2017年06月13日
生徒さんの興味を惹く
広汎性発達障碍で多動な小学2年生男児。
知的障碍は伴っておらず、通常学級に通っています。
音の並びの可逆性への取り組みを、
鍵盤把握への理解とともに2年ほど続けてきました。
知らないことへの不安感が強いため、
教えようとすると拒否してきたり、
多動が激しくなったり、
頑張り過ぎるとトイレに行きたくなったり、という子です。
幼児期はわからないことにちょっとでも挑戦すると、
「頭が痛いんだ」と言っていました。
これは嘘ではなく、本当に頭が痛くなるんですよね。
それくらい集中力を要するということなのだと解釈しています。
小学2年生になった今では、そういうことがなくなりました。
物事を理解するのに必要な概念が以前よりわかり、
理解しやすくなってきたからだろうと思います。
半年ほど前から、これなら読譜に挑戦できそうだと、
このブログ記事右サイドバーに置いている、
無料読譜教材「図形の把握」を始めました。
ト音記号のドレミは楽勝。
ヘ音記号のドレで壁に当たりました。
このとき、壁を乗り越えてもらえたアプローチを、
こちらにご紹介しようと思います。
この子は、全体像を見せてから、
小さなステップでアプローチするほうが、
理解してくれることが多いので、
まずは、次の写真のように五線譜にシールを貼っていきました。
※理想的なのは、五線の幅に合ったもう少し大きなシールですが、
このときはまだ用意できていなかったので、この大きさのシールになりました。
アプローチ直後のこの子の様子から、
まったく理解できずに拒否反応が現れそうだったので、
線上→線間と順番にシールを貼るアプローチは、
時期尚早だと判断し、
「線と線の間にシールを貼ったり〜
ほら、こんな風に線の上にシールを貼ったり〜」
と自由さをアピールすることに。
「ぼくも貼る!」
この子は興味のあることであれば、
多動がなくなり夢中になってくれます。
また、この前の週に音符を書くところを見せたばかりで、
音符への興味が芽生えてきていたところでした。
次の写真は、このときこの子が貼ってくれたものです。
左側の上行していく音符が最初に貼ってくれたもの。
線間の音ばかりだったので、
「線の上にも貼ってみたら?」
と声掛けしたところ、
言葉の意味が通じていない様子。
「上」というのはとても漠然とした言葉ですね。
下イラストも「線の上」と言えるわけですから、
線間の音符を思い浮かべてしまっても仕方ありません。
「ほら、シールの真ん中に線がきているでしょう?」
「あ〜!ズキュ〜ン!いたぁい!突き刺さってる!」
「そうそう、突き刺さっている音符だよ♪」
このやりとりで、一気に理解が深まりました。
その後、上写真の右側上行音符を貼ってくれました。
ここには線上の音符がたくさん並んでいますね。
線上と線間を自らの選択で貼れるようになりました。
シールを貼っただけでは、
それ以上の理解には至りにくいため、
この子が貼ってくれたシールを読んであげることにしました。
「ト音記号で読んでもらいたい? それともヘ音記号?」
同じ位置に置かれた音符でも、
ト音記号とヘ音記号では読み方が異なるということを、
この段階でわかっていてもらうと、
混乱をきたすことなく、今後の読譜アプローチが進められるからです。
自分が作った楽譜を、先生が音名をつけて歌ってくれる。
これはとっても楽しいワクワクすること♪
「おうちでもシールを貼ってきてね!
Kくんが作った楽譜を先生が歌ってあげるよ♪」
次の写真は、この翌週に持ってきてくれた楽譜です。
この楽譜を見たとき、
これでひとつ壁を越えられるかも!と思いました。
前週のレッスンでは、
最初に全体像を把握させようと上行でシールを貼ってみせました。
しかし、実際の楽譜は上行だけではありませんよね。
発達障碍の子に限らず、幼児においても、
音の並びの可逆性が育まれていないうちは、
楽譜を左から右に読んだとき、
音の並びも逆行せずに、
ドレミファソラシ〜と順番に進むと思い込んでしまうものです。
ここに鍵盤が伴っていたらなおさら!
