音の階段 を含む記事

2018年02月21日

大槌町、宮古市、石巻への旅:1日目/大槌町

岩手県大槌町と宮古、宮城県石巻へ行ってきました。電子ピアノ支援は終了しましたが、未来に繋がる交流を深めることができて、充実した感謝の3日間となりました!

【1日目/大槌町】

1日目は東京(新幹線)⇒新花巻(JR釜石線)⇒釜石(車)⇒大槌町へ。初めて乗った釜石線は1両編成で線路は1本。新幹線は途中で飽きてしまう私も、釜石線は最初から最後まで楽しめました♪ 内陸の雪深さは雰囲気抜群。途中に遠野駅もあり、まさに宮沢賢治の世界。写真に撮りたかったのですが、ほとんどの乗客が地元の人だった上、座った席が通路側だったこともあり、撮れませんでした。   

「いつかレッスンを受けたい」と大槌町のK先生がおっしゃってくださったことで実現した今回の旅。家の事情で3か月以上先の予定は立てられないので、「今なら!」とこの1月に急遽決定。急だったにもかかわらず7名もの生徒さんたちにレッスンさせていただくことができました♪ 私の得意分野は「どうしたら弾けるようになるのかな?」と指導者側が悩むような生徒さんへのアプローチなので、1曲を仕上げるレッスンではなく、それぞれの子が普段レッスンで使用している教材で、いつも通りに30分から40分のレッスンをする、という一風変わった単発レッスン。   

「リズムが苦手な子、拍子感をなかなかつけてあげられない子、今停滞している子、手の形をみてもらいたい子」   

小学生から中学生まで、K先生から事前にLINEで伺っていたので、リズム教具、鍵盤幅の音の階段、3玉と5玉のカウンタービーズ、そのほか思いつくものをいくつか持参。K先生にはタンバリンとミニボンゴをご用意いただきました。その時々の生徒さんの状況に応じて使う教具なので、すべて使ったわけではないのですが、この日はリズム教具とカウンタービーズ、タンバリンを使いました。   

面白かったのは、まだ1度も譜読みしていない新曲をレッスンできた子がいたこと。私は「譜読みをしておいで」と宿題に出す前のアプローチをとても大切にしているのですが、それをK先生にお伝えできたのが嬉しかった。一人の子には花丸もあげられたし。(もちろんK先生の了承付きで♪)   

弾きにくいところ、どうやったらよいのかわからないところは、一緒に私に聞いてみようと、K先生が事前に生徒さんたちにお話しくださっていたので、とてもレッスンしやすく、あっという間に打ち解けることができました♪  

そうそう、持っていけばよかったと後悔したのはオルゴール。

    

オルゴール共鳴実験ブログ記事

オルゴールはなかったので、声で弦を共鳴させる実験だけすることに。こういう実験ってみんな目がきらっきらになるんですよね〜。みんなかわいかった〜!   

この日の夜はピアノ指導談義にK先生と花を咲かせ、夜10時頃チェックイン。朝起きたら、中庭から海が見えてびっくり。これなら朝日が見える時間に起きるんだったと、後悔してしまうほどの立地。  

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この写真は2階の中庭から撮っているのですが、3階まで津波で骨組みだけになったそうです。5年前にリニューアルオープン。1年前にはペッパーを導入。



軽くホラーなこのペッパーちゃんは、ロビー入口にいます。以前はまつげもつけていたそうなのですが、動いているうちに取れてしまったとか。(笑) ちなみに、これは社長さんのアイデア。おばさんになるとあれこれ聞けるようになるもので、受付の方にあれこれ聞いてきちゃいました。私が面白がって録画していたら、そのあとに団体のおじさまたちがやってきて、ペッパーちゃんと戯れておりました♪   

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上の写真も、同じ場所から撮ったもの。以前は砂浜が広がっていたそうです。震災前は、ホテルからそのまま泳ぎに行けたんですね。今は地形が変わって砂浜がなくなりました。その代わり、サーファーが波に乗っています。確かに波が大きくて、サーファーが喜びそうな綺麗な波の形をしているんですよ。   

・・・2日目/宮古市へつづく

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2018年01月31日

発達障碍ピアノレッスン情報交換会・池上

昨日はスター楽器池上店で発達障碍ピアノレッスン情報交換会がありました。2、3か月に1回のペース、今回で5回目となります。単発の参加も大歓迎。昨日はなんと、会津若松と仙台から参加してくださった方がいらっしゃいました♪

