2010年11月24日

ヤマハから本を出版することになりました

2月にヤマハミュージックメディアから本を出版することになりました。
発達障害児へのピアノレッスンに関する本です。
無我夢中で歩んできた10年でしたが、
とても充実した10年でもありました。
この本は私の10年の集大成です。

発達障害のお子さんにピアノを指導するようになって、いつも感じていたこと。
発達障害児の親御さんたちはピアノ教室を探すのに苦労している、ということでした。
この10年、私のHP「ひまわりの丘」を通じて、
全国の方々から多くの相談のメールをいただいてきました。
そして、その多くが、

○○県に住んでいるのですが、先生を紹介していただけませんか?

というメールでした。
また、現在ピアノを習っており、
先生の障害との向き合い方に疑問を感じて、
どのように先生にそれを伝えたものか悩んでいらっしゃる親御さん。
発達障害児の親御さんは真剣にお子さんと向き合い、
真剣にお子さんとピアノとの関係について悩み、
私に相談のメールをくださるのです。

それから時々、発達障害児にピアノを指導していらっしゃる、
ピアノの先生からの相談メールも舞い込んできました。
発達障害の生徒さんがいるのだけれど、
どのようにレッスンしたらよいのかがわからない・・・という内容です。

このように、これまでの私は私に出来る限りのことをしたいと願いつつ、
生徒さんとピアノの先生を繋げる努力をしてきました。
HPには、発達障害の生徒さんを受け入れてくれるピアノ教室のリンク集も作っています。
でも、個人にできることなんてたかだか知れているんですよね。
私にできることには限界がある。
何しろ、私は全国の先生を紹介してあげることができるほど、
顔が広いわけではないのです。

このような活動を細々と続けながら、
生徒さん1人1人と向き合い、たくさんのことを生徒さんたちから学び、
5年ほど過ぎたある日のこと。
主人がこんなことをボソッと言いました。


「恵美子。今恵美子がやっていることは、
きちんと形に残した方がいいよ。
自費出版でもいいから本を書いてごらんよ。」


5年前の私には、全くピンとこなかった言葉でした。
形に残すって?
そんなことを考える余裕なんて持っていなかったのです。
なにより形に残すために生徒さんを指導しているわけではないのですから。
私にとっては1日1日が大切な経験で、
形に残すということにそれほど意義を感じていなかったのです。

ところが2年前。
やはり頭の片隅にあったんですね。主人が語った本のこと。
突然書きたくなってきたのです。
発達障害児へのピアノ教育の垣根をなくしたい!という強い思いから、
私に何かできないものかと思い始めた時期でもありました。
また、HPの細々とした活動に限界を感じていた時期でもあります。

そこで原稿へ向かう前に、
どういうスタンスで本を書きたいのか?
書くとしたらどういう枠組みの本になるのか?
そういったおおまかな点を書き出してみることにしました。
そうしたら、思いのほか全体像がはっきりしてきたのです。


序章 お教室に発達障害の子がやってきた

   「うちの子、発達障害児なのですがレッスンしていただけないでしょうか?」
   「お月謝をいただいている以上、レッスンらしいレッスンがしたい」
   「レッスンらしいレッスンとは、目的がはっきりしているということ」

第1章 その子の個性を知ろう

 幼児の世界
   (1)自己中心性と中心化
   (2)アニミズム

 自閉症スペクトラムの子
   (1)具体的に伝える
   (2)視覚に訴える
   (3)新しいことへの不安を取り除く
   (4)完璧主義な子へのアプローチ
   (5)こだわりの強い子へのアプローチ
   (6)多動の子へのアプローチ
   (7)感覚異常のある子への理解
   (8)睡眠異常がある子への理解
   (9)おかしくない状況で笑う子への理解

 知的障害の子
   (1)がんばりたいのにがんばれない子
   (2)理解力と精神年齢がアンバランスな子
   (3)ダメ!が通じない子

第2章 その子の理解力を知ろう

 言葉が通じますか?
   (1)発語がなく、こちらの言っていることが伝わらない子
   (2)発語は少ないが、こちらの言っていることが伝わっている子

 文字が読めますか?

 2つの黒鍵と3つの黒鍵の区別がつきますか?
   (1)区別がつかない
   (2)区別がつく
 
 リズム譜が読めますか?
   (1)リズム教具によるリズム譜導入
   (2)リズム譜は読めるのに、5線譜に書かれた音符のリズムがわからない子

 指番号を覚えられますか?
   (1)指番号による指の運動
   (2)指番号の読譜

 線上と線間の区別がつきますか?
   (1)区別がつかない
   (2)区別がつく

 音の長さを理解できますか?
   (1)理解できているが、鍵盤上で音を伸ばせない子
   (2)理解できているが、テンポが安定しない子

第3章 その子の身体能力を知ろう

 幼児の身体発達の順番

 それぞれの身体能力に応じたアプローチ方法
   (1)握力がない
   (2)指が弱い
   (3)指が思う通りに動かない
   (4)それぞれの部位への意識が弱い
   (5)手首が下がる
   (6)鍵盤から指が離れない
   (7)スタカートができない
   (8)”右手はレガート左手は切れる”ができない
   (9)両手ユニゾンで混乱してしまう


