2013年10月14日

生徒さんと一緒に譜読み〜頭の中の耳で譜読みをする〜

進学校に進んだ高校生の女の子。
中高一貫教育の進学校で、
中学から高校レベルの授業があり、
勉強は想像以上に大変です。
その上バスケット部の試合&練習、
その合間を縫っての塾。
なかなかピアノの練習ができません。
週に1,2日練習できればラッキー。

最近は、毎日夜10時まで、
塾の自習室で勉強してから帰宅するため、
ピアノを練習する時間が全然ないとのこと。
できるとしたら日曜日の午前中かな、と。

そんなこの子とのレッスンは、
一緒に読譜をするというレッスンになります。
最近は、ショパンのノクターン第2番。
短い時間で効果的に読譜させるため、
昨日は頭の中の耳で読譜を進めました。

”頭の中で音を鳴らす”というアプローチは、
私がレッスンでよく使う方法です。
何度弾いても指が覚えてくれないとき、
頭の中でその音が鳴っていないことが原因である場合が、
とても多いからです。
 ※このアプローチによる記事は、こちらをご参照ください。

もちろん手が瞬時に広がらない、もしくは縮まない、
跳躍の幅を体が覚えないなど、
テクニック的なことが原因の場合もありますが、
音を想像できていないことが原因の場合が、
思いのほか多いのです。
今日のブログ記事は、
これを読譜に応用させたものです。

この子は耳がとても良いので、
古典派の音楽であれば、
頭の中で音を鳴らすことができます。
ハーモニーについても、
基本的な記賢垢里茲Δ淵蓮璽皀法爾砲弔い討蓮
音名という言葉を介さずに、
融合した響きと鍵盤が瞬時に一致します。

家では練習ができない日でも、
気分転換に巷で流れている曲などを、
適当に耳コピーをし、弾いてくれています。

ところが、今譜読みしている楽曲はロマン派。
この子にとって、
聴き慣れないハーモニーが
ちょこちょこ出てくるんですよね。
そのため、なかなか譜読みがはかどりません。

そこで昨日は、
復習となる1ページ目を、
耳の譜読みをしてから弾いてもらうことにしました。
1回目のテーマを頭の中で鳴らします。
両手が同時に鳴っていることが条件です。
ここは難なくクリアし、
指が悩んで泳ぐこともなく、
すらすら弾くことができました。

次に、2回目の右手メロディがアレンジされたテーマ。
ハーモニーは難なくクリアですが、
右手アーティキュレーションの譜読みが甘かったので、
一緒にアーティキュレーションの確認をしました。
ここまで何の苦もなく、


「うん。鳴るよ。」


とサクサク進んでいたこの子が、


「鳴らない〜!全然鳴らない。」


と躓いたのは、以下の箇所でした。


ショパンノクターン2-a

この子の頭の中で鳴らなかった音は、
左手の3つ連なる8分音符の真ん中です。
まずは1拍目、真ん中の音へのアプローチをしました。
♮ミ→♭レと、
私が音をずらして弾いたのを聴いてもらいます。
次に、同時に発音した♮ミ-レを聴いてもらいます。
何度かこの2つを交互に聴かせた後、


「どう?鳴るようになってきた?」


と聞いたところ、


「うん。」


というので、次のアプローチへ進みました。
バスを弾いた後、
このハーモニーを頭の中で鳴らし、
確実に頭の中で音が鳴ってから弾く、というものです。

ショパンノクターン2-b

この方法で1拍ずつ1つ1つクリアしていきました。
ある程度手が泳がずに、
4拍続けて弾けるようになってきたとき、
間違いやすい音を発見しました。
最初に提示した楽譜の青枠で囲んだ音です。

そこで、この小節を私が両手で奏でるのに合わせ、
下記のように歌ってもらうことにしました。

ショパンノクターン2-c

数回歌った後弾いてもらったら、
案の定青枠の音が安定しました。
青枠を何度弾いても間違えていたのは、
頭の中でその音が鳴っていなかったからだったのです。
次にこの子が躓いたのは下楽譜でした。