この会が大切にしていることは、お互いの経験を共感し合える空気感です。そのため、2時間のうち後半1時間はフリートークタイムにしています。自己紹介をして、お互いの悩みを打ち明け合い、みんなでそのことについて考え、アイデアを出していきます。打ち解け合える時間になるので、いつの間にか朗らかな笑顔に包まれるんですよ。

ここ何回かの前半は、お二人の先生にレッスン風景動画を紹介していただきました。昨日は私の番。広汎性発達障碍で多動な男の子の、2013年から最近までの成長の記録、読譜、手の形、音の並びといったアプローチ、それらを使ったレッスン風景の動画を紹介させていただきました。私はそれほど教具を多用するタイプではないのですが、それでも5年分となると結構な教具の数。
  
・音の階段(佐野先生製作)
・2段の音の階段(ムジカノーヴァ付録)
・リズム教具
・ウッドブロック(赤青シール付)
・読譜教材(私がワードで作ったもの)
・動物指輪(佐野先生製作)
・手を置く台と手のひらを置く台
・音の高低用鍵盤シート
・カワイ出版の楽譜
・鍵盤把握用教具

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パワーポイントで作成したものをプロジェクターで映しながら説明させていただいたのですが、結構な分量になったので、今回1回だけではもったいないかなと、今後講座としてではなく、各地の先生方の集いにお邪魔させていただくという形で、お話しに伺わせていただくことにしました。少人数の集まりでもご負担にならないよう、交通費と地域によっては宿泊費だけはいただきますが、受講料はいただきません。ご興味のある方は、FBで私までお気軽にお問合せください♪ さっそく4月に池袋の集いへ伺わせていただくことになりました。詳細が決まり次第、こちらのブログ『発達障碍ピアノレッスン』に投稿されるだろうと思います。
 
このブログは、各地の先生方が自主的に運営している会の告知版です。昨年は首都圏に多くの情報交換会が立ち上がりました。私が運営に携わっているのは池上だけで、ほかの地域はその地域の先生方が独自に運営なさっているのですが、それぞれが地域に根差したよりよい会にしていくため、お互いに支え合い、助け合っています。

特に、首都圏は電車であらゆる方面に移動できるので、こちらの情報交換会と日程の都合が合わなければ、あちらの情報交換会に参加する、なんてことができるんですよね。そのため、お互いの開催日時を交換し、発信し合うことで、「そのときどきに応じて参加できる地域に参加する」体制にすべく、協力し合っています。

また、まだ認知度が低く、お近くの地域に情報交換会があるのに、それを知らないまま、遠くの地域の情報交換会に参加なさる方もいらっしゃるため、当日参加してくださった方々には、ほかの地域の日程をお知らせしています。2月は結構あちらこちらであるので、ご興味のある方は、各地域のピアノ指導者が自主運営している会からのお知らせ『発達障碍ピアノレッスン』をご覧くださいね♪

最近、FB非公開グループ『発達障碍ピアノレッスン』では、山形や仙台といった東北で集おうという呼びかけをしてくださった先生がいらして、そこには多くの方からのコメントが寄せられていました。どうやら実現しそうです。こちらもご興味のある方は、ぜひFBグループへいらしてくださいね。参加にはFBへの登録が必要ですが、ピアノ指導者(他楽器指導者)や楽器店の方であれば、グループに入っていただくことができます。ピアノ指導者かどうかわからない方からのリクエストは、管理人の神野先生の方から確認させていただくためのメッセージが届きますので、どうぞメッセージの受信を見逃さないようお願いいたします。確認でき次第、メンバー登録させていただきます♪ どうぞお気軽にご参加くださいね。

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2017年04月11日

発達障碍ピアノレッスンの具体的なレッスンアプローチについては・・・

コミックエッセイ『発達障害でもピアノが弾けますか?』を読み、
具体的なアプローチが書かれていなくて、
あまり参考にならないという感想を持たれる方がいらっしゃるようなので、
その件についての投稿をと思いました。

コミックエッセイは、
「発達障害児にも趣味を」という主旨で、
音楽をよく知らない方にも楽しく読んでいただけることを目指した本なので、
詳細な試行錯誤、アプローチについては、サラッと描かれています。

