2018年03月09日

これからの時代はフォルテピアノとモダンピアノ分け隔てなく

ショパン国際ピアノコンクールを開催している国立ショパン研究所が、今年《第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクール》を開催します。今後5年ごとに開催されるというこのコンクールで使用される楽器は以下の通り♪ 

【使用楽器】 
1838年、1849年、1858年製のエラール
1846年、1854年製のプレイエル
1843年製のブロードウッド
ヨーロッパの修復家やコレクターから持ち込まれたオリジナル楽器やグラーフやブッフホルツのコピー


このコンクールがめざす主な目的はピリオド楽器による演奏を普及させること。というか、これだけのコンクールが開催されるほど、フォルテピアノが普及してきた、という逆の見方もできますね。 『知っておきたい!トレンド古典派音楽』の連載で話題になったように、世界はフォルテピアノに限らず、あらゆる楽器においてピリオド楽器とモダン楽器の垣根がなくなってきているようです。

ピリオド楽器(作曲家が作曲した当時使用していた楽器)を知ると、作曲家の意図が見えてきたり、当時の演奏スタイルが体感できたり、モダン楽器との向き合い方が変わってきますが、世界では「作曲家が作曲した当時の楽器や演奏スタイルを尊重して演奏しよう」という波が起きているのですね。

このコンクールのガイダンスが、今月13日トッパンホールで行われます。世界の動きに興味があるのと、フォルテピアノによるコンクールへの期待感とで、このガイダンスを聞きにいくつもり。当日は、日本のフォルテピアノ第一人者である小倉貴久子さんによるアドバイス、ダン・タイ・ソンによるトークとデモンストレーションがあり、もうそれだけで十分贅沢な企画ですが、なんと無料なのですヨ。 (このガイダンスのチケット入手はこちら)  

世界がこのような流れになっているのに、日本はどうなっているの?と不安になりますが、日本には世界に誇るフォルテピアノ奏者小倉貴久子さんがいらっしゃいます。塚田さんが主宰するメヌエット・デア・フリューゲルが、この夏《第1回フォルテピアノ・アカデミーSACLA》を開催。小倉貴久子さんがプロデュースする、3日間どっぷりフォルテピアノに浸かれる贅沢なアカデミーです。  

使用楽器を見ると、なんでこんな企画が実現できたの?!というほどすごい。なんと、タンゲンテンフリューゲルまであるじゃぁないですか。タンゲンテンフリューゲルなんて、見ることすらままならないのに、それが弾けるなんてあり得ないほど貴重な機会!   

【使用楽器】
Anton Walter(1795年製の復元楽器 C.マーネ製作)
Johan Lodewijk Dulcken(1795年製の復元楽器 太田垣至製作)
Bartolomeo Cristofori(1726年の復元楽器 久保田彰製作)
Tangentenflugel(Ch.G.Schroter考案のアクションによる復元楽器 久保田彰製作)
J.Broadwood製作のスクエア・ピアノ1814年製 
Ch.G.Hubert(1770年代製の復元楽器 深町研太製作)
打弦タイプのクラヴィシンバルム(久保田彰製作)


なんと聴講生は体験コーナーの時間に多目的ルームに並ぶ5台の鍵盤楽器を小倉貴久子さんのアドバイスのもと体験できるのですよ。(体験コーナー参加希望者は事前申し込みが必要。各日先着10名)   

濃密な3日間のスケジュールは以下の通り。  
スケジュール
 
詳細を知りたい方はこちらをどうぞ。申込受付開始は4月20日午前9時です。私は受講生としてレッスンを受けたいのですが、なにせ受講生は先着8名なのでどうなることやら。先着にもれたとしても、聴講生として3日間どっぷりフォルテピアノの世界に浸かろうと思います。   

日本は小倉さんのおかげで、世界から後れを取らずに済んでいるのかもしれませんね。いや、ピリオド楽器の演奏会が身近なヨーロッパに比べると、「身近さ」という点ではかなり後れているのだろうと思いますが、ピアノ教育においてはまだそこまで後れてはいない・・・と思いたい。   

特に、最近はピアノ指導者がピアノの歴史に興味を持ち、そういったことを生徒さんに伝えるのが当たり前になりましたし、このような内容がムジカノーヴァやピティナなどのセミナーで取り上げられるようにもなりました。 今は日本のピアノ教育界にとって、吸収の時期なのかもしれませんね。ということで、私もどんどん吸収して興味の赴くままに体験していきたいと思います♪   


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emksan at 19:25│ ピアノ/練習&勉強