2008年04月17日

ピアノレッスンはバラエティ番組?!

nekopianoいやぁ、面白かったのですヨ!
自閉症の子のレッスン。

この子は、いつもつまらなそうにしている子でした。
意識をレッスンに持ってくるのが大変で、
いつも自分の世界にはまっていたのです。

レッスンへ来るなり、

や〜やっこっしぃやぁ〜〜!

と踊り出し、レッスン中も踊り出し。(笑)
かと思うと、

CMの後はぁ、〜です!

と、突然CMに入っちゃうし。(笑)

基本的に頭の中で常に、TV番組が流れているようです。
バラエティ番組の司会者の真似とか、
めちゃくちゃ上手いんですヨ。
すっごく雰囲気が出てて。

とはいえ、これではレッスンが成り立ちません。
しかし、ピアノへ意識を向けたと思った瞬間に、
表情は暗くなり、なんだか楽しくなさそうです。

せっかく音楽が好きでピアノを習い始めたのに、
ピアノのレッスンに興味が持てないというのはさびしい!!
なんとか楽しくピアノに向かいながら上達できないものか?
ず〜っと思案し続け、
最近はゲーム感覚を多く取り入れたレッスンにしていました。
ずいぶんとノリがよくなって、レッスンが形になってきた今日この頃。

最近この子が

ぴあ〜ばら〜!!!

と大きな声で言うのを何度か聞いていたのですが、
なんかの番組なのかな?くらいに思っていた私。
しかししかし、先日違うんだということがわかったんですヨ。
なんとなんと、この言葉は彼の造語。
どうやら、「ピアノバラエティ番組」という意味らしい・・・ということがわかり・・・。

あ!そっか!!
レッスンはバラエティ番組なんだっ!!


ということに気づいたのです。
この発想に乗っからない手はありません!

さぁ!ピアバラの時間だよ!!

思いっきり乗っかって、レッスン開始。
前々回くらいのレッスンから、
ポイント制度を導入していたので、
”挑戦者○○くん!ポイントゲットなるか?!”みたいな感じで。(笑)

 ・・・・・私はほとんどの生徒さんに、シールゲットシートを渡しています。
     これは発達障害児に関わらず利用しているシートで、
     練習回数分、丸い色シールを貼り、それを10枚貯めると、
     かわいいシールをゲットできる、というものです。
     詳しくは
こちらをごらんください。
     この子は、このシールシートの効き目が全くない子でした。
     というのも、シールを欲しがらなかったからです。
     そこで、前々回くらいのレッスンから、
     ポイントという名前に換え、180ポイント貯めることを
     目標にしたのでした。

間違えたらドボン!とピアノ低音部をジャ〜ン!
この方法は、この子が前回のレッスンで発案した方法。
ってことで、わざと間違えてドボンにしようとするのデス。
そこで、

チャンスは3回!3回ドボンしたら、ポイントゲットできませんっ!
さぁ!挑戦者○○選手、何回でクリアなるでしょうか?!

と司会者になりきって、盛り上げます。(笑)

 ・・・・・そう簡単に弾けるようにはならないテクニックも、もちろんありますが、
     その場合は4小節だったのを2小節にしたり、
     2小節だったのを1小節にしたり、
     1小節だったのを2音間にしたり・・・とレヴェルを低くすることで、
     挑戦してもらっています。
     最近は、左だけ切れて、右だけ繋げる、に挑戦し続けていましたが、
     やっとその奏法が身についてきたトコロです。

15分ほどして、突然この子がこう言い出しました。

変身!変身!!

一瞬頭が真っ白になる私。(^_^;)
え?変身って?!そういう番組だっけ?!みたいな。(笑)

変身って、先生が変身するの?

と尋ねると、ウン、と頭を立てに振るではありませんかっ!
むむむっ!
それはいくら私でも、恥ずかしいぞっ・・・としり込みする私。
とはいえ、それじゃぁレッスンが進まなくなってしまいます。

一体どういう番組を想定して、変身なんだろぉ・・・???
と頭の中が?だらけになる中、
いないないばぁの動きで、

へん〜〜〜〜〜しんっ!!!