実際、その詳細を伝えようと思ったら、
漫画では無理なんですよね。
1つのアプローチには、
さまざまな思考錯誤と意味、
指導における視点があるからです。

コミックエッセイを読み、
もっと具体的なアプローチを知りたいと思ってくださった方には、
『あきらめないで!ピアノ・レッスン
〜発達障害児に学ぶ効果的レッスンアプローチ〜』を
ご一読いただけたら幸いです♪


【この本の目次】

序章 お教室に発達障害の子がやってきた

   「うちの子、発達障害児なのですがレッスンしていただけないでしょうか?」
   「お月謝をいただいている以上、レッスンらしいレッスンがしたい」
   「レッスンらしいレッスンとは、目的がはっきりしているということ」

第1章 その子の個性を知ろう

幼児の世界

 (1)自己中心性と中心化
 (2)アニミズム

自閉症スペクトラムの子

(1)具体的に伝える
   _箸任領習方法を伝える
   ▲譽奪好鵑慮通しが立つ
   H表会のための練習を説明する
   げ士未鮨値化する
   ァ閥饌療!はすべての生徒さんに通じること

(2)視覚に訴える
   ‘虻遒畔源による説明
   音の長さを視覚化する
   レッスンそのものを視覚で説明する
   っ躇佞鯊イ靴燭た搬琉媼韻鮖覲个冒覆┐

(3)新しいことへの不安を取り除く
   _箸涼罎魄篤發垢
   ¬詰のない新しい要素の取り入れ方
   H表会の準備
   い教室お引っ越しの準備

(4)完璧主義な子へのアプローチ
   〆能蕕ら完璧に弾けないとイライラする子
   間違えるのを極度に恐れる子
   4岼磴い鮖愿Δ気譴襪肇ぅ薀ぅ蕕垢觧
   ご岼磴┐襪肇ぅ薀ぅ蕕垢觧

(5)こだわりの強い子へのアプローチ
   〇間に固執する子
   曲に執着する子
   重度の知的障害を持った子のこだわり
   た靴靴ぅ櫂献轡腑鵑鮗け入れられない子
   ジ納垢防佞合う

(6)多動の子へのアプローチ

(7)感覚異常のある子への理解
   ゞ貅蠅焚擦ある子
   靴下が嫌いな子
   触られるのが苦手な子

(8)睡眠異常がある子への理解 

(9)おかしくない状況で笑う子への理解

知的障害の子
 (1)がんばりたいのにがんばれない子
 (2)理解力と精神年齢がアンバランスな子
 (3)ダメ!が通じない子


第2章 その子の理解力を知ろう

言葉が通じますか?

(1)発語がなく、こちらの言っていることが伝わらない子
   .團▲里亡靴譴襦複泳椹悗罵靴屐
   属音を利用する(1本指で遊ぶ)
   4蔽韻淵螢坤爐伐擦魴茲瓩特討(1本指で弾く)
   ぅ疋譽澆亡靴譴A(1本指で弾く)
   ゥ疋譽澆亡靴譴B(1本指で弾く)
   ξ昭蠅巴討(両手とも1本指で弾く)
   Ч鍵に慣れる(2・3・4指をのばす)
   ┌海弔旅鍵で演奏する(2・3・4指で弾く)
   親指を使う(1・2・3・4指で弾く)

(2)発語がある、もしくは、発語は少ないがこちらの言っていることが伝わっている子

文字が読めますか?

2つの黒鍵と3つの黒鍵の区別がつきますか?

(1)区別がつかない
(2)区別がつく
   々鍵把握へのアプローチ
   ◆屮疋譽漾廖屮侫.愁薀掘彷聴へのアプローチ
   それぞれの音名と鍵盤一致へのアプローチ
   ね諭垢淵櫂献轡腑鵑悗離▲廛蹇璽

リズム譜が読めますか?

(1)リズム教具によるリズム譜導入
   _刺笋猟垢気鮓た目で把握する
   拍子の基本音符を変身させる
   これから取り組む楽曲のリズムを読み取る
(2)リズム譜は読めるのに、5線譜に書かれた音符のリズムがわからない子
   
指番号を覚えられますか?

(1)指番号による指の運動
   〇愴峭罎隼悗琉戝
   ∋愴峭罎鰺用した指の運動
(2)指番号の読譜
   ヽ敝茲暴颪れた数字に気づいてもらう
   楽譜に書かれた指番号を読み取ってもらう

線上と線間の区別がつきますか?

