2012年12月25日

心あるピアノ指導者の方々へ「一緒に立ち上がりませんか?」

先日のブログ記事「たった3カ月で基礎が台無しに」に対し、
知り合いの先生方からたくさんの慰めの言葉をいただきました。
たった3カ月で気づくことができて運が良かったのだと、
気持ちを切り替えることができるようになりました。
実際、この子は私のレッスンをしっかり記憶しているので、
楽曲を少し簡単なものに戻すだけで、
すぐ直りそうな気がしています。

ところで、今回導入初期から大切に大切に育んできた、
頑張り屋の生徒さんがこのような目に合ったことで、
このままではいけない、なんとかしなければと
心底思うようになりました。

というのも、このような経験をしているピアノ指導者は、
私1人ではないからです。
実際私も、他のお教室から移ってきた子が、
全く基礎ができていなく、
教材を簡単なものに戻して、
変な癖を矯正するところからレッスンをしなければならない、
という経験を何度かしてきました。

一番辛く苦しい思いをするのは子どもたちです。
一生懸命先生に言われる通り練習してきたのに、
また一からやり直さなければならないのですから。

大抵の子は「やり直す必要がある」ということを、
最初のレッスンで自覚してくれます。
このままではこれ以上上達できないのだと、
身をもって感じているからと思います。

これはコンクールや音大を目指すという
レベルの高い、敷居の高い話ではありません。
バイエル程度の、いえ、それ以前の、
導入期から通用することで、
趣味で弾き続けたいという生徒さんの話なのです。

基礎をないがしろにしたまま教材を進めると、
ブルグミュラーやソナチネあたりで、
生徒さんたちは壁にぶち当たることになります。
16分音符が羅列する楽譜に、指が追いつかなくなってしまうのです。
腕や手首に力が入り、指が自由になりません。

基礎がなければ、
どんなに先生から「練習しなさい」と言われても、
弾けるようにはなりません。
弾く回数をこなせば弾けるようになるというものではないのです。
根本的な奏法を身につけなければ、
弾けるようにならないことがたくさんたくさんあります。

私と同じ経験をしているピアノ指導者のみなさん。
一緒に立ち上がりませんか?
このままでは子どもたちがかわいそうです。
私のこの文面をコピーしていただいても構いませんし、
ツィッターなどでリンクしていただくのでも構いません。
一緒に広めていきませんか?

以下に、レッスンのチェック項目を挙げてみました。
ただやみくもに教材を進めるのではなく、
きちんと基礎を積み上げていけるレッスンを広めたいと考えています。
音楽は「音」という感覚なので、
文字にするのには限界がありますが、
それでもこれらをチェックするのとしないのとでは、
大きな違いが生まれるだろうと思います。

心あるピアノ指導者のみなさん。
一緒に立ちあがって、声をあげていきませんか?
是非、コピーなどして広めてください。


【導入初期におけるチェック項目】

成長すれば教えなくても手の形はよくなる、
と思い込んではいませんか?
そんなことは決してありません。
手の形は指導しなければ身に付きません。
どうか幼児の段階から指導してあげてください。

・手首が下がっていませんか?
・第1関節がつぶれていませんか?
・手首に力が入っていませんか?
・肩が上がっていませんか?
・腕に力が入っていませんか?
・親指が鍵盤から離れていませんか?
・親指側面全体で弾いていませんか?
・小指側面全体で弾いていませんか?



【導入中期におけるチェック項目/オルガンピアノ2巻以降】

楽曲に新しい要素が加わると、
再び第一関節が凹んだり手首が下がったりします。
ポジションが変わるだけでこういう現象は起こり得ます。
もう大丈夫とは思わずに、常にチェックしてあげてください。


・手首が下がっていませんか?
・第1関節がつぶれていませんか?
・手首に力が入っていませんか?
・肩が上がっていませんか?
・腕に力が入っていませんか?
・親指が鍵盤から離れていませんか?
・親指側面全体で弾いていませんか?
・小指側面全体で弾いていませんか?
・小指がピンと立っていませんか?
・左右の音のバランスはとれていますか?
 →左が伴奏、右がメロディのとき、左は右の2分の1程度の音量になります。
・フレージングの指導はしましたか?
・音量の変化は付きましたか?



