2013年11月25日

アラベスクの跳躍(ブルグミュラー)

小学4年生の男の子。
アラベスク最後の3小節の跳躍で、
音を外しやすいと苦笑い。
どんなに練習しても、
外す確率が高くて辟易している様子です。


「どうして外すか原因わかる?」

「う〜ん。」



唸りながら自分の指を眺め、
手の動きを確認するこの子。


「原因はね、そこにあるんじゃないんだなぁ。」

「え?どこ?」

「ココ!」



すかさずこの子の腰をさすりました。


「ここがサ、逃げちゃってるんだよね。
そうすると、ホラ!(真似してみせる)
距離が測れなくなるでしょ。
体がぶれちゃうと音が外れちゃうんだよね。」

「あ、そっか!」



その場で何回か弾いて試したところ、
全部ヒット!
音を外さなくなりました。

しかし、腕が固く、視野が狭いため、
まだ外す可能性があると、
もうひとつコツを伝授することにしました。


「あとはね、座る距離なんだよね〜。
この座り方で腕を左右に動かすと・・・ホラ、
腕が動きにくいでしょう?
もう少し椅子の奥に座って、
ピアノと距離を置いてごらん。」



腕をラクに伸ばせる距離に、
座り直してもらいました。
早速、弾き心地を試すこの子。


「あ!」

「ね、この方がずっとラクでしょ?
この座る距離って、
どの段階で気を付けたらいいと思う?」



この質問に30秒くらい考え込むこの子。


「最初かな。」

「そうそう。
弾き始める前に決めておかないと。
弾き始めちゃったら、
座り直すのは難しいからね〜。」



これって、大人の生徒さんにもよく見られる現象なんです。
座る位置がピアノに近過ぎると、
視野がググッと狭くなります。
しかも、腕がラクに伸びないので、
せせこましい空間で腕をキュウキュウにして、
弾くしかなくなってしまう。
腕が自由にならず窮屈に感じると、
奏でられる音楽も窮屈なものになってしまいます。

発達障碍の生徒さんは、
この距離感を測るのが難しいため、
私は発表会のとき、
1人1人の距離を会場で確認し、
ゴムテープで目印を付けておくことにしています。
とはいえ、浅く座るのか、深く座るのかでも、
この距離感は変わってきてしまうので、
確実に対応することはできないのですが。

障碍のない定型発達児の場合、
小学2年生くらいから説明はしているのですが、
体が成長するたびに、
ピアノとの距離感が変わってくるので、
なかなか身に付かないんですよね。

足台の高さが低くなり、
通常の足台ではなく、
薄い足台を使うようになり、
その薄い足台も必要なくなり・・・という成長の時期。
しかも短い足で、奥にあるペダルを踏まなきゃいけない。
アシストペダルは高さだけでなく、
この奥行き、
ピアノとの距離感を保つためにも必要と感じます。

本番だけこのことに気をつけようと思っても、
緊張している場でそれは無理なんですよね。
普段から意識して、
ピアノとの距離感を考えて座っておくことが、
とても重要になってきます。

座る位置が安定すると、
腰も安定します。
大切なことは、意識することに慣れておくこと。
どういう座り心地、腰の具合が弾きやすいのか、
どれくらいの距離感が自分の腕の長さには合っているのか。
毎回ピアノに向かうたびに確認すること。
そうすることで自分の体に応じたピアノとの距離感を
徐々に測れるようになってきます。

腕の長い人。短い人。
座高の高い人。低い人。
足の長い人。短い人。

理想的な距離感や椅子の高さは、
人それぞれですが、
自分の腕が自由になる距離、
鍵盤を広い範囲で見渡せる視野の獲得って、
とっても大切なんですヨ。
そういうコツをつかむだけで、
ピアノってずいぶん楽に弾けるようになるものなので。

ところで、余談ですが、
この子は腕に力が入りやすい子なんです。
チェルニーの16分音符を、
カチンコチンの腕で弾いてきていました。
「速く弾きたい!」と気持ちばかりが先走り、
腕が固くなっていくんですね。
そこで、立ってスタカートの練習をしてもらうことにしました。

この子は脇に力が入ってしまいます。
ところが、立って弾いたとたんに、
脇が自然な状態になるんです。
重力に腕の重さを任せた状態で、
弾く練習ができる。
立って練習するって、結構いいんですよ。
グリッサンドの練習にも効き目抜群なので、
お薦めです。

この子にはゆっくりのスタカートで、
以下のルールを提示し、
立ったまま練習してきてもらうことにしました。


[呂抜けたと思ってから次の音を弾くこと。
抜けていないのに次の音を弾かないこと。



思うように弾けない!というジレンマは、
大人も子どもも一緒ですね。
「弾けない!難しい!」と思えば思うほど、
腕に力が入ってしまい、
そのパッセージが弾けなくなるものです。

「弾けない。難しい。」と意識するのではなく、
「ここで腕をラクにする!」など、
具体的な体の使い方を意識する方が、
ずっと効果的なんですヨ♪
生徒さんには、そういうコツを伝えていきたいな。


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emksan at 17:58│TrackBack(0) ピアノ/レッスン 

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この記事へのコメント

1. Posted by 長谷場 千津代   2013年11月26日 07:06
こんにちは
初めてメールさせて頂きます。
鹿児島県でピアノ教室をさせて頂いております。
とても勉強になりました。
言葉で伝えるのは、難しいですね。
その点、先生のご指導は、素晴らしいです。
また、勉強させてください。
ありがとうございました。
2. Posted by 中嶋   2013年11月26日 10:09
>長谷場先生

コメントをどうもありがとうございます♪ 本当に、言葉に、動きに、耳に、あらゆることを総動員しての説明が必要になってきますよね! 今後ともどうぞよろしくお願いします♪ (*^_^*)