2009年01月26日

300人のスパルタ兵

ヘロドトスの『歴史』・・・・まだ読んでるんですヨ。<(;~▽~)
随分のんびりぃ〜と、ちびりちびりですよねぇ。
ここのところ読書熱が冷めていたので、
かなぁりちびりちびり読み進めているのデス。
そして、やっとこさ下巻までたどり着きました。


歴史 下  岩波文庫 青 405-3
著者:ヘロドトス
販売元:岩波書店
発売日:1972-01
おすすめ度:5.0
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この本、私が興味を持って読んでいたのは、当時の生活様式。
民俗学的な要素というか・・・そういうところに興味があったのですが、
大部分は戦争の記述なんですよね〜。
いやぁホント、戦争だらけです。
どこの国も、歴史イコール戦争なんですよね。とほほっ


ところで、この本を読むと古代ギリシャのイメージが変わるかもしれません。
戦争だらけだし、その内容はかなりグロい気がするので。
恐ろしくシビアな世界です。
戦いに負けたら、奴隷になります。
一口にギリシャといっても、
それは1つの大きな国というわけではなく、ポリス(都市国家)の集まり。
ポリス同士の争いなんてのもしょっちゅうあったワケです。

王政のポリスもあれば、
僭主に民衆が苦しめられるポリスもありました。
古代ギリシャといえば民主制・・・なんてのは、一部のポリスのお話であって、
ギリシャ全体に行き渡っていたわけぢゃぁないんですね〜。
また、民主制なんていっても奴隷制は当たり前のようにあったわけで、
全市民より奴隷の方が多い。

この頃の富は、この本を読んでいるとほとんどが戦勝品なのだと感じます。
倒した相手から物を捕るだけでなく、
倒した町からもあらゆるものを吸い上げます。
戦争に負けるって、そういうことだったのです。
女も子どもも奴隷になります。

また、当時の戦争は人と人の戦いです。
戦地には人の死体がわんさと転がります。
死体でいっぱいになった戦地では戦えないので、
お互い暗黙の了解で、死体を片付ける時間を設けます。
死体を片付けたら、また戦います。壮絶です。


ところで、今回の記事のタイトル「300人のスパルタ兵」なのですよ。
最近映画になりましたよね。
300〈スリーハンドレッド〉という映画です。

300&lt;スリーハンドレッド&gt;特別版(2枚組) [DVD]300スリーハンドレッド特別版(2枚組) [DVD]
出演:ジェラルド・バトラー.レナ・ヘディー .デイビッド・ウェナム.ドミニク・ウェスト.ビンセント・リーガン
販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2007-09-26
おすすめ度:4.0
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私はこの映画、見たことがないのですが、
ヒストリーチャンネルの番組でこの戦いについては知っていました。


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販売元:A&E Home Video
発売日:2007-07-31
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なので、この本にこの記述が出てきたとき、なんだか興奮しちゃったのですヨ。
なんだろうなぁ。
映画とかって、作られた感があるでしょう?
ヒストリーチャンネルにしてもドキュメントという生々しさは得られない。
そこにあるのは知識というか・・・情報というか・・・。

でもね、この本は紀元前4世紀に書かれたものなわけで、
もうそれだけでインパクト大なのデスヨ。
何より、映画はどこまで史実に基づいているのかわからないので、
大げさに描いてるんだろう・・・みたいな考えがよぎっちゃうんですよね。(^_^;)
だけど、どうやら大げさではないらしい・・・と本を読むとわかるのですヨ。
ギリシャに向かったペルシア軍が想像を絶するほどの壮大さだったのだということ。
ちょっと引用が長くなってしまいますが、ご紹介しましょう。


『すなわちアジアから来征の船数は千二百七隻で、
これに乗り組むのは先ず各民族から成る本来の部隊で、
各船に二百名ずつの割合で計算すれば、総勢二十四万一千四百名となる。
ところでこれらの船には、それぞれ土着民の戦闘員のほかにペルシア人、
メディア人、サカイ人などの戦闘員がそれぞれ三十名ずつ乗り組んでいた。
従って先に挙げた部隊のほかに、これら総計三万六千二百十名の人員が加わることになる。

さらにこの数字と先の数字に五十櫂船の乗員数を、
多少の出入りはあっても一隻あたり八十名と算定して加えねばならない。
この船種の船は、前にも述べたように三千隻が集結されていた。
従ってこれらの船の乗員数は二十四万名を数えるのである。
アジアから来攻した水軍は右のごとく、
その総勢は実に五十一万六百十名に上った。

一方歩兵部隊は百七十万名、騎兵部隊は八万名であった。
さらにこれに、アラビア人の駱駝部隊、リビアの戦車部隊、合計二万を加えねばならない。
かくして、海陸両軍の総兵力は二百三十一万七千六百十となる。
アジア本土から動員された軍隊は右に述べたとおりであるが、
これには随行の従僕や食糧輸送船およびその乗員は含まれていない。』
 ・・・・・〈ヘロドトス『歴史』第7巻184節/松平千秋訳)


