2015年08月30日

生徒さんに家で練習してきてもらうことについて

前回の投稿で、
基本、私のアプローチは1日30分、
週4日か5日でも基礎が身につくことを
目標にしていると書きました。

FBでは、この練習量でも生徒さんが練習してきてくれず、
悩んでいる先生が多いというコメントや、
小学高学年になり、
このペースで練習できなくなった生徒さんについての
ご質問がありました。

確かに、私は基本30分の練習を目標にしています。
しかし、全員が30分コンスタントに練習できるかというと、
もちろん、そうでない生徒さんに遭遇することもあります。
例えば、親御さんが共働きのとき。
ドレミの並びもわからず、
鍵盤把握もできていない幼児が、
付き添いなしに1人で練習というのは、
よほど理解力の高い子でなければ無理があります。

しかし、親御さんには練習に付き沿う時間がありません。
お伺いしてみると、本当に無理なんですよね。
仕事から帰ってきたら夕飯を作って、
お風呂に入れて、寝かしつける。
日常生活に追われ、
ピアノを一緒に練習する時間が持てないのです。
一人っ子ならまだしも、兄弟がいたらなおさら。

どう考えても無理なのに、
練習してくださいとお願いしたところで、
問題解決には至りません。
こういうとき私は、生徒さんの理解力の成長を待つことにしています。
1人で練習できるくらいにまで理解力がついてきた頃に、
家での練習を身につけるアプローチをするのです。

それまでは音の並びや鍵盤把握、
ソルフェージュに重きを置いたレッスンをし、
ピアノに関しては教材が進まなくてもよしとし、
変な癖がつかないように、
レッスン内でできる範囲の基礎力を身につけてもらいます。

また、音を出さなければならないピアノは、
夜仕事から帰ってきて夕飯後などに、
練習することはできませんが、
ドリルのようなものであれば、
親御さんのご協力をあおぐことも可能でしょう。
楽譜が読めるようになれば、
1人で練習することができるようになります。

練習を身につけてもらう場合、
週に何日練習するという目標を立て、
練習したかどうかをチェックするシートを使うのもよいですが、
それだけではなかなか身につかない子もいるのではと思います。

私が大切にしていることは、
宿題の内容を生徒さんが理解できているかどうか、です。
なんとなくレッスンではわかった気になっていても、
1人ピアノに向かったら、何をしたらよいのやらさっぱり。
結局わけがわからなくて練習できなかった、
なんてことになりかねません。

しかも、生徒さんはそのことを先生に説明できません。
まだ、それだけの言語能力や、
自分の置かれている状況を把握する力がないからです。

私はレッスンノートを使用しているのですが、
そこに練習方法や、楽曲上注意すべき点を書き入れるとき、
「ここになんて書いたら、家で思い出せるかな?」
と生徒さんに確認することにしています。
生徒さん発案の言葉を記入することもあります。


練習すべき内容を、
生徒さんが把握しているということ。
また、その練習の必要性を納得しているということ。



この2点が、練習が身につくかどうかに関わる、
もっとも重要な点なのではないでしょうか。
何故その練習が必要なのか?
ただ言われたからやるという素直過ぎる子は、
逆に将来危険ではと思います。
こういう他力本願的な素直さは、
音楽的自立を妨げるからです。
逆に、たくさん質問してくる子は伸びますね。

おどおどして質問したくても質問できない、
「わからない」と声に出せず、
自信なさげに首をかしげるような子には、
毎回必ず、理解できているかどうかの確認をしています。
そのため、私の方から質問することが多くなります。

幼児期から小学中学年くらいまでは、
自分に自信が持てない子、
すぐにぐずり出してしまう子、
我儘な言動を見せる子など、
様々なケースがあるのではと思いますが、
こういった子の場合、
家での練習が身につくかどうかは、
それぞれの子の生活背景を理解してあげることが、
大切になってくるのではないでしょうか。

場合によっては、
現状では練習してきてもらうのは無理、
という判断になるかもしれないですし、
本当にケース・バイ・ケースだと思います。

ところで、練習が身についた子でも、
小学高学年くらいから練習時間が取れなくなる場合があります。
物理的に無理な場合と、
友だちと遊ぶのが楽しくなる時期なので、
練習より友だちと遊びたい、
という思いが勝つ場合とがあるのではないでしょうか。

物理的に無理なケースの代表格は中学受験ですね。
私は仙台出身なので、
東京の受験を目の当たりにしてとても驚きました。
今の時代、東京に限らずどの地域でもこうなのでしょうか?
ほとんど毎日塾。
塾にはお夕飯のお弁当を持っていき、
終わるのは夜10時!

