2012年10月10日

作曲のススメ

ピアノ曲を作り始めて数曲の私がいうのもなんですが、
勉強になるんです。
楽しいんです。
お勧めです!!

センスがあるとかないとか、
そういう問題ではないんですよね。
そんなのはすでに諦めているというか・・・。(笑)
私が作曲を始めたのは、
作ったら読譜がより深まるのでないかと思ったからでした。
実際作り始めてまだ数曲ですが、
すごく勉強になると実感しています。

誰かに師事するわけでもなく、
自分のペースで自分の作りたいように作る。
だから、勉強とはいえ楽しいんですよね。
趣味という領域で作りつつ、
勉強という課題を与える。
そのバランスが絶妙です♪

私が1曲目を作ったのは2009年9月のこと。
それから数曲しか作っていないのですから、
ホントのぉんびりペースです。
それくらいが私には丁度いい。
やりすぎると燃焼しきっちゃうので。(笑)

私が作曲してみたいなぁと思うとき、
そこにはいつも理由があります。
1曲目のときは”対位法”を使ってみたいというのが理由でした。
特に”対位法”の本を読んだわけではありません。
これまで弾いてきた経験の中だけで作ってみるんです。

だから趣味の領域なんですよね。

こんななんちゃって作曲でも、
ものすごく勉強になりました。
とりあえず”テーマと対旋律を作ってみたい”
”テーマを右にも左にも使いたい”程度のものだったので、
仕上がった曲は未熟極まりない曲ですが、
私にとっては第一歩の大切な思い出の曲です。

2曲目を作ったのは同年11月のこと。
このときは”展開してみたい”という思いが動機でした。
楽曲を展開するってどんな感じ?
ソナタ形式で書こうと思っていたのに、
第1主題の流れから第2主題が転調のイメージではなくなってしまい、
中間部が展開しているだけの3部形式の曲になっていまいましたが、

とてもよい経験になりました。

この曲の展開のお手本はベートーヴェン。
聴く人が聴けば、ベートーヴェンにありがちな展開と
わかるのでは〜と思います。(^_^;)
展開させるって難しい!を実感しまくりました。
また、対位法を取り入れてみたり、
繋留音を取り入れてみたりと、
自分がやってみたいことをあれもこれも!と
詰め込んだ曲です。

一体どうやって展開させればよいの〜?!と
試行錯誤する苦しさ反面、
あれもやってみたい、これもやってみたいと、
とても楽しく作曲できた曲です。

3曲目は2012年1月。
随分と間が空いてしまいました。
2曲目で力尽きたか?!といった感じでしたが、
ようやく再び作曲熱が出てきました。
きっかけは夏目漱石の『草枕』。
こういう世界観の曲を作ってみたいという気持ちと、
旋法を使ってみたいという気持ちが一致して作ったものです。

ドビュッシーはどのように旋法を使っているのか?
じゃぁ、私はどうやって旋法を使えばいいのか?
いったい旋法にどうやってハーモニーを当てはめたらよいのか?

わからないことだらけで、
試行錯誤しまくりました。
使いたい旋法を決めて、
それが転調するとどうなるのかを5線譜に書いて、
そこにハーモニーを当てはめるとしたら、
どんなハーモニーがよいのかを書き出して、
それからようやく作曲です。(笑)

これはハーモニーを知るよい機会になりました。
私は和音を分析する、というアナリーゼがとても苦手です。
正直、自分が作曲した曲に和音記号を書けと言われても、
書くことができません。(^_^;)
だけど、感覚がすごく研ぎ澄まされたんですよ。
苦手だった属9の存在が身近になったというか。

4曲目の作曲は、3曲目の直後に書きましたが、
ただ書きたいという漠然とした思いだけで書いたので、
自分でも耳を覆いたくなるほど稚拙な曲になってしまいました。
感覚だけで作ってもよいものにはならないのだと、
反省した曲です。

そして、最近5曲目を書き終えました。
今、演奏の練習中です。
この曲を作るきっかけは「変奏曲を作ってみたい」という思いでした。
漠然とですが、これは勉強になるのでは?と思ったのです。

ベタですが変奏曲といえば「きらきら星」ですよね。
ということで、作曲したのは「きらきら星変奏曲」です。
この曲を選択して正解でした。
「ドソラソファミレド ソファミレソファミレ ドソラソファミレド」
を同音連打しただけの単純な曲。

単純だからこそ、基本から逃げようのない曲だったんです。
そこから逃げてハーモニーを付けると、
どこかで聴いたことのあるようなポピュラー曲になってしまう。
まずは、基本的なハーモニーの中で、
いかに美しくありきたりではない音楽にするか。
この縛りがものすごい勉強になりました。

まずはテーマのハーモニー決め。
特別なハーモニーを使うのは一部だけ。
あとは全て基本的な和音に留めました。
特別なハーモニーをどこに使用するか?
この1点に集中するだけで、
魅力的なテーマになるということを知りました。
(あくまでも私の感性に響く魅力・・・ということですが。)

