ピアノ/レッスン

2017年11月22日

耳が追いつくように

大人の生徒さんのレッスン、ブラームスの間奏曲作品118。写真の部分は繰り返し弾くことになりますが、1回目はソプラノを響かせ、2回目はテノールを響かせたい生徒さん。ところが、2回目の演奏が切羽詰まったあわただしい演奏に聴こえてしまいます。


118


「この音域はソプラノより耳に届きにくいんだよね。今の弾き方だと、ようやく耳に届いたと思ったら、もう次の音が鳴るものだから、聴いていてものすごくあわただしく聴こえてしまう。1回目よりゆったりした気持ちで、テノールの音がきちんと聴く人の耳に追いついてから次の音を弾くようにすると、あわただしさがなくなるよ。」  


こうアドバイスしたところ、見違えてよい演奏になりました。
写真の青部分。生徒さんは左手から右手へと繋いでいく旋律の動きは意識できるようになっており、指も迷うことなく正しい音で弾けるようになっていたので、こちらも楽譜の読み込みや体の使い方ではなく、「耳の使い方」という角度からアプローチ。


「耳がこの音域に慣れたところで急に音が高くなる。こんな風にいきなり音域が高くなると、その変化に耳が追いついていけなくなっちゃうんだよね。そうすると、耳が迷子になって(ド??ファ)みたいに穴あきのメロディに聴こえちゃう。耳が(ラ)に追いついてから(ソ・ファ)を弾くと、きちんとメロディが耳に届くようになるよ。」  



こちらもこのアドバイスで一気によくなりました。
1回目のテンポと2回目のテンポ、テノールが耳に届くことを意識して弾くと、メトロノーム的には2回目の方が1回目より少し遅くなります。でも、聴く側の体感としてはそのほうが同じテンポに聴こえるんですよね。逆に、メトロノーム通り1回目と2回目を同じテンポで弾くと、耳がテノールに追いついていけなくなるので、体感としては2回目の方がより速く、焦って弾いているように聴こえるのです。  

ここで大切なのはテンポを意識することではなく、耳に届く音を意識することだろうと思います。こういうときは「耳が追いついてから次の音を弾く」を意識できれば、自然なテンポ感で歌心を感じる演奏になるだろうと思います。  

このような耳の錯覚については、近々発売予定の《知っておきたい!ピアノ表現27のコツ〜センスがないとあきらめる前に〜》(音楽之友社)の第3章『そう聴こえるということ』に書いたのですが、「耳が追いつく」には触れていなかったので、ブログ記事にしました。   

表現豊かに聴こえてこない原因は、楽譜の読み込みなのか、体の使い方なのか、耳の使い方なのか、さまざまですが、その原因を突き止め、「なるほど!」と思ってもらえるレッスンができたならと思います♪





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emksan at 11:07|Permalink

2017年08月24日

レッスンアプローチ、久々に動画でご紹介

FBに3種類の動画を投稿しました。最近はFBを中心に投稿しています。FBをしていない方へ向けて、FBに投稿したものをこちらでご紹介することにしました♪

1)モーツァルトのソナタK.545 5度下降するゼクエンツへのアプローチ

2)読譜へのアプローチ

3)手の形へのアプローチ


2)と3)は、広汎性発達障碍で多動な小学2年生へのアプローチを例にしていますが、どちらも障碍あるなし関係ないアプローチとなっています。アプローチ方法は同じでも、相手の心を揺さぶる声掛けや導入方法は異なってくるものですね。そのため声掛け、導入方法はこの子に向けたものになっていますが、内容そのものはすべての生徒さんに使えます。


1)モーツァルトのソナタK.545 5度下降するゼクエンツへのアプローチ方法

基本的な譜読みはできるのですが、細かな16分音符に惑わされ、譜読みが弾くスピードに追いつかず、なかなかつっかえずに弾けるようになりません。そこで、5度下降するゼクエンツの美しさに気づいてもらうことにしました。宿題は、最後の動画の方法。ラーレーソードーと歌いながら弾いてくることです。小さなステップでじっくり取り組んだので、ここまでくれば一人で歌いながら弾けます。こんな風にソルフェージュとピアノを一体化させたレッスンが好き♪




2)読譜へのアプローチ

広汎性発達障碍で多動な小学2年生の男の子。知的障碍は伴っていないので普通学級に通っています。最近成長著しく、いろんなことに挑戦できるようになってきました。 数か月くらい前から読譜へのアプローチを開始。ト音記号ヘ音記号、それぞれドレミファソが読めるようになってきました。もちろんまだ怪しいですが、順番にカードを並べることができるなど、音符の成り立ちは理解できています。   

これまで「白の音符も黒の音符も同じ音」と説明した上で、音符を読めるようになってくれてはいますが、リズム譜へのアプローチは混乱を避けるためにしていませんでした。前回から、そろそろ導入してもよさそうと判断し取り入れています。 リズム譜と音符を一体化させるためのアプローチとして、考えてもらったリズムに音を当ててもらい、それを私が楽譜に書くというアプローチをしたのですが、前回は初めてのことばかりだったので、一瞬眺めてもらうだけとなりました。 ところが、今回はすごかった!   
 