(1)区別がつかない
   _悉猗
   ▲譽奪好鵑修裡
   レッスンその2
(2)区別がつく
   _擦粒段を書く
   見本の音符と見比べる
   3敝茲慮廚隆を利用する
   
音の長さを理解できますか?

(1)理解できているが、鍵盤上で音を伸ばせない子
(2)理解できているが、テンポが安定しない子


第3章 その子の身体能力を知ろう

幼児の身体発達の順番

それぞれの身体能力に応じたアプローチ方法

(1)握力がない

(2)指が弱い ○○ちゃん、なぁに(2音間スラーの指の形)
   。泳椶困弔了悗鮹辰┐
   ■臆惨屮譽ートのために指を鍛える

(3)指が思うとおりに動かない
   〇悗某┐譴道惻┐垢
   ∋悗某┐譴困忙惻┐垢

(4)それぞれの部位への意識が弱い
   〇慇茲飽媼韻いかない
   ▲撻瀬襪鯑Г爐箸かとへ意識がいかない

(5)手首が下がる
   /道悗龍化
   ⊃道悗離灰鵐肇蹇璽
   “つま先”という声かけ
   ぞ指の強化とコントロール
   コ擽米發任亮茲蠢箸

(6)鍵盤から指が離れない

(7)スタカートができない
   仝鞍廚ら指を離す
   ⊆蠎鵑鮟斉陲砲垢

(8)“右は繋げて左は切れる”ができない
   〆犬鮹討ながら、右メロディを歌う
   体で覚える

(9)両手ユニゾンで混乱してしまう
   _仕てゲームで即時反応を養う:レヴェル1
   音当てゲームで即時反応を養う:レヴェル2


お教室Q&A

 適度なレッスン時間は何分?
 お月謝の設定は他の生徒さんと同じがよい?
 発達障害児にピアノ指導している先生が情報交換し合える場はある?
 発表会にどうやって参加させたらよい?
 左手と右手の混乱を防ぐ方法はある?
 単調な練習を飽きさせないコツは?
 障害とわがままの区別がつかないとき、どうけじめをつける?




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2015年03月19日

情報量が多いと幼児は混乱する(ムジカノーヴァ4月号)

s-DSCF0005


ムジカノーヴァ4月号と5月号は、
これまでお話してきた幼児の特性をさらに深く掘り下げ、
実際のレッスンアプローチにおいて、
どういった点に気を付ければ、
効果のあるアプローチを編み出していくことができるのか、
”焦点を定めたアプローチ”の必要性について
書かせていただいています。

5月号以降は、
”焦点をどこに定めたらよいのか?”という、
より具体的な話をしていきたいと考えています。


s-DSCF0006


【4月号の内容】

〜情報量が多いと幼児は混乱する 

(1)幼児の眼球の動き
(2)中心化(幼児の特性をあらわした言葉)
(3)風船と指番号
   ・形という情報
   ・色という情報
   ・文字という図柄
   ・指番号の把握



4月号と5月号は、
全体(1年連載)の折り返し地点と考えています。
今後のお話は、これまでのお話を土台としているので、
以下に、これまでの流れを目次形式にまとめてみました♪


(1)子どもの世界を覗いてみよう

  。刑个瓦蹐泙任諒事の見方
    ・液量の保存
    ・長さの保存
    ・数の保存

  ▲疋譽澆呂錣ってもドシラはわからない
    可逆的な思考の未熟さ

  M鳥は何故文字を左右反転させて書くのか?
    方位知覚の実験

  げ山擇六間、楽譜は空間
    リズム描写の実験

  ゼ蠕茲隆鑞僂気錬戯个ら
    ・幼児の体の発達の順番
    ・指のコントロールのアプローチ


(2)幼児の特性に合わせた読譜指導

  〕鳥は誤解をする
    ・色による混乱
    ・非可逆的な思考
    ・音符の置かれた位置の区別
    ・ト音記号のアプローチ順の表

  定着させる

  2擦諒造咾魴亳海気擦
    音の階段
    ステップ1〜ステップ4

  げ擦旅眥磴鯊隆兇気擦
    声によるアプローチ

  デ鏤劼鯊隆兇垢
    『どんぐり』で拍子の体感の違いを実験
    2、3,4,5,6拍子の拍子打ち

  η鏤劼鯊隆兇靴覆らリズムを学ぶ
    視覚で理解したことを体感に対応づける
    リズムシートで変身


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2013年12月20日

自閉症スペクトラムの子へのアプローチ(パズルの断片のように)

