フォルテピアノ・アカデミーSACLA

2018年07月09日

もっと知りたい!フォルテピアノ・アカデミーSACLA(11)



今年の夏、歴史的な幕開けになるであろう第1回フォルテピアノ・アカデミーSACLAが開催されます。フォルテピアノの第一人者である小倉貴久子さんがプロデュースする、古典派時代のフォルテピアノにどっぷり浸れる贅沢な3日間です。主催は《知っておきたい!トレンド古典派音楽》の塚田聡さんが代表のメヌエット・デア・フリューゲル

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このアカデミーを共催している太田垣 至さんは、ご自身が製作したデュルケンのフォルテピアノクラヴィコード複製楽器の他、修復を手がけたブロードウッドのスクエアピアノなどを提供し、アカデミーに登場する7台の楽器の調律調整を担当なさっています。

最近、私は太田垣さんにクラヴィコードを注文し、工房を見学してきたのですが、製作、修復に没頭するための環境、このために人生を賭ける、そんな太田垣さんの意気込みと信念が感じられる工房は、とても居心地の良い空間でもありました。

ブログ用

太田垣さんは、大阪にフォルテピアノのコレクションを持つ山本宣夫氏の元で修復を、埼玉のチェンバロ製作家の久保田 彰氏に鍵盤楽器製作を学ばれ、その後、世界でも屈指のフォルテピアノ製作家、クリストファー・クラーク氏の元で学ばれた方です。 現在では、全国のチェンバロ奏者、フォルテピアノ奏者から全幅の信頼を寄せられています。

このアカデミーが実現できたのは、久保田さんのご協力に加え、太田垣さんの共催が大きかったのではないでしょうか。そこで、今回は太田垣 至さんが共催することになったいきさつについて、塚田さんに伺ってみました。

《塚田 聡さんのミニコラム》

はい。太田垣さんと私たちはまさに共同主催者になります。〈フォルテピアノ・アカデミーSACLA〉自体、太田垣さんがいらっしゃらなかったら始まることのなかったプロジェクトです。

昨年の夏まで〈都留音楽祭〉という古楽の祭典が山梨県の都留市で行われていました。それが第31回を最後に閉幕となってしまいました。フォルテピアノが弾けて、学べて、古典派音楽にどっぷり浸れて、という機会は、これからますます日本で求められることでしょう。ならば、私たちでフォルテピアノをめぐる開かれた会をつくろう、と太田垣さんと意気投合したのです。

太田垣さんは、フォルテピアノに特化したメーカーを目指しています。チェンバロをつくられる方は、相当数いらっしゃる中、初期ピアノの製作に本格的に取り組もうという人は日本では唯一という貴重な存在です。

彼の探究心はとても深くて、例えば、音質に直接関わってくるハンマーの革ですが、18世紀の鞣し(なめし)方と現在のそれとではかなり異なるとのこと。太田垣さんは、当時の鞣し方をヨーロッパに行って研究もしているのですよ。

中嶋さんも彼のクラヴィコードを試弾して、そのクオリティの高さに驚かれたでしょう。音の美しさ、弾き心地、外見の美しさまで、製作台数を重ねる度にどんどん良いものができあがってくるので、目が離せません。

アカデミーの期間中は、楽器の運び込み・移動、そして調律と、太田垣さんには大活躍してもらいます。会場内で早足に歩く太田垣さんとすれ違うときには、喝采で盛り上げてくださると嬉しく思います。


アカデミーリンク用画像

《フォルテピアノ(ピアノ指導者限定)》
FBに非公開グループを作成しています。小倉貴久子さんもメンバーに加わってくださっている、とても贅沢なグループです。フォルテピアノについてよく知らないという方も大歓迎。投稿を読むだけでも面白いグループなので、どうぞお気軽にメンバーリクエストしてくださいね♪
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2018年07月06日

もっと知りたい!フォルテピアノ・アカデミーSACLA(10)



今年の夏、歴史的な幕開けになるであろう第1回フォルテピアノ・アカデミーSACLAが開催されます。フォルテピアノの第一人者である小倉貴久子さんがプロデュースする、古典派時代のフォルテピアノにどっぷり浸れる贅沢な3日間です。主催は《知っておきたい!トレンド古典派音楽》の塚田聡さんが代表のメヌエット・デア・フリューゲル

