第1回フォルテピアノ・アカデミーSACLA

2018年07月17日

もっと知りたい!フォルテピアノ・アカデミーSACLA(13)

とうとう3日後!13回目となる今回が連載最後となります!



今年の夏、歴史的な幕開けになるであろう第1回フォルテピアノ・アカデミーSACLAが開催されます。フォルテピアノの第一人者である小倉貴久子さんがプロデュースする、古典派時代のフォルテピアノにどっぷり浸れる贅沢な3日間です。主催は《知っておきたい!トレンド古典派音楽》の塚田聡さんが代表のメヌエット・デア・フリューゲル

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私が古楽を聴くようになったのは、チェンバロなどのバロック音楽がきっかけでした。現在でも古楽というと、鍵盤楽器ではチェンバロが真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。ところが、打弦楽器にこだわるこのアカデミーの主役は、チェンバロではなくフォルテピアノです。
  
10年前、フォルテピアノの演奏を生で聴きたいと思っても、その機会はなかなか得られませんでした。「フォルテピアノ」という名称を知っているピアノ指導者も、少なかったのではないでしょうか。

現在、小倉さんのご活躍により、フォルテピアノの演奏を生で聴く機会が驚くほど増えました。そして、それらの演奏は「フォルテピアノはモダンピアノに至る途中の未熟な楽器」という既成概念を崩すものだったのです。そこには、フォルテピアノだからこその魅力と、フォルテピアノだからこそわかる当時のスタイル、価値観がありました。

アカデミー第1回となる今回のテーマは《古典派音楽》。これまで私たちが学んできた《古典派音楽》が、近代の価値観に浸食された、当時のスタイルとは大きくかけ離れたものだと知ったなら、モダンピアノで演奏するにしても、もう今まで通りの演奏はできなくなることでしょう。

20年ほど前、《チェンバロから学べること》がピアノ教育界に入ってきて、バロック音楽が見直されるようになりました。そして今、《フォルテピアノから学べること》として、古典派音楽が見直される時期がきているのです。

ソナチネ・アルバム、ソナタ・アルバムといった教材としての古典派音楽は、私たちピアノを学んできた者にとって非常に身近な音楽ですが、「音の粒を揃える」という誰もが一度は注意されたであろう言葉ひとつとっても、当時のスタイルや価値観とは大きくかけ離れていたりと、このアカデミーは、驚きと、これまで抱いてきた違和感が「腑に落ちる」機会となるに違いありません。

バロック音楽がそうであったように、今後、古典派音楽においても意識の変革が起こることでしょう。このアカデミーはその最先端で、私たちを世界の潮流へと導いてくれる存在なのです。
  
《フォルテピアノから見えること》 塚田 聡

 大きいものほど、儲かるものほどよいとされる資本主義の原理の中で、クラシック音楽もビジネス視点で考えられるようになり、ホール・音量、全てが大型化していった20世紀。大衆に受け入れられるように、また誰でも演奏できるように、楽器自体も演奏方法も均一化、マニュアル化してゆきました。権威づけられた演奏家により、そのマニュアルはどの時代のどの地方の音楽にも当てはめられ、それがクラシック音楽とひとくくりにされてしまったのです。

 クラシック音楽はかくあるべしという演奏法、教育法が確固と確立され、疑問を差し挟む余地すら与えないという、そんながんじがらめの状況に、疑問を抱く分子が動き出しました。 権威にまみれた王道ルートから飛び降り、音楽の本質、真の良さを追求していこう、という演奏家や愛好家の動きは止まりません。

 ちょっと大げさですが、窮屈な壁の中から出てきて自由な空気を吸いにおいでよ!と、みなさんに呼びかけたい気持ちでいます。ここには時代と地方、そして作曲家により異なる、実に個性的な音楽が、それに相応しい楽器で奏でて欲しいと色とりどりに咲き乱れているのです。

 フォルテピアノ・アカデミーで7台のフォルテピアノに囲まれて、今までの教育、受けてきた均一マニュアルが通用しない世界に最初は戸惑うかもしれませんが、そこで自身を開放すると見えてくる世界を躊躇なく受け入れて楽しんでもらえたらと思っています。

