コルトーのピアノメトード

2011年06月16日

コルトーのピアノメトード

私が大好きなコルトーのピアノメトード。
昨日思いがけずツィッターで話題になり、
話に花が咲きました。
楽しかった!!

そこで、今日は私が何故コルトーのピアノメトードが好きなのか、
コルトーのピアノメトードにはどのような利点があるのか、
私なりの解釈、私なりの使い方について書こうと思います。


【5指の型で基本を学ぶ】

まず私が感動を覚えるのは、この点です。
ハノンはいきなり跳躍から入りますね。
ドミファソラと指を広げるところから始まる。
でも、コルトーは違うんです。
徹底的に5指の型で基本を学ぶ。
私はこれを「ぶれない基礎を作る」ことだと解釈しています。

1-5yubiantei

以前にもブログ記事にしたことがありますが、
私はこのオレンジの線、V字の筋肉の安定が重要だと考えています。
ここが安定しているから、指が自由に動く。
ここを安定させて、青線の筋肉を使う。
この画像の線はちょっと短いですね。
この青線がそれぞれの指先まで延びている意識。
ここの筋肉が使えていないと脱力は無理。
脱力するためには、この筋肉を鍛えないといけないし、
この筋肉をコントロールする術を知らないといけない。

脱力できずに腕に力が入る人は、
この筋肉を意識できていないか、
この筋肉が発達しておらず、それを補うために腕を使っているかだと感じます。
そして、これらの筋肉はそれぞれ独立していないといけない。
自分が動かしたいと思う筋肉だけを動かせる、ということです。
他の指が自分の意思に反して連動してしまっては、
音の粒も揃わないし、脱力もできません。

コルトーのメトードのすばらしいところは、
徹底してこの基礎を身につけよう、というところにあるんですよね。
私はそこに感動を覚えるんです。

第1章A群。
私が最も好きな練習のひとつです。
持続音。コルトーのメトードの一番の特徴ではないでしょうか。
コルトーはこの持続音を用いて、
基本動作をとことん分解します。
実は基本動作だけではなく、高度な技術においても、
コルトーは持続音を用いることで分解しているんですよね。

私はコルトーの、この持続音による動きの分解が大好き!
もう、たまりません。(笑)
ここで持続音を用いた分解の方法を覚えると、
あらゆる楽曲で自分流の練習方法を見い出すことができるようになります。
私はリズム練習をほとんどしません。
その代わり、この持続音を用いた練習をあらゆる楽曲で自分流に取り入れるんですヨ。
コルトーのメトードに出会ったお陰です。

第1章A群の持続音は、その中でも基本中の基本。
先程示した写真の青い線。
これらの筋肉の独立を促す練習となります。

他の4指で鍵盤を押さえ続けた上で、ある1指を動かすというのは、
強制的に腕を使わせず、指だけを動かすということなんですよね。
このとき動かしたい指の青線の筋肉を、
いかに意識できるかどうかで、
練習の効果の現れ方が違ってくると感じています。
外面的に腕の筋肉が使えなくても、
内部で腕の筋肉を使ってしまうことが多々あるからです。
やはり意識が一番重要と思います。

私はこのとき、すべての音を均一の音量で弾くようにしています。
コルトーはレガート・スタカートなどいろんなタッチで練習するように促していますが、
私はマルカート一本です。(笑)
このとき意識するのは、青い線の筋肉だけではありません。
背中の筋肉の弛緩、腰の位置、お尻の座り具合、
肩やひじの弛緩具合、
そして最も重要にしているのが指先の感覚。
鍵盤を押し下げた際の指先の感覚です。
吸盤のように鍵盤と指との摩擦を感じることができなければ、
浮ついた音にしかなりません。
私は1本1本の指の目を覚ます!という意味合いで、
この練習を使っています。

次にB群。
これも徹底的に5指の型の中での動き。
あらゆる動きが出てきます。
指が独立していないと、これらの動きに対応するのは無理です。
だからこそ事前のA群の練習が重要なんですよね。

このときも私はマルカート一本で練習しています。
すべての音を均一に、指はバタバタさせません。
いかに理想的な動きでこれらを弾くことができるか。
そのことに集中します。
私流の練習方法は、ポジションを変えるということです。
これは、コルトーが推奨しているポジションとは全く違うものです。

・左右ともに高音部を弾く
・左右ともに低音部を弾く
・左は低音部、右は高音部を弾く

私が普段使用しているポジションはこの3つ。
ポジションが変わると弾きにくさも変わります。
腰の安定感、腰の柔軟性が必要とされるので、
指先、指の筋肉だけでなく、
姿勢の安定にも意識を持って練習しています。

この練習を取り入れたばかりの頃、
私は左右ともに高音部を弾く際の左手が苦手でした。
指先への意識が薄くなったからです。
今は慣れて、いいポジションが作れるようになった気がします。
指が先走らなくなりました。

指が先走らない。
私はこのB群を先走らない指を作るための練習としても意識しています。
私が使うテンポは基本4分音符80の速さです。
ここに平均に音を入れていきます。
とにかく機械的に。音楽的にしないほうがいいんです。
指を完全にコントロールするための練習なので、
いかに機械的に均一の音色とリズムで弾けるか、です。

