2018年07月06日

もっと知りたい!フォルテピアノ・アカデミーSACLA(10)



今年の夏、歴史的な幕開けになるであろう第1回フォルテピアノ・アカデミーSACLAが開催されます。フォルテピアノの第一人者である小倉貴久子さんがプロデュースする、古典派時代のフォルテピアノにどっぷり浸れる贅沢な3日間です。主催は《知っておきたい!トレンド古典派音楽》の塚田聡さんが代表のメヌエット・デア・フリューゲル

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アカデミー中日となる21日2つ目のコンサートは、チェンバロ製作家、久保田 彰さんのお話が聞けるコンサートです。

《第3回 我こそがピアノの発明者!コンサート》

演奏:小倉貴久子 お話:久保田彰
2018年7月21日(土)17:30~18:30
入場料:2,000円
使用楽器:クリストーフォリ、タンゲンテンフリューゲル、クラヴィシンバルム

久保田さんは、1991年邦人チェンバリスト(武久 源造氏)が邦人製作家(久保田 彰氏)の楽器を用いて国内レーベルからリリースするという、記念すべき純国産の初CD「シフォーチの別れ」に携わり、1998年から2004年まで東京藝術大学、非常勤講師として古楽器科「チェンバロ建造法」という講義を担当なさった、古楽愛好家でこの名前を知らない人はいないだろうというほど著名な方です。

こちらは久保田チェンバロ工房の公式サイト。ここにある作品・写真集を眺めているだけでワクワクしてきますが、「打弦」にこだわったこのアカデミーでは、チェンバロではなくクリストーフォリタンゲンテンフリューゲルクラヴィシンバルムが登場します。これら3台とも久保田さんが製作なさった楽器です。

〔クリストーフォリで〕
D.スカルラッティ 1685-1757 
 ソナタ ニ短調 K.1
L.M.ジュスティーニ 1685-1743 
 チェンバロ・ディ・ピアノ・エ・フォルテすなわち、    
 いわゆる小さなハンマー付きチェンバロのためのソナタ ホ短調 作品1-4
G.F.ヘンデル 1685-1759
 クラヴサンのための組曲集より
 エアとヴァリエーション ホ長調《調子の良い鍛冶屋》  

〔クラヴィシンバルムで〕
「ファエンツァ写本」より

〔タンゲンテンフリューゲルで〕
J.S.バッハ 1685-1750
 平均律クラヴィーア曲集第1巻より
 第1番プレリュードとフーガ ハ長調 BWV846
W.A.モーツァルト 1756-1791
 クラヴィーアソナタ 変ホ長調 K.282

バロックから古典派時代の半ば頃まで、チェンバロとフォルテピアノは共存しており、どちらの楽器で演奏するか指定されていないケースが多いのですが、このプログラムにはジュスティーニの名前がありますね。ジュスティーニは、世界で初めてハンマーを持つ鍵盤楽器のために作品集を書いた作曲家です。

小倉さんは久保田彰氏製作のクリストーフォリで、ジュスティーニのソナタ集を録音なさっているのですが、これがもう、本当に、魅力的な曲ばかりなんです。フォルテピアノという新しい楽器に出会ったジュスティーニの感激が伝わってくるような曲ばかり! このジュスティーニを、当時の楽器クリストーフォリで聴けるだなんて、そうそうあることではありません。
  
しかも、このコンサートにはタンゲンテンフリューゲルやクラヴィシンバルムも登場。これは世界でも珍しい、いや、もしかしてこの3台が集まってのコンサートは世界初?! 兎にも角にも、それくらいとぉっても貴重で珍しいコンサートなのではないでしょうか。
  
クラヴィシンバルムで演奏される曲は、中世時代の写本から。24調の音階がまだなかった時代、当時使われていた旋法による曲を当時の楽器で。きっと異次元の世界へ私たちをいざなってくれる、またとないひとときになることでしょう!

《塚田 聡さんのミニコラム》

中嶋さんが紹介してくださった通り、久保田彰さんは、チェンバロづくりの日本を代表する大御所です。

そんな久保田さんが、今回特別に3台の打弦鍵盤楽器をフォルテピアノ・アカデミーSACLAに提供してくださいます(チェンバロは撥弦鍵盤楽器です)。 久保田さんの原動力は、尽きることのない発明心と探究心、好奇心にあると思います。

ピアノ(打弦鍵盤楽器)第1号として知られる〈クリストーフォリ〉。その楽器を知らなかったシュレーターが、我こそがピアノの発明者として主張した〈タンゲンテンフリューゲル〉。そして、クリストーフォリより遡ること150年も前に考案されていた〈クラヴィシンバルム〉。

いかにも久保田さんの心をくすぐらずにはいられない発音機構も出自も異なるこれらの興味深く価値ある鍵盤楽器が、21日の夕方からのコンサートで一挙に並べられ、おのおのの楽器にふさわしい曲により奏でられます!それだけでなく、これらの楽器の誕生秘話を、製作者ご自身の肉声で聞けるという、このまたとない演奏会のタイトルは、〈我こそがピアノの発明者!コンサート〉! ピアノの歴史と誕生に興味のある方にとって垂涎のコンサートになることでしょう!


アカデミーリンク用画像

《フォルテピアノ(ピアノ指導者限定)》
FBに非公開グループを作成しています。小倉貴久子さんもメンバーに加わってくださっている、とても贅沢なグループです。フォルテピアノについてよく知らないという方も大歓迎。投稿を読むだけでも面白いグループなので、どうぞお気軽にメンバーリクエストしてくださいね♪
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emksan at 09:29│ フォルテピアノ・アカデミーSACLA