自閉症スペクトラムの子を指導する際、
心掛けていること。
それは、パズルの断片を提示するということです。


この子たちはひとつのアプローチから、
パズルの断片のように一部分だけを抜き出し、
その一部分を理解する。



これは私が、自閉症スペクトラムの生徒さんたちに、
共通して感じてきたことです。


ひとつのことをあらゆる方向から眺めることで、
パズルの断片が増えていき、
1枚の絵としての理解に至る。



断片が出揃ってきた頃、
私はこれらの断片を統合させるためのアプローチに
切り替えていくのですが、
ここに出揃った断片は、
完璧な断片と呼べるものではありません。

その断片はまだぼやけており、
はっきりとはしていないからです。
ひとつひとつの断片がはっきりするのは、
統合した瞬間なんですよね。


ぼやけた断片を見出だし統合させることで、
すべてがはっきりくっきりと見渡せるようになる。



この子たちを教えていて、
私がずっと感じてきたことです。
そのため、自閉症スペクトラムの子の理解は、
こちらが驚くほど突然にやってきます。

自閉症スペクトラムの子とかかわっている大人たちは、
誰もがこの経験をしているのではないでしょうか。
ほんのさっきまで「?」という状態だったのに、
突然できるようになるのですから。
一体この子に何が起きたの?と不思議になるほど、
それは突然やってくるのです。


パズルの断片を拾い集めること
パズルの断片という存在に気づくこと



指導者としての私に必要なことは、
生徒さんがどの断片に気づき、
どの断片にまだ気づいていないのか?という見極めです。
とにかく断片を出し尽くすこと。
そのことで統合が始まるからです。



line-mogura



笑顔がキュートな、ぬいぐるみみたいにかわゆい男の子。
広汎性発達障碍、多動な5歳児へのレッスン。
この子が初めて体験レッスンにやってきたとき、
お母さんとこの子のやりとりを見て、
この子は理解力が高いということがわかりました。
(ピアノレッスンする上での理解力という意味)


・可逆的な音の並び
・音の高低を伴った音名(聴覚を伴った音名)
・鍵盤把握
・読譜



これらは導入期に必要な理解となりますが、
この子は近いうちにこれらを理解できるようになるだろう、
という手ごたえを感じたのです。

その反面、多動なこの子は、
じっと座っているということが難しいので、
ピアノを弾くためのテクニックを指導することはできません。
そのためしばらくは、
1本指で遊ぶというレッスンになります。

この子は理解することに、
興味や楽しみを見出すタイプの子だったので、
レッスンアプローチは1本指で遊びながら、
この子の理解に訴えかける内容となりました。

まずは、音の高低を伴った音名。
この子に音感があるということは、
この子とのやりとりですでにわかっていました。
サイレンの音などを鍵盤上から見つけ出して弾いてくれるからです。

この子は「ラ」が大好きです。
以前ドアが何かの拍子に軋んだことがありました。
その音を聴いた瞬間この子の目がキラキラッと輝き、
ワクワクした眼差しが私に向けられました。

「うん。今の音、Kくんが大好きなラだったね!」

このドアの軋みの音は、
この子が大好きな「ラ」の音だったのです。

そのため、この子には音の高低という、
聴覚へのアプローチは必要ありません。
もうすでに体感できている感覚だからです。

そこで、”可逆的な音の並び”へのアプローチを開始しました。
この子がすでに感じとっている音の高低には、
それぞれ音名がついているということ。
その音の高低には”並び”という決まりがあるということ。
それを理解してもらうためのアプローチです。

アプローチの詳細は、
以下の動画をご参照ください。


どんな子にも自在にレッスン!
悩みを解消するための3つの視点 
【第3回】 幼児の発展途上な認識力を知る



私はこれまで音の階段を紙に書いて、
このアプローチをしてきました。
立体的な音の階段は大き過ぎて、
ピアノレッスンでは使いづらいと感じていたからです。

手のひらサイズで、
鍵盤と同じ幅を持った音の階段が市販されてたなら・・・。
そんなつぶやきをFBにしたところ、
なんと荒木安子先生が、
こんな素敵な音の階段を作って送ってくださいました♪