 私にとっての古楽の美点は何かと問われれば、謙虚で立派でないところ、でしょうか。クラシック音楽というと、風格と威厳があり、権威的、立派で重々しい、というようなイメージがあると思いますが、モーツァルトの音楽は全てその逆ですからね。

 言葉にしてみるならば、爽やかで自然な音楽。絵筆で繊細に線を描くようなメロディー、明晰で情感豊かな和声感、そして軽やかなリズム感、グルーヴィーなノリがそこにはあります。等身大で、友達になれるような感じ、威張ってない感じが好きですね。古典派の音楽はとりわけ人懐っこく、フレンドリーな音楽なのですから。

 古典派の作曲家の描いた心の微妙な移ろい、そして彼らが描きたかった世界を表現するために、フォルテピアノの繊細なタッチ、音楽表現を、3日間のアカデミーで感じ取ってみませんか?


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《フォルテピアノ(ピアノ指導者限定)》
FBに非公開グループを作成しています。小倉貴久子さんもメンバーに加わってくださっている、とても贅沢なグループです。フォルテピアノについてよく知らないという方も大歓迎。投稿を読むだけでも面白いグループなので、どうぞお気軽にメンバーリクエストしてくださいね♪
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2018年07月13日

もっと知りたい!フォルテピアノ・アカデミーSACLA(12)



今年の夏、歴史的な幕開けになるであろう第1回フォルテピアノ・アカデミーSACLAが開催されます。フォルテピアノの第一人者である小倉貴久子さんがプロデュースする、古典派時代のフォルテピアノにどっぷり浸れる贅沢な3日間です。主催は《知っておきたい!トレンド古典派音楽》の塚田聡さんが代表のメヌエット・デア・フリューゲル

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小倉貴久子さんの古典派音楽を聴くと、その瑞々しい生命力に驚かされます。ピアノ学習者にとって、古典派音楽はソナチネ・アルバム、ソナタ・アルバムと順に取り組む、定石の《教材》と呼べる音楽です。しかし、そこに生き生きとした新鮮な驚きはあったでしょうか? ただただ正確に指を動かすことだけに主眼が置かれてはいなかったでしょうか?
  
小倉さんのCD《輪舞(ロンド)〜モーツァルトの輝き〜≫に入っている、モーツァルトの「トルコ行進曲」を聴いたとき、この生命力の秘密が知りたくてたまらなくなり、ムジカノーヴァの誌面でインタビューさせていただいたことがありました。私がこれまで勉強してきた古典派音楽は一体何だったのか? 「楽譜通りに演奏する」「作曲家の意図を楽譜から読み取る」とは一体どういうことなのか?
  
今年から、小倉さんのレッスンを受けています。CDやコンサートの演奏を聴くだけでは気づけない点がたくさんあり、教えていただくことすべてが、小倉さんの演奏の生命力に繋がっているのを感じます。イネガルにしても、拍の感じ方にしても、子音をはっきりさせるための直前の音の抜きにしても、かなり繊細なコントロールが必要で、身につけるには何年もかかりそうです。
  
何年かかろうと、なんとしてでも身につけたい。《教材》として指を動かすだけ、表情をつけたとしても当時のスタイルとはかけ離れたもの、というピアノ指導は私の代でおしまいにしたい。少なくとも私は、私の生徒さんに私が学んできた古典派音楽をそのまま伝授するなんて、自分に許すことができないのです。音大へ行くわけでもない、コンペに出るわけでもない、愛好家としての生徒さんばかりですが、だからこそ生命力溢れる、表現することの楽しさが存分に味わえる古典派音楽を伝えていきたい。

最近、ロマン派音楽には古典派時代の名残があると思うようになりました。これは、まだちょっと垣間見えてきただけで、はっきりと見えているわけではないのですが、小倉さんから学ぶ古典派音楽のスタイルを知ることでしか見えてこないロマン派音楽があるような気がしています。
 
