2013年07月26日

ノクターンは19世紀市民文化の音楽語法?!

先日とっても興味深いCDを見つけ、衝動買いしました。

アート・オブ・ノクターン(4枚組)/Nocthrnes(complete)
アート・オブ・ノクターン(4枚組)/Nocthrnes(complete) [CD]

19世紀ノクターンを作曲したのは、
ショパンだけじゃないんですよね。
ノクターンは当時の流行りだったのデス。
このBOXセットは4枚組で、
1枚目がショパンに影響を与えたという
ジョン・フィールドのノクターン15曲。

ジョン・フィールドはロシアのピアニズムの源流。
クレメンティとともにイギリスからロシアへ向かい、
ロシアで活躍しました。
ロシア各地の貴族社会から歓迎され、
「フィールドを知らないことは罪悪である」と
一時評されたこともあったとか。
また、ノクターンという曲種を生み出したのも、
このジョン・フィールドです。

2枚目、3枚目のCDはショパンのノクターン。
このCDの魅力は当時のピアノを使っていることにもあります。
ジョン・フィールドの楽曲は1823年製のブロードウッド、
ショパン1枚目は1842年製のプレイエル、
ショパン2枚目は1837年製のエラールを使用しています。

4枚目のCDも魅力的!
19世紀の様々な作曲家のノクターンを聴くことができます。
使用楽器は1837年製のエラール。
1曲目はプレイエル。
ピアノ製作のプレイエル社を設立したイグナツ・プレイエルの息子、
カミーユ・プレイエルの作品です。

2、3曲目はカルクブレンナー。
本を読んでいるとよく出てくる有名なピアニスト。
作曲家としても活躍していたようで、
200曲ものピアノ曲を作曲しているようです。
でも、それらの楽曲はあまり知られていないですよね。

私は、聴いたことも楽譜を目にしたこともなくて、
すごいピアニストで、教育者だったらしい、
ショパンは一時カルクブレンナーに心酔したけれど、
カルクブレンナーのやり方に疑問を覚えたらしいとか。
その程度のことしか知りませんでした。
(カルクブレンナーとショパンについてはこちらをご覧ください。)

4曲目は私の大好きなクララ・シューマンの作品。
あのシューマンの奥さんですネ。
当時、天才ピアニストとして名を馳せ、
作曲家シューマンより有名だった女流ピアニストです。
10代の頃は作曲もしました。
シューマンと結婚して、
シューマンがクララが作曲するのを嫌がったため、
作曲しなくなっちゃったんですよね。

シューマンはクララよりずっと年上で、
クララのお父さんの門下生だったので、
クララはシューマンの影響をとても強く受けています。
クララの作品はシューマンっぽいところがあるんですよ。

5曲目はルフェビュール=ヴェリの作品。
初めて耳にする名前でした。
19世紀活躍した作曲家のほとんどは、
歴史に埋もれ、知られていないのです。
ウィキペディアで調べても、たいして情報が載っていない作曲家です。
オルガン奏者だったようで、即興演奏の名手として知られていたそうです。

6曲目はエドモンド・ウェーバー。
あの有名なウェーバーではありません。
いっくら調べてもどういう人なのかわかりません。(^_^;)
このCDには各作曲家の生没年が記載されているのですが、
このウェーバーにはそれすら記載されておらず。

7,8曲目はシャルル・ヴァランタン=アルカンの作品。
フランスのピアニスト・作曲家で、
ショパン同様、ほとんどピアノ作品だけを作曲した作曲家で、
超絶技巧な作品ばかりを作曲したそうです。

9曲目は近代ロシア音楽の父、ミハイル・グリンカの作品。
前述のフィールドにピアノを習った、
ロシアの源流フィールドの次世代にあたる音楽家。
作風はフィールドのものを土台としています。

10曲目はマリア・シマノフスカ。
ポーランドのピアニスト・作曲家です。
ヨーロッパ全土で精力的に演奏活動をした時期もありましたが、
その後ロシアに定住し、
ロシア宮廷のために演奏・作曲活動、音楽教育に携わりました。

11〜15曲目は、イグナシィ・フェリックス・DOBRZYNSKI。
この名前、一体なんて発音したらよいのでせう?(笑)
ポーランドのピアニスト・作曲家です。
ショパンの同級生だったようです。

今日読み終えた本に、
ノクターンのことがかなり詳しく書かれていました。
なんてタイミングの良い!!

ピアノ大陸ヨーロッパ──19世紀・市民音楽とクラシックの誕生
ピアノ大陸ヨーロッパ──19世紀・市民音楽とクラシックの誕生 [単行本(ソフトカバー)]


甘美で、夢見るようなノクターンが成立した背景には、
18世紀音楽文化とはあきらかに異なる、
19世紀独特の社会のアウラ(独特の雰囲気)がありました。
フィールドのノクターンには、
背景となるいくつもの土台がありますが、
その最初のひとつとして注目されるのが、
この音楽ジャンルを生み出したサロン文化であり、
やがてたいとうする市民階層の音楽愛好家でした。


ノクターンが求められたのは、サロンや居間でした。
サロンでは聴くだけでなく、
自らも演奏者として参加したそうです。
ノクターンは夜会の雰囲気にも、
アマチュアピアニストの要求にも適っていたのですね。

この本、ノクターンについてかなりページを割いているのですが、
興味深かったのは、ノクターンの源流が、
ソナタなどの緩徐楽章にあるという話でした。
そして、遅いテンポの作品に積極的な美をみいだし、
緩慢なテンポそのものに新たな価値を見出したのが、
19世紀という時代だったのだと。
その美学を追求したのがノクターンだったのですね。


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emksan at 15:38│TrackBack(0) ピアノ/知識 | 音楽/本・CD

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この記事へのコメント

1. Posted by さるたこ   2013年07月29日 11:04
>DOBRZYNSKI

ポーランド語はTVのインタビューとかで聞いた所、地理的な位置から考えても、ロシア語とドイツ語の中間っぽいなぁと感じました。

もしもロシア語的に発音すると…
「ドフリャズィンスキー」あたりかなぁと思うのですが。「B」は「フ」って読む時もあるし、「R」は「ヤ行に近くて、ィヤ」と発音するので。
もしもドイツ語的な発音が混じってれば「ドブリャ…」になるかもしれません。
2. Posted by 中嶋   2013年07月29日 11:35
>さるたこさん♪

わぁ!どうもありがとうございます〜!!
「BYZYN」の綴りが、一体何と読んだらよいのか想像がつかなくて。なるほど、リャズィン・・・ですね♪それにしても、日本人にとっては発音しにくい名前ですね〜。