インベンション

2011年11月07日

インベンションの楽譜に線を引きますか?

バッハを学ぶときのお話し。
私は対位法を学ぶ初めての生徒さんに、
それぞれのメロディに線を引いてもらうことがあります。

でもね、本当はコレ、好きじゃないんですヨ。
これはあくまでも対位法を見た目でわかりやすくするために、
最初の1,2曲にやるだけで、
それ以外は極力やらないよう避けています。

それは、符頭を線で繋げることにより、
見えにくくなってしまう情報があまりにも多いからです。
確かに横の繋がりが見えると、
テーマがどこにあって、それがどのように左右で展開しているのか、
わかりやすくなりますよね。
でも、線を引いてしまうと、その曲が持っているカラーが見えにくくなっちゃう。

私は、楽譜って模様だと思うんです。
その模様から受ける印象は、
そのままその楽曲への印象に直結するんですよね。
流れるような曲なのか、リズミカルな曲なのかetc.

パッと楽譜をみたとき、
あ、これはアリアだな、とか、
あ、これはダンスだな、とか
これは器楽合奏かな、
これは2重奏かな、
と思索することができる。
楽譜の模様ってすごい情報量。

バッハを読譜するとき、
私たちはその印象から、どういうテンポで弾こうかな、とか、
どういうアーティキュレーションで弾こうかな、と思案することになります。
この思索する時間がこの上なく楽しい!
でもね、線を引いてしまうとアーティキュレーションが見えなくなってしまう。
その楽曲の持つ個性が見えなくなってしまうんですよね。
そうすると、この楽しい思索にふけることができなくなってしまう。

例えば、順次進行と跳躍進行。
バッハはこの扱いをすごく心得た作曲家だなぁといつも思います。
優れたメロディには、優れた順次進行と跳躍進行があると感じます。
これは作曲家のセンスが問われるところと思うのですが、
私はバッハの跳躍する瞬間が大好き。

インベンションの第4番。
このテーマには減音程の跳躍があります。
順次進行の中にあって、ひときわ目立つ減の音程。
もうたまらんですね。(笑)
この減の音程に何も感じずに演奏するなんて無理!
しかもこれだけ順次進行が続いた中で、減の跳躍!!
みなさんはこの減に何を感じますか?
私は厳しさと切なさを感じます。

でもね、このテーマ、ゼクエンツとしてあらゆるところに出てきますが、
その際の跳躍、すべてが減音程ってわけじゃないんですよねぇ。
そこが面白い。

この順次と跳躍の音程を肌で楽譜から感じるには、
符頭と符頭を結ぶ線は、邪魔でしかないんですよね。
音程が見えにくくなってしまう。
私はそれよりも、跳躍する瞬間の2音をカギカッコで結び、
そこに「減」と書き入れる方が好きです。
本当は、何も書きこまずに感じるのが一番いいのでしょうけれど。

また、どのようなアーティキュレーションで演奏するかの思索。
インベンション第5番。
このテーマを線で結んでしまったら、
この楽曲の個性が見えてこなくなっちゃいますよね。
線で結んだ瞬間に、
ミレミーファーソーーラーー、と生き生きしたリズムが失われてしまう。

楽譜にはいろんな情報が書き込まれています。
その情報を1点に集約してしまう線引きは、
他の情報に対して盲目になってしまいがち。
本当に、楽譜ってすごいんですよ。
あらゆる情報が詰め込まれているのですから。
それを1点に集約しちゃうなんてもったいないと、私は思うんですヨ。


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emksan at 14:23|PermalinkTrackBack(0)

2006年08月04日

バッハの装飾音

夏期講習期間中往復4時間の道のり。
読書にはもってこいの時間でした。
南武線始発から終点まで丸々1時間座ってられる。
こういう乗り継ぎがないのはイイですね〜。

で、この本なのです。

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ピアノ教師バッハ―教育目的からみた『インヴェンションととシンフォニア』の演奏法
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インベンションとシンフォニアは、
教育目的で作曲されたというのは有名なお話ですが・・・。
装飾音符の入れ方・・・という教育も含んでいたと初めて知りました。(^-^;
確かに、少しずつ装飾音符が複雑になってる。

子どもの頃バッハの楽譜に書かれた装飾音符。
何がなんだか、さぁ〜っぱり。<(;~▽~)
楽譜の下の方に書かれた奏法を見て弾いてマシタ。
なので、ぜんっぜん装飾音符の知識が身につかなかった!

で、これじゃいかんっと買った本が装飾音の研究本。
これはいくらなんでもわからなさすぎ。(;´▽`A``
バロックの装飾法は様々な見解があり、
こぉんな小難しい研究本を読んでも、
「じゃ、私はどうしようかな〜」なぁんて考えられるはずがないんです。
こういう研究本を何冊も読めれば別でしょうが、そんなの無理!!
数十ページで断念。。。とほほです。

でね、この本なんですヨ。
これはわかりやすい!!
様々な見解についても客観的に書かれているし。
「じゃ、私はどうしようかな〜」にまで発展できる代物です。

モルデントとトリルの違いってなに?
大概どの本にも楽譜に書かれた装飾音表を見れば、
この違いは一目瞭然です。
でも装飾音符ってそれだけ?
いやいや楽曲が進めばかなり複雑な装飾音符が出てきます。
その上、編集者が楽譜に「こう弾きましょう」と書いた演奏法は、
同じ記号なのにも関わらず、版によって様々だったりします。

一体全体どういうことなのさ?ですよね。(笑)
この本はそんな疑問に答えてくれる気前の良い本です。
モルデントはどういう目的で、どのような箇所に使われるのか。
トリルにはどのような見解があって、どのような弾き方が考えられるのか。

もちろん取り上げられている装飾音符は、
モルデントとトリルだけではありません。
しかも研究本ではないので、
かなぁりかみ砕いてわかりやすく書いてあります。
行間が広いから読みやすいし、譜例が多いのもいい!

今まで「?」だった部分が、易しく氷解します。
あぁ、なんで今までこういう本がなかったんだ?
ほんっと、わけのわからなかった部分が氷解します。
この本を読んだ後に、様々なピアニストの演奏を聴くと、
これまたどういうスタンスで装飾音を選んでいるのかがわかって、
面白いんですねぇ〜〜( ̄ー ̄)ニヤリッ

ウィーン原典版の注解ページにある「資料」。
ここがね、この本を読むとよぉ〜っくわかって面白くなりますヨ!


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emksan at 12:19|PermalinkTrackBack(1)