1)リズムを考える
2)リズムに音をつける
3)私がそれを楽譜にするところを見る
4)楽譜にしたものを見ながら弾く   

一気にこれができたのです。拒否は一切なし。ただ、もう一つやろうよと誘ったところ「もう思いつかないよ!」と拒否。その代り「ピアノが弾きたい!」とその場で思いついたメロディを弾いてくれました。そこには私がまだアプローチするつもりのなかった8分音符があったのですが、こういうときはこの子の発想に乗っかっちゃったほうがレッスンがうまくいくので、この子が即興した曲をその場で楽譜に書いてみせることにしました。この詳細は動画をご覧ください♪

私はこんな風に、生徒さんの発想に乗っかったレッスンが大好きです。教えられることが苦手で、こちらの提案を拒否しがちな子へのレッスンのコツは、その子の発想に乗っかっちゃうことにあるのかもしれません。この調子なら30分レッスンを45分レッスンにできそう〜。




3)手の形へのアプローチ

「手の形へのアプローチ」は、障碍あるなしに関わらず同じアプローチをしています。しかし、心を揺さぶる声掛けや導入方法は、生徒さんによって違ってくるものですよね。特に、発達障碍の子には工夫が必要となります。2)の子にこのアプローチをしたので、その声掛けや導入方法を例に、手の形へのアプローチ方法をご紹介しようと思います♪




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emksan at 11:02|Permalink

2017年07月24日

あったかい気持ち

発表会終了。あらためて、多くのあたたかな人たちに囲まれて、私の人生はあるのだと思った一日でした。なんてなんてあったかいんだろう! お手伝いしてくれる仲間も、毎年聴きに来てくださる生徒さんたちの親御さんや親戚の方々も、みんなみんなあったかい。
  
うちの教室は、毎年「ホームコンサート」という名称で発表会を開催しているのですが、まさにこの名の通り、みんなで作り上げるみんなのコンサートが育まれてきました。演奏者のためだけではない何かが、そこにはあるんですよね。そこにいる誰もが幸せな気持ちになれる、そんな空気感。
  
このコンサートでは、私が司会というか、その時々の流れを舞台上でお話するときがあるのですが、そのときのみなさんの眼差しのあたたかいことったら! 本当は人前でお話するのが苦手なのに、会場のあたたかな空気に包まれると、緊張がほぐれて自然に話せる自分がいます。
  
最近は涙腺が弱くなり過ぎ、泣くつもりなんて全然なかったのに、突然涙が出てきて困ってしまう。そんな私に「がんばれ!」と声をかけてくれる友人たち。「ありがとうございました」とおじぎをして顔をあげた瞬間、会場から湧き出た大きなブラボーの声、声、声。抑えたはずなのに、またまた涙が溢れ出てしまう。
  
ここが私の居場所。生徒さんや親御さんたちとの関係は、私の人生の宝物。私がまっすぐに前を向いて歩いていけるのは、ここがあるから。決して見失ってはいけないものがここにあるのだと、ホームコンサートを終えるたび初心にかえります。みんな大好き!
  
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emksan at 10:06|Permalink

2017年03月01日

複雑なリズムへのアプローチ

ある先生からリズムの指導法についてご相談があったので、
私のアプローチ方法を動画に録画してFBにアップしました。
下のリンクは、FBをしていない方にもご覧いただけます。

https://www.facebook.com/emikopiano/videos/696446343871682/?l=3000776816306115879

この教具を製作したのは2005年のこと。
私がエクセルで作ったものを、
作業所の自閉症の子が丁寧にハサミで切ってくれました。
  
今の私がいるのは、
金田理恵子先生という福祉大卒のピアノ指導者で、
レッスンアプローチの引き出しを
たくさん持っていらっしゃる先生との出会いがあったからです。

ちょうどこの頃、この先生が作業所を立ち上げ、
「作業所で作れるよ」と快く引き受けてくださったのでした。
マグネットにできるのか悩んだのですが、
さすが金田先生! 
可能にしてくださったのでした。

この教具は発達障碍の子以上に、
ブルグミュラーを弾く定型発達の子、
ピアノ愛好家の大人の生徒さん、
ピアノ初心者の大人の生徒さんに活躍しており、
誰でもその場でスッと理解してくれる、
私にとっては手放すことのできない、
ありがたい教具となっています。

自閉症の子が一枚一枚丁寧にハサミで切っていくので、
商品化はされていませんが、
エクセルファイルは私が作成したので、手元にあります。
音符はペイントツールで描きました。

あの頃の私は若かった!
このファイルを作るのに、
かなり手間取った記憶があります。
なにせ、いろんな長さのタイまで用意したので。
このタイもかなり使えるんですよ。
ポピュラーを弾く生徒さんに、大活躍しています。