とやっちゃいましたヨ。
嬉しいことに、これが大ウケ!
その直後に、即行ピアノを弾いてくれたのです。
どうやら、挑戦するかけ声に、変身!という言葉を使いたかったようです。

で、挑戦するたびに、

へん〜〜〜〜〜しんっ!!!

といないないばぁをする私が、そこにはいたのデス。(笑)
これが定着するのかなぁ・・・と思い始めた頃、

ベルト!ベルト!!!

と、次なる注文がっっっ!
そうよね、変身って言えば、ベルトよね。
いつの時代も変わらずベルトなのね・・・。(^_^;)

で、お腹の辺りに両手を持ってきて、

へん〜〜〜〜〜しんっ!!!

boyと両手をパァ〜っと広げ、前に押し出しました。
こんな変身の仕方をするヒーローには出会ったことがありませんが、
さすがにテレビのヒーローがやるような、
腕をおおげさに大振りする変身は、恥ずかしい・・・。(_ _;)
で、なんとか私にできる範囲の変身をしたのデス。(笑)
これまた嬉しいことに大ウケ。
即行ピアノに向かってくれたのデシタ。

レッスン終了後のご挨拶は、
バラエティ番組終了からCMへ移るときそのもので・・・。

へん〜〜〜〜〜しんっ!!!
ピア〜〜〜バラ〜〜ッ!!
また来週〜〜♪

・・・でレッスン終了です。
最初は恥ずかしかった私ですが、
やっているうちに楽しくなってきちゃって、
レッスンが終わった直後も、
気分が高揚してワクワクしちゃってたんですヨ。

ところで、このように自閉症のお子さんの中には、
抑揚の強いものに惹かれるお子さんがいるようです。
動きが派手で、言葉の抑揚が派手なもの・・・という意味です。
以前、発達障害のお子さんのためのコンサートがあり、
それを聴きに行ったことがあるのですが、
その出演者の中に英語で元気いっぱいに歌う男の子がいました。
ピアノの先生の伴奏に合わせて、
タンブリンだったか鈴だったかを叩きながら、
そりゃ〜元気いっぱい楽しそうに歌うのです。

その先生いわく、レッスンになかなか気が入らなかったのが、
英語で話しかけたとたんやる気になったとか・・・。
日本語は高低アクセントであまり強弱がありませんが、
英語は強弱アクセントで成り立つ言葉です。
この強弱による抑揚に惹きつけられるようですネ。

私の生徒さんの場合も同じ。
この子のレッスンでは、かなり言葉に抑揚を付けてレッスンしています。
それくらい派手に言葉に抑揚をつけないと、
意識をこちらに向けることができないからです。

夜、この楽しかったレッスンのお話を彼に報告したら、
それってピアノのレッスン?!と大笑いされちゃいました。(笑)
また来週にはピアバラの時間がやってきます。
今度は何に変身させられるのだろぉか・・・。(笑)
これをきっかけに、
いろんなテクニックを身につけて、
いろんな楽曲を演奏できるようになってくれたらいいな〜。


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emksan at 10:17│TrackBack(0) ピアノ/レッスン | 障碍&幼児

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この記事へのコメント

1. Posted by Rieちゃんの知人   2008年06月26日 09:55
はじめまして♪
障害を持つお子さんのピアノとの触れ合いのお話を拝見して、お便りしています。

Rieちゃんと知り合いました。
小2の女の子で、ピアノが大好きです。
ダウン症なのですが、誰も教えないのに童謡を弾きます。
私も少々ピアノを弾くので、昨日Rieちゃんの前で両手で弾いたら、私の左手をじっと見つめながら彼女の右手はメロディーを弾いている。
Rieちゃんは完全なるブラインドタッチです。
そして、私の左手が何をしているか必死で見極めようとしていました。
お家でも、キーボードに向かうともう止まらないそうです。

この先、機会を見つけてRieちゃんとピアノを練習したいと思います。
今すぐ色音符は無理でしょうけど、先ず目と耳で曲に触れてもらえればと思っています。
(前提として、楽譜を目の前に開いてだけど。)
あとは、私にどんな事ができるでしょうか?

