2007年11月25日

ピアノ導入教材を眺めて(8)表現に関する表示の有無

"眺める”といいつつ、私お気に入りのミュージック・ツリーばかりに
話が偏ってしまうのですが・・・。ご了承くださいね〜。
もちろんミュージック・ツリーにも短所はあるんですヨ。
これまで短所についても述べてきたつもりデス。

で、今日は表現に関する表示についてです。
果たして、

手の動きや音符の読みを中心に学び、
それが整ってきてから表現するべきなのか?

それとも、

手の動きに関してはゆったりとした進みながらも、
音楽的な表現を先に学んでいくべきなのか?


ピアノを指導していて難しいのは、
このバランスをどこにもってくるか・・・なんですよね。
表現ばかりに重きを置いて、
なかなかテクニックが身に付かないのも考えもの。
手の動きばかりが進んで表現を無視していると、
楽譜から音楽を読み込む力が養えない上に、
表現する上で必要なテクニックが身につきません。

ピアノの基礎というものは、
意外に地盤が広く、これだけやっておけばイイ!というのがない。
あれもこれも!が基礎なのだから大変です。(^_^;)

私が子どもの頃使っていたバイエルには、
最初のうち強弱記号がついてきません。
まずは、音名を覚え、リズムを覚える。
そして5本の指が使えるようになる。
そこに重きが置かれている気がします。

初めてフォルテが出てくるのが53番。
この53番以降、クレッシェンドなど表現に関する記号が出てきます。
スタカートの前にメゾスタカートが出てきますが、
しかしそれも3曲程度で、
本格的にスタカートが出てくるのは62番からです。

バイエルで育った私は、
よく先生に楽譜をきちんと見なさい!と指摘された記憶があります。
あれは・・・中学生くらいだったかなぁ。
よぉく表示記号を見落としてたんですよねぇ・・・私。
楽譜から音楽を読み込む力が、かなり足りなかったんだと思います。
今思うと、なんで見逃すんだ?!って感じですが。(^_^;)
記号が記号でしかなく、
その記号を音楽に変換するという能力に欠けていたんでしょうね。

ただ、バイエルにも利点はあるのです。
頭で理解する・・・という点において、
順序だててあるのでわかりやすいんですよね。
特に大人の初心者の方には、理解しやすいように感じています。

次に、バイエルのよさを引き継ぎつつ、
1点ハ音からの読譜にしてあるオルガン・ピアノの場合。
これまた強弱記号どころか、スラーすら書かれていません。
2巻に入りスラーが出てきて、
強弱記号の前にアクセントが出現します。
結局2巻にも強弱記号は出現せず・・・です。

これは、バイエルやオルガン・ピアノの短所なんだろうなぁと思います。
しかし、短所がわかった上で使うなら問題ないんですよネ。
私は実際に弾いてみせて「どっちがいい?」と生徒さんに問いかけ、
スタカートやスラーを書き込んだりします。
もちろん強弱記号についても。
これって、生徒さんに選ぶ楽しさが与えられるので、
最初から書かれているものより楽しかったりするのですヨ。

このような短所を反省し生まれた教材が、
ミュージック・ツリーでありバスティンです。
スラーでフレーズのまとまりがはっきり捉えられる楽譜。
様々な強弱記号や奏法記号。
スタカートは子どもたちみぃんな大好きな表現方法です。
また、バスティンは左右の音のバランスを学ぶべく、
楽譜右手部分にフォルテ、左手部分にピアノと書かれていたりします。
また、それぞれの楽曲のイメージに合った曲名も魅力的ですネ。

私は普段ミュージック・ツリーを使用しているので、
この点においてこの教本ではどのように扱われているのか、
もう少し突っ込んでご紹介したいと思います。

ミュージック・ツリーは音名を覚える前に、
楽譜から音楽を読み取ることを先に学ぶタイプの教材です。
プレピアノで使用するタイム・トゥ・ビギンでは、
1曲目に音のグループを探そう、というアプローチがあります。

hyouji1

2つの黒鍵で鍵盤上をのぼっていく・・・という曲です。
もちろん歌詞もついているんですヨ。
ここにいくつグループがあるでしょう?というクイズがあるわけです。
答えは4つですネ。
鉛筆でグループごとに丸で囲みます。
結構こういう作業が楽しかったりもして。(笑)

まずは、スラーによるまとまり以前に、
自分でまとまりを見つけ出す・・・ということを学ぶわけです。
ここではフレーズのまとまりとともに、
”拍子”というまとまりを感じることができますネ。

その後すぐにピアノとフォルテが出てきます。
それからスラーの出現。
スラーはまとまりになっているということ、
なめらかに弾くということ・・・をここで学びます。

次になんとオクターブ記号
いやぁ、驚きますねぇ。
私が子どもの頃なんて、ある程度弾けるようにならないと、
オクターブ記号なんて出てきませんでしたもんネ。

なぜこんなに早い時期にオクターブ記号が出てくるのか?
それは、この教本の方針のひとつに、
”鍵盤全体に触れる”という目的があるからだと感じます。
1点ハ音の近くだけで弾いている姿勢はバロック・古典初期向き。
でも、今後演奏する曲はそういう曲ばかりではありません。
鍵盤全体を使う体の使い方に慣れておいた方がいい。
幼いうちから跳躍に慣れておくというコト。
オクターブという幅を感じておくというコト。
そういう目的があるから、オクターブ記号が出てくるんですね。

プレピアノを卒業しテキストブックAに進むと、
すぐにメゾフォルテ、メゾピアノが出てきます。
そしてスタカート。
スラーもフレーズのまとまりとしてのスラーだけではなく、
アーティキレーションスラーが出てきます。

片手奏のうちに、これだけの表現に出会うことができる。
私がプレピアノを卒業した子にオルガン・ピアノへ導入させつつ、
テキストブックAも併用するのは、
こういう音楽的なソルフェージュをこの教材で学べるからです。
両手奏という複雑なことに夢中になると、
こちらがどうしてもおろそかになってしまう。
難しいテクニックで手一杯なんですよね。
だからこそ、簡単な片手奏で表現を学ぶ。

今私の周りではバスティン全盛期?!です。
バスティンも同じような目的で、様々な表現を学ぶことのできる教材です。
そして、このような教材が注目を浴びることで、
それ以外の教材にも同じような傾向がみられるようになってきます。
時代が楽譜から音楽を読み取るという大切さに気づき、
そういう教育を子どもの頃からやるべきだ・・・という流れになっているんですネ。


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emksan at 09:00│TrackBack(0) ピアノ/教材を眺めて 

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