2011年12月02日

自傷行為が落ち着いてきた自閉症の子

思春期に入って自傷行為が激しくなった男の子。
最近落ち着いてきて自傷行為は見られなくなってきましたが、
それでも調子の悪い日が時々あります。

先日のレッスン。
レッスン最後の5分、両手奏への挑戦に息切れしたせいで、
調子が悪くなってしまいました。

「自然の猛威が僕を襲ってくる。
血を吸いにやってくる!」

この子は、時々ドキッとする発言をします。
これは暴力的な性格というのではなく、
Rくん独自の言語表現なんですよね。

ここでの”自然の猛威”というのは、
自分を自分で抑えることのできない苛立ちや、
自分が許せないという自分を否定する思いです。
”Rくんの血を吸いにやってくる”というのは、
Rくんがこの思いにとらわれて抜けだせなくなり、
苦しんでいる、ということなんですよね。

以前であれば、確実に自傷行為が起こっていたと思いますが、
先日は自傷行為には至らず、涙が止まらなくなりました。
泣くほどに苦しい精神状態ってことですよね。
そこで、このまま帰すのは不安だったので、

「まだ帰らないで、自然の猛威がなくなるまでここにいたら?」

と言いました。
Rくんはすぐに

「うん。」

とイスに座りました。

さてさて、どうやって気分転換させたものか?
自傷行為が激しかった時期は、
とにかくRくんの苦しい気持ちに同調してあげる、
というのが私の方法でした。
Rくんを気分転換させるように導くのは、
無理だったんですよね。
それくらい自傷行為がひどかったので。
そこでその時期は、自傷行為にならないよう、
予防することくらいしかできませんでした。
(それでも、予防には限界があるものなのですが。)

でも、今回はどうやら違う、そう感じたんですヨ。
これなら気分転換へ導けそう!と思ったんです。
そこで、

「今日帰ったら何のテレビを見るの?」

と声をかけました。
しかし、この選択肢は間違いだったようです。(笑)
あとでお母さんに伺ったら、
この日はテレビを見ちゃいけない曜日だったようで。(-_-;)
Rくんはテレビやゲームが好きだからと選んだ話題でしたが、
逆効果となる話題を選んでしまいました。

そこで、すぐに話題を切り替えて、
本棚にあるRくんの大好きな漫画本を指差して、

「漫画読んだら?」

と声をかけました。
うちにはベートーヴェン、モーツァルト、ショパン、
ブラームス、クララ・シューマンなどの漫画があるんです。
Rくんはこれらの漫画が大好き。

「ショパン!」

Rくんは反応良くショパンの漫画を手に取りました。
それからパラパラとページをめくり、
10秒経たないうちに

「とれた!」

と言ったんですヨ。
いやぁ、あまりにも早く効果が表れたので驚いちゃいました。

「おめでとう!!よかったね〜!!これでスッキリしたね!」

Rくんの表情ががらりと変わって、
すっきりした気持ちよさそうな表情になりました。
そのまま大好きな漫画を読み続けるかと思いきや、

「もう大丈夫。」

と言い、そそくさと本を閉じ、
楽しそうな顔をして帰っていきました。

Rくんが帰ってすぐにお母さんに報告メール。
いい方法見つけた!と思うたびに、
お母さんにメールをしているんです。
思春期を抜け出そうとしているRくん。
気分転換する方法が見い出せたら、
ずっとずっと楽になるだろうなぁと思います。

そうやって少しずつ、
自分と上手く付き合っていく方法を見つけながら
成長していくんでしょうネ♪

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emksan at 16:47│TrackBack(0) 障碍&幼児 | ピアノ/レッスン

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