【導入後期以降におけるチェック項目/オルガンピアノ3巻以降】

導入中期以降と気をつけることはほぼ同じです。
しかし、ここら辺から新しいテクニックがどんどん入ってきます。
そのたびに小指が立っていないか、
親指に力が入り反りかえっていないか、
手首が下がっていないか、
親指側面全体で弾いていないかなどのチェックが必要となります。


これらのチェックをしないまま、
新しいテクニックを必要とする箇所を、
無理やり楽曲通りのテンポで弾かせると、
これまで築き上げてきた生徒さんの基礎は、
一気に逆戻りし、退化してしまいます。

新しいテクニックを必要とする楽曲は、
その箇所だけ取り出し、
これらのチェック項目を満たすまで、
じっくりと指導してあげてください。
口で注意するだけで「あとは練習してきてね」では決して身に付きません。
レッスン時間内にできなかったことは、
家で練習してもできないと思っていた方が確実です。

新しい技術は理想的な奏法で弾けるようになるまでじっくり付き合い、
「何故理想的な奏法にならないのか?」を見極めてあげ、
その理由を生徒さんに教えてあげてください。
もしレッスン時間内にできるようにならなかったとしても、
できない理由をレッスン時間内に生徒さんが理解していれば、
家に持ち帰って1人で練習しても、効果的な練習が可能です。


このような指導をしても、楽しいレッスンは可能です。
「弾けるから楽しい」「素敵な響きだから楽しい」です。
基礎を身につけないまま、
楽曲をどんどんと進めてしまうと、
生徒さんは必ず壁にぶち当たります。
生徒さんにとって一番辛く苦しいことは、
壁にぶち当たっていると本人が感じることです。

基礎があれば、壁にぶち当たることは決してありません。
ブルグミュラーもソナチネも無理なく弾けるようになり、
どこまでも成長していけるものです。

これらのチェック項目を満たすには、
教材の進みがゆったりとしたものになるでしょう。
しかし、教材が早く進んだものの、
あっという間に壁にぶち当たり、
それ以上上達できずにどうしようもなくなるのと、
教材の進みはゆったりとしたものでも、
壁にぶち当たることなく、
どこまでもどこまでも成長し続けていけるのと、
どちらが理想のレッスンといえるでしょう?

生徒さんが20歳になった姿を思い浮かべてください。
子どもの頃の教材の進み具合は関係なく、
みんな同じような楽曲を弾いているはずです。
いずれはみんな、ジャンルを問わず、
同じような楽曲を弾くようになるのです。

このチェック項目は、
音大を目指したりコンクールに参加する生徒さんだけのものではありません。
クラシック音楽に限定したものでもありません。
生徒さんが壁にぶち当たることなく、
どこまでもどこまでも上達し続けることができる、
土壌を育むための基本中の基本です。

どうか教材の進み具合に惑わされないでください。
生徒さんを教材の進み具合で判断するのではなく、
ここに述べたチェック項目を大切にしてください。
これらのチェック項目を確実に満たしてから、
次の新しいテクニックを取り入れてあげてください。

そうすることで、無理のない楽しいレッスンが実現し、
生徒さんは壁にぶち当たることなく、
将来苦しい辛い思いをすることなく成長し続けていけるのです。


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emksan at 20:04│TrackBack(0) ピアノ/レッスン 

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この記事へのコメント

1. Posted by 真由子   2012年12月20日 18:01
こんばんは(*^_^*)。
生徒としてもとても考えさせられる記事。
私の場合は練習しなかったためですが、
今悪戦苦闘している現実を思えば、
子供のうちにきちんとと思います。
微力ながら、応援しています。
2. Posted by YUKI   2012年12月20日 18:07
ツイッターからうかがいました。