前座としての文章がかなり長くなってしまいましたが、今回はフォルテピアノ第一人者であり、このアカデミーをプロデュースなさっている小倉貴久子さんにコラムを書いていただけることになりました。テーマは《フォルテピアノに触れる意義》です。
  
《フォルテピアノに触れる意義》小倉貴久子

 私がフォルテピアノに初めて触れたのは、オランダ留学中のことです。それまで、現代ピアノで演奏することに何の疑問も持たず、どちらかと言えば、「昔の楽器はモノクロで、現代の楽器は色彩豊かなもの」と、何となく思っていた当時の私にとって、モーツァルトの時代のフォルテピアノを弾いた時の驚きは、それまでの価値観を覆す衝撃的なものでした。

 モーツァルトの音楽そのものの音色、現代のピアノでモーツァルトらしさを研究していた表現方法が、フォルテピアノで演奏すると何と等身大に可能なのでしょう!作曲家の作品への想いと作曲家の目前にあった楽器のマッチ度に、目から鱗が落ちるようでした。ベートーヴェンの楽譜への綿密な書き込みも、現代のピアノではなく、当時のフォルテピアノから表現される音色を元に記載されているということに興奮し、まさに作曲家から直接レッスンを受けているような錯覚を感じるほどでした。 「このような素晴らしい世界をみなさまに知っていただきたい!」という想いが、私の帰国後の活動の原動力でした。

 ヨーロッパでは身近にあるフォルテピアノですが、日本では西洋音楽の歴史が浅いため、フォルテピアノはまだまだ希少です。ぜひ、たくさんの方にフォルテピアノを体験して、作曲家が生きていた時代の空気を味わっていただきたい!

 今回のアカデミーでは古典派時代の打弦楽器が勢揃いします。古典派は試験やコンクールの課題で扱われることも多く、「お勉強」というイメージが強い方もいらっしゃるかもしれません。でも、実はとっても自由で、楽しく、刺激的な世界なのです。当時のルールや価値観を手に入れたら、それがその素敵な世界への扉を開く鍵となること間違いなしです! 


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2018年07月09日

もっと知りたい!フォルテピアノ・アカデミーSACLA(11)



今年の夏、歴史的な幕開けになるであろう第1回フォルテピアノ・アカデミーSACLAが開催されます。フォルテピアノの第一人者である小倉貴久子さんがプロデュースする、古典派時代のフォルテピアノにどっぷり浸れる贅沢な3日間です。主催は《知っておきたい!トレンド古典派音楽》の塚田聡さんが代表のメヌエット・デア・フリューゲル

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このアカデミーを共催している太田垣 至さんは、ご自身が製作したデュルケンのフォルテピアノクラヴィコード複製楽器の他、修復を手がけたブロードウッドのスクエアピアノなどを提供し、アカデミーに登場する7台の楽器の調律調整を担当なさっています。

最近、私は太田垣さんにクラヴィコードを注文し、工房を見学してきたのですが、製作、修復に没頭するための環境、このために人生を賭ける、そんな太田垣さんの意気込みと信念が感じられる工房は、とても居心地の良い空間でもありました。

ブログ用

太田垣さんは、大阪にフォルテピアノのコレクションを持つ山本宣夫氏の元で修復を、埼玉のチェンバロ製作家の久保田 彰氏に鍵盤楽器製作を学ばれ、その後、世界でも屈指のフォルテピアノ製作家、クリストファー・クラーク氏の元で学ばれた方です。 現在では、全国のチェンバロ奏者、フォルテピアノ奏者から全幅の信頼を寄せられています。

このアカデミーが実現できたのは、久保田さんのご協力に加え、太田垣さんの共催が大きかったのではないでしょうか。そこで、今回は太田垣 至さんが共催することになったいきさつについて、塚田さんに伺ってみました。

《塚田 聡さんのミニコラム》

はい。太田垣さんと私たちはまさに共同主催者になります。〈フォルテピアノ・アカデミーSACLA〉自体、太田垣さんがいらっしゃらなかったら始まることのなかったプロジェクトです。

