2015年07月04日

遠回りも悪くない

10代からこっち、
私の人生はかなりの遠回りだったように思います。
すくなくとも普通の人よりは。(笑)
今日は音楽的側面から、
遠回りだった人生を眺めてみようかなと。

高校を中退し、数年間全くピアノを弾かず、
突如大検を受ける気になって、
たまたま受かって、その年に音大受験。
受験勉強したのは半年くらい。

楽典にしても、ソルフェージュにしても、
ピアノにしても、
子どもの頃の貯金があったので、
なんとか大学に受かりましたが、
「下手になったなぁ。弾けなくなったなぁ。」
というのが正直な気持ちでした。

大学は音大とはいえ、幼児教育科。
のぉんびりとした学科でした。
幼児教育学にのめり込んだということもあり、
ピアノはぼちぼち。
4年間で弾いた曲数は大したものではありません。

けれど、自分に足りない技術はわかっており、
脱力ができない。
これはブランクが原因ではなく、もともとのこと。
ここを抜け出さない限り、
上達は望めないだろうと思っていたので、
どの楽曲に取り組むときも、
1音1音脱力を確認しながら弾く練習をしていました。

まさに、1音1音、ゆっくりゆっくり。
楽曲が変われば動きも変わります。
1音の脱力ができても、まとまりの動きが変化すれば、
脱力のタイミングもなにもかもが変わる。
その兼ね合いがわかりませんでした。
とにもかくにも、まずは1音1音の脱力。

大学4年のとき、
「あれ?昔から指ってこんなに動いたっけ?」
と思うような曲に出会い、
いつの間にか昔の自分を越えていることに気づきました。
ブランクの穴埋めをするのに3年、
大学4年でようやく前進することができたのでしょう。

ピアノを弾くということに関しては、
ブランクの穴埋めだけに3年もかかって、
しかも曲数も驚くほど少なくてと、
なんともかんとも遠回りというのか、
遅々とした進みとしかいいようのないものでしたが、
上達したという実感が持てたのだから、
悪くない4年間だったのだろうと感じています。

ピアノ指導者になり最初の2,3年は、
幼児教育学をピアノ教育にどのように応用させていけばよいのか、
ということにばかり興味があり、
ピアノの練習はそこそこだったように思います。(^_^;)

ところが、生徒さんがどんどん上達し、
ある程度弾ける大人の生徒さんが入ってくるようになって、
このままではまずいぞ!と焦るようになりました。
生徒さんが成長する前に、私が成長していなければ!

幼児教育学という基盤があったので、
押し付けのレッスンはしたくないという思いが強くありました。
音楽的で押し付けのないレッスンとは、どういうレッスンをいうのか?
そのスタンスがわからずに悩みは尽きませんでしたが、
わかっていたことは、
「こういう演奏もあり」「ああいう演奏もあり」
「これはちょっと論外」という判断ができるということでした。

そのためには、楽譜の読み込み能力が必要。
時代のスタイルを知ること、
楽曲構成を知ること、ハーモニーを感じとること。
基本中の基本ですが、
これまでは先生の指示を仰いで曲を仕上げてきました。
自分の脳みそを使って曲を仕上げていたわけじゃないんですよね。
そのため自分なりに楽譜を読み込んで解釈する、
という術を持っていなかったのです。

この能力がない限り、いいレッスンにはならない。
私が望んでいるような、
生徒さんから表現を引き出すレッスンは不可能。
自分が音楽的に自立していないのに、
生徒さんに音楽的自立を促すことなどできるはずもなく、
なんとかして身につけたい。
そう思いながら10年間歩んできました。

成長は、1、2年というスパンでは実感できませんが、
こうして10数年前の自分を振り返ってみると、
欲しいと思っていたものを手に入れている自分がいて、
悪くない10年を歩んできたなぁと思えます。
もちろん、まだまだではあるのだけれど、
確実に10年前の私よりはマシ。(笑)

なんでこんなこともわからないんだろう。
なんでこんなこともできないんだろう。

そんなことの繰り返しだったけれど、
大人になってから苦労して身につけたことって、
教える上では使えるんですよね。
なんで身についたのかわからないというのではなく、
確実に意識的に身につけたことだから。
今では、不器用な遅々とした歩みの人生にも、
得することがあるのだと思えるようになりました。

知らないことを恐れず
できないことを嘆かず

いつから始めても、学びに遅いということはないんですよね。
遠回りも悪くないものですね。
これからも遠回りで、
音楽を味わいながらマイペースに学んでいこう♪


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emksan at 10:29│TrackBack(0) ピアノ/練習&勉強 

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