トートートートートートートートー
(トトトト、という意識だとリズムが均一になりにくいので、
私は自分の意識も、生徒さんへ伝える際も「−」を必ず入れています。
このことでリズムが安定するからです。)

拍感がわからないような弾き方をします。
メトロノームがカチッとなるたびに、
その音が大きくなるようではダメなんです。
モールス信号のような均一さを求めます。

私はこの練習のお陰で、
かなり先走らない指になった気がしています。
以前は楽曲中、しょっちゅう指が先走ったものですが、
今は随分と細部までコントロールできるようになりました。
この練習が身につくと、
音が先走っているのか先走っていないのか、
指そのもののコントロールだけでなく、
正確な耳が育つ気がしています。

私が普段使用しているのは、
この第1章のA群とB群だけ。
すべて4分音符80の速さでやっているので、
かかる時間は20分程度です。

この練習を始めた当初は、もちろんもっとゆっくりでした。
A群にしてもB群にしても、
一番重要なのは体・指への「意識」の持ち方だと思っています。
意識できずに指だけ弾いていても、
コルトーの効果は出てこないだろうと思います。
意識できる速さ、確実に自分の体をコントロールできる速さで練習するのが、
一番効果的だと思いますヨ。


【親指の柔軟性】

次にコルトーで私が気に入っているのは、第2章A群です。
ピアノを弾く際に重要なキーマンになっている親指。
この親指が適切に動かせるかどうかで、
音の粒がそろうかそろわないかが決まってきます。
ほとんどの生徒さん、
パッセージで音の粒がそろわない原因が親指にあります。

まず、親指の付け根の位置を知らないんですよね。
勘違いしているんです。
親指をどこから動かすべきなのか、ということを。
先程の写真、親指の下にある青線。
この手首そばにある青い線の下部にある関節が、
親指の付け根です。
大抵の人は、この青線の上部にある関節を、
付け根と間違えていますが、
ここから指を動かしたのでは、
親指は安定しないですし、柔軟な動きも得られません。

このC群では、この親指の可動範囲を広げる運動が
持続音を用いて提示されています。
ここでも持続音なんですよね。
持続音以外の動きも提示されていますが、
私は持続音の練習だけで十分と感じています。

この際、注意点が1点。
親指の長さ、手の大きさは人それぞれですよね。
コルトーって、きっとどでかい手の持ち主だったんだろうなぁと。(笑)
自分の指の長さ、手の大きさにそぐわない動きはカットした方がいいですヨ。
例えば私の場合。
No.1cの2番目の動き。
レファを2-4で押さえたまま、ドソラソドソラソとすべて親指で弾く形ですが、
この状態でラを親指で弾くのは、私の手にはきつすぎます。
指や腕を痛める可能性があるので、この可動範囲はカットしています。

次に、親指のすばやい移行。
親指の瞬発力を鍛えるための練習方法がB群で提示されています。
これも私がお気に入りの練習方法です。
親指の瞬発力、重要ですよね〜。
速いパッセージは、これ次第とも思います。
リズムが崩れるのは親指の準備が遅れるから、
という原因を抱えている生徒さんは多いものです。

特に私が気に入っているのは、No.3bです。
右手登りは、2,3,4指の準備のために。
右手下りは、2,3,4の準備も必要ですが、
私はそこに親指のすばやい準備という課題も
生徒さんに与えることにしています。

それから、以前私が執拗にやった練習に、
No.4aがあります。
これはねぇ、楽しいです。(笑)
装飾音符というところがミソ。
この軽やかさで親指が反応しないとだめってことです。
それくらい親指に瞬発力が必要。
その親指の瞬発力を培うための練習です。

これをアルペジオに応用しているのがNo.9a。
これも夢中になりましたヨ。
これができるようになると、スケールもアルペジオもかなりラクに弾けるようになるんですヨ。
何故スケールがうまくいかないのか、
何故アルペジオがうまくいかないのか。
ハノンに書かれていない答えがここにはあります。
上手く弾けない原因がわからずに、
ただやみくもにスケールやアルペジオを弾いたって、
絶対に弾けるようになんかならない。
コルトーの優れたところは、その原因追究にあるんですよね。




私が基本中の基本と思うのは、ここまでです。
第3章以降は応用ですね。
私はこれ以降はここまでコルトーで培ってきた練習方法を、
自分流にアレンジして、それぞれ楽曲に応じた練習方法を編み出し、
その中で練習していく・・・というスタンスでいます。
ここから先は、コルトーが編集しているショパンのエチュードなどと、
かぶる箇所も多いですしネ。

私はコルトーのこの分解力が大好き。
コルトーにはまったお陰で、今の私がいる・・・と思うほどです。
コルトーの視点はレッスンにすっごく使えるんですヨ。
パパッと生徒さんが弾けない原因を見つけ出して、
その生徒さんに合った練習方法を提示できるというのは、
コルトーに出会ったからこそと思います。

是非みなさんもコルトーのピアノメトード、やってみてくださいネ♪
意識の持ち方がわかると、
これほど楽しい練習もないですよ〜!
なにしろ、すぐに効果があらわれるので。(*^_^*)


コルトーのピアノメトードコルトーのピアノメトード
著者:アルフレッド・コルトー
全音楽譜出版社(1998-12-10)
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