大まかな枠組みがあっという間に出来上がりました。
私のアプローチ方法はある意味とても単純なのです。
その子はどういう個性を持った子で、
どの程度の理解力と運動能力があるのか?
この3点がわかれば、おのずとアプローチ方法が見いだせるからです。

そして、最後に第1章から第3章のカテゴリに収まらない内容を、
Q&Aという形で書き足すことにしました。
枠組みができたら、あとは私の経験談を書いていくだけ。
この本は私の経験談でもあるのです。
この本に書かれていることすべてが経験談と言ってもよいかもしれません。
経験から学んだことが多かったからです。

この枠組みに沿って、
印象に残っている思い出をパソコンに入力していくという作業は、
驚くほどあっという間に進んでいきました。
ところが、突然の腰痛勃発!
夢中になると時間を忘れてしまい没頭する私。
毎日何時間もパソコンの前に座っていたせいで、
もともともっていた腰痛が悪化してしまい、
パソコンの前に座っていられなくなってしまったのです。

それから引越だ、義父との生活だ・・・と、
8割ほど書いていた原稿は2年間放置しっぱなし。
ようやく生活が落ち着いてきて腰も安定してきた半年ほど前、
改めて原稿に向かうことができたのです。

結果、この期間は原稿を熟成させるのによかったようです。
2年前の私には、まだ悩んでいて試行錯誤中のこともあったからです。
それが今現在は解決しているんですよね。
そういった点も含め、改めて書き直し、書き足し、
もしくはいらない部分を削除して、原稿を書き上げました。

自費出版になるだろうと思っていたこの原稿を
ヤマハミュージックメディアの方が受け入れてくださり、
ありがたいことに2月に出版決定。
これから2月刊行に向け、
今まで経験したことのないたくさんのことを経験できそうです。
全く知らない世界を体験するというのは、ワクワクするものですね。
普段自宅で教えている世界から、オフィスビルへ向かうということだけでも、
ワクワクしてしまう。(いや、オドオド?!)
興味本位でキョロキョロと、いろんなところを見回してしまうんですヨ。

これからどんな世界を体験することになるのでしょう?
担当の方がいてくださるので怖いことはありません。
ただただ、与えられたスケジュールにきちんと沿って、
みなさんにご迷惑をおかけしないように頑張るのみ!です。

ということで、本の出版なんて一生のうち一度経験できるかできないか、というもの。
少なくともたかだか私ごときにはネ。
考えられない進展なのですヨ。
私の人生にこんなことが起こりうるの?!みたいな実感のなさがあります。
そこで、この大切な経験と、興味深い体験を、
記録としてブログにアップしていくことにしました。
これからどんな流れを経て、私の本が本屋に置かれることになるのか?
その一歩一歩を私の人生のひとつの記録として、
ブログに残していこうと思います。
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emksan at 13:03│TrackBack(0) 本の出版 

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この記事へのコメント

1. Posted by ペンネ   2010年11月25日 20:11
中嶋さん、こんばんは。
書き込みは久しぶりですが、ずっと読み逃げしておりました(謝)。

中嶋さんのこれまでのご経験・ご活動が本になるのですね!
素晴らしい事です。
おめでとうございます!

この本によって、どれだけ多くの方々が
助けられるでしょう。。。
本を出版されるまで、大変な労力と日々だったと思います。
お疲れさまでございます。

私も発刊を楽しみにしております!
2. Posted by 中嶋   2010年11月25日 20:16
>ペンネさんへ

ありがとうございます♪発達障害児がピアノ教室を探さなくてもよい時代がきますように!そんな強い思いで今います。周りに発達障害児を受け入れてくれそうなピアノの先生がいらしたら、是非この本を勧めてください〜。そして、ペンネさんのところにそういう生徒さんがいらしたら、是非是非前向きに受け入れてあげてください〜。どうぞよろしくお願いしますっ!
コメント、本当に嬉しかったです!ありがとうございました〜〜〜っ
3. Posted by うめもも   2010年11月25日 23:07
おめでとうございます!!!

一読者として、すごく楽しみです。
是非、読ませていただきたいと思います。

是非、本にして欲しい。読みたい。と思っておりました。多くの方々が強く望まれていたのですね。
そういった数々の思いと中嶋先生のご経験が、
こうして形になること、素晴らしいです。

2月に向けて、お忙しく過ごされることと思いますが、応援しております。

あぁ〜本当に楽しみ!!!早く読みたいです〜^^
4. Posted by 中嶋   2010年11月26日 12:27
> うめもも先生へ

ありがとうございますぅ〜♪うめもも先生から私の文章が好きと言っていただいたこと、ずっと励みになってきました。本当に感謝です!ありがとうございますっ。