先生の記事を拝見してとても苦しくなりました。

素直な段階で丁寧に教えていかないと後でどうしようもなくなることを何回も経験してきました。

先生のチェックリストを参考にさせていただきたいと思います。
3. Posted by 中嶋   2012年12月20日 19:20
>真由子さん
ありがとうございます〜♪(*^_^*)本当に最初の第一歩が大切なんですよね。
4. Posted by 中嶋   2012年12月20日 19:22
>YUKIさん
読んでいただきありがとうございます♪最初に焦り過ぎてしまうと、あとが大変なんですよね。参考にしていただけて嬉しいです。今後ともよろしくお願いします♪
5. Posted by マチルダ   2012年12月20日 20:51
こんにちは。以前からブログを読んでいて、共感するところが多かったのですが、今日のを読んで娘のことを考えてしまいました。小学生の頃に2年ほどでやめてしまったのですが、こういう指導を受けていたら、ピアノをひいては音楽をもっと身近に感じられたのではないか・・・と思わずに入られません。応援しています。
6. Posted by 中嶋   2012年12月20日 21:12
>マチルダさん
コメントをどうもありがとうございます。娘さん2年でやめてしまったのですね。本当に、指導者の責任は重いです。いつもその責任の重さを感じながらレッスンしています。いつか素敵な先生に出会って、また復活してくれたらいいですね。応援ありがとうございます。頑張って広めていきたいと思います。
7. Posted by りっつ   2012年12月20日 22:53
とても参考になりました。

小指が立つ・・・
指の形を指導するのは(正直)非常に
根気が必要です。
生徒さんは少しでも先へ先へと進みたいもの。
それを敢て指の形を時間をかけて指導する・・・
でも、演奏例を聴かせて納得させて
進みたいと思います。

これからも宜しくお願いします。
8. Posted by ころろ   2012年12月21日 01:31
最近ご無沙汰していますが、mixiでもお世話になっています。
五年生で、お引越しで他教室うちにいらしたお子さん。体験でいらした際、一曲聴かせてと弾いてもらったブルグミュラーアラベスク。第一関節は潰れ爪は長く、蜘蛛の足のような手で、16分音符を固まりで弾いている。そしてなんと譜は読めない。
お母さまと本人に、このままでは将来困ることを話し(本人もお母さまも既に行き詰まりを感じていらしたようですぐに納得)教本はかなり戻り、5指ポジションの教本からやり直して半年。
5年でついたクセが、何年で直るか分かりませんが、譜やリズムは少し読めるようになって来ました。
教本が進むスピードはゆっくりですが、思うように指が動くようになっていくことを実感しているようです。
高校生くらいになったら、簡単な曲なら初見で綺麗な音を奏でられるくらいにしてあげたい。
そう思っています。
9. Posted by 中嶋   2012年12月21日 10:28
参考にしていただきありがとうございます♪正しい手の形は、美しい響きがして、しかも無理がなく動きやすい、弾けなかったところが弾きやすくなる、そんな実体験を積んでいくことが、正しい手の形の重要性を子ども自身が実感しながら学んでいける方法なのかも、と感じています。こちらこそこれからもよろしくお願いします♪
10. Posted by 中嶋   2012年12月21日 10:33
本当に、悲しくなりますね。ブルグミュラーで壁にぶち当たってしまうということ。それ以前の段階で、しっかりと基礎を身につけていれば、ブルグミュラーで壁にぶち当たることなく、のびのびと上達していくことができるはずなのにと思います。私達ピアノ指導者の責任は重大ですね。子どもとピアノの関わりを決定づけてしまう影響力があると感じます。子どもにピアノは難しい苦しい大変という印象を与えずに、弾けるようになることの楽しさ、ピアノの響きを堪能する喜びを伝えていけたらと思います。
生徒さん、思うように指が動くようになっていると実感し始めているとのこと。よかったですね。癖を矯正していくのは子どもにとって辛いことですが、以前苦労していた箇所が、苦労せずに弾けるようになるという実感が、それを救ってくれるだろうと思います。少しでもこういうケースがなくなるように、子どもたちが苦しむことのないように、みなさんと手を取り合って広めていきたいと願っています。今はネットでいくらでも広がりが持てますね。どうぞ今後ともよろしくお願いします。
11. Posted by ことなりままっち   2012年12月24日 08:50
私も似たような経験があるので考えさせられたのですが・・・。

