2010年08月25日
その作曲家らしい演奏って?
大人の生徒さんで、ハイドンのソナタを練習している人がいます。
レッスン中「ハイドンらしさって何だろうって悩んでしまって。」
と言っていたのが気になって・・・。
モーツァルトとハイドンの違いって何?なのでせう。
で、私は一体何を感じているのかな?と
改めて自分を振り返ってみて、
自分なりの答えが見い出せた次のレッスンで、
次のようなお話をすることにしました。
「その作曲家らしさって、
すべて楽譜に書かれているんだと思うんだよネ。
作曲家の個性という情報が先にあるんじゃなくて、
楽譜を読んでいるうちに作曲家の個性が見えてくる。
そういうものなんじゃないかなぁ。」
私がハイドンに何を感じるか。
やっぱり楽譜次第なんですよね〜。
ハイドンがどのような時代に生き、
ハイドンがどのような楽器に接し、
ハイドンがどのような環境で作曲し、
ハイドンがどのような人生を歩んだのか。
確かにこういう情報も重要。
こういう背景というのは、演奏のヒントになるので。
それから様式感。
その時代における様式感もわかっていてしかるべきものですね。
でも、そういった土台となる基本抜きに考えたら、
楽譜にその作曲家らしさというものがにじみ出ているものなんじゃないかなぁ、
と思うわけデス。
そして、最終的にはその楽譜から演奏者が何を感じ、
何を受け取るかなんじゃなかろうか・・・と。
だから、楽譜を読むって大切なんですよね。
音符を読むだけじゃない。
音の上行、下行、順次、跳躍、アーティキュレーション、
動機の扱われ方、ハーモニーの行方。
いろぉんな見方がある。
特に私は、バロック・古典派音楽の表現を豊かにするために必要な意識は、
順次進行なのか、跳躍進行なのか・・・といったあたりにあるような気がしています。
無理やり表情を付けようと、
まるでロマン派のような腕の動きと抑揚をつける人を見かけますが、
それって様式感を無視した、気持ちの悪い音楽にしか聞こえないものですよね。
古典派の音楽を表情豊かに演奏するって難しい。
だから、無理した抑揚をつけてごまかすのだろうと思います。
その難しい表現を楽しいものにするコツが、
跳躍や順次進行に敏感になることにあるような気がしているのですヨ。
それから、左手のフレーズ。
前述の大人の生徒さん。
左手のフレージングを間違えて解釈していました。
バッハなどのバロック音楽によくみかけるアーフタクトから始まるフレーズ。
それを1拍目からのフレーズと勘違いしていたのデス。
だから上手く歌えない。
様式感が身に付いていたら、感覚的に読めるものなのですが、
そこいら辺の経験値がまだ足りないからの勘違い。
モーツァルトもハイドンも、そういう見方ひとつで表情ががらりと変わってきます。ちょっとした繋ぎのメロディをどのように歌うのか、
跳躍に何を感じ、リズムの変化に何を感じるのか?
aという動機と、bという動機の変化をきちんと感じているか?
これが見えてくると、古典ものは楽しくてたまらなくなる。
ハイドンらしさって?モーツァルトらしさって?
答えはすべて楽譜にある。
そう思うと、楽譜がとても愛おしいものに思えてきませんか?
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