昨年の夏まで〈都留音楽祭〉という古楽の祭典が山梨県の都留市で行われていました。それが第31回を最後に閉幕となってしまいました。フォルテピアノが弾けて、学べて、古典派音楽にどっぷり浸れて、という機会は、これからますます日本で求められることでしょう。ならば、私たちでフォルテピアノをめぐる開かれた会をつくろう、と太田垣さんと意気投合したのです。

太田垣さんは、フォルテピアノに特化したメーカーを目指しています。チェンバロをつくられる方は、相当数いらっしゃる中、初期ピアノの製作に本格的に取り組もうという人は日本では唯一という貴重な存在です。

彼の探究心はとても深くて、例えば、音質に直接関わってくるハンマーの革ですが、18世紀の鞣し(なめし)方と現在のそれとではかなり異なるとのこと。太田垣さんは、当時の鞣し方をヨーロッパに行って研究もしているのですよ。

中嶋さんも彼のクラヴィコードを試弾して、そのクオリティの高さに驚かれたでしょう。音の美しさ、弾き心地、外見の美しさまで、製作台数を重ねる度にどんどん良いものができあがってくるので、目が離せません。

アカデミーの期間中は、楽器の運び込み・移動、そして調律と、太田垣さんには大活躍してもらいます。会場内で早足に歩く太田垣さんとすれ違うときには、喝采で盛り上げてくださると嬉しく思います。


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《フォルテピアノ(ピアノ指導者限定)》
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2018年07月06日

もっと知りたい!フォルテピアノ・アカデミーSACLA(10)



今年の夏、歴史的な幕開けになるであろう第1回フォルテピアノ・アカデミーSACLAが開催されます。フォルテピアノの第一人者である小倉貴久子さんがプロデュースする、古典派時代のフォルテピアノにどっぷり浸れる贅沢な3日間です。主催は《知っておきたい!トレンド古典派音楽》の塚田聡さんが代表のメヌエット・デア・フリューゲル

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アカデミー中日となる21日2つ目のコンサートは、チェンバロ製作家、久保田 彰さんのお話が聞けるコンサートです。

《第3回 我こそがピアノの発明者!コンサート》

演奏:小倉貴久子 お話:久保田彰
2018年7月21日(土)17:30~18:30
入場料:2,000円
使用楽器:クリストーフォリ、タンゲンテンフリューゲル、クラヴィシンバルム

久保田さんは、1991年邦人チェンバリスト(武久 源造氏)が邦人製作家(久保田 彰氏)の楽器を用いて国内レーベルからリリースするという、記念すべき純国産の初CD「シフォーチの別れ」に携わり、1998年から2004年まで東京藝術大学、非常勤講師として古楽器科「チェンバロ建造法」という講義を担当なさった、古楽愛好家でこの名前を知らない人はいないだろうというほど著名な方です。

こちらは久保田チェンバロ工房の公式サイト。ここにある作品・写真集を眺めているだけでワクワクしてきますが、「打弦」にこだわったこのアカデミーでは、チェンバロではなくクリストーフォリタンゲンテンフリューゲルクラヴィシンバルムが登場します。これら3台とも久保田さんが製作なさった楽器です。

〔クリストーフォリで〕
D.スカルラッティ 1685-1757 
 ソナタ ニ短調 K.1
L.M.ジュスティーニ 1685-1743 
 チェンバロ・ディ・ピアノ・エ・フォルテすなわち、    
 いわゆる小さなハンマー付きチェンバロのためのソナタ ホ短調 作品1-4
G.F.ヘンデル 1685-1759
 クラヴサンのための組曲集より
 エアとヴァリエーション ホ長調《調子の良い鍛冶屋》  

〔クラヴィシンバルムで〕
「ファエンツァ写本」より

〔タンゲンテンフリューゲルで〕
J.S.バッハ 1685-1750
 平均律クラヴィーア曲集第1巻より
 第1番プレリュードとフーガ ハ長調 BWV846
W.A.モーツァルト 1756-1791
 クラヴィーアソナタ 変ホ長調 K.282