音の階段2

木製の階段。
まるで市販品のような出来栄えです。

この音の階段は、
以下の2点を理解してもらうためのものです。


・音名は音の高低の違いによって名づけられている
 (ここでは絶対音感という意味ではなく、相対的な意味で十分)

・音の並びは決まっていて可逆的なものである



ここには半音も全音もありません。
上記2点をまだ理解できていない子に、
いきなり半音と全音をアプローチしても、
幼児は混乱してしまうだけなので、
苦なく理解できる一歩一歩を、
アプローチとして提示しています。

しかし、これは一方向からのアプローチでしかありません。
そこで、同時に鍵盤把握へのアプローチを開始しました。
まずは、2つと3つの黒鍵の区別がつくということ。

多動なこの子がこの2つを区別できているかどうかを、
その場で見極めることは難しいことですが、
何度かレッスンするうちに、
確実に違いがわかっているという手ごたえを感じました。

そこで「ド」を鍵盤上から探すというアプローチを加え、
それからしばらくして、今度はそこに「ファ」を加えました。
ドは2つの黒鍵の左側、
ファは3つの黒鍵の左側にあります。

最近「ド」は確実に認識できてきたと感じています。
しかし、100%とは言い切れません。
この断片は、まだぼやけています。
そのため、調子のよいときはわかりますが、
他のことに意識がいっているときは間違えます。

「ファ」は、「ド」ほどくっきりしておらず、
さらにぼやけている感じですが、
断片の存在はきちんと認識してくれているのがわかります。

可逆的な音の並びは、かなり確実性を帯びてきました。
大好きな「ラ」の鍵盤を探しだすのに、
ドレミファソラ・・・だと遠回りになる。
ファソラ、もしくは、ドシラだと近道になる。
調子のよいときはそういう発想が出てくるからです。

断片が出揃い、
これら断片の存在をこの子が感じとってくれていると、
手ごたえを感じるようになってきたので、
先日これら断片を統合させるためのアプローチを始めました。

そこで生じた問題が、
この音の階段では鍵盤把握しにくいということでした。
この音の階段を鍵盤に置くと、
下記のように黒鍵が隠れてしまい、
ひとつひとつの鍵盤を探すことが困難になるのです。

音の階段1


そこで、この階段に黒テープを張り、
黒鍵の位置がわかるようにしました。
そして、この子の目印になるための、
「ド」と「ファ」に赤丸をつけました。

さらに、いきなりこの音の階段を鍵盤上に置くと、
この子の興味があらゆるところに向いてしまい、
私が導きたいと思っている焦点に、
この子の焦点が定まりにくくなるため、
前段階として、以下のような方法をとることにしました。

s-DSCF0022

黒鍵の黒テープを貼った音の鍵盤に、
紙で書いた鍵盤をくっつけたのです。
階段の裏側にセロテープで貼っています。

今この子がやっている曲に、
チューリップがあるのですが、
(原曲通りFdurでやっています)
先日この子にわかるように、
以下のような視覚アプローチをしました。

s-DSCF0024

この子が弾くのは、
「ファソラ」と「ララソソファ」だけです。
それ以外の部分は、
私が歌を歌いながら伴奏を弾きます。

ここに書いた文字を指しながら歌うのを、
一度聴いて(見て)もらいます。
その後、音の階段と紙の鍵盤を出し、
紙の鍵盤で「ファソラファソラ」を指しながら、
歌って聴かせます。
次に、以下のように音の階段を鍵盤上に載せ、
今度は、実際に鍵盤を弾いてみせます。

s-DSCF0023


前回のレッスンでは、
この立体的な音の階段が、
この子のおもちゃになってしまい、
教具としての役割がなくなってしまいました。

しかし、今回は違います。
これら一連のアプローチのお陰で、
この教具が何を意味しているのか?
そこには何か意味があるのだということに、
興味を示してくれるようになりました。

「ファはどこかな?」という私の問いかけに、
音の階段を手に取り、紙の鍵盤を開いて、
音の階段と紙の鍵盤を見比べ、
その後、それをヒントに、
実際の鍵盤からファを探そうと試みてくれたのです。