1週間のスケジュールを聞き出してみると、
どう考えてもピアノの練習をする隙がない!
レッスンに来る時間を見つけるのすら大変です。
こういう時期のピアノは息抜き。
時々ピアノを弾いて、リフレッシュしてねと。

中学受験をするわけではなく、
友だちと遊ぶのが楽しい場合、
親御さんは「練習しなさい」と声かけするたびに反抗されるので、
「もうピアノを辞めようか」となりがちです。

ピアノ指導者になりたての頃、
私にもこういう生徒さんがいました。
そして、せっかく基礎が身につき、
これからいろんな曲に挑戦できるのに、
というときに辞めていきました。

「ピアノが嫌いなわけじゃない。
ピアノやレッスンは好きだけれど練習は嫌い。
友だちと遊びたい。」

というのが辞めていく理由です。
あのときの私は若く、対処法がわからなかったため、
ただただ仕方ないと諦めるしかありませんでした。
こういう小学高学年の子に、
幼児期と同じスタンスでピアノを教えていたのでは、
ピアノは続かないということに、
今なら気づくことができます。

当時の私は頭が堅かったので、
クラシック以外の曲はほとんどレッスンしていませんでしたし、
せめて小学生のうちは通常のカリキュラムで、
きちんとした基礎を身につけてもらいたいと考えていました。
基礎を確立させるための目標値は、ソナチネやソナタ。

しかし、ブルグミュラーあたりまでくれば、
基礎は応用なんですよね。
指はスムーズに16分音符に対応していますし、
手の形も安定し、指は独立していているからです。

趣味で習っている子全員に、
目指すはベートーヴェンやショパンなどというのは、
無理強いしているに過ぎないのだと思うようになりました。
生徒さんが望んでいるわけじゃないんですよね。
ただ、私が勝手にそれでは弾けたことにならないと、
頑なに思っているだけのこと。

ハノンやチェルニー、バーナムといった教材を使いながら、
基礎を固め、テクニックを向上させしつつ、
生徒さんが弾きたいというポピュラー曲や歌謡曲をレッスンするというのも、
ひとつの方法だと今なら思えます。
ちなみに、中学生以上でクラシックに全く興味のない子へは、
基礎力や応用力に重きを置いていたレッスンを、
趣味としてのピアノにシフトさせるのが、私の常です。

友だちと遊びたいからなのか、
受験があるからなのか、
どちらにしても言えることは、
小学高学年というのは、
ピアノが続くか続かないかの分岐点だということです。

一度こういう経験をしている私は、
前もってこういう時期が来るということを、
親御さんに予告するようになりました。
幼児期から小学低学年くらいまでは、
親御さんがレッスンに付き添ってきてくださいます。

親御さんとのコミュニケーションを深めるのは、
この時期以外にないんですよね。
生徒さんが1人でレッスンに来るようになったら、
親御さんとはたまにしかお会いできなくなり、
コミュニケーションの方法は電話かメールになります。

直接会えるうちはレッスンのたびに、
今、何を目的にアプローチしているのか、
何故、このアプローチを今する必要があるのか、
逐一ご報告することができます。
そのことで、レッスン内容に対する理解を、
より深めていただけるんですよね。

こんな風に直接お会いしておしゃべりしているときに、
予告をするのです。
ピアノに集中できるのは、今のうちだからと。
そのうち中学受験や、塾で忙しくなり、
友だちと遊び始めるといった説明をし、
反抗期で「練習しなさい」という言葉も効き目がなくなると伝えます。


その時期がきたら、細く長く、一緒に見守っていきましょう。
ピアノは続ければ上達します。
中学3年生まで続いたら、趣味として必ず確立します。
小学6年生で辞めてしまったら、弾かないうちに忘れてしまって、
初心者に戻ってしまう可能性の方が高いので、
せめて中学3年生まで続けましょう。


細く長くの時期が来たら、
お母さんと私2人でタッグを組んで、
一緒に見守っていこうね。


確かに、私の目標は1日30分の練習です。
でもそれは、絶対ではないということ。
15分か20分程度しか練習できない時期もあれば、
生徒さんによっては、
1時間以上練習してくる時期もあります。

コンスタントに30分ではなく、
その時々に応じた練習量でも、
基礎は身につくと感じています。
手の形や指の独立など、
変な癖なく、初歩の基礎が身につけば、
あとは、長く続けることが、
ピアノを趣味として確立させるための
条件なのではないでしょうか。


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emksan at 23:29│TrackBack(0) ピアノ/レッスン 

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