2009年07月15日

耳コピーが得意な自閉症の子

やっとこさ落ちついてきて、
やっとこさ自閉症の子の作曲の話題に取り掛かれマス。
お待たせいたしましたぁ。m(__)m



futaba3futaba3


中学2年生になった自閉症のSYOTA君。
この子に会ったのはこの子が小学2年生のときのこと。
学校で音楽が大好きで、キーボードをよく弾くから・・・という理由で、
私のお教室へ来てくれたのでした。

驚くほど耳コピーが得意で、
CDやキーボードに内臓されている音楽、
どこかで耳にしたお母さんや学校の先生も知らない曲を、
サラサラ〜とハーモニーをつけながら弾いてしまうのです。

今はドンとまるで社長さんのように構えて、
落ち着きのある彼ですが、当時の彼は多動症。
5分と座っていられません。
ピアノを5分、打楽器を別の場所で5分、
そうしたらまたピアノに戻って5分・・・。
そんな風に工夫しながらレッスンを進めました。

使った教材はオルガンピアノの本です。
これがね、面白いんですよね〜。
楽譜はすぐ読めるようになったのですが、
楽譜通りに弾かないのです。(笑)
いわゆるアレンジをして、自分の気に入った音じゃないと、
弾きたくないんですね。
自閉症の子に見られるこだわりがここに見られたのです。

まだこの年齢の自閉症の子に、
こういった”こだわり”を諦めるように言うのは無理。
そのままの音でレッスンをしばらく進めるようにしました。
というか、彼の選ぶ音がとぉっても面白くて、私も好きだったんですよね〜。
なんだろ、シルク・ド・ソレイユが好みそうな音なのですよ。(笑)

例えば「ぶんぶんマーチ」。


ミドミドミソソー ファレレー ミドドー
ミドミドミソソー ファレレレ ドミドー

ファーラーソーミー ファレレレドミソ
ファーラーソーミー ファレレレドミド


聴いたことあるでしょう?
この曲をね、SYOTA君はミとラに♭、ファに♯を付けて弾くのデス。
この独特の雰囲気がたまらなくて、私もはまっちゃったんですよね〜。
大概オルガンピアノの曲は、こういう雰囲気になっていたSYOTA君。
この「ぶんぶんマーチ」の曲は、ABCBという構成で、
2人で連弾して遊んだりもしました。


(A)ミドミドミソソー ファレレー ミドドー
  ミドミドミソソー ファレレレ ドミドー

(B) ファーラーソーミー ファレレレドミソ
   ファーラーソーミー ファレレレドミド

(C) 即興

(B) ファーラーソーミー ファレレレドミソ
   ファーラーソーミー ファレレレドミド


私がメロディを弾いて、SYOTA君が伴奏をやったり、
私が伴奏を弾いて、SYOTA君がメロディを弾いたり。
SYOTA君の音楽世界はとても豊かなので、
私もそれに釣られて、レッスンが面白くなることが多かったのですヨ。

この音に対する「こだわり」の強いSYOTA君。
でも、このままじゃぁ何も学べない、進歩がない。
一体私にできることは何だろう?と思い、
決めたのは「素材を提供する」ということでした。

この「素材の提供」は現在まで、
ずっとずっと続けてきた彼を指導する私なりの「ルール」となっています。
いろんな「素材」に出会うこと、いろんな音楽体験を積むことが、
SYOTA君の作曲の中身を豊かにしていくだろう、と思うからです。

レッスンを開始して1年くらい経った頃でしょうか・・・。
オルガンピアノ1巻の「かざぐるま」をレッスンしていたときのこと。
いつも独特の雰囲気でアレンジするSYOTA君は、調性というものを知りません。
そこで調性という「素材」を提供しようと考えた私は、
SYOTA君の目の前で、「かざぐるま」をどんどん移調して弾いてみせることにしました。

ハ長調からニ長調、ニ長調からホ長調、ホ長調からヘ長調・・・
音がどんどんどんどん上がっていきます。
SYOTA君の顔は興奮しまくり!!
どうやらハマってくれたようです。(笑)
SYOTA君の表情って、すごく素直なのですヨ。
興奮すると未だに鼻の穴が広がって、目が大きくなって、
そりゃぁ嬉しそうに興奮しているのが目に見えてわかるのデス。

