2007年11月26日

ピアノ導入教材を眺めて(9)楽曲構成へのアプローチ

楽典とピアノを一体化させた教材の中に、
楽曲構成へのアプローチを含む教材があります。

バスティン(ピアノベーシック)ではレベル1の早い段階で、
”形式”というページが現れます。
「おなじ」か「にている」か、それとも「ちがう」のか。
その後わかりやすく単純な構成の、
A-B-A、A-A1-B-A1・・・といった楽曲が続きます。

私が使用しているミュージック・ツリーでは、
テキストブックAの中盤に、
”アルファベットで曲の構成を示しましょう”
というアプローチが入ります。

1曲目のアプローチでA-A1という構成の説明があり、
次の楽曲で、Aとは全く異なる曲想が入るA-B-A1という説明があります。
3曲目はたった8小節の楽曲ながら、A-B-A-B1という楽曲です。
それ以降の曲では”この曲の構成はどっち?”という質問で、
構成への理解を深めていきます。

この教材には<作曲の練習>というコーナーがあるんですが、
楽曲構成を学んだあとのこのコーナーでは、
Aという4小節程度の楽譜が示されたのち、
A-A1となるようにつづけて弾いてみましょう、
というようなアプローチに変化します。


また、バイエルは構成感を身につけるのにとてもよい教材ですネ。
古典派に必要と思われる、基本的な構成で作曲されているからです。
ソナタ形式を学ぶ前にきちっと取り込んでおきたい構成。
バイエルにはそれがた〜っぷり詰まっています。

バスティンやミュージック・ツリーのように、
あえてページを割いて構成について説明するというアプローチはありませんが、
これだけの曲を習得していけば、自然に基本的な構成感が身についていくでしょう。
それに、先生が説明すればいいだけの話ですものネ。
バイエルは、それを前提で教材を作っているのだろうとも思うんですヨ。

バイエルチェルニーには、
ソナチネなどの楽曲を弾く際に必要なテクニックへのアプローチと同時に、
基本となる構成感を学ぶという利点がありますネ。
バイエルは、Bがドミナントから〜というパターンがほとんどですし、
多くの曲がAからの派生でBの音楽が作られていて、
AとBの関連性がどこかにある。
古典派の特徴である”コントラスト”を感じさせつつも共通点がどこかにある。
これって、いずれソナタ形式に繋がっていく原点のようなものだと感じるんですヨ。

”コントラスト”という特徴にたくさん触れ、
そのコントラストを表現する力を身につけた子は、
古典派以外の楽曲でも、
構成感のある表現豊かな演奏ができるようになるんだなぁと感じてイマス。
だからこそソナチネやソナタは”基礎”として誰もが通る道なんですネ。

もちろん、バイエルをやらなければ、
”コントラスト”という構成感は身に付かないのか?といえば、
そんなことは全くないと思います。
バイエル以外にもそのような楽曲はたくさんありますものネ。

それに、バイエルでどんなに基本要素を学んだとしても、
ソナチネソナタでソナタ形式やロンド形式といったものを、
しっかりと生徒さんが認識できるまで刷り込んでいかなければ、
バイエルで学んだことが途中で頓挫してしまいます。

やっぱり導入は、あくまでも導入なのデス。
ただ、ソナタ形式へ至る前に
導入段階から楽曲構成についてアプローチをしておくことは、
生徒さんが順序立てでゆっくりと着実に歩んでいけるので、
理想的だろうと私は思うんですヨ。


クリックで応援してネ♪
にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ 

【ピアニスト/本---Amazon.co.jp
ピアニストならだれでも知っておきたい「からだ」のこと
ピアニストガイド
ピアニストという蛮族がいる (文春文庫)
日本を愛したユダヤ人ピアニスト レオ・シロタ
ピアニストは指先で考える
クララ・シューマン―愛をつらぬいた女性ピアニスト (学習漫画 世界の伝記)
ピアニストが見たピアニスト
チャイコフスキー・コンクール―ピアニストが聴く現代 (中公文庫)
ディヌ・リパッティ 伝説のピアニスト夭逝の生涯と音楽


楽天楽譜ランキング  楽天クラシックCDランキング  Amazonトップセラークラシック


 





emksan at 09:00│TrackBack(0) ピアノ/教材を眺めて 

トラックバックURL