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アカデミー中日となる21日2つ目のコンサートは、チェンバロ製作家、久保田 彰さんのお話が聞けるコンサートです。

《第3回 我こそがピアノの発明者!コンサート》

演奏:小倉貴久子 お話:久保田彰
2018年7月21日(土)17:30~18:30
入場料:2,000円
使用楽器:クリストーフォリ、タンゲンテンフリューゲル、クラヴィシンバルム

久保田さんは、1991年邦人チェンバリスト(武久 源造氏)が邦人製作家(久保田 彰氏)の楽器を用いて国内レーベルからリリースするという、記念すべき純国産の初CD「シフォーチの別れ」に携わり、1998年から2004年まで東京藝術大学、非常勤講師として古楽器科「チェンバロ建造法」という講義を担当なさった、古楽愛好家でこの名前を知らない人はいないだろうというほど著名な方です。

こちらは久保田チェンバロ工房の公式サイト。ここにある作品・写真集を眺めているだけでワクワクしてきますが、「打弦」にこだわったこのアカデミーでは、チェンバロではなくクリストーフォリタンゲンテンフリューゲルクラヴィシンバルムが登場します。これら3台とも久保田さんが製作なさった楽器です。

〔クリストーフォリで〕
D.スカルラッティ 1685-1757 
 ソナタ ニ短調 K.1
L.M.ジュスティーニ 1685-1743 
 チェンバロ・ディ・ピアノ・エ・フォルテすなわち、    
 いわゆる小さなハンマー付きチェンバロのためのソナタ ホ短調 作品1-4
G.F.ヘンデル 1685-1759
 クラヴサンのための組曲集より
 エアとヴァリエーション ホ長調《調子の良い鍛冶屋》  

〔クラヴィシンバルムで〕
「ファエンツァ写本」より

〔タンゲンテンフリューゲルで〕
J.S.バッハ 1685-1750
 平均律クラヴィーア曲集第1巻より
 第1番プレリュードとフーガ ハ長調 BWV846
W.A.モーツァルト 1756-1791
 クラヴィーアソナタ 変ホ長調 K.282

バロックから古典派時代の半ば頃まで、チェンバロとフォルテピアノは共存しており、どちらの楽器で演奏するか指定されていないケースが多いのですが、このプログラムにはジュスティーニの名前がありますね。ジュスティーニは、世界で初めてハンマーを持つ鍵盤楽器のために作品集を書いた作曲家です。

小倉さんは久保田彰氏製作のクリストーフォリで、ジュスティーニのソナタ集を録音なさっているのですが、これがもう、本当に、魅力的な曲ばかりなんです。フォルテピアノという新しい楽器に出会ったジュスティーニの感激が伝わってくるような曲ばかり! このジュスティーニを、当時の楽器クリストーフォリで聴けるだなんて、そうそうあることではありません。
  
しかも、このコンサートにはタンゲンテンフリューゲルやクラヴィシンバルムも登場。これは世界でも珍しい、いや、もしかしてこの3台が集まってのコンサートは世界初?! 兎にも角にも、それくらいとぉっても貴重で珍しいコンサートなのではないでしょうか。
  
クラヴィシンバルムで演奏される曲は、中世時代の写本から。24調の音階がまだなかった時代、当時使われていた旋法による曲を当時の楽器で。きっと異次元の世界へ私たちをいざなってくれる、またとないひとときになることでしょう!

《塚田 聡さんのミニコラム》

中嶋さんが紹介してくださった通り、久保田彰さんは、チェンバロづくりの日本を代表する大御所です。

そんな久保田さんが、今回特別に3台の打弦鍵盤楽器をフォルテピアノ・アカデミーSACLAに提供してくださいます(チェンバロは撥弦鍵盤楽器です)。 久保田さんの原動力は、尽きることのない発明心と探究心、好奇心にあると思います。

ピアノ(打弦鍵盤楽器)第1号として知られる〈クリストーフォリ〉。その楽器を知らなかったシュレーターが、我こそがピアノの発明者として主張した〈タンゲンテンフリューゲル〉。そして、クリストーフォリより遡ること150年も前に考案されていた〈クラヴィシンバルム〉。

いかにも久保田さんの心をくすぐらずにはいられない発音機構も出自も異なるこれらの興味深く価値ある鍵盤楽器が、21日の夕方からのコンサートで一挙に並べられ、おのおのの楽器にふさわしい曲により奏でられます!それだけでなく、これらの楽器の誕生秘話を、製作者ご自身の肉声で聞けるという、このまたとない演奏会のタイトルは、〈我こそがピアノの発明者!コンサート〉! ピアノの歴史と誕生に興味のある方にとって垂涎のコンサートになることでしょう!


