2014年11月05日

発達障碍児レッスン相談 (6)

〜 発達障碍児レッスン相談 (6) 〜


<相談者>


アスペルガーの息子五年生のことなのですが、サックスを吹いていて、リズムを取ることが困難です。メトロノームにあわせて拍子を取ることができません。それは、合わせようとして合わないのではなく、合っていないことにも気づいていないというレベルです。4分の4拍子でも厳しいです。先月一ヶ月間、小指を骨折したためレッスンをお休みしていたのですが、サックスの先生から、お休みの間もできればなるべく音楽から離れないで、と言われました。そこで、ソルフェージュの本のリズム練習のところだけをピックアップし、息子と二人で手拍子をし、リズムをとる練習をしました。でも、やっぱり素人。あまり、効果がなくて。

リズムが取れるようになる練習、楽譜の音符の長さ、お休みの長さが分かるようになるには、どうしたらいいでしょう?なにか方法があれば、私にできることなら何でもします。サックスの先生にも、必要なら再度相談します。なにか、アドバイスがあれば教えてもらえないでしょうか?


<中嶋>

楽譜が読める息子さんのようですね。理解に至るまで期間はかかるかもしれませんが、アプローチ次第で理解→再現に繋がるのではと思いました。音が伸ばせない、休符が待てないというのは、自閉症スペクトラムの多くの子に見られる現象です。拍子というのは一定の時間軸ですよね。その一定の時間軸と楽譜が一致していないことが原因なのではと思います。しかし、一定の時間軸というのは目に見えるものではありません。耳で論理を理解するのが苦手な自閉症スペクトラムの子にとって、これは大きな障壁になるんですね。そこで、私は一定の時間軸である拍子を、視覚化したアプローチをすることにしています。

※リズムを体感で身につけてしまう子も中にはいますが、音が伸ばせない、休符が待てない自閉症スペクトラムの子は多く、そういう子には一定の時間軸を楽譜で示した、視覚的アプローチが効果的と感じています。ちなみに、自閉症スペクトラムではない知的障碍の子の場合、この視覚的アプローチがかえって混乱を招く場合があります。そういう子へは体感でのアプローチの方が効果的です。

リズム譜


上写真は、楽譜の音符と一定の時間軸である拍子を、視覚的に表示したものです。通常私は、これらを拍子打ちとともにレッスンしています。拍子打ちの詳細についてはこちらをご覧ください。発達障碍の子の中には、一度に2つ以上のことをするのが苦手な子が多いですが、じっくり取り組んでいるうちにできるようになる子が多いように思います。(しかし、数年という期間が必要な場合もあります) ここでは、拍子打ちという方法が取れない場合も考え、視覚的なアプローチに的を絞った方法をご紹介したいと思います。ちなみに、この方法は拍子打ちをしている子にも併用してアプローチしている方法です。



まずは、上動画のように一定の時間軸である拍子を、楽譜上で確認してもらいます。指先で示していくことがとても重要です。次に、下動画のように、一定の時間軸を指で示しながら、リズムを唱えてみせます。



この2つの方法が基本となりますが、以下にその応用編をご紹介していきますね。まずは、3拍子の場合。





次は、符点のリズム。まずは、楽譜上からターアタのリズムだけを抜き出し、これは「ターアタ」だよと伝えます。ここで重要なのは「ア」です。定型発達の子でもそうですが、「ターータ」では、どれくらい符点を伸ばしたらよいのかがわかりません。それは拍子という一定の時間軸を感じずに、符点のリズムを捉えているために起こることなので、ここでは拍子を感じやすい「ア」を入れながら音を伸ばします。

.拭璽▲燭世韻鯣瓦出して、リズムを唱えてみせる

◆孱隠欧硲魁廚箸いη鏤劼鯆鷦┐垢襦「と」を加える方がわかりやすい子と、加えない方がよい子とがいます。リズム譜の場合、通常「と」は加えていません。楽曲が難しくなり、ピアノで両手奏が出てきた場合、「と」を入れることで理解してもらえることが多いので、ここでは「と」を加えた形をご紹介していますが、この動画で使用しているリズム譜程度であれば、「と」を入れない方が理解してもらいやすいかもしれません。

G鏤劼鮖悗納┐靴覆ら、リズムを唱える。「ア」を少し強調して唱えてあげるとよいかもしれません。



までアプローチしたら、次に楽譜上でリズムを叩いてみせながら、口で「12と3」と唱えていきます。拍子を唱えながら指先でリズムを刻むところを見せることが、とてもとても重要です。




次の動画は、6拍子、リズム譜ではない音付きの楽譜です。これまで通り、まずは拍子を指で追ってみせます。



次に、拍子を唱えながら指先でリズムを刻むところを見てもらいます。とにかく「見てもらう」ことが大切です。



次に、拍子を指で追いながら音名で歌ってみせます。




次は、ぐんとレベルアップ。タイの場合です。これはとても難しい挑戦になるので、理解してもらえるまでにある程度の期間が必要ではと思います。これまでのアプローチも同じですが、ソルフェージュ教材のときだけでなく、毎回の楽曲で同じようなアプローチをしていくことが大切だと思います。次の楽譜は、1曲の中に2パターンのタイが出てきます。こういう場合、1つずつ抜き出して指導しています。一度に多くのことを教えるのではなく、焦らずゆっくり、少しずつアプローチすることが大切ですね。

タイはこれまでの応用編なので、拍子を刻んでみせるアプローチは省き、いきなり拍子を唱えながらリズムを指先で刻むアプローチになっています。



次に、拍子を指で刻んで見せながら、リズム通り歌うところを聴く&見てもらいます。



次は、2パターン目のタイです。これくらいのリズムになってくると、拍子の中に「と」を入れた方が理解してもらいやすいのではと思います。「と」を入れた拍子に慣れてもらうため、まずは拍子を指さしながら唱えてみせます。



次に、楽譜の拍子を指で示しながらリズムを唱えてみせます。指は楽譜に書かれた拍子にピッタリはまるよう、刻んでください。



最後に、楽譜の拍子を「と」も含め、指で示しながら、音名で歌ってみせます。




一気にアプローチ方法をいくつか書いてきましたが、これらを毎回出会う楽曲の中で経験していくことが大切なのではと思います。2,3年かけて取り組むつもりで、焦らずゆっくり、楽しみながらアプローチしてくださいね。





【相談者募集】

・相談者は匿名記載とします
・発達障碍児かわからないという子の相談も可です
・FBメッセージでやりとりできる方の募集となります

やりとりはFBメッセージとさせていただき、メールでのやりとりは不可とさせてください。メールチェックが2,3日おきになっているということが理由です。 (頻繁に使用しているパソコンではメールチェックができないので・・・。)

みなさんが抱える悩みは、発達障碍児、もしくは発達障碍児かもしれないという生徒さんを抱える、多くの先生方と共通した悩みと思います。悩みやアドバイスを多くの方と共有していくことで、これらのアプローチを誰もが知るようになり、知らない人も知りたいと思ったとき、気軽に当たり前に手に入る情報になったならと願っています。

相談には勇気がいる場合もあるのではと思いますが、ブログでは匿名記載となります。私が「あの相談は誰それからのものだよ」と、第三者に語るということも決してありません。どうぞお気軽にメッセージをください。

私のFBページ
https://www.facebook.com/emikopiano



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emksan at 15:32│TrackBack(0) 発達障碍児レッスン相談 

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