何かアドバイスをいただけないでしょうか?
2. Posted by 中嶋   2008年06月26日 11:29
>Rieちゃんの知人さんへ

Rieちゃんは、本当にピアノが大好きなんですね〜♪大好きなピアノで、大好きな曲が弾けるようになったら本当に素敵ですね!どんなアドヴァイスがいいのかなぁ・・・と思ったのですが、私が一番大切にしていることを、と思います。

発達障害のお子さんへのレッスン。とにかく楽しければいい、ピアノと遊ぶだけ・・・には留めたくないという思いが私にはあるんです。特に私はレッスン代をいただいていますしネ。(笑)遊ぶだけならレッスンに通う必要などないわけで。”楽しい”はレッスンの大前提として絶対に必要なものと思っていますが、それだけでは習っている意味がないとも感じているんですヨ。
3. Posted by 中嶋   2008年06月26日 11:33
>つづきです・・・

そこで、私が一番大切にしていること。それは”具体的な目標、目的を持つ”ということなんです。具体的な目標は、1・2年後こんなことができるようになっていたらいいな〜という目標です。それは、こんな曲が弾けたらいいな〜という楽譜上のものではなく、もっと具体的なテクニックについての目標です。”手の形””指の強化””リズムの把握””拍子感の把握””色音符の把握””鍵盤の把握”・・・などです。

この目標は1ヶ月といった短い単位ではなく、2,3年という長いスパンで考えることがコツのような気がしています。ゆったりと生徒さんのペースで、焦りを一切感じずにできるからです。
4. Posted by 中嶋   2008年06月26日 11:34
>またまたつづきです・・・

例えば、手の形”を目標にしたとき、手の形以前に指の強化が必要だと感じることが多くあるのですが、そういう場合は、現在のレッスンの目標を”指の強化”に置いて、それに応じたアプローチをすることになります。

長いスパンでの目標があると、現在が見えてきて、その現在に応じた目標が見えてきて、必要なアプローチが見えてくる・・・・といったところでしょうか。こうすると、やっていることすべてに”目的”を持つことができるんですヨ。

アプローチの内容そのものを楽しいものにしちゃえば、なんだって”楽しい”になるんですよね〜。そこに目的があるかないか、の違いです。目的のある”楽しい”の方が、断然上達しますよネ。
5. Posted by 中嶋   2008年06月26日 11:36
>長くてスミマセン・・・

ダウン症のお子さんって指が弱いですよね?弱い指で鍵盤を押さえることほど大変なことはなく、それで大好きなピアノを弾かざる得ない苦労があります。好きな曲が自在にならない。指が自在になると楽しさが倍増するので、私は指の強化をすごく重要視しているんですヨ。

ダウン症のお子さんでも、指は驚くほど強くなります。要はどの時点から指強化するか・・・なんですよね〜。いきなり5本指で強化・・・は段階を飛ばしすぎなんですよね〜。1本ずつの指を、少しずつ無理なく・・・で私は進めています。そうすれば力んでいた腕から力が抜けて、少しずつラクにピアノが弾けるようになるからです。このアプローチについては、HPのひまわりの丘にある「発達障害児レッスンアプローチ」に書いているので、読んでいただけたら嬉しいです〜。(エレベーターゲームという運動です。)
6. Posted by 中嶋   2008年06月26日 11:37
>やっと最後です。最後までありがとうございました〜m(__)m

長くなっちゃってスミマセン。どんなアドヴァイスがいいのかわからなかったので、こんな感じになっちゃいました。m(__)m なにより、Rieちゃんと楽しくピアノができるのが一番ですネ!ピアノを前に、笑顔の絶えない練習時間となるといいですネ!

ブログを読んでいただき、とても嬉しかったです♪今後ともどうぞよろしくお願いします。(*^_^*)/
7. Posted by Rieちゃんの知人   2008年06月27日 16:55
ご丁寧なお返事を有難うございました。
具体的で、先生のお人柄がよく伝わってきて、とても嬉しい気持ちになりました。

そうなんです、私もそう考えました。
ただ、手まねだけじゃなく、将来Rieちゃんの音楽がもっと広がるような可能性について考える事が必要じゃないかと思ったのです。
手まねだけでは、それきりですから。
でも、〔当面は色音符かな〕しか思い浮かばなくって。

指の強さには期待できるかもしれません。
私を引っ張る時の、腕の力がすごいんです。指にも力があるんじゃないかと思います。

Rieちゃんに音楽の歓びをもっと知ってもらうべく、自然体で一緒に歩いてみます。

こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします♪