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《フォルテピアノ(ピアノ指導者限定)》
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2018年07月02日

もっと知りたい!フォルテピアノ・アカデミーSACLA(9)



今年の夏、歴史的な幕開けになるであろう第1回フォルテピアノ・アカデミーSACLAが開催されます。フォルテピアノの第一人者である小倉貴久子さんがプロデュースする、古典派時代のフォルテピアノにどっぷり浸れる贅沢な3日間です。主催は《知っておきたい!トレンド古典派音楽》の塚田聡さんが代表のメヌエット・デア・フリューゲル

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会期中開かれるコンサートはどれも事前予約不要。当日急に思い立って足を運ぶのもアリという、とても気軽なコンサートです。アカデミー中日となる21日は2つのコンサートがあるのですが、今回はそのうちの一つ、入場無料のランチタイムコンサートをご紹介しましょう。

《第2回 ランチタイムコンサート》 
演奏:毛利美智子、加藤美季(フォルテピアノ)、圓谷俊貴(テノール)
2018年7月21日(土)13:15~13:45 
入場料:無料 
使用楽器:ブロードウッド製スクエアピアノ

使用楽器は、第5回でご紹介したスクエアピアノです。当時ブルジョワの家庭では、自らが演奏するという形で、このようなプログラムが愉しまれていたのではないでしょうか。娘のピアノに合わせて父親が歌ったり、お客様がいらっしゃると「ほら、何か弾いて差し上げなさい。」と母親に促されて娘がピアノを披露したり。家庭内に音楽がある光景は、日常だったに違いありません。

J.C.バッハ 1735-1782
 クラヴィーアソナタ イ長調 作品17-5 (毛利)
G.F.ピント 1785-1806
 グランドソナタ ハ短調 (加藤)   
 歌曲「自然への祈り」「羊飼いは清らかなニンフを愛した」(圓谷&毛利)
J.ハイドン 1732-1809
 歌曲「船乗りの歌」(圓谷&毛利) 
 
ヨハン・クリスティアン・バッハは、J.S.バッハの末息子。シリーズ演奏会《小倉貴久子のモーツァルトのクラヴィーアのある部屋》の第3回と第30回で取り上げられた(第30回は《J.C.バッハとW.A.モーツァルトのクラヴィーア協奏曲》としてCD化)、モーツァルトが最も影響を受けた作曲家です。「ロンドンのバッハ」と呼ばれ、ロンドンではスクエアピアノの普及に貢献しました。
  
ジョージ・フレデリック・ピントは、前述のシリーズ演奏会第26回に取り上げられている作曲家です。イギリスに生まれた早世の天才で、なんと20歳という若さでこの世を去ってしまいました。ハイドンをロンドンに招いた音楽興行師として有名なザロモンは、「もし彼が生きながらえていたならば、イギリスは第2のモーツァルトを生み出す名誉を得たであろう」と評したそうです。
  
プログラム最後はハイドンの歌曲。入場無料のランチタイムコンサートでこの贅沢なプログラム! これはアカデミーだからこそではないでしょうか。

《塚田 聡さんのミニコラム》

このスクエア・ピアノによるコンサートで取り上げられる曲は全てイギリスで書かれた作品になります。中嶋さんがおっしゃられる通り、イギリスでは特に新興のブルジョア市民たちによってこうした曲が広く演奏され、また作曲家自身の演奏により〈ハノーヴァー・スクエア・ルームズ〉など、市民の集う気軽なコンサート会場で披露されていました。

このコンサートで演奏する、毛利さん、加藤さんは現在、東京藝術大学の大学院で、フォルテピアノを専門に小倉貴久子の元で勉強している学生です。圓谷くんは、藝大にまず歌で入学し、その後、チェンバロ科で入り直すという才能の持ち主。今でも小倉貴久子の元で熱心に鍵盤楽器演奏を学んでいます。

