2017年09月10日

フォルテピアノ第一人者小倉貴久子さんへのインタビュー(2)

フォルテピアノ第一人者小倉貴久子さんのMOOK本「フォルテピアノから知る古典派ピアノ曲の奏法」が、9月20日に出版されます。あまりの嬉しさに大興奮。以前インタビューさせていただいた記事を抜粋でご紹介しています。第2弾となる今回は「ノート・イネガル」についてです。

先日投稿した予告編動画を観ると、「ノート・イネガル」を詳しくお話くださっているようでとても楽しみ! 「イネガルって何?」 もっと知りたくなった方は、ぜひこの書籍と付属DVDでイネガルを体感してみてくださいね。


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【小倉貴久子さんへのインタビュー】
ムジカノーヴァ2014年6月号より インタビュアー中嶋恵美子

―― ところで、そもそもノート・イネガルというのは?

 フランスのバロック、ラモー、リュリ、クープランあたりからですね。当時のフランス人が「ドイツ人はノート・エガール(均等)に弾く」と書いた文書が残っています。もちろん、ここで言う「エガール(均等)」は、21世紀スタイルのエガールとは違いますけれど、17、18世紀には、「ノート・イネガル」奏法を相当やっていたようです。2対1くらいでターヤターヤ(ドーレミーファ)と弾いたり。

―― 3連符くらいですよね。

 ただ、2対1にすればフランスのバロック音楽の雰囲気が出るかといったら、そんな単純なものではない。フランス文化とドイツ文化は全然違うものですから、やはりそこにはセンスが求められます。

―― ノート・イネガルにルールはあるのですか?

 北伊イタリアのロンバルディア地方のイネガルは、「タヤータヤー(短長・短長)」と反対だったと言われていますね。でも、これはある特定の地域だけで、「ターヤターヤ(長短・長短)」が一般的です。

―― 楽譜に書かれた音符すべてを長短で弾くとおかしいですし、実際同じ曲でも、こっちは長短、こっちは均一でとチェンバロ奏者によって違いますよね。その規則性がわからないのですが・・・。

 例えば、クープランには「イネガルをしないで均等に弾くように」とわざわざ書いてある曲もあります。つまり、イネガルは即興的に、その時々の気分で行うものなので、決め事があるわけではないんです。もし、本当に作曲家が「ターヤターヤ」と弾いてほしかったなら、そう書けばよかったわけで、でも、そうは書いていない・・・。

―― ニュアンスなんですね。バッハのフランス組曲も、イネガルで弾けたら素敵なんでしょうけれど、素敵に弾けるかというと・・・。

 恐れずに挑戦してみることです。「いい感じになってきた」と思える瞬間が来るまでには、ある程度、年月はかかると思います。


―― まずは模倣ですね。ラモーやクープランを弾くときには、チェンバロの演奏をそのまま模倣して弾いてはきたのですが・・・。

 それでいいと思います。それを続けることです!





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emksan at 11:46│ 小倉貴久子さんへのインタビュー | ピアノ/練習&勉強