2013年12月01日

見えない障碍への理解

先日の「発達障碍児とピアノ」の記事を読み、
こんなコメントをくださった先生がいらっしゃいました。


診断を受けている子が、
何人か体験レッスンに来られることがありますが、
 「現在習っている先生に発達障害の相談をしたら、
理解してくれない」と相談されることがあります。

「お母さんの気にしすぎですよ」
「お母さんの躾が、おかしいからじゃないですか?」
それどころか「ピアノの先生に『子供さんが、
悪意を持って私の言葉を聞かない』とまで、言われた」
と言われた方もいました。


このお話を聞いたとき、
いまだにこんな理解のない発言が、
世の中には残っているのかと、
驚きと同時に、とても胸が痛くなりました。

躾がおかしい、という発言。
これは発達障碍児の親御さんが、
周りからよく言われる言葉なのではと思います。
でもね、躾たくても躾られないから障碍なんですよ。
定型発達児と同じような躾が通用しないから障碍なんです。

多動症と診断されている子に対し、躾がなっていないと言う。
躾で多動がおさまるのであれば、多動症ではないんです。
躾がなっていないから、
多動症と診断されるわけではありません。

親御さんの周りへの気遣いについて、
この先生は全く感じとらなかったのでしょうか?
どんな発言・行動をするか、目が離せないわが子。
外出するということ、人と出会うということに、
いつでもどこでもハラハラドキドキという感情がつきまとう。

定型発達児の親御さんより、
周りに気を遣い、わが子に厳しく当たりがちなのが、
発達障碍児の親御さんです。
言ってもわからないとわかっていても叱ってしまう。
叱る回数が増えてしまう。

躾がおかしいのではなく、
どこのご家庭より躾に気を使い、
少しでもわが子が社会に順応できるよう、
躾ようと必死になるのが発達障碍児の親御さんです。

わが子の将来を考え、療育へ通いながら、
どうやったら社会への順応性を身につけてもらえるのか、
少しでもそういうスキルが身に付いたならと、
ああでもない、こうでもないと、
思考錯誤しているのが、発達障碍児の親御さんなのです。

発達障碍は目に見えない障碍です。
障碍名を知らない人が、
見た目で「あの子は躾がなっていない」というのは、
仕方のないことだろうとも思います。
定型発達児なのか、障碍児なのか、
一見しただけではわからないのですから。

しかし、障碍名をきちんと聞いているにも関わらず、
「お母さんの躾がおかしい」と言ったり、
「悪意を持って私の話を聞かない」などと、
親御さんを傷つける発言を平気でするというのは、
あまりにも無理解だと思うのです。

定型発達児と発達障碍児が混在する、
”趣味”という生活に浸透しているピアノ教室を通じて、
発達障碍児への理解を広めていくことができたならと、
強く強く願っています。
理解あるピアノ教室が増えるということは、
生活の中に障碍への理解が広まっていくということですから。

そのためには、
発達障碍に理解あるピアノ指導者同士が繋がり、
各々発信していくことが必要と思います。
私だけでなく、
様々なピアノ指導者による発信が増えることで、
無理解な社会が変わっていくと思うのです。

地道な一歩一歩ではありますが、
無駄な一歩一歩ではないと信じています。


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emksan at 09:43│TrackBack(0) 障碍&幼児 

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