私は「ファはどこかな?」と問いかけただけで、
答えを見出だすための
アプローチは一切しませんでした。
この子自ら、このような行動をとったのです。

これは、音の階段と紙の鍵盤が、
この子が自主的に扱える、
便利な道具になったということです。
自閉症スペクトラムの子にとって、
便利な道具を見出だすことは、
とても有意義なことと感じています。

押し付けのレッスン苦手な子の場合、
教えられるということに拒否を示すことが多いからです。
そのとき、私という存在は、
生徒さんにとって「便利な道具」になる方がいいんですよね。
この人便利!そう思ってもらえると、
レッスンが突然はかどり始めるのです。

この子の場合、
そこまでレッスンを拒否するということはありませんが、
「自主性」を尊重する必要性は、
定型発達児以上にあると感じています。
この子の自主性を導き出すことに成功し、
その自主性に乗っかったレッスンができると、
この子の集中力が持続しやすくなるからです。


そんなこの子にとって、
レッスンを前に進める一番の原動力は「興味」です。



ぼんやりではあっても、
この子の中にはいくつかの断片があります。
最近、それら断片同士は繋がりのあるものなのだということが、
ぼんやりと見えてきたため、
統合アプローチに興味を示してくれたのでしょう。

この統合アプローチを繰り返すうちに、
音の並びは柔軟な可逆性を持ったものとなり、
鍵盤把握も音の並びと一致するだけでなく、
ソの鍵盤を見つける、シの鍵盤を見つけるといった具合に、
バラバラに把握することができるようになっていくことでしょう。

これらのアプローチが落ち着いてきたら、
楽譜へのアプローチができるのではと考えています。
5本の線の違いを認識し、
丸が線に刺さっているのか刺さっていないのかを区別し、
さらにどこに刺さっているのか、
どこに挟まっているのか区別するというアプローチです。


読譜へのアプローチ詳細は、
ネットでセミナー特別回の動画をご参照ください。

http://musestown.livedoor.biz/archives/52086539.html


この子は理解に訴えかけることで、
ピアノレッスンでの多動が落ち着いてくるタイプの子と感じています。
指の形や姿勢については、それからの話。

可逆的な音の並び、鍵盤の成り立ちを理解できれば、
遊びの範囲、興味の範囲はどこまでも広がっていきます。
また、発表会などを通して、
他の子が演奏する姿を見れば、
ピアノを弾くということがどういうことなのか、
レッスンを受けるということがどういうことなのか、
漠然としていたものがくっきりとしたものに様変わりしていくことでしょう。

鍵盤への理解。
音の並びへの理解。
ピアノを弾くという行為そのものへの理解。
レッスンとはどういうものなのかということへの理解。

ここには様々な断片があります。
この子にとってこれらの断片は、
まだぼやけたものでしかありませんが、
きっと瞬時に「あ!こういうことだったのか!」と
すべてが解明される瞬間があるんですよね。
そこからが伸び時。

私は、そういう瞬間が訪れるための環境を整え、
あとは待つだけです。

ところで、このような断片と断片の統合は、
幼児にも見られることですよね。
特に読譜が苦手なタイプの子。
音の並びがなかなか可逆的にならない子には、
「そういうことだったのか!」という
劇的な瞬間があるのではと思います。

大人になった私たちにも、
点と点が線に繋がる瞬間があるものですよね。
幼児の場合は大人よりその瞬間が多く、
自閉症スペクトラムの子の場合は、
定型発達児よりその瞬間が多い。
私はそんな風に受け止めています。

ひとつの事から、
どれだけ多くの断片を生み出すことができるのか?
それら断片が生徒さんの目に留まるよう、
どのようなアプローチで、
生徒さんの焦点をその一点に導けばよいのか?

言葉にするととても難しそうに聞えますが、
レッスンってそういうことなのだろうなと思います。
これは障碍あるなし関わらず、
ある程度演奏能力のある
大人の生徒さんについても言えることですよね。
ただ、断片の質が変わるというだけ。

こうして頭をグルグル回転させながらレッスンすれば、
レッスン時間はあっという間に過ぎ去り、
あろうことかレッスン中に
先生が寝てしまうなどということも起きないでしょう。

多動の子であろうが、
導入期の幼児であろうが、
大人の生徒さんであろうが、
読譜の手伝いをする子であろうが、
練習不足の子であろうが、
練習をたっぷりしてきた子であろうが、
指導者の頭の中は、
笑顔の向こう側でクルクルクルクル回転し続けているのです。

