2014年06月05日

楽器支援 心の変遷

震災3ケ月後、岩手県宮古市の先生からの要請で生まれた楽器支援。
一体どういう支援がよいのか、暗中模索の中、
この支援活動は始まりました。
この頃の暗中模索は、あまりにめまぐるしかったので、
ここにまとめるのは難しいのですが(笑)、
少し落ち着いてきてからのことを書こうと思います。

当初は常に支援要請が入っている状態でした。
中古楽器が現れると提供者に
「こういう方にマッチングしたいと思うがいいだろうか?」と確認をし、
その確認が済むと支援要請のあった方に
「こういう楽器が出てきているがどうだろうか?」と確認をする。
支援者と支援を受ける側、
双方に確認を取った上でマッチングを進めていました。

その後、中古楽器マッチングをやめ、支援金を募り、
被災地の楽器店さんから購入する支援だけに切り替えました。
当初は、常に支援要請がありましたが、
そのうち支援金はあるのに支援要請が入ってこない、
という状況が多くなってきました。
最初は、被災地の先生方が遠慮なさっているのではないか?と思い、
支援金が集まるたび 、
被災地の先生方全員に今すぐ支援できるということをお知らせしていました。

しかしその後、
私のメールは被災地の先生方に
気を使わせてしまうだけなのだ、と気づきました。
「今は支援を受けられる生徒や知り合いがいないんです。すみません。」と、
支援先を紹介することができなくて申し訳ない、
といった印象の返信をいただくようになったからです。
「お世話になったのだから、誰か紹介してあげなければ。」
被災地の先生方に、そのような義理を感じさせてしまっているのだとしたら、
本当に申し訳ないことです。

そこで、「要請のある方以外は返信不要ですよ。
お気づかいなく、必要なときだけ声をかけてくださいね。」
といった一文をメールに加えるようにしました。
しばらく この状況で支援を続けていましたが、
それでも私に気後れしてしま う方がいらっしゃると、感じ続けていました。

被災地の本当の状況が報道されなくなり、
私にも被災地の現状が入ってきにくくなった頃、
もう電子ピアノ支援は必要ないのだろうか ?
止めた方がよいのだろうか?
それともアップライトピアノ支援に切り替えた方がよいのだろうか?
と、悩むようになりました。
しかし、アップライトピアノ支援はあまりに高額すぎるため、
個人による支援活動としては現実的ではありません。
私にできる支援は電子ピアノ支援だったのです。

被災地の先生方に、正直にご意見を伺いました。
「今は支援を受けられる子はいないけれど、
まだレッスンを再開できていない子もいる。まだやめないでほしい。」
というお話を伺い、この支援活動を続けていくことにしました。
しかし、方法を考え直さなければなりません。

被災地の先生方が私に気を使うことなく、
また私も、支援要請が完全にストップし、
支援金を使い切れない状況になるのでは?という
不安に苛まれずに済む方法です。
いただいた支援金は1円まで全て使い切る。
その責務が私にはあります。

私の支援方法は、
もともと いただいた支援金が何台目の支援に使われたのか、
ということをはっきりさせている支援でした。
マッチングから始まった支援だったので、
AさんとBさんからいただいた支援金は何台目の支援にという形で、
支援金についてもマッチングの考え方を取り入れているのです。

そこで、被災地の先生方に声かけすることなく、
ただただ待っていればよい、という状況を作ることにしました。
支援要請が入ってから、
目標金額1台分、といった形で支援金を募ることにしたのです 。
この方法であれば、支援金が使いきれないということは起こりませんし、
被災地の先生方に気を使わせてしまうこともありません。

もちろん自分が支援要請を出した楽器のために、
支援金を募ってくれるんだ、
という気後れした気持ちにはなってしまうでしょう。
しかし、私にできる支援には限界がありました。
要請があるかないかわからない状況で、
際限なく支援金だけを募るなどということはできないからです。

しかし、楽器をお届けする際、
購入した楽器店さんから支援先の方に
直接配送の連絡していただくなど、
やりとりを簡略化することで、
少しでも気をラクに支援を受けていただけたらと工夫しています。

この1年、数カ月支援要請が入ってこない時期もあれば、
一人のピアノの先生から
一度に2台、3台の支援要請が入ってくるということもありました。
波があったので、多くの支援金が必要になったときは、
集めるのに時間がかかってしまい、
要請くださった方をお待たせしてしまうのですが、
ありがたいことに、
本当に困っているときには誰かが手を差し伸べてくださり、
1カ月以上お待たせするということがほとんどないまま、現在に至っています。

自分を消すということは、本当に難しい。
必要になった時だけ、何も語らず必要なことだけをする存在でいること。
私はそういう支援がしたいと願い続けてきました。
これが有名人による被災地コンサ ートなどは別なのですよ。
「あの人が来てくれた!」そのことが被災地の方々の勇気に繋がるのですから。
小原先生の被災地コンサー トなどは、まさにそういう存在と思います。

ところで、自分を消すだけでは支援は成り立ちません。
支援をくださる方々に対しては、自分を出していく必要があるからです。
支援金を募るためには、自分を出す必要があります。
支援活動というのは、被災地の方々への責任だけでなく、
支援をくださる方々への責任も発生します。
支援をくださる方々は様々な価値観を持ち、
それぞれご自分の納得のいく範囲でご支援くださいます。
仲介する私が 、
支援くださる方々のお気持ちひとつひとつをどれだけ理解しているか、
それらのお心遣いにどれだけ責任を負うことができるのか。

一時期、支援金受付の際、
その用途について「自由」なのか「電子 ピアノのみ」なのかを、
書いていただくようお願いしていました。
電子ピアノだけでなく、キーボードや、キーボードの付属品、
小打楽器などの支援要請が入ってくることがあったからです。
今は1件ずつ、支援要請に応じて支援金を募る形になっているので、
その必要はなくなりました。

支援者の方からお預かりした支援金を、
いつどのように支援先の方にお届けするのか。
支援くださった方々にご報告差し上げるということを、
私はとても大切にしています。
それが私の責任と思うからです。

しかし、支援くださった方にも、
支援先の方にもプライバシーがあります。
そのため公にはせず、
それぞれ個人にメールでご報告させていただいています。
また、要請を受けた支援が、完了したのか完了していないのか、
そういったことは常にブログでご確認いただけるようにもしています。

支援要請が減ったということで、ブログ更新は少なくなっていますが、
それでも支援くださった方々が不安に思われないように、
支援を続けたいと思ってくださる方々に現状が伝わるように、
長期間(半年や1年といったスパン)何もお知らせしない、
というようなことはしないように心がけています。

支援金の具体的な用途を明示すること、
ご報告することというのは 、
多分、法的にも引っかかってくることなのだろうと思いますが、
法的以前に、暖かなお心遣いで支援にご協力くださる方々に、
感謝の気持ちを表現していくことを、
私は大切にしていきたいと思うのです。
そして、その時々の状況に応じて、
支援先の方にも、支援くださる方にも、
責任を果たしていきたいと願っています。

被災者の方々にとっても、支援者の方々にとっても、
完璧な支援というものはないだろうと思います。
まだまだ至らない点が多くあるかと思いますが、
心を尽くして支援をしていけたらと思いますので、
どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。


※2014年6月5日現在、支援要請は入っていません。
支援要請が入り 次第、ブログにて告知させていただきますので、
どうぞよろしくお願いいたします。
詳細はこちらをご覧ください。


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emksan at 16:06│TrackBack(0) 東日本大震災支援 

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