ところで、リート歌手にフォルテピアノが密かに好まれていることをご存知ですか?繊細な表情を出したいのに、爛々と鳴る現代のピアノにかき消されてしまう声。息を混ぜたり、ささやいたり、ため息をついたり、そんな表情に寄り添ってくれるフォルテピアノと共演したいという歌手が少なくないのです。

また、木目で小ぶりのフォルテピアノの前に、ヴァイオリンやチェロを置いてみましょう。想像するだけで素敵なアンサンブルになりそうでしょう? フォルテピアノは歌や他の楽器とのアンサンブルで、その良さがより発揮される楽器なんです。

フォルテピアノ・アカデミーSACLAでは、できる限り、次回からも様々な楽器とのコラボレーションを楽しみたいと考えています。

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《フォルテピアノ(ピアノ指導者限定)》
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2018年06月29日

知っておきたい!フォルテピアノ・アカデミーSACLA(8)



今年の夏、歴史的な幕開けになるであろう第1回フォルテピアノ・アカデミーSACLAが開催されます。フォルテピアノの第一人者である小倉貴久子さんがプロデュースする、古典派時代のフォルテピアノにどっぷり浸れる贅沢な3日間です。主催は《知っておきたい!トレンド古典派音楽》の塚田聡さんが代表のメヌエット・デア・フリューゲル

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このアカデミーでは、会期中毎日コンサートが開かれます。聴講生は、1日の聴講費4000円に同日のコンサート代も含まれているので、とってもお得。連載8回目となる今回は、アカデミー1日目に開催される《第1回オープニング・コンサート》をご紹介しましょう。

《第1回  オープニング・コンサート》 
演奏:小倉貴久子
2018年7月20日(金)11:00~12:00
入場料:2,000円
使用楽器:A.ヴァルター、J.L.デュルケン、クラヴィコード

使用楽器は、この連載第4回第6回に登場した楽器です。塚田さんが第4回のミニコラムで「デュルケンは軽やかに転がるモーツァルトの音楽そのもののような楽器です。ヴァルター・モデルの楽器は、ベートーヴェンがウィーンで最初に手にしたピアノに近いもので、デュルケンより音がしっかりとしてきます。」とお話しくださったように、ヴァルターでベートーヴェンを、デュルケンでハイドンとモーツァルトを、というプログラム。

〔デュルケンで〕
J.ハイドン 1732-1809  
 クラヴィーアソナタ ニ長調 Hob.XVI:37より第1楽章
W.A.モーツァルト 1756-1791
 クラヴィーアソナタ イ長調 K.331《トルコ行進曲付き》

〔クラヴィコードで〕
C.Ph.E.バッハ 1714-1788
 「わがジルバーマン・クラヴィーアとの別れのロンド」 ホ短調 Wq.66 (H.272)

〔ヴァルターで〕
L.v.ベートーヴェン 1770-1827
 クラヴィーアソナタ「幻想曲風ソナタ」嬰ハ短調 作品27-2《月光》

トルコ行進曲は、ぜひみなさんに一度は聴いていただきたい1曲。耳慣れた、流れるようなトルコ行進曲に「何故これが行進曲なんだろう?しかもトルコ風って?」と不思議に思われている方、きっと小倉さんの演奏を聴いたら「なるほど!これぞトルコ行進曲!」と腑に落ちるだろうと思います。

デュルケンとヴァルターの間に挟まれたクラヴィコードによる演奏は、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハの作品です。エマヌエル・バッハはJ.S.バッハの次男。チェンバロよりクラヴィコードやフォルテピアノを愛用したといわれ、なんとクラヴィーアの独奏曲を200曲近く作曲しているそうです。
  
今回演奏される「わがジルバーマン・クラヴィーアとの別れのロンド」は、シリーズ演奏会《小倉貴久子のモーツァルトのクラヴィーアのある部屋》の第31回でも取り上げられた曲目で、悲哀がひしひしと伝わってくる曲です。クラヴィコードの繊細な響きと、ベーブンクと呼ばれるビブラート効果が存分に味わえますよ。

最後のヴァルターによるベートーヴェン第1楽章は、ベートーヴェン時代のフォルテピアノだからこそ実現できるペダリングに注目! そして、小倉さんの勢いある第3楽章も聴きどころの一つとなるでしょう。魅力あふれるプログラムに、ワクワクが止まらなくなります♪
  
