2013年01月23日

音を詰めるタイミング

私はとても不器用です。
「こういう音楽にしたい」と思っても、
感覚的にそう演奏することができません。

天才とか、素質ある人というのは、
ある程度この感覚が鋭いんだと思うんですよ。
こういう感情を表現したいと思ったら、
自然にそういう呼吸になり、
そういう音楽が指から奏でられる、という風に。

ところが、私の場合そうはいきません。
どうやったら切迫して聴こえるんだろう?など、
毎度毎度どこをどうしたらよいのかを、
事細かに分析することになります。

特に切迫感や緊張感。
ここ何年か「どうして?」を自問自答しながら、
あれこれ考えながら取り組んできました。

というのも、以前主人に
「恵美子の演奏はページをめくるように、
とぎれとぎれの音楽に聴こえる。
本来音楽というのは1つの絵巻物のようなものだよね。」
と言われたことがあったからです。

悔しいけれど、痛いところを突かれたなぁと。
私がリヒテルに惹かれるのは、まさにここ。
ここ数年取り組んできて思ったのは、
私は呼吸の種類が少ない、ということ。
深い呼吸と浅い呼吸。
そのタイミングと種類が単色なんだなぁと。

静かにひとつひとつの音色を堪能するような楽曲のとき。
フレーズが終わるたびに深い呼吸をしてしまうせいで、
音楽がとぎれとぎれに聴こえてしまい、
その長い2ページが単調に聴こえていたり。

心に動揺が走り、嵐が巻き起こっているような音楽のとき。
フレーズごとに呼吸を入れてしまうため、
聴いている人の心を不安にさせたり、
聴いている人の息を詰まらせるような演奏にはならず、
ただただ「頑張って弾いているのね」としか聴こえなかったり。

特に後者については、
ロマン派の音楽を演奏する際、
いつも私の課題になることです。
ここ2年、見えてきたのは「詰めるタイミング」でした。
例えば、ショパンのバラード第2番。
 ※写真はエキエル版ですが、今パソコン前にある楽譜はヘンレ版なので、
 小節数はヘンレ版のものです。


タイミングと呼吸1

47〜48小節のPrest con fuoco。
突然訪れる激情ですが、息をつかせぬ緊張感とスリルが欲しい。
緑のラインは音の方向性をどこで感じるのかという起点。
この起点を感じないと、次の青矢印の「詰め」がうまくいきません。

青矢印で間合いを詰める分、
48小節の1拍目の音がほんの少しだけ長めになります。
赤はペダルを離すタイミング。
ここでスパッと音を切るのと切らないのとでは、
緊張感が全く異なってくるので、私にとっては重要です。

ホント、不器用だなぁと思うくらいに細かいですよね。(笑)
しかも、ここはテンポの速い箇所なので、
この通りに弾きたいと思っても、なかなかそうはいきません。
特に「詰め」は難しい!跳躍が入っているのでなおさらです。

そのため、表情をつけた上でゆっくりと「止める」練習をしています。
47小節2拍目から弾き始め、青矢印は「詰め」を意識して跳躍し、
48小節目1拍目で止める(音を伸ばす)という練習です。
この際、赤のペダリングにも気をつけます。
ちょっとでもペダルが間延びしないように。

ゆっくりでできても、テンポ通りというとなかなか・・・。
とにかく地道にやるしかない、です。(^_^;)


タイミングと呼吸2

65〜66小節。
これはよくある切迫感のパターン。
1音1音少しずつテンポを速めていっても、
聴いていて推進力は感じないものです。
「グンッ」と引っ張るタイミングがあるんですよね。

それが裏拍。
どこの裏拍で「グンッ」と引っ張るかは、
その時々によって異なってきますが、
ここでの私は、6拍目にそれを持ってきたいと考えています。

6拍子は2拍子なので、
4拍目に「グンッ」というタイミングがくることが多いですが、
ここでは半音上がる瞬間が6拍目にあるので、
それを感じて「グングンッ」と弾きたいなぁと。


タイミングと呼吸3

67〜70小節。
私はこの部分を大きな流れで弾きたいと思っています。
58小節目から大きな呼吸を一切入れずに、
前に前に弾いていき、
63小節目くらいから切迫感を持たせ、
音をどんどん詰めていき、
フォルテシモの第1音目まで持っていきたい。

ここまで長く切迫感を持たせてきているため、
赤で書かれた跳躍は存分に間合いを持たせます。
しかし、その後もまだまだ緊張感は続くので、
跳躍の直後にゆとりを持たせることなく、
音楽を前に前に進めていきたい。

こういう箇所は、ピアノから離れて、
指揮者の振りをして呼吸を身につけたりします。(笑)
恥ずかしくて誰にも見せられない姿ですが、
体感してからの方が断然弾きやすくなるんですよ。


タイミングと呼吸4

写真はエキエル版なので107小節とありますね。
ヘンレでは106小節目とあります。
このような箇所、
以前の私であれば青矢印に大きな呼吸を入れていたところですが、
今回はここを詰めたいと感じています。
唐突な感じが欲しかったからです。

しかし、その予兆として、赤のハーモニーがあります。
私はこのハーモニーに緊張感を感じます。
そこで、このハーモニーを充分に響かせた上で、
音を詰めたいなぁと。


こんな風に「詰めるタイミング」は、
以前の私には見えてこなかった部分でした。
フレーズとフレーズの間にはある程度深めの呼吸を置く、
というのが私の通常のパターンだったからです。

これは切迫のときだけでなく、
この曲の冒頭のような音楽の際にも使えると感じています。
呼吸の深さの種類、タイミングの種類。
それによって4行詩にも散文詩にもなるのだなぁと。

それにしても、詰めるというのはテクニック的には大変なことで。
不器用な私には、地道な練習あるのみです。(^_^;)


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emksan at 12:40│TrackBack(0) ピアノ/練習&勉強 

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