知っておきたい!トレンド古典派音楽

2017年11月08日

知っておきたい!トレンド古典派音楽(1)

新企画スタート! ナチュラルホルンを得意とするプロのホルン奏者で、フラウトトラヴェルソを愛奏する古典派音楽の愛好家にして音楽事務所メヌエット・デア・フリューゲル代表の塚田聡さんに、私の興味が赴くままにインタビュー♪ 


古典派時代 流行作曲家は100人以上?!

— 塚田さんのサイト《古典派シンフォニー百花繚乱》では、18世紀初頭から1823年(ベートーヴェンが第9番「合唱付き」を作曲した前年)までに活躍した作曲家が取り上げられていますが、現時点(2017年11月6日)で32名! 今は知られていない、当時流行した作曲家がこんなにいるということにとても驚かされました。

このサイトで紹介したい作曲家を思いつくままにリストアップしていますが、古典派時代にシンフォニーを作曲していた作曲家がもう100人を超えています。この中から誰をセレクトして紹介しようかと迷うぐらいたくさんいますね。 しかも、今の時代すごいのが、それらの作曲家たち、辞典の中に鎮座しているだけではなく実際に彼らのシンフォニーがCD等で聴けるのです!

— このサイトはそれを聴けるのが魅力ですね。

私はこのサイトで紹介する条件に「実際に音が聴ける作曲家(録音のある)」と掲げています。今まで紹介してきた32人のページには各々YouTubeにリンクがはってあって、実際にシンフォニーが聴けるようになっています。アンテナを張り巡らせば、今すぐにでも聴ける古典派シンフォニーなのです。 しかも大概のそれら演奏は刺激的でおもしろいもの。未知の作曲家たちのシンフォニーがヴェールの向こうから立ち現れてくる瞬間はとても興奮しますね。 古典派の作曲家というと、大抵の人は指折り数えても、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、ボッケリーニ・・・と両手にもいかずに終わってしまうと思うのですが、本当にたくさんの作曲家がいたのです。

古典派シンフォニー百花繚乱サイトトップページ


お抱え音楽家は大忙し。料理などの雑務をこなしていた音楽家もいた?!

— これらの演奏がとても刺激的でおもしろいのは、そういう楽曲が求められたということでしょうか。宗教音楽を除いて、当時の作曲家にはどのような活躍の場があったのでしょう?

古典派シンフォニーがどこで書かれていたかを知るのは、当時の歴史の流れや勢力図を見るようでなかなかおもしろいんですよ。多くの音楽家を雇える皇帝や選帝侯、大司教の治める街には大概それなりの大きなオーケストラが組織されていたんですが、フランス革命前夜より、王族は縮小への道を余儀なくされていきます。モーツァルトが就職活動に窮した話は有名ですけど、実は1780年代、音楽家を雇い入れる余裕のあるかつての大宮廷は驚くほど急激に減少していきました。
神聖ローマ帝国内の現在のドイツは昔、さまざまな領邦国家から成り立っていたことはご存知だと思います。ごく小さな国でも、音楽好きの領主は音楽家を集めて音楽会を催していました。大抵はオーケストラまでは組織できませんでしたが、力のある貴族は、かなりの音楽家を召しかかえていました。代表的な例は、ヨーゼフ・ハイドンを雇い入れたエステルハージの宮殿でしょう。他にもレーゲンスブルクのトゥルン・ウント・タクシス公やエッティンゲン=ヴァラーシュタインの宮廷など、小さな街でも個性的なオーケストラが組織された例がいくつもありました。


— 小さな街の個性的なオーケストラ! こちらもとても興味があるので、いずれもっと深くお伺いしたいのですが、まずはシンフォニーが貴族の宮廷でどういった機会に演奏されたのかについてお話しいただけますか?

そうですね。モーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」はご存知ですか? 終幕、ドン・ジョヴァンニが石像になった騎士長を夕食に招くシーンで、舞台上に管楽合奏団(オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンが2本ずつ)が並んで、ドン・ジョヴァンニの求めに応じて、流行りの曲(歌)を次から次へと演奏してゆきますよね。ドン・ジョヴァンニはスペインの貴族ですから、やはり8人ぐらいの音楽家を雇っていたのでしょう。
ちなみに彼らは演奏だけをしていたわけではありません。主人がテーブルにつく前は、テーブルに並ぶ料理をつくっていたでしょうし、食事を用意する合間には庭師、会計係、などなど昼間はそのような雑務をこなしていたのだと思います。大きな街の音楽家だったら、劇場や宮廷をハシゴしていろんなところで演奏していたんではないでしょうか。
金銭的に余裕のある貴族は、そこに楽長、つまり音楽に専念する人を一人雇って、オリジナル曲を作曲させたのです。ハイドンはエステルハージで、楽器の管理から音楽に関する細かな仕事を一手に任されていました。朝から大忙しです。
演奏する場所は、それこそ宮廷の事情によりさまざまだったのではないでしょうか。食事の際のBGM、広間での演奏。そう、劇場までもっている貴族はそうそういませんから、オペラは王族が管理、シンフォニーに代表される器楽作品は、こういった地方の貴族の元でつくられることが多かった、とひとつ言えそうです。これらは一例ですが。


次回は、食事の際のBGMや貴族が催す音楽会で演奏された作品、その楽器編成などについて伺っていきます♪


塚田 聡(つかだ さとし)
東京芸術大学卒業後アムステルダムに留学、C.モーリー氏にナチュラルホルンを師事する他、古典フルートを18世紀オーケストラの首席フルーティスト、K.ヒュンテラー氏に師事するなど古典派音楽への造詣を深めた。2001年に再度渡欧、T.v.d.ツヴァルト氏にナチュラルホルンを師事する。音楽事務所メヌエット・デア・フリューゲルの代表。
・ディスコグラフィ・
ナチュラルホルン〜自然倍音の旋律美と素朴な力強さ
森の響き 〜ドイツ後期ロマン派・ブラームスの魅力〜
・ホームページ・
ラ・バンド・サンパ
古典派シンフォニー百花繚乱
シューベルト研究所
ナチュラルホルンアンサンブル東京


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