの王ミトリダーテ》
モーツァルト 歌劇《にせの女庭師》
モーツァルト:歌劇《コジ・ファン・トゥッテ》
ウェーバー:歌劇《魔弾の射手》
モーツァルト 歌劇《皇帝ティートの慈悲》ザルツブルク音楽祭2003年
モーツァルト 《レクイエム》 ウィーン楽友協会大ホール 1981年
モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」
アーノンクール指揮の秘密《こうもり》を振る
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