《塚田 聡さんのミニコラム》

〈第1回フォルテピアノ・アカデミーSACLA〉のオープニング・コンサートは、小倉貴久子のトークつきのコンサートになります。 ここで初めてフォルテピアノの音を耳にされる方もいらっしゃるかもしれませんね。

最初に聴くフォルテピアノの音はどのように感じられるでしょうか。小さな音に物足りなさを抱かれるかもしれません。

しかし、リズムの生き生きと跳ねるハイドンの音楽、トルコの軍楽隊のもつジャラジャラとした鳴り物を模した音楽がピアノから飛び出してきたら、防備することなく捉えてみてください。その等身大の音楽の中には作曲家の想いがたくさん込められているはず。

カール・フィリップ・エマヌエル・バッハは興が乗ると、涙を流し涎を垂らしながらクラヴィコードの前に座り即興を奏で続けたと伝えられています。 クラヴィコードはとりわけ小さな音の楽器ですが、耳が慣れてくると、心が共振して体の細胞の隅々まで情感が行き渡るような感じを覚えるはず。

ベートーヴェンの月光ソナタ。第1楽章はダンパーペダルを解放し続けながら演奏します。「そんなこと可能なの?」「ベートーヴェンの指示なの?」・・・小倉貴久子のトークと演奏で秘密が明かされることでしょう。

最終楽章は、ヴァルター・ピアノがフルに鳴り、ベートーヴェンの情熱が露わになります。この100%の全力感が、フォルテピアノを用いた演奏の大きな魅力。ぜひ体感してみてください!

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2018年06月25日

もっと知りたい!フォルテピアノ・アカデミーSACLA(7)



今年の夏、歴史的な幕開けになるであろう第1回フォルテピアノ・アカデミーSACLAが開催されます。フォルテピアノの第一人者である小倉貴久子さんがプロデュースする、古典派時代のフォルテピアノにどっぷり浸れる贅沢な3日間です。主催は《知っておきたい!トレンド古典派音楽》の塚田聡さんが代表のメヌエット・デア・フリューゲル

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クラヴィシンバルムってご存知ですか? 私は今年1月《藝大130周年記念音楽祭 未来永劫》という企画で、初めてこの楽器を知りました。15世紀の楽器とのことですが、とにもかくにも情報がない!アカデミー公式サイトには、

打弦タイプのクラヴィシンバルム(久保田彰製作)c~c3

とあるのですが、ということは打弦タイプではないクラヴィシンバルムもあるということなのでしょうか? しかもアカデミーで使用するクラヴィシンバルムは、製作者である久保田彰氏の「想像と経験」から作られた楽器とのこと。本当に製作されていたとしたら、ピアノの最も古い祖先になるそうなのですが、私にはこれ以上この楽器について語る術がありません!
  
ということで、ここは塚田聡さんのミニコラムにすべてを託そうと思います。あとは、当日のお楽しみ!ですね♪ 

《塚田 聡さんのミニコラム》

1440年ごろにブルゴーニュ公国ツヴォレのアルノーさんが残した鍵盤楽器の平面図がありまして、これが実際に作られたものならばチェンバロの祖先!と近年注目が集まっています。
  
平面図の余白には3種の発音機構の図と説明文が。何が書かれているのか私には判読できませんが(なんでも暗号じみているという話)、どうもそこには撥弦システムだけでなく、打弦システムもあるようなのです。 世界中のチェンバロづくりがこの平面図に興味を示し、想像をふくらませながら復元に取り組んでいますが、我が国の誇るメーカーである久保田彰さんもその発明心をくすぐられたようです。
  
久保田さんは撥弦と打弦の2種類のクラヴィシンバルム(clavisimbalum)を復元させました。当アカデミーは、打弦にあくまでこだわっていますので、打弦システムのクラヴィシンバルムのみお持ちいただきます。 詳しいことは私にも分かりません。アカデミー期間中、7月21日の17:30からの久保田彰さんとともにお届けする小倉貴久子のコンサートで、どこまでその秘密が明かされるのか!私自身、楽しみにしているところです。


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《会期中のコンサート》
我こそがピアノの発明者!コンサート
2018年7月21日(土)17:30開演(1時間)
会場:さいたま市プラザウエスト内 多目的ルーム
入場料:2,000円
使用楽器:クリストーフォリ、タンゲンテンフリューゲル 、クラヴィシンバルム

  
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2018年06月22日

もっと知りたい!フォルテピアノ・アカデミーSACLA(6)



