2015年02月05日

タンバリンを使ったレッスン

時々、レッスンでタンバリンを使います。
大人も子どもも関係なく。

鍵盤を前にすると、
押し下げようと思う気持ちが強く働いてしまい、
体に力が入ってしまいやすい。
こういうとき、ひとまず鍵盤から離れて、
タンバリンやボンゴで大まかな体の使い方を感じてもらうと、
思いのほか上手くいくんです。

昨日タンバリンを使ったのは、
ピアノを習い始めてもうすぐ1年、
初心者の大人の生徒さんでした。
スタカートで腕がカチンコチン。
とっても弾きにくそう!
そこで、脱力の確認をすることにしました。

生徒さんの手首を持ち上げ、


「腕の重さ全てを、手首を持っている私に預けて♪」


と言いました。
さすが習い始めて1年になる生徒さん。
すぐに腕の力を抜いて、
私に腕の重さすべてを預けることができました。


「でも、このままじゃ、ピアノは弾けないよね。
私がこの手を離した瞬間に、
腕はだらぁんと下に落ちてしまうから。
でね、これからこの手を離すから、
この状態を保ったままでいられるかな?」



そう言って、ゆ〜っくり手首から手を離していきました。
ひじのあたりを確認すると、
ブラブラといい具合に力が抜けています。


「ピアノを弾く脱力って、このことなんだよね。
このバランスを維持していること。
これ以上の力は必要ないの。
でね、いつでも意識的にこの状態を作れることが
大切なんだよね。」



何度かこのアプローチを繰り返し、
バランスを保った脱力ができるようになったところで、
次のアプローチに進みました。


「今度は、わざと力を入れてみようよ。
ガッと手を開いて力を入れたら、
すぐにスッと今の状態に戻れるかな?」


これが難しい。(笑)
瞬間的に弛緩をコントロールするって、
なかなかできないことなんですよね。


「そっか!緊張と弛緩なんですね!!!」


生徒さんが目を輝かせて、
納得した!という表情を浮かべてくれました。
こういう瞬間って、とっても嬉しい♪


「そうそう!緊張と弛緩のコントロールなの♪」


何度かやっているうちに、
バランスの取れた脱力を作れるようになってきたので、
タンバリンを叩くことにしました。

音を発する瞬間の体の使い方、
発した直後の体の使い方。
これがなかなか難しい。
初心者の大人の生徒さんによく見られる現象だと思うのですが、
発音のタイミングと体を使うタイミングがずれてしまうため、
本人も違和感を抱きながら弾いていることがあるのです。

多くの場合、演奏直前の準備ができていないんですよね。
タンバリンの場合でも、
何も準備せずに「タン」と叩いたら、
違和感が生じるものです。
叩く前には必ず準備の呼吸がある。

ジャンプをするのと同じですね。
何の準備もせずにジャンプするなんて、
しっくりこないですよね。
「せ〜のっ」という声かけがなかったとしても、
ジャンプする直前には、
必ずジャンプをするための呼吸をしているものです。

これは指揮にも言えること。
発音の瞬間に指示したところで、
オーケストラの音は揃いません。
発音する直前の呼吸を提示するからこそ、
オーケストラの音は揃うのです。

そこで、「せ〜のっ」という掛け声をかけることにしました。
こうしてみると、「せ〜のっ」ってよくできた掛け声ですね。
「のっ」の瞬間に体から力が抜けてくれるのですから。
力が抜けることでそこに適度な瞬発力が生まれ、
体をコントロールしやすくなります。
その上、発音のタイミングと体を動かすタイミングが合うので、
叩いた直後も脱力しやすくなるんですよね。

こんな風に、10分だったか15分だったか。
あれやこれやとタンブリンやボンゴを使って、
手首、ひじの使い方を伝授しました。

その後再びピアノに向かい、
楽譜に書かれた音符をスタカートで弾いてもらいました。
さっきより見違えてよくなっています。
ただ、何度もやっているうちに、
弾くことに夢中になり、腕に力が入りやすくなってしまうので、
”なんか違和感があるな”と感じ始めたら、
続けざまに弾かないで、
必ず1音ずつ腕や手首の抜きを確認するように伝えました。

それから再び、「せ〜のっ」という掛け声で弾いてもらったところ、
今度は驚くほど歯切れの良い音が響いてきました。


「わぁっ!!!」


本人もびっくり。(笑)
上手くいくと、気持ちがいいんですよね〜。
体はラクなのに、音は響くのですから。
ここまできたら、あとは感覚。


・せ〜のっ という準備の呼吸
・ウワンッ というイメージ



この「ウワンッ」も効き目のある言葉で、
「ウ」が準備に相当し、「ンッ」が抜きに相当します。
「ワンッ」で緊張と弛緩のタイミングが
上手くコントロールしやすくなるようです。

生徒さんにはタンバリンを貸し出しました。
2週間以上レッスンできなくなるので、
じっくりタンバリンと向き合って、
練習してきてもらうことにしました。

これまで何人の生徒さんに
タンバリンを貸し出してきたかなぁ。(笑)
1カ月くらい前に、
ブログ右サイドバーでご紹介している、
広汎性発達障碍のSYOTAくんにも貸し出したばかり。
カンパネラの同音連打が上手く弾けずにいたからです。
タンバリンのお陰で、
ラクに速く同音連打できるようになってくれました。

大人も子どもも、初心者も経験者も、
タンバリンの宿題を出した次のレッスンでは、
みんな体の使い方が上手になっているんですよね。
ピアノのレッスンなのにタンバリンの宿題。
重宝しています♪


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emksan at 12:51│TrackBack(0) ピアノ/レッスン 

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