次に悩んだのが”変化”です。
モーツァルトを見てみると、
「ドドソソララソ」の後、「ファファミミレレド」で変化があるんですよね。
たったこれだけの小節間で、
とても魅力的な変化が加えられているんです。
なかには「ドドソソ」→「ララソ」で、
「ソソファファ」→「ミミレ」で変化しているものもあり、
モーツァルトは自由奔放に音で遊びます。

ハーモニーを変化させることなく、
ありきたりではない”変化”を加えるということ。
あぁ、作曲家ってこんなところにまで工夫をしていたんだ!です。
さて、私はどうやって変化を加えようか?
これだけで数時間かかったりしました。
”ハーモニーを変えない”という縛りがあるから大変でした。
でも、その縛りのお陰でたくさんのことが見えてきたように思います。
ハーモニーの変化に逃げないということ。
これ、結構重要なことなんだなぁと、しみじみ思いました。

次に悩んだのは”繋ぎ”でした。
私はどの作曲家の演奏をするときでも、
経過句が一番難しいと感じています。
オーケストラの演奏を聴いていても、
すばらしい指揮者はこの繋ぎの部分が見事ですよね。

これまでは演奏者側の視点でしたが、
作曲する側の視点としても、
繋ぎというのは難しいものなのだ!を実感させられました。
感覚的にサラサラ〜と繋ぎを作曲してしまうと、
そこらへんで聴くポピュラー曲になってしまうからです。
それを回避しようと思うと、
今度はありきたりな繋ぎになってしまいます。

単純なハーモニーの中に、自然な次への流れをを作る。
ほんの1小節に数時間かかることしばしば。
自分の引き出しの少なさに驚かされると同時に、
様々な作曲家の繋ぎ部分に目を向けると、
多くの工夫に気付かされ、
読譜の楽しさが倍増しました。

最後に悩んだのは”配置”です。
音の配置ひとつで、響きが大きく変化する!!
大学時代和声の問題を解いていて、
こんな楽しさは実感できませんでしたが、
和声の問題を解くというのは、こういうことだったんだなぁ!です。
(かなぁり今さらです・・・)

私の変奏曲は小規模なものなので、
第4変奏が最後の変奏です。
ここではこれまでにないほどの変化を加えているのですが、
ハーモニーの配置にかなり苦労しました。
アップテンポの曲なので、
さらりと流れていってしまうハーモニーなのですが、
なんだか美しくないんですよねぇ。

イメージだけで作っていたので、
ハーモニーの骨格が見えないまま、
あれこれ音を加えてしまっていたのです。
そこで、私が譜読みの際必ずする、
ハーモニーの骨格を弾いてみるという作業を、
この曲でやってみることにしたのですが、
いびつな部分をあちらこちらに発見!!

あぁ、作曲家というのは、
こういう骨格をはっきりと意識した上で作曲しているんだ、を実感です。
骨格をはっきりさせながら、
自分が目指したいメロディをそれらと合致させていき、
さらにいくつかの旋律との兼ね合いを考えるというのは、
もう、本当に、至難の業です。(^_^;)

しかも、そこに美しい響きを求めたいという私の欲求から、
”配置”にまで目配りしなければなりません。
密集がいいのか、開離がいいのか。
これはその部分によって異なります。
第4変奏全体における、高音・中音・低音の配置による変化。
第1変奏から第4変奏という広い視野でみる、
高音・中音・低音という配置の変化。
配置ひとつで、あれもこれも!です。
この縛りと格闘するのに、結局1か月もかかってしまいました。

たった1曲を作曲するのに、
こんなにワンサといろんなことが学べるなんて!でしょう?
作曲してみること、本当にお勧めです。
私たちは楽譜棚に目を向けるだけで、
レッスン代を支払うことなく、
一流の作曲家から作曲を学ぶことができます。
なんて恵まれた環境だろう、
なんて恵まれた時代だろうと思います。

みなさんもご自身が学んでみたいテーマを決めて、
作曲してみませんか?
私が記事にしたテーマ以外にも、

・イ音を使ってみたい
・繋留音を使ってみたい
・借用和音を使ってみたい
・減7を使ってみたい
・転調してみたい

こんな風に、たっくさんテーマを設けることができるのではと思います。
誰にせっつかれるわけでもなく、
ただただ自分と向き合うだけの作曲。
楽しいですヨ♪


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この記事へのコメント

1. Posted by ミカ   2012年10月10日 19:56
素晴らしい向上心ですね!

作曲をする心の中が
分かりやすくて
あ〜私もこういう気持ちなのか、と
客観的に勉強になりました。

聞きたいな〜。是非、動画をアップしてください(^^)
2. Posted by 中嶋   2012年10月11日 10:51
まだ数曲しか作曲していないのに・・・な話題ですが、
とっても楽しいのでお仲間が欲しいなぁと。(笑)
早くアップしたい気持ち満々なのですが、
第4変奏が難しくて手間取ってます。(^_^;)
作曲して終わりじゃないといふ・・・。
自分の作品を練習するのもいい勉強になるものですね〜!