2013年05月19日

子どものための無料演奏会楽しく終了

毎年この時期に開催している、
子どものための無料演奏会。
ラ・ミュジーク・デュ・ソレイユのコンサート。
昨日楽しく無事終了しました。

半年前からプログラムについての会合を開き、
いかに子どもたちに楽しんでもらうか、
個性あるメンバーみんなで、
アイディアを出し合いながら作り上げた舞台。

この活動、私たちメンバーにとっては、
1年に1回集う楽しい機会となっています。
会合やゲネプロも楽しいのですが、
やはり当日が一番楽しい!

本番直前の舞台裏には、
全員が緊張して独特な緊迫感がありますが、
その緊張はみんなで支え合う土台の上に成り立つ、
共有した緊張で、ソレイユ独特の暖かな空気感。

第1部のヴァイオリン、フルート、歌曲、ピアノソロ、
それぞれのメンバーが緊張に負けることなく、
伸びやかな音色で真摯な演奏を聴かせてくれていたので、
第2部の私も頑張らなきゃ!と大いに励まされました。

今年の第2部は、例年の音楽と語りとは趣が異なり、
セリフがなく、ソプラノとアルトの歌手が、
絵本を歌いあげるというものでした。
ちょっとした間合い、テンポの兼ね合い次第で、
ダレてもしまうし、
お客さんを惹き付けることもできるという、
例年以上に繊細な素材。

本番は歌手2人がすごかった。
本番というのは独特なもので、
練習では出てこなかったものが出てくることがあるんですよね。

本番の歌手2人は、
これまで以上に絵本の世界に入り込み、
声質や間合いによる表現力が、
よい集中ができる本番だからこその、
豊かな表現力で歌っていたのです。
2人がそうくるなら、私はそれを受けてこう弾こう!
そういうやりとりが生まれました。

また、本番のピアノの状態が最高だったのですよ。
毎年お願いしている調律師さんは凄腕の方。
本番に一番良い響きになるよう、
計算した上で調律してくださいます。
リハーサルでピアノを弾く時間、
その間スポットが当てられて温かくなるピアノ。
それらを計算した上で、
リハーサル前に調律してくださるのです。

私のリハーサルは調律直後にありました。
そのため、この時点でのピアノの鳴りはよくありません。
しかし、本番1音目を弾いたときの驚きたるや!
そっと鍵盤に触れるだけで、
遠くまで澄んだ音が響き渡っているのがわかりました。
こういうピアノは本当に弾きやすい!

2人の歌手によるハモリは、
13回目にして初めての企画でした。
そして、このハモリに対するピアノ伴奏には、
これまで経験したことのない気持ちの良さがありました。
ピアノの響きが2人のハモリに溶け込むという感覚。
ピアノは倍音係という感覚がそこにはあったのです。

本番のピアノは、
調律直後のリハーサルのときとは異なり、
この倍音を存分に生かすことのできる状態になっていました。
嬉しくてたまらなくなりました。
私が目指していた響きを作ることができる!そう思ったからです。

正直、このホールは響きのよいホールではありません。
スポーツセンターに併設されているホール。
ピアノもかわいそうなほどの痛めつけられ方をしています。
このかわいそうなピアノを調律師さんは、
ここまで響く一流のピアノに生まれ変わらせてくれていたのです。
ああ、このピアノなら私の目指していた響きが作れる!
本番第1音目を弾いた瞬間にそう思いました。

あとは私の集中力次第。
指と鍵盤の吸着関係は良好でした。
耳さえ開かれていればいい演奏ができるはず。
この舞台は35分ほど続くのですが、
くやしいのは途中一瞬身体が浮いてしまったこと。
15分ほど経ったとき、腰の座り具合が悪くなり、
身体の安定感を失ってしまったからです。

身体の安定感を失った瞬間、
集中力が激減します。
耳が曇ります。
これはマズイ!と思った私は、
なんとか腰の落ち着きを取り戻すため、
重心を下に下にと意識しながら、
背中が前のめりにならぬよう軽く後ろに背中を倒し、
安定を取り戻しました。

この間、2,3分程度の時間と思うのですが、
ちょっとダレてしまった気がします。
ダレたというより、
歌手2人との一体感を一瞬失ってしまった、
という方が正確ですね。
本当は最初から最後まで、
隙なく一体感を保ち続けたかったのですが。

しかし、その後なんとか一体感を取り戻し、
最後まで2人の歌手と一体感を味わいながら、
集中力と融合した音楽を味わいながら、
楽しんで演奏することができました。

こういう楽しさというのは、
本番ならではの緊張感と集中力がなければ、
味わえない種類の楽しさだなと、いつも思います。
ワイワイとみんなで合わせて楽しい!というのとは違うんですよね。
極度の集中力を味わうという種類の楽しさなので。

緊張感を上手く利用すると、
こんな風に普段の練習では味わうことのできない
独特な集中力に出会うことができ、
その研ぎ澄まされた感覚が楽しいのです。
この研ぎ澄まされた感覚は、
本番という緊張があるからこそ生まれる集中力で、
スリルのない練習では生まれないんですよね。

演奏後、3人で熱い握手を交わしました。
「私たちよくやったよね!」と。(笑)
こういう達成感があるからこそ、
ソレイユは13年も続けてこられたんだなぁと思います。

暖かく心通い合うメンバー。
そのメンバーたちといらしてくださったお客様方と、
音楽を共有し合えた一日。
とても幸せな一日となりました。


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emksan at 16:32│TrackBack(0) 音楽/コンサート 

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