バロックから古典派時代の半ば頃まで、チェンバロとフォルテピアノは共存しており、どちらの楽器で演奏するか指定されていないケースが多いのですが、このプログラムにはジュスティーニの名前がありますね。ジュスティーニは、世界で初めてハンマーを持つ鍵盤楽器のために作品集を書いた作曲家です。

小倉さんは久保田彰氏製作のクリストーフォリで、ジュスティーニのソナタ集を録音なさっているのですが、これがもう、本当に、魅力的な曲ばかりなんです。フォルテピアノという新しい楽器に出会ったジュスティーニの感激が伝わってくるような曲ばかり! このジュスティーニを、当時の楽器クリストーフォリで聴けるだなんて、そうそうあることではありません。
  
しかも、このコンサートにはタンゲンテンフリューゲルやクラヴィシンバルムも登場。これは世界でも珍しい、いや、もしかしてこの3台が集まってのコンサートは世界初?! 兎にも角にも、それくらいとぉっても貴重で珍しいコンサートなのではないでしょうか。
  
クラヴィシンバルムで演奏される曲は、中世時代の写本から。24調の音階がまだなかった時代、当時使われていた旋法による曲を当時の楽器で。きっと異次元の世界へ私たちをいざなってくれる、またとないひとときになることでしょう!

《塚田 聡さんのミニコラム》

中嶋さんが紹介してくださった通り、久保田彰さんは、チェンバロづくりの日本を代表する大御所です。

そんな久保田さんが、今回特別に3台の打弦鍵盤楽器をフォルテピアノ・アカデミーSACLAに提供してくださいます(チェンバロは撥弦鍵盤楽器です)。 久保田さんの原動力は、尽きることのない発明心と探究心、好奇心にあると思います。

ピアノ(打弦鍵盤楽器)第1号として知られる〈クリストーフォリ〉。その楽器を知らなかったシュレーターが、我こそがピアノの発明者として主張した〈タンゲンテンフリューゲル〉。そして、クリストーフォリより遡ること150年も前に考案されていた〈クラヴィシンバルム〉。

いかにも久保田さんの心をくすぐらずにはいられない発音機構も出自も異なるこれらの興味深く価値ある鍵盤楽器が、21日の夕方からのコンサートで一挙に並べられ、おのおのの楽器にふさわしい曲により奏でられます!それだけでなく、これらの楽器の誕生秘話を、製作者ご自身の肉声で聞けるという、このまたとない演奏会のタイトルは、〈我こそがピアノの発明者!コンサート〉! ピアノの歴史と誕生に興味のある方にとって垂涎のコンサートになることでしょう!


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《フォルテピアノ(ピアノ指導者限定)》
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2018年07月02日

もっと知りたい!フォルテピアノ・アカデミーSACLA(9)



今年の夏、歴史的な幕開けになるであろう第1回フォルテピアノ・アカデミーSACLAが開催されます。フォルテピアノの第一人者である小倉貴久子さんがプロデュースする、古典派時代のフォルテピアノにどっぷり浸れる贅沢な3日間です。主催は《知っておきたい!トレンド古典派音楽》の塚田聡さんが代表のメヌエット・デア・フリューゲル

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会期中開かれるコンサートはどれも事前予約不要。当日急に思い立って足を運ぶのもアリという、とても気軽なコンサートです。アカデミー中日となる21日は2つのコンサートがあるのですが、今回はそのうちの一つ、入場無料のランチタイムコンサートをご紹介しましょう。

《第2回 ランチタイムコンサート》 
演奏:毛利美智子、加藤美季(フォルテピアノ)、圓谷俊貴(テノール)
2018年7月21日(土)13:15~13:45 
入場料:無料 
使用楽器:ブロードウッド製スクエアピアノ

使用楽器は、第5回でご紹介したスクエアピアノです。当時ブルジョワの家庭では、自らが演奏するという形で、このようなプログラムが愉しまれていたのではないでしょうか。娘のピアノに合わせて父親が歌ったり、お客様がいらっしゃると「ほら、何か弾いて差し上げなさい。」と母親に促されて娘がピアノを披露したり。家庭内に音楽がある光景は、日常だったに違いありません。