楽譜は左から右に読むにもかかわらず、
鍵盤上の動きは右から左(高音から低音)だったりするのですから。
この子は特に、この点で混乱するタイプの子。
そのため、この楽譜を私が音名をつけて歌ってあげることで、
理解を深めてもらえると思いました。
この点については、
この1年ほど様々な角度からアプローチしてきているのですが、
まだ反射的な理解には至っていないのが現状です。
もしかしたら、このアプローチが最終的なものになり、
これまで混乱しがちだったことが、完全な理解に至るかもしれません。
「ト音記号で歌う? ヘ音記号で歌う?」
この子は、その両方で歌ってもらいたがりました。
理解したいという欲求があるんですね。
理解するのに必要なパズルのピースがすべて揃ったら、
昨日まであんなに悩んでいたのに、
どうして突然できるようになったの? という時がくるはず。
発達障碍の子が理解に至る道筋は、
定型発達の子とは違うところがあります。
そのため、まるで魔法がかかったかのように、
今までさっぱりだったことが、突然できるようになったりするんですね。
でも、これは突然なことではなく、
着々と脳内で育まれてきたことなのだと感じます。
脳内で理解に必要なピースを集め、必死で組み合わせているようです。
すべてのピースがピタッとはまると、
私たちには突然できるようになったように見えるんですね。
FB非公開グループ『発達障碍ピアノレッスン』では、
現在733名のピアノ指導者&楽器店関係者が集い、
今日私がブログ記事にしたような、
ピアノレッスンにおける様々な投稿がされています。
お勧めの教材、ヒットしたアプローチ、
親御さんとのコミュニケーションなど、その話題は多岐に渡っているうえ、
コメント欄はお互いへの思いやりで満たされています。
一人で悩まれている先生、
どうぞお気軽にご参加ください。
https://www.facebook.com/groups/458864134300478/
また、顔の見えないところでのやりとりが不安な方には、
下記のような勉強会があります。
講師が一方的に話すセミナーとは違う、
双方向性のある交流を大切にした勉強会です。
私にご質問のある方は、
どうぞお気軽に勉強会で声をかけてくださいね。
また、この勉強会では毎回ランチ会をしています。
私も毎回参加しているので、
人前では相談しづらいという方は直接私までご相談ください♪
《東京京浜地区 発達障碍ピアノレッスン勉強会日程》
日時 6月22日(木)10時〜
場所 スター楽器池上店(東京都大田区)
参加費 初回参加者のみネームプレート代の40円
お申込み ikegami@stargakki.com
お問い合わせ 03-3755-2131 担当:佐藤
※必ず『発達障碍ピアノレッスン勉強会』と件名にご記入ください。
※参加者全員へメールを配信しています。 メールが届かない場合はお電話ください。
http://musestown.livedoor.biz/benkyoukai3.pdf
クリックで応援してネ♪
知的障碍は伴っておらず、通常学級に通っています。
音の並びの可逆性への取り組みを、
鍵盤把握への理解とともに2年ほど続けてきました。
知らないことへの不安感が強いため、
教えようとすると拒否してきたり、
多動が激しくなったり、
頑張り過ぎるとトイレに行きたくなったり、という子です。
幼児期はわからないことにちょっとでも挑戦すると、
「頭が痛いんだ」と言っていました。
これは嘘ではなく、本当に頭が痛くなるんですよね。
それくらい集中力を要するということなのだと解釈しています。
小学2年生になった今では、そういうことがなくなりました。
物事を理解するのに必要な概念が以前よりわかり、
理解しやすくなってきたからだろうと思います。
半年ほど前から、これなら読譜に挑戦できそうだと、
このブログ記事右サイドバーに置いている、
無料読譜教材「図形の把握」を始めました。
ト音記号のドレミは楽勝。
ヘ音記号のドレで壁に当たりました。
このとき、壁を乗り越えてもらえたアプローチを、
こちらにご紹介しようと思います。
この子は、全体像を見せてから、
小さなステップでアプローチするほうが、
理解してくれることが多いので、
まずは、次の写真のように五線譜にシールを貼っていきました。
※理想的なのは、五線の幅に合ったもう少し大きなシールですが、
このときはまだ用意できていなかったので、この大きさのシールになりました。
アプローチ直後のこの子の様子から、
まったく理解できずに拒否反応が現れそうだったので、
線上→線間と順番にシールを貼るアプローチは、
時期尚早だと判断し、
「線と線の間にシールを貼ったり〜
ほら、こんな風に線の上にシールを貼ったり〜」
と自由さをアピールすることに。
「ぼくも貼る!」
この子は興味のあることであれば、
多動がなくなり夢中になってくれます。
また、この前の週に音符を書くところを見せたばかりで、
音符への興味が芽生えてきていたところでした。
次の写真は、このときこの子が貼ってくれたものです。
左側の上行していく音符が最初に貼ってくれたもの。
線間の音ばかりだったので、
「線の上にも貼ってみたら?」
と声掛けしたところ、
言葉の意味が通じていない様子。
「上」というのはとても漠然とした言葉ですね。
下イラストも「線の上」と言えるわけですから、
線間の音符を思い浮かべてしまっても仕方ありません。
「ほら、シールの真ん中に線がきているでしょう?」
「あ〜!ズキュ〜ン!いたぁい!突き刺さってる!」
「そうそう、突き刺さっている音符だよ♪」
このやりとりで、一気に理解が深まりました。
その後、上写真の右側上行音符を貼ってくれました。
ここには線上の音符がたくさん並んでいますね。
線上と線間を自らの選択で貼れるようになりました。
シールを貼っただけでは、
それ以上の理解には至りにくいため、
この子が貼ってくれたシールを読んであげることにしました。
「ト音記号で読んでもらいたい? それともヘ音記号?」
同じ位置に置かれた音符でも、
ト音記号とヘ音記号では読み方が異なるということを、
この段階でわかっていてもらうと、
混乱をきたすことなく、今後の読譜アプローチが進められるからです。
自分が作った楽譜を、先生が音名をつけて歌ってくれる。
これはとっても楽しいワクワクすること♪
「おうちでもシールを貼ってきてね!