大人の方の場合はどうなんでしょうか。
お子さんの場合は少なくとも、じっくり取り組ませても時間があります。でも大人の方は、ただでさえ練習時間もない、楽しみのために来ているという方も多い中で、勿論最低限の指導はしたいと考えていますが、実際難しいこともあります。

上記のようなことを指導していても、大人の方は例えば、小指が上がっていると声をかけただけで弾けなくなってしまいます。そして、自分はダメだ、子供の頃からやっていないから、と悲しそうな顔をなさるのです。
私がやって見せると、自分とは異なる部分を理解してはくださるのですが、思うように動かせないようです。あまりうるさいことは言わない方がいいのかな(萎縮して弾けなくなるので)、でも本人は思うような表現ができない、と悩んでおられるし・・・。
大人から始めた初心者の方の場合は、理想の形を示し、少しでもそれに近づいたらよし、というあたりで妥協するしかない場合もあります。時間をかけても完全にはできない場合もあるので・・・。

ちなみに私は、小指が上がる癖がブルグミュラー半ばまで治らず、先生にも指摘されて苦労したことがあります。大人になってから指摘されていたらピアノを弾き続ける自信がなくなってしまったかもしれないなと思います。
12. Posted by 中嶋   2012年12月24日 11:31
大人の生徒さんの場合も、私は基本的に同じ立ち位置でレッスンしています。根底には「弾けるようになるから楽しい」がある気がします。また、何かを注意する際には、理由を必ず説明するということでしょうか。これも大人も子どもも関わらずの点です。

ただ、大人の生徒さんの場合、子ども以上にスタンスが様々ですね。そのため、私はまず生徒さんのスタンスを伺い、それからどういうスタイルのレッスンにするか決めています。初心者の方の場合は、まずは基本が大切なので最初の1年だけ我慢してくださいと、基本のためのレッスンを中心にしますが、そうでない経験者の大人の方の場合は、レパートリーを増やしていきたいという方がほとんどです。しかし、変な癖が付いている場合がありますし、本人が弾きたいと思っている楽曲を、その時点の生徒さんが弾けるだけのテクニックを持っているとも限りません。

そこで、レッスン開始の10分くらいその生徒さんに必要な基礎練習を取り入れ、その後レパートリーのための楽曲レッスンをすることにしています。楽曲のレッスンは、むやみにテクニックについて指導することはないかもしれません。生徒さんが弾きづらそうにしている箇所を抜き出して、丁寧に何故弾きにくいのかを説明してアドバイスしています。あとは、生徒さんがこんな風にうたいたいと自覚しているにもかかわらず、そういう音になっていないときに、どうしてそういう音にならないのか、どうやったら歌いたいような歌に表現できるのか、といった指の動かし方、腕の動かし方などなど、様々な角度から「何故」を伝えてあげて、一緒にうまく歌えない原因を克服するための練習をしています。
13. Posted by 中嶋   2012年12月24日 11:31
あとは、生徒さんがこんな風にうたいたいと自覚しているにもかかわらず、そういう音になっていないときに、どうしてそういう音にならないのか、どうやったら歌いたいような歌に表現できるのか、といった指の動かし方、腕の動かし方などなど、様々な角度から「何故」を伝えてあげて、一緒にうまく歌えない原因を克服するための練習をしています。

