2012年06月25日

私なりのレッスン記録方法

レッスン記録付けておいたほうがいいよ。
ピアノ指導者になりたての頃、よく耳にした言葉。
先日セミナーを開いた先でも、
ある方が私のVTRの記録を見て他の若い先生方に、
「だから記録が大切なのよね。」とおっしゃっていました。

レッスン記録ってなんでしょう?
私は逐一レッスン記録を残しているわけではありません。
1人1人毎回レッスン記録を書いているわけではないのです。
セミナーで使用しているVTRは発表会のもので、
年に1回の記録でしかありません。
しかし、頭の中には生徒さん1人1人の記録が、
きちんと保存されています。

最近、この記録は点ではなく線なのだと感じるようになりました。
私は、毎回のレッスンで「今日は〜をした」と箇条書きで記録していくことに、
正直あまり意義を感じていません。
それは点でしかないからです。
重要なのは、


・「〜した」のは何のために?
・結果は?


の記録だと思っています。
何故そのようなレッスンをしたのかという理由付けがはっきりしている、ということ。
そして、そのアプローチをした結果どのような反応だったのか、ということ。
特に、アプローチに対する結果は、
その日のレッスンだけでわかることではありません。
1,2カ月続けていたら結果が現われてきた、
ということだってあり得るわけです。

私が10年分のレッスンを思い起こしながら、
1冊の本が書けたのは何故なのか?
それは、ブログやHPの存在があったからと思います。
ネットに自分の考えやレッスン内容を発信し始めたのは10年前のこと。

ブログを書く理由は、自分の頭を整理するということにありました。
とはいえ人に読まれる以上は、
読む人に伝わる文章を書かなければなりません。
そこで必要になったのが、


「何故そうしたのか?」
「何故そう思うのか?」


という理由付けでした。
裏付けのない言葉には説得力がないからです。
このことに気を付けて文章を書くことで、
より頭が整理できるようになりました。
言葉にすると、漠然としていたものが具体的なものに置き換わります。
先日ブログ記事にした、


人間教育とは?
ピアノ教育における”自律(自分を律する)”とは?
ピアノ教育における”自立(自分の足で立って歩く)”とは?


は、この10年間私が自身に問い続けてきたものでした。
点ではなく線という、
私のピアノ教育におけるテーマそのものだったのです。
いきなりレッスンアプローチを”自律”や”自立”に
結びつけることができるようになったわけではありません。
私の中に漠然としたレッスン哲学のようなものがあり、
それを目指し、レッスンアプローチしていく中で、
少しずつ見えてきたのがこれらのことでした。

そして、これらのブログ記事を書いたことで、
私の中にあったもろもろのことが、
さらに具体的に浮かび上がってきました。
ああ、そうか、私はこんな風に考えていたんだ、
私のアプローチや考えの裏付けは、こういうところにあったんだ、と。

レッスン記録。
いろんな記録の取り方があるのではと思いますが、
それらは点だけで済ませてしまわずに、
線にしていく必要があると感じています。
点のままではただの紙切れ。
線になって初めて有効活用できる”記録”になると思うからです。

ブログは点を線にするのに、
とても効果的なツールと実感しています。
文字にすることで客観的に頭を整理することができる上、
読み手に伝わるよう、
一つ一つの事柄に理由付けする必要が出てくるからです。
この作業のお陰で点が線になります。

ところで、このブログによる点から線への発展は、
レッスンアプローチに限らず、自分の学びの際にも使えます。
私はこのブログに、


ピアノ/知識
ピアノ/ピアノの歴史
ピアノ/教材を眺めて
ピアノ/練習&勉強
音楽/本・CD
音楽/コンサート
美術
読書


などのカテゴリを設けていますが、
これらはすべて私自身の学びのためのカテゴリです。
このブログを利用して頭を整理する。
こうして頭を整理をしていると、
何年か前に書いた学びのテーマと、
現在の学びのテーマが繋がることがあります。

学びにおける線の誕生は本当に快感!
学びの記事の場合、
ブログ記事を書いている時点では、
まだ点という”情報”でしかないことが多いのですが、
その点と点が結びついて線になると、
ただの”情報”に過ぎなかったものが”知識”になるのです。
ああ、こういうことだったのか!と実感できる瞬間です。

点を線にするには、
常にテーマを心の片隅に置いておくことがコツと感じています。
レッスン記録の点を線にするにしても、
自分の中にレッスン方針というテーマが常に心の片隅にある。
これはレッスン哲学、という言葉に置き換えてもいいかもしれません。

学びにおける点を線にするのも同じです。
私はその時期その時期に、学びのテーマというものを設けています。
大体1,2年のスパンです。
その1,2年で線が誕生することもあれば、
その期間中は、点の寄せ集めで終わってしまうことも多々あります。

でも、他のテーマを学んでいるうちに、
以前のテーマで寄せ集めた点と、
今学んでいるテーマの点が繋がる瞬間に出会うことがあるんです。
この長いスパンでの線の誕生は感動もの!
目の前がグワンッと広がる瞬間です。


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emksan at 02:07│TrackBack(0) ピアノ/レッスン 

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