耳のいいSYOTA君は教えなくても、
スラスラスラスラ私の真似をして移調して弾いてくれます。
ハ長調を弾き終えると、


「○○駅到着〜、次は○○駅〜」


とニ長調を弾き出し、ニ長調を弾き終えると、


「○○駅到着〜、次は○○駅〜」


とホ長調を弾き出します。
SYOTA君のこういう発想っていつも面白くって、
レッスンがグワンッと広がり楽しくなる瞬間です。

その後しばらく、
レッスンのたびにオルガンピアノにある楽曲を移調して遊びました。
こうやって遊びの中で、自然に「○調」という言葉を覚え、
説明してもいないのに、何調の調号が何・・・というのまで覚えてくれ。
いやぁ、私よりパパパッとすばやく答えてくれます。(笑)

彼の不思議なところは、
教えていないのに理解していることがある・・・ということなんですヨ。
コードネームもそうでした。
学校の音楽の先生も教えていない、私も教えていない、
音楽とは全くかかわりのないお母様ももちろん教えていない。
キーボード内臓の楽曲と一緒についてきた楽譜で学んだのか、
他にコードネームの書かれた楽譜と出会って覚えたのか・・・。
だぁれもわからないところで、コードネームを覚えてしまったのデス。
いやぁ、不思議です。

ということで、調号についても全く説明していなかったのに、
いつの間にやら覚えてくれて、
気づいたら「この調は何調?」という質問にも、ばっちり答えられるようになっていて。
彼には「素材」というきっかけを与えてあげるだけでいいんですよね。

こういうことを2年くらいやっていたら、
次第に調性のある曲を作曲してくれるようになってきました。
もちろん彼独特の音使いは今でも残っています。
これは一安心でした。
一時彼独特の音使いがなくなってきて、
せっかくの才能が!とあせった時期があったのですが、
今は、彼らしい独特の音使いをきちんと見せてくれているので、
調性という素材を見せてあげることができてよかった、と心から思っています。

こういう「こだわり」を持つ彼のレッスン。
楽曲すべてを彼の好みの音でしか弾けない・・・というのは今後問題ですよね。


「SYOTA君も、自分の作った曲を違う音で弾かれたら嫌でしょう?」


ということで、作曲者名が書かれている楽曲については、


「アレンジ禁止」


という言葉を使って、楽譜通り弾くよう指導するようになりました。
アレンジしていい曲と、アレンジ禁止の曲が入り混じるレッスンですが、
これに混乱することなくついてきてくれたのでホッとしています。
取り入れた時期がよかったのかもしれません。
こういうことって、それぞれのお子さんの成長の過程を見ながら取り入れていかないと、
パニックになっちゃっても困るし、
柔軟に対応できなくなっちゃってあらゆる楽曲でアレンジ禁止なんだと
勘違いされてしまっても困るし。

自閉症のお子さんは基本的にとっても真面目なので、
ルールを設けるときはよくよく考えて設けないと、
そのルールに柔軟に対応できなくて苦しい思いをさせてしまうだけ・・・なんてことになりかねません。
ルールが決まったら、しっかりとそのルールを守ってしまうので。
こういうときはこのルールは守らなくていいんだよ、なぁんて曖昧なことは伝わりにくいのです。

この「アレンジ禁止」で私が注意したのも、その点でした。
せっかく独特の世界観を楽しんでいたのに、
アレンジ禁止にしたとたん、その豊かな世界が死んでしまったら大変!
最初のうちアレンジ禁止の曲1曲につき、
アレンジしていい曲は3、4曲ありました。
時々「アレンジ禁止」の曲が出てくる・・・という程度です。
そして、私の中で独自のルールも設けていました。
作曲家名が書かれたものを「アレンジ禁止」にする、というルールです。
なので、それ以外の外国曲・作曲者不明などと書かれているものは、
自由にアレンジしてもらっていました。



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っと、久々に投稿したら長くなりすぎてしまいました。(^_^;)
今日はこの辺で切り上げますネ。


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emksan at 15:10│TrackBack(0) ピアノ/レッスン | 障碍&幼児

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