あとは、大人の生徒さんでも誉められると嬉しいということかな、と思います。「どうしてここ出来ないんだろう?」という悩みは、子ども以上に大人の生徒さんの方が持っているわけで、その原因がわかって、その場でできるようになったときは、「それ!それ!その感じ!」と一緒に喜んだり、「今の歌い方、音色、すごく素敵!」と感動を伝えたり。大人の方相手でも、私は自分の感動を直に伝えています。

一番大切なのは、私たち指導者が生徒さんの悩みを理解してあげ、受け止めてあげるということなのかもしれないですね。一緒に克服し、一緒に喜びあう、です。そこには達成感がありますネ。生徒さんが自分が達成したことを気づいていない場合も多々あるように思います。私たち指導者は課題を提供するだけでなく、達成したことを認め、何を達成したのか、せっかく達成したのに本人が気づいていないという点に気づかせてあげるということも大切なのだろうなと感じています。
14. Posted by 中嶋   2012年12月24日 12:20
あとから小指が立つ場合の私のアプローチ方法を返信させていただきますネ。楽曲とは別にアプローチしています。(楽曲中は苦しくなってしまうだけなので。)
15. Posted by 中嶋   2012年12月24日 12:29
小指が立つ生徒さんの場合ですが、その原因は4の指が独立していないということにありますよね。4の指が独立しているのに小指が立ってしまう生徒さんは、意外とすぐにその場で気をつければできるようになるのですが、4の指が独立していない生徒さんは、いくら声かけしても、その場でできるようになることはありません。

そこで、そういう生徒さんの場合は、楽曲とは別に4の指独立へのアプローチをすることにしているんです。3つの黒鍵に2・3・4指を配置してもらい、親指と小指は白鍵に置かれることになります。このポジションで、ほかの指を鍵盤から離さない状態で、4・4・4・4・4・4と弾くという練習です。これを2・3週間やったら、次に、白鍵盤に1・2・3・4・5指を配置し、ほかの指を鍵盤から離さない状態で、4の指だけ上げてから弾いてもらいます。この際、第2関節を上げて弾くのではなく、付け根から指先を弧を描くように上げるという意識を持ってもらいます。第2関節を上げてしまうと、あらゆるところに力が入ってしまうので要注意と思います。(続く
16. Posted by 中嶋   2012年12月24日 12:29
初心者の生徒さんは、1,2ミリ上げるので精いっぱいかと思います。この練習は、4の指の可動範囲を広げることが目的ですが、無理やりやってしまうと変な癖がついてしまうだけでなく、手を痛めてしまう可能性もあるので、あまり無理をせず、最初は1,2ミリからでOKです。

1か月もすると、ずいぶん違ってくるのではと思います。そうしたら、4−5の連結への挑戦です。この4−5−4−5−4−5という動きの中で、小指を立てずに弾くことができるか?です。これもルールは、同じで、ほかの指は鍵盤から離しません。(鍵盤から浮かないということです) この運動は、腕を一切使わず、指だけを動かすとはどういうことなのか?が重要なので、手首は固定させて上下させないことがルールです。指だけの力で弾くことになるので、音は蚊の鳴くような音量になるかと思いますが、決してしっかりとした音で弾くことを要求せず、4の指が独立して動くことだけに焦点を定めます。これも1カ月もすれば音が鳴るようになってきます。

こんな風に、私は楽曲では無理と思ったことは、楽曲とは別にアプローチすることにしています♪
17. Posted by ことなりままっち   2012年12月24日 17:28
中嶋さん、丁寧な返答ありがとうございました。
改めてお返事を読み返してみて、私のレッスンも基本的に中嶋さんと同じようなことをしているなと感じました。

