2007年11月28日

ピアノ導入教材を眺めて(11)エピローグ

これまで様々な視点から教材を眺めてきましたが、
果たしてこれで充分なのか、足りない点もあるのでは・・・と思います。
例えばそれぞれの民族性を反映させた教材など、
ここに書いていない視点から開発された教材もありますし、
私が勉強不足なために気づかずにいる”視点”もあるでしょう。

また、例に挙げた教材が私の手元にある数種のみ
世の中にはここに書ききれないほどの数、
ピアノ導入教材が氾濫しているにも関わらず!!

ここですべての教材を取り上げなかったのは、
私たちピアノ指導者がどのような”視点”で、
自分の指導に生かせる教材を選んでいるのかという紹介が目的で、
それぞれの教材を研究する・・・という目的ではなかったからです。

それぞれの視点において「これがいい」という書き方もあったでしょう。
例えば”様々な調への導入があるから、この教材がいい”といった具合に。
例えばaaさんがコメントしてくださったように、
”早いうちからの両手奏への導入があるから、ミクロコスモスがいいヨ”といった具合に。
 ・・・・・aaさん、コメントどうもありがとうございました♪

しかし、この11回のシリーズで私が書きたいと思ったのは、
”眺める”ために必要な”分析のための視点”でした。
そのため教材そのものをご紹介するのではなく、

・ト音記号とヘ音記号
・正しい手の形への導き方
・左右の頻度と両手奏への導入
・調の導入
・歌詞の付き方
・拍子感
・表現に関する表示の有無
・楽曲構成へのアプローチ
・様々な曲調

という9つの視点から書かせていただきました。

これらすべてに納得のいく1冊との出会いは、まずないでしょう。
また、あれもこれも!などと頭を悩ませていたら、前へ進むことができません。
私たちピアノ講師は研究者ではなく実践する指導者だからです。

そのため私たち指導者は、いずれかの点に着眼し教材を選びます。
そして、その教材に足りないと思う部分を補足しながらレッスンすることになります。
どの点に着眼するかはそれぞれ指導者により異なって当然。
どの着眼点が正しくて、どの着眼点が間違っているということはないと思うんです。
それよりもなによりも、

”生徒さんへの愛情”が豊かで、

”指導への熱い情熱”があり、

”自己の音楽の追求”をし続けているということ。

一番大切なことは、この3つなのではないかなと。

生徒さんへの愛情があれば、
どんな教材を使用しようが、
レッスンは生き生きと楽しいものになるでしょうし、

指導への熱い情熱があれば、
自分が使用している教材への理解がより深まり、
それを実践で生かす能力が備わってくるに違いありません。

そして、自己の音楽の追求を怠らなければ、
常に新鮮な感性が指導者を包み込み、
生徒さんはそこから豊かな音楽の息吹を感じることができるでしょう。

教材はこれらの”後”についてくるもので、
これらの”先”にあるものではないハズですよネ。
どの教材を使っているから安心で確実・・・なんてものはなくって、
音楽への誠実な姿勢生徒さんへの責任が、
生徒さんを導く一番の道しるべなのでしょう。

こんな風に「これが絶対!」がない世界で指導するって大変なコト。
この文章を書きつつ、

「そう、そう。」

といちいち頷きながら再確認し、気持ちを新たにする私デス。

・・・・・なんだかこのエピローグ、
   自分への諌め&応援歌になっちゃいました。<(;~▽~)


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emksan at 09:00│TrackBack(0) ピアノ/教材を眺めて 

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