J.C.バッハ 1735-1782
 クラヴィーアソナタ イ長調 作品17-5 (毛利)
G.F.ピント 1785-1806
 グランドソナタ ハ短調 (加藤)   
 歌曲「自然への祈り」「羊飼いは清らかなニンフを愛した」(圓谷&毛利)
J.ハイドン 1732-1809
 歌曲「船乗りの歌」(圓谷&毛利) 
 
ヨハン・クリスティアン・バッハは、J.S.バッハの末息子。シリーズ演奏会《小倉貴久子のモーツァルトのクラヴィーアのある部屋》の第3回と第30回で取り上げられた(第30回は《J.C.バッハとW.A.モーツァルトのクラヴィーア協奏曲》としてCD化)、モーツァルトが最も影響を受けた作曲家です。「ロンドンのバッハ」と呼ばれ、ロンドンではスクエアピアノの普及に貢献しました。
  
ジョージ・フレデリック・ピントは、前述のシリーズ演奏会第26回に取り上げられている作曲家です。イギリスに生まれた早世の天才で、なんと20歳という若さでこの世を去ってしまいました。ハイドンをロンドンに招いた音楽興行師として有名なザロモンは、「もし彼が生きながらえていたならば、イギリスは第2のモーツァルトを生み出す名誉を得たであろう」と評したそうです。
  
プログラム最後はハイドンの歌曲。入場無料のランチタイムコンサートでこの贅沢なプログラム! これはアカデミーだからこそではないでしょうか。

《塚田 聡さんのミニコラム》

このスクエア・ピアノによるコンサートで取り上げられる曲は全てイギリスで書かれた作品になります。中嶋さんがおっしゃられる通り、イギリスでは特に新興のブルジョア市民たちによってこうした曲が広く演奏され、また作曲家自身の演奏により〈ハノーヴァー・スクエア・ルームズ〉など、市民の集う気軽なコンサート会場で披露されていました。

このコンサートで演奏する、毛利さん、加藤さんは現在、東京藝術大学の大学院で、フォルテピアノを専門に小倉貴久子の元で勉強している学生です。圓谷くんは、藝大にまず歌で入学し、その後、チェンバロ科で入り直すという才能の持ち主。今でも小倉貴久子の元で熱心に鍵盤楽器演奏を学んでいます。

ところで、リート歌手にフォルテピアノが密かに好まれていることをご存知ですか?繊細な表情を出したいのに、爛々と鳴る現代のピアノにかき消されてしまう声。息を混ぜたり、ささやいたり、ため息をついたり、そんな表情に寄り添ってくれるフォルテピアノと共演したいという歌手が少なくないのです。

また、木目で小ぶりのフォルテピアノの前に、ヴァイオリンやチェロを置いてみましょう。想像するだけで素敵なアンサンブルになりそうでしょう? フォルテピアノは歌や他の楽器とのアンサンブルで、その良さがより発揮される楽器なんです。

フォルテピアノ・アカデミーSACLAでは、できる限り、次回からも様々な楽器とのコラボレーションを楽しみたいと考えています。

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2018年06月29日

知っておきたい!フォルテピアノ・アカデミーSACLA(8)



今年の夏、歴史的な幕開けになるであろう第1回フォルテピアノ・アカデミーSACLAが開催されます。フォルテピアノの第一人者である小倉貴久子さんがプロデュースする、古典派時代のフォルテピアノにどっぷり浸れる贅沢な3日間です。主催は《知っておきたい!トレンド古典派音楽》の塚田聡さんが代表のメヌエット・デア・フリューゲル

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このアカデミーでは、会期中毎日コンサートが開かれます。聴講生は、1日の聴講費4000円に同日のコンサート代も含まれているので、とってもお得。連載8回目となる今回は、アカデミー1日目に開催される《第1回オープニング・コンサート》をご紹介しましょう。

《第1回  オープニング・コンサート》 
演奏:小倉貴久子
2018年7月20日(金)11:00~12:00
入場料:2,000円
使用楽器:A.ヴァルター、J.L.デュルケン、クラヴィコード

