2012年11月15日

幼児の世界 幼児の思考は非可逆的(読譜の指導法)

ちょっと難しいタイトルになってしまいましたが、
ミファソが言えてもソファミが言えない、ということです。
例えば数字の概念。
12345という並びは記憶できても、
それを54321と逆に考えることはできないということです。

この状態は7歳頃まで続きます。
大人はドレミファソと教えてもらえれば、
その場で並びの概念を感じ取り、
ソファミレドと考えることができますが、
幼児にとってはドレミファソはドレミファソでしかなく、
客観的にそこに並びという概念があるのだということに
気付くことができないのです。

ピアノ導入期で先生方が最も指導に苦労するひとつに、
読譜があるのではと思います。
読譜を学ぶためには、
どの線に刺さっていて、どの線に挟まっているのか、
という見た目の問題もありますが、
ドの次はレ、レの次はミ、といった
音の並びの概念も必要になります。

線間の区別はつくのに、
一向に読めるようにならない・・・。
こういう生徒さんの多くは、
音の並びの概念がわかっていないからと感じます。
音の並びの概念がわかっていなければ、
ドから順番に線間線間〜と数えていくことも難しいですよね。

また、シの音符を読むのに、
上のドがわかっていれば、ド→シと逆に数えれば、
なんの苦労もなく読めるものを、
子どもはドレミファソラ〜と遠回りして数えてしまいます。
これは幼児の発達段階が、まだ非可逆的な位置に留まり、
可逆的に考えることができないからです。

中央ドからの読譜の訓練で、
ドシラと書いてあるものを、ドレミと読んでしまう生徒さんはいませんか?
これはドレミを逆に考えることができない、
幼児の特性があらわれたものと思います。

私は、読譜の指導をする前に、
音の並びという概念を体験しておくということが重要だと考えています。
いきなり5線譜に置かれた音符を指導したところで、
音の並びの概念がわかっていなければ、
子どもは混乱するだけだからです。

毎回毎回、ミファソと書かれている音符を、
数えて・・・ミ、数えて・・・ファ、数えて・・・ソ
などという作業を経ないと読譜できないのでは、
苦しいだけで読譜への苦手意識が芽生えるだけと思います。
音の並びの概念が分かっていれば、
ドが読めれば、自動的に次に書かれたレミは読めるのです。

こうして、音の並びの概念を手助けに読譜の経験を積むことで、
少しずつ可逆的に読めるようになり、
跳躍進行した音符も読めるようになっていく、と私は考えています。

そのため、私は読譜訓練の前に、
音の並びの概念への働きかけをすることにしています。


音の階段

このような音の階段をノートに描き、
まずは音の並びの全体像を見せてあげます。
この全体像を一度見せるということを、私はとても大切にしています。
ドだけ、レだけというのでは、音の並びの概念を経験することができないからです。

音の階段を指さしながら、
ドレミファソラシドと全体を歌います。

その後、2音の音の並び(順次進行)を経験してもらいます。
ドレド、レミレ、ミファミ、ファソファ〜
必ず音の階段を指さしながら歌ってもらいます。

悩まずにそれができるようになったら、
今度は3音の音の並び(順次進行)を経験してもらいます。
ドレミミレド、レミファファミレ、ミファソソファミ〜 です。
これも必ず音の階段を指しながら歌ってもらいます。

次に、これと音の高低を結び付けていきます。
絶対的な音感でなくても構いません。
ミはレより高くてファより低いという感覚を理解してもらうことが目的です。

その時、音の階段から目線を反らし、
記憶で音の並びが歌えるよう、
少しずつ音の階段からの卒業を目指します。
そのため使用するのが手のメーターです。

幼児にとってはより具体的なメーターがあるとよいかもしれません。
ドは手を腰に、レは手を胸、ミは手を肩といった具合です。
ここまで具体的にしなくてもできる子もいるので、
それぞれの生徒さんに合わせています。

音の高低は、それぞれの生徒さんの喉の発達具合にもよるので、
正しい音程で歌えなければならないとは思っていません。
ドよりレを高く歌おうとしている、ということがわかればOKという程度です。

この手のメーターで、
ドレド、レミレ、ミファミ〜
ドレミミレド、レミファファミレ、ミファソソファミ〜
と音の高低を伴った音の並びを経験してもらいます。

こういった経験を踏まえた上で5線を取り入れます。
ドはこの形、レは一番下の線にぶらさがっていて、
ミは1番下の線に刺さっている・・・という、
見た目のアプローチもしますが、
これら1つ1つの見た目と音名が反射的に一致するには、
多くの経験と時間が必要になります。

私は、ト音記号の”ドレ”の見た目を指導するとき、
まずは5線譜に置かれたドレミファソラシドをすべてみせ、
「今日はこの、ドとレを覚えよう」と伝えます。

次に、5線譜に
「ドレレドレレドレドドレレドレド」といった音符を書きます。
まずは「ド」「レ」という見た目を区別することができるか?
ということを目的にしたアプローチをします。

・ドを探そう
・レを探そう

といい、この音符群からドだけ、レだけを見つけてもらいます。
この方法は、左から右に読むとき、
音名は必ずドレミファソなのだと思い込んでいる、
生徒さんの誤解を解消する手助けになります。
こういう誤解をしている生徒さんは、
ドレドと書かれているのを、ドレミと読んでしまい、
これはドレドだよと伝えると混乱してしまうからです。
楽譜からドだけ、レだけを抜き出すという作業を通して、
生徒さんの思いこみを払しょくすることができます。


これができたら、これらの音符を左から右に順番に歌います。
生徒さんは前述の音の並びの概念で、
順次進行における音の並びの可逆性は身につけています。
そこで、読譜を容易に、身近なものにするため、
問題は順次進行に留めます。

音の並びの概念がわかっていない生徒さんは、
楽曲のドレミの並びと、音の並びの違いがわかっていません。
ドの次には必ずレが来ると思い込んでいたり、
楽曲の様々なドレミの並びを経験しているせいで、
音の並びの概念でドの次はレが来るのだということを
理解できていなかったりするのです。

これら幼児を混乱させるひとつひとつの要素を取り上げ、
ひとつひとつ混乱させないように導いていくことで、
音の並びには音の高低が伴っているのだということ、
音の高低を伴った音の並びに読譜は準じているのだということが
理解できるようになっていきます。

ところで、先日面白い経験をしました。
私の主人は高校時代吹奏楽部にいたので、
音楽を全く知らないというわけではありません。
その主人に、「ドから1つ飛ばしでドミ〜と言ってみて」と言ったら、
主人は「ド・・(レ)・・ミ・・(ファ)・・ソ〜」と、
間にある音をひとつひとつ想像しながら、ゆっくりと答えました。
次に、「ドから1つ飛ばしで降りてきてみて」と言ったら、
「ド・・・・・・(シ)・・・・・・・・・・ラ・・・・・・・ああ!もう面倒!!無理っ!!!」と言ったんですよ。(笑)

大の大人でも、音の並びに慣れていない人は、
ドレミの並びを逆に読んだり、1つ飛ばしで読むことに苦労するのです。
認知力が未発達な幼児に至っては、なおさらと思います。
読譜の前に、音の並びの概念への働きかけをするだけで、
読譜指導の苦労がかなり減るのではと思います。


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emksan at 09:00│TrackBack(0) ピアノ/レッスン | 障碍&幼児

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