生徒さんを常に観察し、
今この瞬間の生徒さんには、
どういうアプローチがいいのか?
指導には反射能力が必要なため、
頭の回転を止めるわけにはいきません。

こちらが思案している変な間合いは、
子どもには通用しないんですよね。(笑)
その間合いが、生徒さんの態度を決めてしまうので。
ちょっとでも隙があろうものなら、
多動の子はレッスンに戻ってきてくれなくなっちゃいます。

これは幼児についても言えること。
変な隙があると、そこからだらけてしまうんですよね。
大人の生徒さんであれば、
私への信頼が失われてしまうでしょう。

とはいえ、
頭が凝り固まっている時期というのはどうしてもあるもので、
そういうときは瞬時に適切な判断をし、
発想豊かなアプローチをするということが、
なかなかできません。

今回、この音の階段と鍵盤把握アプローチの発想は、
我ながらよくぞ思いついた!です。(笑)
クリスマス会が終わって、
気持ちに余裕が出てきたからかな。
ゆとりって大切なんだなぁと、しみじみ思います。

目の前にいる生徒さんにとって、
本当に必要なアプローチだけを抽出し、
雑然としない、
生徒さんの焦点が1点に定まりやすい、
クリアなレッスンをしていくということ。

そこには、あの子にこのアプローチをしたから、
この子にも同じアプローチを・・・ではない、
ひとりひとりに寄り添った、
ひとりひとりに応じたアプローチがあります。

それが見えてくると、
レッスン内容は雑然とならず、整理整頓され、
すっきりと見渡せるものに様変わりするんですよね。
生徒さんにとっても理解しやすく、
達成感を得られやすいレッスンになると感じています。

ってことで、必要なのは私のゆとりですネ。
年末&お正月のことを考える以外は、
結構時間に余裕があるので、
これからしばらくは私の潤い月間になりそう♪ 

私が潤えば、生徒さんも潤う。
よい循環を生み出していくために必要なコト。
ワクワクします♪


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emksan at 15:58|PermalinkTrackBack(0)

2013年11月22日

音の並びアプローチをしているお教室の紹介

ネットでセミナーを見てくださっている先生の、
音の並びへのアプローチをご紹介♪


やすこ先生の日記帳より
『音の階段』



砂川先生のピアノ教室フェリーチェより
『音の階段のぼりましょ〜♪』



ネットでセミナーを参考にしていただけて、
とてもとても嬉しいです♪ 

音名に色を付けて表示するのはお勧めです。
文字がまだ読めない子は、
色を頼りに音の並びを学ぶことができるので。

また、砂川先生の音の階段は、
カタカナとひらがな、両方表示していますよね。
これもいいな〜と思います。
カタカナしか読めない子、
ひらがなしか読めない子という、
両方に対応できるので。

音の並びを覚えるとき、
記憶の頼りになるものが何もないというのは、
とても覚えにくいものなんです。
なので、文字が読める子は強いんですよね。
文字の読めない子は、
せめて色で音の並びを記憶してもらう、
というのは一つの方法と思います。

視覚的に音の高低や並びを体感しながら、
「ドレド、レミレ〜」「ドレミレド、レミファミレ」など、
さまざまなパターンで音の並びを体感することで、
非可逆的だったドレミファソラシドが、
可逆的で自在なものになっていきます♪

ネットでセミナーは、私が書いた本を読むための”視点”をテーマにしています。
あきらめないで! ピアノ・レッスン ~発達障害児に学ぶ効果的レッスンアプローチ~ [単行本]


何故あの3つの目次なのか?(個性を知る・理解力を知る・身体能力を知る)
何故あれらのアプローチ方法を私は生み出すことができたのか?



これをテーマに語らせていただいているので、
ネットでセミナーを観ていただくと、
本が読みやすくなるのではと思います。
また、本に書かれているアプローチが
どうして生まれたのかがわかるので、
それを応用していただくこともできるようになるのでは〜と。

私の願いは、みなさんがこれらの基本情報をもとに、
ご自身に合った方法で、
目の前にいる生徒さんに合ったアプローチを
自分流に編み出していっていただくことなんです。

アプローチを生み出すための視点は、
全てのピアノ指導者と共有していくべき、
基本情報と思います。
多くの先生方とこれらの基本情報を、
共有していくことができたならと願っています♪


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emksan at 12:57|PermalinkTrackBack(0)