使用楽器は、この連載第4回第6回に登場した楽器です。塚田さんが第4回のミニコラムで「デュルケンは軽やかに転がるモーツァルトの音楽そのもののような楽器です。ヴァルター・モデルの楽器は、ベートーヴェンがウィーンで最初に手にしたピアノに近いもので、デュルケンより音がしっかりとしてきます。」とお話しくださったように、ヴァルターでベートーヴェンを、デュルケンでハイドンとモーツァルトを、というプログラム。

〔デュルケンで〕
J.ハイドン 1732-1809  
 クラヴィーアソナタ ニ長調 Hob.XVI:37より第1楽章
W.A.モーツァルト 1756-1791
 クラヴィーアソナタ イ長調 K.331《トルコ行進曲付き》

〔クラヴィコードで〕
C.Ph.E.バッハ 1714-1788
 「わがジルバーマン・クラヴィーアとの別れのロンド」 ホ短調 Wq.66 (H.272)

〔ヴァルターで〕
L.v.ベートーヴェン 1770-1827
 クラヴィーアソナタ「幻想曲風ソナタ」嬰ハ短調 作品27-2《月光》

トルコ行進曲は、ぜひみなさんに一度は聴いていただきたい1曲。耳慣れた、流れるようなトルコ行進曲に「何故これが行進曲なんだろう?しかもトルコ風って?」と不思議に思われている方、きっと小倉さんの演奏を聴いたら「なるほど!これぞトルコ行進曲!」と腑に落ちるだろうと思います。

デュルケンとヴァルターの間に挟まれたクラヴィコードによる演奏は、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハの作品です。エマヌエル・バッハはJ.S.バッハの次男。チェンバロよりクラヴィコードやフォルテピアノを愛用したといわれ、なんとクラヴィーアの独奏曲を200曲近く作曲しているそうです。
  
今回演奏される「わがジルバーマン・クラヴィーアとの別れのロンド」は、シリーズ演奏会《小倉貴久子のモーツァルトのクラヴィーアのある部屋》の第31回でも取り上げられた曲目で、悲哀がひしひしと伝わってくる曲です。クラヴィコードの繊細な響きと、ベーブンクと呼ばれるビブラート効果が存分に味わえますよ。

最後のヴァルターによるベートーヴェン第1楽章は、ベートーヴェン時代のフォルテピアノだからこそ実現できるペダリングに注目! そして、小倉さんの勢いある第3楽章も聴きどころの一つとなるでしょう。魅力あふれるプログラムに、ワクワクが止まらなくなります♪
  
《塚田 聡さんのミニコラム》

〈第1回フォルテピアノ・アカデミーSACLA〉のオープニング・コンサートは、小倉貴久子のトークつきのコンサートになります。 ここで初めてフォルテピアノの音を耳にされる方もいらっしゃるかもしれませんね。

最初に聴くフォルテピアノの音はどのように感じられるでしょうか。小さな音に物足りなさを抱かれるかもしれません。

しかし、リズムの生き生きと跳ねるハイドンの音楽、トルコの軍楽隊のもつジャラジャラとした鳴り物を模した音楽がピアノから飛び出してきたら、防備することなく捉えてみてください。その等身大の音楽の中には作曲家の想いがたくさん込められているはず。

カール・フィリップ・エマヌエル・バッハは興が乗ると、涙を流し涎を垂らしながらクラヴィコードの前に座り即興を奏で続けたと伝えられています。 クラヴィコードはとりわけ小さな音の楽器ですが、耳が慣れてくると、心が共振して体の細胞の隅々まで情感が行き渡るような感じを覚えるはず。

ベートーヴェンの月光ソナタ。第1楽章はダンパーペダルを解放し続けながら演奏します。「そんなこと可能なの?」「ベートーヴェンの指示なの?」・・・小倉貴久子のトークと演奏で秘密が明かされることでしょう。

最終楽章は、ヴァルター・ピアノがフルに鳴り、ベートーヴェンの情熱が露わになります。この100%の全力感が、フォルテピアノを用いた演奏の大きな魅力。ぜひ体感してみてください!

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