今年の夏、歴史的な幕開けになるであろう第1回フォルテピアノ・アカデミーSACLAが開催されます。フォルテピアノの第一人者である小倉貴久子さんがプロデュースする、古典派時代のフォルテピアノにどっぷり浸れる贅沢な3日間です。主催は《知っておきたい!トレンド古典派音楽》の塚田聡さんが代表のメヌエット・デア・フリューゲル

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このアカデミーをプロデュースしているフォルテピアノ奏者の小倉貴久子さんは、クラヴィコードでの練習を強く勧めていらっしゃいます。クラヴィコードの単純な機構は、指の動きがそのままハンマーに伝わり音に反映されるため、指(タッチ)を育んでくれるからです。

特に第1関節と手のひら。手のひらとしか上手く表現できないのですが、指の付け根部分から第2関節あたりの動きですね。クラヴィコードは、この部分が意識できていないといい音がしません。そのうえ、この部分と第1関節の連携が保たれていないと、これまた上手くいかないのです。

J.S.バッハの次男、C.P.E.バッハはクラヴィコードについて、以下のように述べています。

「よいクラヴィコードは、音が弱いということを除いては、 音の美しさではピアノフォルテに劣らないし、 ベーブンクやポルタートをつけることができる点で、 ピアノフォルテよりも優れている。」

「よいクラヴィコード」という言葉が印象的ですが、モダンピアノにも質のよいピアノとそうでないピアノがあるように、ピリオド楽器にも質の違いがあるものです。もちろんアカデミーで使用されるクラヴィコードは、フォルテピアノ第一人者の小倉さんに選び抜かれたクラヴィコード。コンサートでは、エマヌエル・バッハが述べているような演奏が堪能できることでしょう。

このクラヴィコード、書物に初めて現れるのは1404年のこと。15世紀半ばには楽器の図面が記録されます。現存している一番古いものは1543年製のもので、3オクターブ半ほどの音域があるそうです。ルネサンス期になるとヨーロッパ各地に普及するのですが、このころ日本へ初めてヨーロッパ船が到着しました。1542年のことです。そして、フランシスコ・ザビエルがその7年後に上陸。ザビエルの持ち物にはクラヴィコードがあったようで、当時の文書には「十三ノ琴ノ糸ヒカザルニ五調子ヲ吟ズ」とあります。

クラヴィコードは小型なため持ち運びしやすく、旅行ばかりしていたモーツァルトは、その中でも極めて小型のクラヴィコードを愛用していました。クラヴィコードには脚のないものも多く、容易に持ち運びができるだけでなく、机の上に置いて弾くこともできたんですよ。現代のキーボードのような手軽さですね。

《塚田 聡さんのミニコラム》

打楽器は叩いたら即座にバチを発音体から離すのが基本です。叩いたその場に留まれば、叩いたバチが消音材となってしまうからです(お能の太鼓のように意識的に消音して効果を出す場合もあります)。

ピアノ(打弦楽器)のハンマーも弦を叩くやいなや即座に弦から離れ落ち、その後は弦が振動するままに任せます。 ところがこのクラヴィコードという楽器、弦にタンジェントという金属片が触れている間だけ音が鳴り続ける、という逆発想からなる楽器になります。

タンジェントはそのかわり非常に小さく、弦との接地面は、面というよりほとんど線。その金属の線が金属の弦に触れている間だけ音が出るのです。 この逆発想の発音機構は、非常に音が小さいという条件下のみに許される仕組みです。

しかし、弦に接地したタンジェントを揺らせばヴィブラートがかかるという副産物も。 ピアノを弾きながら、キーを揺らして歌いたい衝動にかられた方は少なくないはず。その指を揺らしてヴィブラートをかけるという欲求を満たしてくれるのです。

この小さな音しかでないクラヴィコードですが、小さいながらも大変な世界をもっていて、その虜になった作曲家は数知れず。 心の機微の襞の中まで描き切るという感じでしょうか。クラヴィコードの世界に暮らすと、次第にこのミクロコスモスの世界だけで心が満たされるようになってゆくから不思議なものです。


新クラヴィコード2

《会期中のコンサート》
2018年7月20日(金)11:00開演(1時間)
会場:さいたま市プラザウエスト内 多目的ルーム
入場料:2,000円
使用楽器:A.ヴァルター、J.L.デュルケン、クラヴィコード 


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