2014年09月08日

重度知的障碍げんちゃんの記録(動画)

このブログ右サイドバーに、重度知的障碍21歳げんちゃんのレッスン風景をご紹介していますが、ここでご紹介させていただくのは、発表会の映像による成長の記録です。この記録がみなさんのレッスンに役立つものであることを願いながら、記事にさせていただきました。
※現在各地に赴いてのセミナーはしていません。「ネットでセミナーとして無料動画配信しています。このブログ右サイドバーにリンクしています。
※親御さんからネット公開のご了承を得ています。


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出会った当初、発達障碍について何も知らなかった私は、げんちゃんと双子の姉で軽度知的障碍のなっちゃん2人で、グループレッスンをすることにしました。その後、口コミで何人かの子が入ってきて、グループレッスンらしくなっていき、2年ほど経った頃、週に1回のグループレッスンと、週に1回の個人レッスンを並行するようになりました。

げんちゃんは発語がなかったので、げんちゃんが何を考え、何を思っているのかをくみ取ってあげることはとても難しく、コミュニケーションできている!という実感が得にくい子でした。(しばらくして、私の鼻に自分の鼻をくっつけてきて、愛情表現を示してくれるようになりました。このときはとても嬉しかった!)自閉傾向があり、こだわりの強いところがあります。また、新しい曲への拒否反応が強く見られたため、まずは「聴いてもらうだけ」というアプローチからレッスンしていました。聴き慣れさえすれば「知っている曲」になり、拒否反応がなくなるからです。

この頃のげんちゃんは、よく寝ころびました。レッスン中寝ころんでいる時間の方が長かったかも?!お母さんと2人で、げんちゃんの腕を持ち、起き上がらせようとするのですが、力が強くてなかなか起き上がりません。「寝ころびません!」とわざと怖い表情をして、腕でバツを作り、レッスンでは寝ころんではいけないのだということを伝え続けていました。

このとき、笑顔で伝えてもだめなんです。げんちゃんは私の発する言葉ではなく、私の表情で理解するわけですから、「寝ころんじゃだめだよ〜」などと笑顔で接したら、先生は笑っているから寝ころんでいいんだと、誤解されかねません。厳しい顔を作るのが苦手だった私は、げんちゃんのお陰で、けじめが必要なときの表情の作り方を覚えました。

最初の動画は、小学4年生の頃のものです。ちょうど、グループレッスンと個人レッスンを並行するようになった時期のもので、『チューリップ』を弾いています。「ドレミー」と「ミミレレドー」は覚えてくれ、1本指で手伝いなしに弾いてくれています。それ以外の部分は、私がげんちゃんの手を持って誘導しています。


げんちゃん小学4年生 


次の映像は、小学6年生の頃のものです。『ドレミの歌』を1本指で弾いています。「ド」「レ」「ミ」〜と、歌詞が音名のところだけ弾いてくれています。それ以外は私が弾いています。最後の「ドレミファソラシドドシラソファミレド」は、折り返し部分だけ私が手伝っています。


げんちゃん小学6年生 


続いて、中学1年生のげんちゃん。「あきらめないで!ピアノ・レッスン」(ヤマハミュージックメディア)に、げんちゃんが1本指から5本指に至るまでの道のりを書いていますが、この動画は、5本指で弾くことに慣れ、親指が使えるようになってきた頃のものです。本にも書きましたが、親指は他の指とは付き方が異なり、動かし方も異なるため、使ってもらえるようになるのに一番苦労した指でした。曲は「ひげじいさん」です。トントントントンの部分「ドドドド」「レレレレ」「ミミミミ」「ファファファファ」と、最後の「ソファミレ」は私の手助けなしに、げんちゃんが弾いてくれています。


げんちゃん中学1年生 


次の映像は、中学2年生のげんちゃんです。両手に挑戦してくれていいます。属音って、どんなメロディにも合いやすい音ですよね。そこで、リズムはげんちゃんの自由に、左手で属音を弾いてもらうという両手奏を導入しました。曲は『大きなくりの木の下で』です。「ドードレミミソーミミレレド」を、私の手助けなしに5本指で弾いてくれています。「ミミレレド」のときに、左手属音を添えてくれています。

この曲は、げんちゃんにとって飛躍の曲でもありました。なぜなら、ここには「ミ→ソ」という跳躍が含まれているからです。発達障碍の子にとって、跳躍進行というのは大きな壁になり得るんです。順次進行は1本の指を動かしさえすれば、あとは隣の指を動かせばいいだけ。惰性でなんとかなるものなのですが、跳躍進行は惰性で弾くことはできません。1本の指を動かしたら、「次はどの指を動かすんだっけ?」と改めてもう一度、他の指に指令を出さなければならないのです。ここには記憶と反射という、大きな壁があるんですよね。


げんちゃん中学2年生 


最後の映像は、中学3年生のげんちゃん。両手ユニゾンに挑戦してくれています。この頃、駆け引きが通用するようになっていました。そこで、げんちゃんが大好きなバスティンの『いもむしはいはい』という曲を使って、駆け引きのアプローチを開始しました。まずは、げんちゃんが納得するまで『いもむしはいはい』を弾くのに付き合ってあげます。その後、「げんちゃんに付き合ってあげたんだから、次は先生に付き合って。」と、他の曲の楽譜をトントンと指し、駆け引きをするのです。

この方法は、このブログ右サイドバーにリンクしている、げんちゃんのレッスン風景動画で見ていただくことができます。今はもうこの方法に慣れ、駆け引きというより一連の流れのようになっていますが、当時はまさに駆け引きだったんですよね。この方法のお陰で、新しい曲との出会いが一気に増えていきました。そして、『いもむしはいはい』以外にも、げんちゃんの「弾きたい」に昇格する曲が出てきたのです。


げんちゃん中学3年生



〜 本における、げんちゃんの登場箇所 〜

・第1章 (5)こだわりの強い子へのアプローチ
      重度の知的障害を持った子のこだわり

・第1章 知的障害の子
      (3)ダメ!が通じない子

・第2章 言葉が通じますか?
      (1)発語がなくこちらの言っていることが伝わらない子







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emksan at 20:17│Comments(0)TrackBack(0)mixiチェック 障碍&幼児 | ピアノ/レッスン

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