私が悩んでいるのは、大人の方でも趣味の方ではなく、短期間である程度の成果を出さなければならない保育科の学生さん、または現職の保育士さんなどです。
早くから習っている、経験者の同級生と比べてスタートが遅いということからしてコンプレックスだし、試験あるいは就職のため、仕事のために習っているので、ピアノ演奏に楽しみを感じるまでの余裕がないようです。でも明らかに弾きにくそうな運指だったり、手の使い方だし、本人も弾きにくいと自己申告してきます。

5指の独立については、うまくいっていないなと感じます。本人も頭ではわかるし、先生の言うことはもっともだと感じているが、試験曲をとりあえず「止まらず、つかえずに」弾くことができるようにするだけで試験当日が来てしまうようです。本人が弾けるレベルではぎりぎり一杯でも、試験の曲として指定されている場合はやらざるを得ないですね。
18. Posted by 中嶋   2012年12月25日 11:06
保育士のピアノ指導については、同じようなことをよく聴きます。とにかくどんどん教材を進めるので、学生さんたちは基礎を学ぶどころか、ホント、試験のためにその曲を弾けるようになるので精いっぱいとか。幼稚園の先生には難しい曲が弾けるといかいうより、左の伴奏は1音で、右がメロディといった簡単なものでも構わないから、幼児と一緒に楽しく歌える音楽的な伴奏を身につけてもらいたいなぁと思うのですが。試験がそれではどうしようもないですよね・・・。
19. Posted by ことなりままっち   2012年12月25日 13:49
うちには複数の保育科の学生が来ていますが、彼女たちは全員別の大学に通っているので、いろいろと授業の話も聞きます。
大体4名くらいのグループわけをして、一人の持ち時間は15分だそうです。大学に入るまで全くピアノとは縁がなかった学生も多々いるようで。短大だと、2年の採用試験までにバイエル終了しなければならないのです。

つまり、基本的な手の使い方、腕の使い方などをレッスン内でやっている時間的余裕はないというわけで・・・。
指が動いても音が汚い人も多いですね。
基本的に「成績のため、採用試験のため、実習で間に合わせるため」という視点でピアノをやっている子が多いようなので、仕事を離れてもピアノを楽しめるのか?ということを考えると疑問ですね。

せめてうちの生徒には、何かを感じてもらおうとは思っていますが・・・。

つくづくこの仕事は怖いなぁ、って思います。
先生が間違ったことを教えてしまうことの影響を考えると、気が引き締まりますね。時には自分が教えていたことが全く違っていて、間違いを認めなければならないこともありますし。
20. Posted by 中嶋   2012年12月25日 15:56
それにしても、どうして保育科ってバイエルなんでしょうね。バイエル後半まで無理やり頑張らせる必要がどこまであるのか、と思います。今保育士試験のピアノ実技についてちょっと調べてみましたが、童謡を歌いながら弾くようですね。課題曲の楽譜は、とても簡単なようですね。バイエルを終了させる必要があるほどの楽譜ではありません。

まだとことん調べたわけではないので、なんとも言えないですが、保育士の試験内容と、保育学科におけるピアノ教育に隔たりがあるということなのでしょうか。保育士は、簡単なバスが弾けて(できればコード)、ピアノを弾きながら楽しく子どもの顔を見ながら歌うことができる、ということの方が重要だと思うのだけれど・・・。本当はピアノ以上に、歌が大切なんですよねぇ。
21. Posted by すとん   2012年12月27日 14:18
 御挨拶が遅くなりました。すとんと申します。いつも、ブログを拝読させていただいております。

 さっそく報告ですが、こちらの記事に感銘を受けまして、先日、この記事を元に、私のブログに記事を書かせていただきました。ありがとうございます。よろしかったら、一度、ご覧いただけると感謝です。
22. Posted by 中嶋   2012年12月27日 14:34
>すとんさんへ

ブログ記事拝見させていただきました。多角的に大人の生徒さん方がピアノを習う上で抱える問題について触れられていて、感銘を受けました!このような記事がネット上にあるということ、とても有意義と思います。どうもありがとうございます♪