2008年09月30日
第6回武蔵野市国際オルガンコンクール
珍しいコンクールを見つけ
非常に興味を惹かれたので、
先日の土曜日本選を聴きに
行ってきました。
だってネ、国際コンクールですよぉ〜。
パイプオルガンのコンクールというだけでも
珍しいのに、
4年に1度しか開かれないという
国際コンクール。
それが日本にあったんですもの。
いやぁ、知りませんデシタ。
第6回武蔵野市国際オルガンコンクール。
1988年に創設されたコンクールで、
国際音楽コンクール世界連盟に加盟しているという、
すごいコンクールのようです。
今年は27カ国152名の応募で、
パリ・ボストン・豊田市でオーディションがありました。
日本人は第2次予選まで残っていたようですが、
残念ながら本選には1人もいませんでした。
意外だったのが、韓国人が多いというコト。
考えてみれば韓国はキリスト教信者が多い国。
そういう背景があるのかな、なんて思った次第。
本選通過者のプロフィールを見ると、
これまたすごいんだなぁ。
大学院に通いつつ、教会のオルガニストをやっている人が多い。
でもって、年齢も幅が広く、
ピアノだったらコンクールに出ないだろう年齢の人、
経験豊富そうな人も出場しています。
ほとんどが大学院生ということで、
ピアノのコンクールより年齢層が高いかも。
オルガンって足さばきもさることながら、
音色の設定やら、長い伝統やら、
ピアノのように早咲きというわけにはいかない世界なのかもしれません。
早咲きの楽器といえばヴァイオリン、
ピアノはそれより遅い・・・という印象が私にはあります。
やはり単旋律と多声を扱う難しさの違いというか、
楽譜を読み込むために求められる能力の多様さが、
関わっているんでしょうね〜。
オルガニストやピアニストは指揮者になることがあるけれど、
ヴァイオリニストで指揮者になる人っていないですものね。
で、パイプオルガンはピアノと違って、
練習する場所を確保するのが大変そうだし、
足というピアノにはない技や、
音色を作るという技術などが加わるわけで、
必然的にピアノより遅咲きになるのかな・・・と思ったのデシタ。
でも、その方がより音楽を深く追求していけるような気がして、
早咲き早咲きと追い立てられながら練習するピアニストより、ずっと幸せかも・・・。
ところで、パイプオルガン初心者の私。
果たして聴き比べなぞして、わかるもんなのか?!と思っていたんですよ。
実際、1人目を聴いた段階では、なぁんにもわからず。(笑)
1人40〜50分というリサイタル形式のコンクールだったので、
全員聴かずに途中で切り上げようと思っていたのですが、
意外にあっという間に40分が過ぎ、
1人聴いた時点で、他の人はどんな演奏をするんだろう?と
ひっじょうに興味が沸いてきて、
結局最後まで聴いてしまいました。面白かった!!
最初に演奏したジョナサン・ウィリアム・モイヤー氏の演奏は、
残念ながら遅れて会場に到着したため聴けず・・・。
曲と曲の合間に入れるだろうと思っていたのですが、さすがコンクール。
40分間のプログラムが終わるまで入れてはもらえなかったのデス。
遅れたのは15分程度だったのですが、残念。
しかも、この人第2位だったんですよね〜。
逃した獲物は大きかった。(_ _;)
というわけで、聴けたのは2人目以降だったわけですが、
4名の演奏を聴いて、私が際立っていると感じた人は、
第3位のパク・ジュンホ。(韓国)
1人1人の演奏がこんなにも明らかに違うと感じたのだから、
ある程度予測できるだろう・・・と思っていたのですが、
いやぁ、違う楽器ってのは予測不可能ですぬぇ。
私が想像していた結果とは全く違う結果となり、
「何故?」が頭の中をグルングルン。
そこには絶対に理由があるはず、と思ったからです。
まず、パク・ジュンホの演奏が、何故際立って聴こえたのか。
それは指の離れのすばやさでした。
音の切れ味がいい・・・ということです。
そして、それは足にもいえたこと。
足って音がぼやけやすい。
それは足鍵盤から足が離れるのが遅いからだろうと感じます。
パク・ジュンホのそれは、足も指もしっかりと鍵盤から離れるので、
音がクリアーなのです。
速いパッセージでも明晰に聴こえる。
そして、音作りも他の人とは
全く異なっていました。
それぞれの声部の遠近感、音色の変化は、
オーケストラのそれそのもの。
声部間の音のバランスは、
耳慣れたピアノの世界と似たものでした。
というのも、それ以外の奏者は
ちょっと違うのですよ。
ピアノほど音のバランスに格差がない。
でもって、声部同士の音色もそれほど変えないというか、
オーケストラとは一線を画した音色作りといった感じです。
バッハなどは音色の指定はないだろうから、
奏者によって音色が違って当然なのですが、
でも、やっぱり伝統や「こういうときはこういうもの」といった、
暗黙の了解があるのでしょう。
似たり寄ったりの音色です。
今回コンクールのテーマであったメシアンはというと、
たぶん音色の指定がある人なのだろうと想像。
だって現代作曲家だもん。(笑)
ところが不思議だったのが、パク・ジュンホのメシアンなんですよねぇ。
他の人のメシアンと音の作りが違うのですよ。
彼の演奏は、パイプオルガンを聴きなれていない私にとって、
非常に明晰でわかりやすい。
それは、メシアンにも言えることで、
正直あのわけのわからん(スミマセン)メシアンが、
非常に明晰にわかりやすく演奏されてて、
40分が本当にあっという間だったのでした。
一体何が彼を第3位にさせたのか?