先日オバマ大統領の就任演説がニュースで流れましたが、
なんと200万の人があそこにいたそうです。
あの映像に流れたすごい群集と同じくらい、もしくはそれを越える軍隊が、
ペルシアからギリシャにやってきたってことですよね。すごすぎます。
これだけの大軍隊が移動すると何が起きるか?
河川が涸れるんですよ。想像を絶する大軍隊です。
当時の戦争は、戦争を自軍に有利に進めるため運河を作っちゃったり、
逆に河川を埋めてしまったり、やることが壮大すぎてホントびっくりしちゃいます。
 ・・・・・但し、この数字は過剰すぎる、というのが学者の意見らしいデス。
     様々な説があるようですが、最近では10万以下とする推定が大半だそうです。
     でも、これはあくまでも「説」なので、私はヘロドトスを信じたいなぁ。
     現代の人間は、過去の歴史を「この時代の人にそんなことはできるはずがない」と
     決めつけてしまうクセがあるように思うので。
     何度それらが発掘によって覆されたことか。
     なので、私はヘロドトスを信じたいのですヨ。
     学者ではないので理由はないのですが。(^_^;)
     ヘロドトスがウソを言っているとか、大げさに言っているとか思いたくないんですよね〜。
     だってこの本を読んでいると、
     なるべく正確な歴史を後世に残したい、というヘロドトスの意思を感じるんだもの。



スパルタ王レオニダスは、このペルシア軍を迎え撃つため、
後継ぎのある者から選りすぐった伝統の「三百人隊」を率います。
これが、映画となった「300」の兵士たちなのですネ。


『メディア人部隊が手痛い目に遭わされて退くと、
ペルシア人部隊がそれに代って攻撃に向かった。
これはペルシア王が「不死部隊」と呼び慣わしていた部隊で
ヒュダルネスの指揮下にあったが、
この部隊ならば容易に所期の成果を挙げるものと期待されたのであった。』

 ・・・・・〈ヘロドトス『歴史』第7巻211節/松平千秋訳)


しかし、それでもペルシアは戦果を挙げることができませんでした。
スパルタ軍が強かったというのもありますが、
地理的にもスパルタに優位に働いていたのです。
ペルシア軍の数の多さを有利に働かせることのできる地理状況ではありませんでした。
狭い地域で、横に広がることのできる地形ではなかったのです。
スパルタ軍は、この狭い地形を利用して戦いました。


『中でも特筆すべき戦法は、
敵に背を向けると一見敗走するかのごとく集団となって後退するのである。
ペルシア軍は敵の逃げるのを見ると喊声を挙げすさまじい音響を立てて追い迫る。
スパルタ軍は敵の追い付く頃を見計らい、向き直って敵に立ち向かうのである。
この後退戦術によってスパルタ軍は無数のペルシア兵を倒したのであった。』

 ・・・・・〈ヘロドトス『歴史』第7巻211節/松平千秋訳)


しかし、この山には間道があって、それが密告によってペルシア軍に知られてしまいます。
こうなるとスパルタ軍は、この狭い地域で挟み撃ちに合ってしまうわけで、
どうしようもなくなってしまいます。
スパルタ王レオニダスはペルシア軍に間道を知られてしまったことを知りますが、
戦線から退こうとはしませんでした。
何故レオニダスは退かなかったのか?
この本を読んでいるとしょっちゅう出てくる”託宣”という単語。
神様からの言葉を社にいる巫女からいただく・・・という習慣です。
スパルタ人もこの伝統にのっとって、神託を伺っていたのです。
デルポイの巫女が口にしたのは、次のような託宣でした。


『国ひろきスパルタに住もう民どちよ
汝らの誉れ高き大いなる町は
ペルセウスの裔なる子らに亡ぼさるるか
さもなくば ヘラクレスの血統に連なる王の死をば
ラケダイモンの国土は悼むこととなろうぞ
攻め来る者はゼウスの力を持つ故に
牡牛の力 獅子の力をもってするも
これに刃向いて制する能わず
敵がかの二者のいずれかを喰らい尽くすまで
その勢いを止める術はなきものぞ』

  ・・・・・〈ヘロドトス『歴史』第7巻220節/松平千秋訳)


”ペルセウスの裔なる子”とはペルシア人のことです。
そして、スパルタ王レオニダスはヘラクレスの血統といわれていました。
レオニダスが死なないとスパルタは滅びる・・・というわけです。
レオニダスは最後まで勇敢に戦い、戦死しました。


『この時レオニダスの遺体をめぐってペルシア、スパルタ両軍の間に激闘が続き、
ギリシア軍は勇戦して遂に遺体を収容することに成功し、
敵を撃退すること四度に及んだ。』

  ・・・・・〈ヘロドトス『歴史』第7巻225節/松平千秋訳)


当時の戦争の習慣。
これは日本でもそうだったんじゃないかと思うのですが、
敵は英雄の遺体を戦利品として欲するし、味方は英雄の遺体を持ち帰って葬りたい。
スパルタ人はレオニダスの遺骨を戦地であるテルモピュライからスパルタに移し埋葬、
その墓上に記念碑を建てました。
そこには三百名の勇士の名が刻まれていたそうです。


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emksan at 21:07│TrackBack(0) 読書 

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