Kくんが作った楽譜を先生が歌ってあげるよ♪」
次の写真は、この翌週に持ってきてくれた楽譜です。
この楽譜を見たとき、
これでひとつ壁を越えられるかも!と思いました。
前週のレッスンでは、
最初に全体像を把握させようと上行でシールを貼ってみせました。
しかし、実際の楽譜は上行だけではありませんよね。
発達障碍の子に限らず、幼児においても、
音の並びの可逆性が育まれていないうちは、
楽譜を左から右に読んだとき、
音の並びも逆行せずに、
ドレミファソラシ〜と順番に進むと思い込んでしまうものです。
ここに鍵盤が伴っていたらなおさら!
楽譜は左から右に読むにもかかわらず、
鍵盤上の動きは右から左(高音から低音)だったりするのですから。
この子は特に、この点で混乱するタイプの子。
そのため、この楽譜を私が音名をつけて歌ってあげることで、
理解を深めてもらえると思いました。
この点については、
この1年ほど様々な角度からアプローチしてきているのですが、
まだ反射的な理解には至っていないのが現状です。
もしかしたら、このアプローチが最終的なものになり、
これまで混乱しがちだったことが、完全な理解に至るかもしれません。
「ト音記号で歌う? ヘ音記号で歌う?」
この子は、その両方で歌ってもらいたがりました。
理解したいという欲求があるんですね。
理解するのに必要なパズルのピースがすべて揃ったら、
昨日まであんなに悩んでいたのに、
どうして突然できるようになったの? という時がくるはず。
発達障碍の子が理解に至る道筋は、
定型発達の子とは違うところがあります。
そのため、まるで魔法がかかったかのように、
今までさっぱりだったことが、突然できるようになったりするんですね。
でも、これは突然なことではなく、
着々と脳内で育まれてきたことなのだと感じます。
脳内で理解に必要なピースを集め、必死で組み合わせているようです。
すべてのピースがピタッとはまると、
私たちには突然できるようになったように見えるんですね。
FB非公開グループ『発達障碍ピアノレッスン』では、
現在733名のピアノ指導者&楽器店関係者が集い、
今日私がブログ記事にしたような、
ピアノレッスンにおける様々な投稿がされています。
お勧めの教材、ヒットしたアプローチ、
親御さんとのコミュニケーションなど、その話題は多岐に渡っているうえ、
コメント欄はお互いへの思いやりで満たされています。
一人で悩まれている先生、
どうぞお気軽にご参加ください。
https://www.facebook.com/groups/458864134300478/
また、顔の見えないところでのやりとりが不安な方には、
下記のような勉強会があります。
講師が一方的に話すセミナーとは違う、
双方向性のある交流を大切にした勉強会です。
私にご質問のある方は、
どうぞお気軽に勉強会で声をかけてくださいね。
また、この勉強会では毎回ランチ会をしています。
私も毎回参加しているので、
人前では相談しづらいという方は直接私までご相談ください♪
《東京京浜地区 発達障碍ピアノレッスン勉強会日程》
日時 6月22日(木)10時〜
場所 スター楽器池上店(東京都大田区)
参加費 初回参加者のみネームプレート代の40円
お申込み ikegami@stargakki.com
お問い合わせ 03-3755-2131 担当:佐藤
※必ず『発達障碍ピアノレッスン勉強会』と件名にご記入ください。
※参加者全員へメールを配信しています。 メールが届かない場合はお電話ください。
http://musestown.livedoor.biz/benkyoukai3.pdf
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