2016年03月29日

生徒さんと直接の関係を築き上げる

5月に音楽之友社から出版する
知っておきたい幼児の特性』には、
発達心理学者によるコラムがつきます。

この中に「エリクソンによる子どもの発達課題」
というのがあるのですが、
中学生以降は、親よりも指導者との絆が
子どものアイデンティティ形成に
重要な役割を果たしているとあります。 

これは私も実感しているところで、
親御さんの介在なしで、
生徒さんと直接的な関係を築き上げていくことを大切にしています。
小学5,6年生くらいから
徐々にそういう関係を育んでいき、
中学生になるとそれが確立するのかなと。

私は中学生の生徒さんとは、
レッスンの振替やお休みなど
携帯やメールなどを使って、
直接やりとりしています。

もちろん場合によっては親御さんに裏をとったり、
ご報告差し上げることもありますが、
親御さんにしても
子どもに自立してもらいたいという思いが強くなる時期なので
「自分で先生に連絡しなさい」というスタンスになるんですよね。

そのため、私と生徒さんの中で生まれたことは、
親御さんのせいにしたり、
親御さんに解決してもらおうとするのではなく、
私と生徒さんで解決していくというのが私の方法です。
親御さんにご報告することもありますが、
基本的には私と生徒さんという、
2人の関係性の中だけで完結させているのです。

これは発達障碍の子でも同じなんですよね。
徐々に私と生徒さんの間から親御さんがいなくなっていき、
私と生徒さんが直結していきます。
もちろん常に親御さんが付き添いでいらしているような生徒さんは、
そういう関係にはなりづらいですし、
発達障碍の子は携帯やメールをやりだすと、
自制心が効かず相手に迷惑をかけてしまうことがあるので、
他の人とのやりとりには使わせない設定になっている子もいます。 

こういうことを乗り越え、携帯を自立のために有効利用できそうな子は、
レッスンの日程変更など直接メールでやりとりすることになるのですが、
その時期は、高校生になってからという子もいれば、
20歳を過ぎてからという子もいて様々です。

このとき、親御さんはわざと「自分で連絡しなさい」と促すわけですが、
慣れるまでは「ちゃんと報告できてましたか?」という確認もあります。
(これは定型発達の子の場合も同じです)
そうすると、驚くほど詳細をきちんと報告してくれていたりするんですよね。
このように生徒さんと直接やりとりできるようになると、
障碍のあるなしにかかわらず、
生徒さんの成長を感じられることが多々あります。

 『発達障害でもピアノが弾けますか?』(ヤマハミュージックメディア)
に登場する広汎性発達障碍のシンジくんのお母様は、
シンジくんにできることは自分でさせる、
という一貫した方針を持っていらしたように思います。
小学4,5年生の頃だったでしょうか、
泣きながら電話がかかってきたことがありました。

受話器を取ったとたん、
シンジくんの泣いている声が耳に入ってきたんです。 
レッスンでシンジくんがこのように泣きわめき、
パニックになったことは一度もなかったので驚きましたが、
シンジくんでもこんな風にパニックになることがあるんだなぁと思いながら、
電話の相手をしました。

しばらく泣いている声しか聞こえなかったのですが、
遠くの方から「ちゃんと先生に説明しなさい!」というお母様の声。
その後、「うぇ〜〜ん!今日は、ヒック!行けません〜!ヒック!!」
とシンジくん。(笑) 
シンジくんが泣いて電話をかけてきたのは、
このときが最初で最後でしたが、
私はシンジくんが自分で電話をかけてきてくれたことを
とても嬉しく思いました。

今は成人になり仕事をしていますが、
仕事でレッスンに来られない日や、
その振替について自分でメールしてきてくれます。
今ではお母様に確認することもなく、
すべてシンジくんとのやりとりだけでレッスンが完結しています。
レッスン代も自分が稼いだお金で支払っているそうです。
まさに成人のレッスン。 

ところで、シンジくんは子どもの頃から日記や感想文が苦手な子でした。
○月○日どこどこへ行った・・・という
状況報告で終わっちゃうんです。
なのでメールも連絡事項のみ。
そんなシンジくんが、半年ほど前このような→(^−^)
顔文字を文章の最後に付けてきたことがありました。
いやぁ、興奮しちゃいましたヨ。(笑) 
こういうひとつひとつの成長に感激しちゃう私です。

生徒さんと直接的な関係を築けるのは、
親御さんが私を信頼してくださり、
安心して子どもを預けてくださっているからこそと思います。

生徒さんとは一生のお付き合い。
付き添いで来ていた子が自立し、
親の介在なしに先生との関係を築いていく時期は、
発達障碍の子の場合はそれぞれの子に応じて、
定型発達の子の場合は必ずやってくるんですよね。

定型発達の子は、
小学校高学年でその道筋を作り、
中学生で親御さんとタッグを組みながら定着させていくことが、
ピアノを長く続けていくための、
ひとつのコツなのかもしれませんね。


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emksan at 12:23│TrackBack(0) ピアノ/レッスン 

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