ショパンノクターン2-d

「本当に、ぜんっぜん音が鳴らない!」


とこの子。
そりゃそうだよなぁ、と思う私。
これはよほど経験を積んでいないと、
頭の中では鳴りにくい音と思うからです。

そこで、まずはハーモニーの動きに、
慣れてもらうことから始めました。
私がこの箇所を両手で弾くのに合わせ、

1)ソプラノを歌う
2)アルトを歌う
3)テノールを歌う
4)バスを歌う

と、それぞれの旋律を歌ってもらいます。
何度か歌い、
ハーモニーの動きに慣れてもらったところで、
どの程度この子の耳が、
これらのハーモニーに慣れたのかを知りたくて、
とりあえず弾いてもらうことにしました。

必死で弾こうという思いは伝わってくるものの、
この子の思考と指はなかなか前へ進めず、
スムーズに弾くことができません。
ということは、まだ頭の中で音が鳴っていないということ。

そこで、今度は横の流れではなく、
縦の響きへのアプローチをすることにしました。

ショパンノクターン2-e
上の楽譜は、2つ目のハーモニーをばらしたものです。
ばらしながら音を1つずつ重ねていきます。

1)次々に重なっていくハーモニーを聴く
2)同時に鳴るハーモニーを聴く

1)と2)を交互に何度も弾いて聴かせました。
この子の頭の中でこのハーモニーが鳴ってきた頃、
1つ目と2つ目のハーモニーを弾いてもらいました。
これで1つ目と2つ目はクリアです。
(1つ目のハーモニーは、
すでに頭の中で鳴らせていたので。)


次に、3つ目のハーモニーも
1)と2)を交互に何度も聴いてもらい、
頭の中で音が鳴ってきたら、
1つ目と2つ目と3つ目のハーモニーを
続けて弾いてもらいました。
こちらもクリアです。

次に続くハーモニーは、
この子にとって頭の中で鳴りやすい音だったので、
このような手続きを踏まなくても、
弾くことができるようになりました。

その後、最初に躓いて練習した箇所を、
覚えているかどうか不安になったこの子は、
再びこの記事最初の箇所を弾き始めました。


「わ!すごい。覚えてた!」


頭の中で音を鳴らす読譜というのは、
こういう効果があるんですよね。
やみくもに指を動かすだけの読譜って、
弾けるようになったと思っても、
別の箇所を練習した後もう一度弾いてみると、
また弾けなくなっていたり。

ところが、こうして頭の中で音を鳴らす読譜をすると、
記憶が持続しやすいんですよね。
指だけによる読譜より格段に覚えている。
そのため、結果的に読譜のスピードはこちらの方が早い。

早く弾きたい!という気持ちを押し殺して、
ピアノを弾かずに、
ただ黙々と楽譜に向かって
頭の中で音を鳴らしながら読譜をするというのは、
かなり根気のいることではありますが、
結局一番の近道なんだよなぁと、
こうして生徒さんにレッスンすると実感させられます。

11日の記事に書いたように、
私も譜読みにこの方法を用い、
頭の中の耳を訓練するという目標を掲げているので、
この子のレッスンをしながら、
自分の頭の中でも、
確実に音が鳴っているかどうかを確認したりして。(笑)

この楽曲では音名を介さずに、
融合した響きで感覚的に認識できていましたが、
これは有名な曲だし、
何度も弾いたことのある曲だし、
現状の判断材料にはならないか、と。


楽譜を眺めながら、
どの程度頭の中で音を鳴らせるか?


現在の自己能力を判断するには、
譜読みで試すのが一番なんですよね。
今やっている平均律は復習とはいえ、
高校生の頃にやったもの。
その後ほとんど弾いてこなかったので、
譜読みの新鮮さは充分にあり、
今の私の訓練に適している気がしています。

指揮者みたいにオケの楽譜を、
ピアノのないホテルの一室で読めるくらい、
頭の中で音を鳴らすことができたら、
楽しいんだろうなぁ・・・。
がんばろっ


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emksan at 00:26│TrackBack(0) ピアノ/レッスン 

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