2011年04月15日

生徒さんの感性に触れたとき

発表会でママと連弾する小学4年生の女の子。(定型発達児)
昨日、プリモを生徒さんに歌ってもらいながら、
ママのセコンドパートを弾いてあげました。
曲目は、バイエルを連弾用に三枝成彰氏が編曲したもので、
むぎばたけ協奏曲です。


バイエルであそぼう -連弾と2台のピアノのための- 三枝成彰
著者:三枝 成彰
音楽之友社(2006-12-27)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る


歌い終わった後、横を見たらこの子が目を真っ赤にしていて・・・。
自分の思いを上手く言葉に表現することができない様子で、
しくしくと泣いていたのです。


「嫌なことを思い出した」


ようやく理由がわかり、ママも私も胸をなでおろしました。


「この曲を弾くたびに辛い思いになるようだったら、
他の曲にしてもいいんだよ。」


結果、これとはま逆の、明るさ全開の曲に変更。
私はこういう繊細な感性に触れるのが大好き。


泣いている自分が恥ずかしいのか、
音楽を聴いて心を揺さぶられたことに動揺したのか、
複雑な表情をしているこの子に、
このような豊かな感性を私に見せてくれた、
ほかの生徒さんたちの話を聞かせてあげました。

重度知的障碍の男の子。
とんぼのめがねは〜 とピアノを弾いて歌ってあげるたびに、
多動だった動きが鎮まり、目に涙をためて聴いていたこと。

軽度知的障碍の女の子。
大好きなドラマ「ちゅらさん」の楽譜を持ってきて、
私に「弾いて弾いて!」とせがんできたので弾いてあげたら、
ドラマの内容を思い出してポロポロ泣きだしたこと。
それでも聴きたくて聴きたくて、
いつも「弾いて弾いて!」とせがまれていたこと。

自閉症の女の子。
曲の中に切ない響きがあるだけで、わんわんと泣き出していたこと。
今では「せつないね〜。ここ好き!」と
心の震えに動揺を見せることなく、
そういう曲を好んで弾いてくれています。


昨日泣いてしまったこの子は定型発達の子。
発達障碍の子はなんて感性が豊かなのだろうと、
生徒さんたちの涙に触れるたびに、
私の感性が刺激を受けたものですが、
定型発達の子の涙は、また別の意味で新鮮でした。

そういえば、私も動揺したことがあったなぁ、と。
私は昔、「ドナドナ」と「小さい秋」が大好きでした。
大好きだったのだけれど、
この曲に出会ったばかりの頃は「嫌い」と宣言していた記憶があります。
嫌いなのに、惹かれる。
聴くとすごく悲しくなって心が乱れて、
どうしたよいのかわからなくなるから。
だから嫌いだったのに、
頭の中で流れる音楽を止めることができない。

子どもの頃の、慣れぬ感性への動揺というのか。(笑)
なんかね、そんなことを思い出したのですよ。


「先生は今はね、短調の音楽が好きなの。
弾きたいと思う曲は、全部短調になっちゃうんだよね〜。」


「うんうん。ママもそう言ってたよ。
先生はいつも短調の曲を弾くって!」


「そうなんだよね〜。
弾きながらさ、ツーンとする響きに、
涙がちょちょぎれる〜って思いながら弾くのが好きなの。」


みんなで大笑い。
その後、新しい曲が決まって心の動揺も収まり、
笑顔が戻ったこの子をぎゅっと抱きしめました。
生徒さんから両頬にキスしてもらってさいっこうの気分♪
私は、生徒さんをお膝にのせながら、
こういうお話をするのが大好きです。
なんだろ、心と心が通じ合えるような会話というか。

みんなかわいいんだなぁ〜。
昨日は中学2年生になった子を、
久々にギュッとハグすることもできて、
なんだか得した一日だったのでした。


クリックで応援してネ♪
にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ  Twitter「つぶやく」ボタン



emksan at 13:26│TrackBack(0) ピアノ/レッスン 

トラックバックURL