2018年06月19日

もっと知りたい!フォルテピアノ・アカデミーSACLA(5)



今年の夏、歴史的な幕開けになるであろう第1回フォルテピアノ・アカデミーSACLAが開催されます。フォルテピアノの第一人者である小倉貴久子さんがプロデュースする、古典派時代のフォルテピアノにどっぷり浸れる贅沢な3日間です。主催は《知っておきたい!トレンド古典派音楽》の塚田聡さんが代表のメヌエット・デア・フリューゲル

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前回ほんの少し触れたスクエアピアノ。このアカデミーでは、1814年製ブロードウッドのスクエアピアノが使用されます。ブロードウッドはイギリスを代表する製作家です。当時イギリスではスクエアピアノが大流行しました。何故これほどまでにイギリスでピアノが流行したのでしょう?

18世紀半ばまで鍵盤楽器の製作といえばドイツが主流で、19世紀後半の研究が世間に広まるまで、そこで活躍していたジルバーマンがピアノの発明家だと誤解されていたほどでした。このジルバ―マンのもとで多くの技術者が育ったのですが、ジルバーマンが亡くなった直後、プロイセンとオーストリアの間に7年戦争が起こります。ジルバーマンの技術を受け継ぐ弟子たちは、1760年に集団でイギリスへ渡りました。

弟子たちのリーダーだったツンペは、1761年に自分のアトリエを持ち、そこでスクエアピアノを製作します。現存している最も古いスクエアピアノは1766年製のもの。ツンペのスクエアピアノは、ジャックがハンマーレヴァーの根本を突き上げるという、イギリス式シンプル・アクションと呼ばれるものでした。スクエアピアノは小型で経済的だったため、イギリスで爆発的な人気を得ます。なんと1770年代には1年に何百台も製作されたそうですよ。

先日、この楽器を修復なさった太田垣至さんの工房にお邪魔させていただき、なんとみなさんより一足先にこの楽器を弾いてきてしまいました。あまりの美しい響きに感激! 深さのある箱型ならではの響きに、私は海を感じました。浅瀬、中くらいの深さ、深海。これらを弾き分けられる感覚が得られたからです。これはフリューゲル型(グランドピアノのような)のフォルテピアノにはない感覚でした。
  
ヴァルターに比べるとかなり弾きやすかったのですが、シンプルなアクションとはいえイギリス式だからでしょうか? ほんの少し弾いただけなので、思い返してみると大きな音では弾いていません。ヴァルターは大きな音を響かせるのが難しく、抑揚の幅がどうしても狭くなってしまう私ですが、果たしてこの楽器はどうなのか? アカデミーで試してみなければ!

《塚田 聡さんのミニコラム》

1814年に作られたオリジナルのスクエア・ピアノの登場です。ブロードウッドは、ベートーヴェンに絶賛されたピアノ・メーカー。ベートーヴェンは送られてきたフリューゲル(グランド)型の音域の広くなったピアノに感激して、あの低音和音連打で始まる 〈ヴァルトシュタイン・ソナタ〉を書きました。

まさに時代は産業革命の槌の音が響き始めていた頃。ピアノ自体は強固なつくりを備え音域が広がり、家庭的工房では製作が難しくなってゆきます。 そして一般市民が力をつけ裕福に、生活の時間にも余裕が生まれてきた時代。

彼らの需要に応えたのが、家庭にも置けるこういったスクエア・ピアノだったのです。 飛ぶように売れたこのタイプのピアノは、子女に弾かれることが多かったのでしょう。作曲家は、愛好家向けにソナチネを書いてその要望に応えました。

心を楽に、気軽にかしこまらずに弾くと、活気づいた19世紀初頭の響きが立ち現れるかもしれませんね。


新スクエアピアノ

《会期中のコンサート》
2018年7月21日(土)13:15開演(30分間)
会場:さいたま市プラザウエスト内 多目的ルーム
入場無料 使用楽器:スクエアピアノ 


《フォルテピアノ(ピアノ指導者限定)》
FBに非公開グループを作成しています。小倉貴久子さんもメンバーに加わってくださっている、とても贅沢なグループです。フォルテピアノについてよく知らないという方も大歓迎。投稿を読むだけでも面白いグループなので、どうぞお気軽にメンバーリクエストしてくださいね♪
https://www.facebook.com/groups/189358371794097/

アカデミーリンク用画像


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emksan at 09:36│ フォルテピアノ・アカデミーSACLA