2008年12月01日

モーツァルト/小ジーグト長調K..574

なんだこりゃ?!だったのですヨ。

モーツァルトの死の2年前、1789年以降、
ピアノ作品作曲数が激減しているのが気になり、
そこいら辺の曲を手当たり次第聴いていたのデス。
私って本当に曲を知らない。
この曲、初めて聴いたのですヨ。(^_^;)
 ・・・・・CD持ってるのに、聴いてない曲が多い。(_ _;)
で、驚いちゃったのデス。


なんだこりゃ?!


モーツァルトの対位法の扱いが上手いというのは、
前々から気になっていたことで、
モーツァルトってすごいなぁと思ってはいたのですが。
 ・・・・・天才なんだからすごくて当然なのかもしれないケレド。(^_^;)

この曲、凝縮のされ方が尋常じゃないんですヨ。
何も知らされずにこの曲だけを聴かされたら、
モーツァルトだって気づかないんじゃぁないかな。


モーツァルトが活躍した時代は、現代曲がもてはやされた時代。
亡くなった作曲家の曲なんてそっちのけ?!
バッハは大昔のいまどきぢゃない人、
モーツァルトは現代でいうところのポピュラー作曲家。

そんなモーツァルトにとって身近だったバッハは、
J.S.バッハではなく、その息子のヨハン・クリスチャン・バッハだったそうです。
先日お話したK.107のピアノ協奏曲は、
J.S.バッハではなく、ヨハン・クリスチャン・バッハの作品をもとにした習作です。


1782年23歳のモーツァルトは、
ヴァン・スヴィーテン男爵の邸で開かれるコンサートに足しげく通います。
この男爵は古楽に興味がある人で、
J.S.バッハC.P.E.バッハ(エマヌエル・バッハのこと)の作品を集めていました。
ここで演奏された楽曲もヘンデルやバッハの楽曲ばかり。


『ヘンデルの6つのフーガと、エーベルリーンのトッカータとフーガも一緒に送ってください。
ぼくは、毎日曜日、12時にヴァン・スヴィーデン男爵のところに行きます。
そこでは、ヘンデルとバッハ以外は何も演奏されません。
ぼくはいま、バッハのフーガを集めています。
セバスチャンの作品だけでなく、エマヌエルや
フリーデマン・バッハのも含めてです。
それからヘンデルのも。
--中略--
イギリスのバッハ(ヨハン・クリスチャン・バッハのこと)が亡くなったことはもう御存知ですね?
音楽界にとってなんという損失でしょう!』

 ・・・・・モーツァルトの手紙 1782年4月10日 レオポルド宛


モーツァルトの興味はヨハン・クリスチャン・バッハから
J.S.バッハやエマヌエル・バッハへと向かい、
1782年”前奏曲(幻想曲)とフーガハ長調K.394”を作曲します。
モーツァルトは勉強するとき、まず模倣から入るんですね。
模倣から、その手法を確実に自分のものにしようとする。
この楽曲はその経過に作曲された曲なのだろうと感じます。
とことん学んで作曲手法を盗んでやるぞ!という強い意欲を感じます。
やっぱりモーツァルトは真面目なんだなぁ〜。


それから7年後の1789年、モーツァルトはライプツィヒを訪れ、
バッハゆかりの聖トマス教会でオルガンを弾きます。
かつてのバッハの弟子、老学長は、


『師がよみがえったようだ。』


と言ったそうですが、
バッハの作品を研究し尽くしたモーツァルトは、
1782年から7年という歳月を経て
確実にその手法を自分のものにしていたのですね。


このエピソードと同年の1789年に作曲されたのが、
小ジーグト長調K.574です。
バッハやヘンデルの手法を自分流に昇華させたとはいえ、すごすぎでしょう。(笑)
やっぱりモーツァルトは”天才”なのデス。
一体なんなんでしょう、この曲は。
何度聴いても「なんじゃこりゃ?!」と思ってしまう。
古いスタイルで書かれた曲なのに、なんだか新しい。
天才モーツァルトだからこその作品なのでせう


ところで、この曲を作曲した2ヵ月後、
モーツァルトはピアノ・ソナタ第17番K.576を作曲しています。
これもなんか興味深いんですよねぇ。

このソナタは、皇女フリーデリーケ・シャルロッテ・ウルリーケのために、
「やさしいピアノ・ソナタ」を作曲するよう依頼された作品と言われてきましたが、
明らかに「やさしい」ものではないので、
現在ではフリーデリーケ王女のためのものではないと考えられているようです。
でね、聴くだけでわかるんですよ。
明らかに”やさしくない”というのが。(笑)
すごくすごく練られている曲だなぁと感じます。
対位法がね、いい具合にモーツァルトカラーで使われていて。

小ジーグとソナタ第17番、続けて聴くとなんだか面白い・・・。


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emksan at 17:35│TrackBack(0) ピアノ/練習&勉強 | ピアノ/知識

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