私なりに布団の中でグルングルン頭を動かして考えたわけですヨ。(笑)
私なりに納得のいく答えが見つからないと、行った意味がない・・・と思うほどに。
で、よぉ〜〜く他の人の演奏を思い出してみたのです。
第1位となったマイケル・アンガーの演奏。
彼のバッハには、古楽器の演奏会でよく聴かれるアゴーギグがありました。
彼のアゴーギグは、1拍目を重めに、少し長めにとったもの。
それはチェンバロなどの演奏を彷彿とさせるアゴーギグで、
これぞバッハ!と思わせるものでした。
とても生き生きしていたのです。
そしてリテーズという作曲家の大オルガンのための12の作品。
これまたすばらしい演奏。
すばらしい演奏というのは「こう弾くぞ」という計算を感じさせないもの。
完璧に自分のものにした生き生きとしたニュアンスとリズム。
バッハを聴いたとき、彼はバロックが得意なのかな・・・と思ったのですが、
これを聴いて、彼は現代曲が好きなのかな、なんて思ったくらい。
彼は、他の奏者と違って短い曲をたくさん演奏しました。
正直、いい演奏とそうでもない演奏が入り混じっていたように感じます。
でも、彼のバッハとリテーズは他のどの演奏よりすばらしく、
この4時間以上に渡る曲目の中で、
一番いい演奏はどれだったか・・・と聴かれたら、
バッハとリテーズ、と私は答えると思います。
40分という長いリサイタル形式でのコンクール。
一体どこに視点を置いて審査されるのか、
皆目検討もつかず・・・といった感じだったのですが、
プログラム全体としての平均値でいえば、
パク・ジュンホの方が上だったのでは〜と思いますが、
秀でていた楽曲があったという点では、1位のアンガーかな、と。
また、テクニックという観点から見ると、
明らかにパク・ジュンホだった気がします。
足裁きの自由さ、指の自由さ、そしてそれらの的確さは、
明らかに他の人より正確だったように思うので。
でも、じゃぁ音楽的にどうなんだ・・・と言われれば、
彼の演奏は若い、というのが正直なところ。
若いからこそのみずみずしさもあったのですよ。
それがとってもとっても新鮮で、
だからこそ聴衆賞を得たのだと思うし、
私自身彼の演奏が一番印象的だと思ったのですから。
このように正確なテクニックがあるからこその明晰さがそこにはあったわけですが、
表現の豊かさ、奥深さというものは、
アンガーの方が上回っていたのだろうと思います。
そうそう、表現の奥深さという点では、
一番最後に演奏したキッターマンもよかったかな。
パク・ジュンホとどれくらい年齢差があるのかわからないのですが、
キッターマンの方が熟成された味わいがあったように思います。
で、このキッターマンは表彰台に上っていないわけですが、
それはプログラムの偏りが大きな原因だったのでは〜と感じています。
どれも似たり寄ったりの楽曲というか。
正直40分が飽きてしまう。
静かな世界があって、最後にクライマックスがくる・・・みたいな曲の目白押し。
しかも1曲あたり8割方静かぁ〜〜なまま。
その静けさをとても美しく表現してはいるのですが、
ん〜〜正直プログラムにあまりにも変化がないため眠くなりマシタ。
また、楽曲に求められるテクニックも、難しい楽曲が取り入れられていなかった。
そこはコンクール。
やはりテクニック的な見せ場・・・が必要だったんじゃぁないでしょうか。
最後に音色の作りに関して。
私はパク・ジュンホの音の作りに明晰さを感じ、
オーケストレーションを感じたわけですが、
果たしてそれがパイプオルガンの伝統に合ったものだったのか?という点です。
彼の音の作りだけ他の人たちと全く違っていた、ということは、
やっぱり彼は独特の個性的な音を作り出していたのでは〜と思うのデス。
私はパイプオルガンについてまぁったくなぁんにも知らない人間なので、
何が伝統なのか、何がスタイルなのかがさっぱり・・・です。
でも、パク・ジュンホの演奏を聴いて、
パイプオルガンってこんなこともできるの?こんな音がするの?と思ったんですよねぇ。
で、オーケストラに匹敵する楽器はピアノじゃなくて、パイプオルガンなんじゃん!と。
でも、他の人たちの音色は、
明らかに私が知っていたパイプオルガンなわけです。
ってことは、パク・ジュンホの音の作りは、
パイプオルガン的じゃなかったってことなのかな、と。
どうなんでしょう?
パイプオルガン独特の風合い、色合い、
といったものがあるのだとしたら、
彼の演奏はパイプオルガンをよく知らない面々には
受け入れられても、
パイプオルガンの音色を愛している人たちには、
新鮮ではあるけれど、なんか違う・・・に
聴こえてしまうのかな?と。
こればっかりは、もっともっとパイプオルガンを聴かないと
わからないなぁ。
パイプオルガンはピアノよりずっとずっと歴史が長い。
そして、キリスト教との関わりが最も深い楽器でもあります。
そこには私にとって未知の世界が横たわってるんですよね。
それにしても他の楽器のコンクールって面白い!!
知らない耳で聴く楽しみ、
要するに純粋に聴けるんだなぁ〜を実感。
古楽器の国際コンクールとか、日本であればいいのになぁ。
あ、指揮のコンクールも行ってみたいなぁ。面白そう♪
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