すべて切るのは大変な作業だろうと思うのですが、
欲しい方もいらっしゃるのではと思い、
こちらにPDFファイルをリンクさせていただくことにしました。
どうぞご自由にお使いください♪


rhythm1) 4分音符
http://musestown.livedoor.biz/rhythm1.pdf

rhythm2) リズムパターン1拍分:8分音符、付点のリズム、16分音符
http://musestown.livedoor.biz/rhythm2.pdf

rhythm3) 8分音符、4分休符、8分休符
http://musestown.livedoor.biz/rhythm3.pdf

rhythm4) 2分音符、リズムパターン2拍分
http://musestown.livedoor.biz/rhythm4.pdf

rhythm5) タイ、アクセント
http://musestown.livedoor.biz/rhythm5.pdf

rhythm6) 付点4分音符、16分音符、16分休符
http://musestown.livedoor.biz/rhythm6.pdf

rhythm7) リズムパターン:シンコペーション、連符など
http://musestown.livedoor.biz/rhythm7.pdf


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emksan at 21:04|PermalinkTrackBack(0)

2017年01月23日

2拍子と4拍子の体感の違い(動画)

ムジカノーヴァ連載第2回の拍子感について、
動画で説明したものをネット上にアップしました。

念のため1拍子と私が呼んでいる、
拍子感を感じない唱え方も入れているのですが、
これはどうも慣れず、
少し2拍子に近い唱え方になってしまいました。
しかし、2拍子、4拍子、裏打ちの違いは、
はっきり感じ取っていただけるのではないかと思います。

拍子ごとに説明を加えているため、
それぞれの違いを聴き比べられるように、
タイムを表示しておきますね。

1拍子・・・00:20
2拍子・・・01:06
4拍子・・・01:40
裏打ち・・・02:10

特に、最後に説明している、
数字を唱えるだけで拍子を感じる方法は、
生徒さんにとても伝わりやすい方法だと感じています。

手の動き、言葉の抑揚、
すべてで拍子感を表現できると、
レッスンが生き生きとした音楽的なものになるのではないでしょうか。

・2拍子と4拍子の違い
https://www.facebook.com/emikopiano/videos/676434275872889/?l=6978219981058427002

・連載第2回補足動画バイエルより
https://www.facebook.com/emikopiano/videos/676468355869481/?l=3470967699666551268


【補足】

動画内で使用しているソルフェージュ教材は、
「リズム練習とソルフェージュ(1) リズムを叩きながら歌おう」(全音)です。

普段、導入期からの生徒さんには、
この教材は使用しておらず、
呉暁さんのソルフェージュ教材(音楽之友社)を使用しています。

しかし、ソルフェージュ教材を用いてのリズムや視唱は、
ピアノレッスンの冒頭に1曲やり、宿題にするだけで、
拍子感へのアプローチは、
弾いている曲を用いての指導を主としています。


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emksan at 13:49|PermalinkTrackBack(0)

2017年01月22日

拍子を感じるってどういうこと?

今月20日発売のムジカノーヴァ2月号、
連載第2回のテーマは拍子感です。
拍子、ではなく、拍子感。

s-DSCF0001


私は導入期から小学3年生くらいまで、
これでもかというほどしつこく、
拍子感へのアプローチをしています。
記事に書いたように、ソルフェージュ教材だけでなく、
これから弾くという楽曲すべて、
この記事に書いた方法でアプローチするのです。

ブルグミュラーレベルの曲でも、
全部通してするわけではないですが、
部分的にこの方法でアプローチすることが多々あります。

ここで私が訴えたいと思うのは「拍子」ではなく、
「拍子感」という体感です。
記譜のルールとしてではなく、体感としての拍子。

頭で理解しただけでは、
音楽表現に結びつかないものですよね。
理解をいかに演奏に生かすか?
ピアノ指導者になってから、
ずっと追求し続けてきました。

この連載では、
楽典の知識をいかに演奏に生かすか?という視点で、
いずれ語らせていただくことになりますが、
まずは、楽典の前に基本となる拍子感。

・息を止めて演奏してしまう
・テンポが安定しない
・演奏が重たい
・リタルダンドが不自然になってしまう
・アッチェレランドが不自然になってしまう

いずれも、原因のひとつに、
「拍子感」という体感を理解できていない、
もしくは未熟であることが挙げられるのではないでしょうか。

連載第3回は「同音連打に表情を」というテーマで、
ソナチネを用いてお話し、
第4回は「ブレス位置を大切に」というテーマで、
ショパンを用いてお話する予定ですが、
いずれも連載第2回に書いた拍子感が基本となります。

たった3ページの単純な内容にみえますが、
実際に体感していただき、
今後続く連載も、
この体感を通して読んでいただけたら嬉しいです。


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emksan at 10:19|PermalinkTrackBack(0)