2007年11月21日
ピアノ導入教材を眺めて(4)左右の頻度と両手奏への導入
前回かなりの独断と偏見で語ってしまったので、
今回は客観的に眺めて・・・でいこうと思います。(笑)
まず左右の頻度です。
どの教材を使おうかな?と楽譜を眺めるとき、
私は”左右の頻度”という視点で眺めることがあります。
右手ばかりが動く教材は、なるべく避けるんですヨ。
ただでさえ鈍い左手の動きが妨げられるので。
導入の段階で、左を右と同程度動かしていきたいと思うのデス。
教材の1ページ目から最後までさら〜っと眺めます。
例えばコレ↓。リラ・フレッチャーのとある曲から。
両手奏へ入る前に、どれくらいこのように左右同等の扱いがされているか。
また両手奏が導入されて以降、
どの程度左手が伴奏以外の動きを受け持っているか。
ざざっと教材を眺めることって大切だと思うんですヨ。
たいがいの教材は両手奏に入る前、
左右同等の頻度で出てくるように思います。
問題は両手奏が出てきてから・・・のアプローチかな。
例えば、私が使用しているミュージック・ツリー。
この教材の難点は、両手奏がなかなか出てこないということです。
その反面左右の頻度がかなり同等です。
例えば、私が使用しているオルガン・ピアノ。
両手奏に入ったとたんに左の頻度がガクンと下がります。
その反面両手奏へのアプローチがわかりやすく、
順序だてて曲が並んでいます。
ということで、私はそれぞれの長所と短所を生かすべく、
両方の教材を併用することにしています。
すごく魅力的な教材なのに、
左手がハーモニーばかり受け持って動かない。
そういう教材って結構あるものです。
でも、その教材が悪いわけではなく、
全体を眺めてみて偏っているな〜と思ったら、
他で補えばいいのですよネ。
どの教材にも短所はあるのですから。
次に両手奏のお話。
オルガン・ピアノを中心に眺めていこうと思います。
どの教材でも、最初は両手同時にタンタンターアン、
などと簡単なアプローチから入ります。
この動きは重音になり響きが豊かになるので、
子どもたちみんな大好きですネ。
次にどちらかの音が切れて、どちらかの音が繋がる・・・
という動きへのアプローチがあらわれます。
私はオルガンピアノのアプローチが無理がなく気に入っています。
左手はソだけに単純化し、右手にレガートのメロディがきます。
バイエルのいいところをそのまま生かした感じですネ。
これはメロディも覚えやすく、部分練習しやすい曲ですね〜。(笑)
最初はどうしても左手につられて右まで切れてしまうんですよネ。
しばらくいろんな楽曲でこういう動きに慣れていきます。
単純な曲で、この動きを習得してしまえること。
その点が気に入っています。
次に同時に指が動くということを、
左の主音と属音を使うことで習得していきます。
これも左手は1と5の指だけ!と思えるので、
ラクに導入できる方法ですね。
ただ、オルガン・ピアノではこのような曲が突然出てくるんです。
これはねぇ・・・かなりいきなり感満載だと思うんですヨ。
突然こんなの弾け〜!と言われても、
子どもは混乱しちゃうだろうなぁと。
リラ・フレッチャーには、このようなユニゾンの動きへ導入する前に、
このような楽曲が入っています。
これだと左右同じ指を動かせばいいだけなので、
混乱がかなり解消されます。
ユニゾンは片方が5の指であれば、もう片方は1の指を動かさなきゃいけない。
不器用な子は、すぐに混乱しちゃいます。
しかも隣り合った音であれば動かしやすい(理解しやすい)ですが、
跳躍となるとさらに難しさが倍増します。
前述のちょうちょうは、レシシーと3度の動きが入りますね。
これはとてもわかりにくいし動かしにくいものなのです。
最初にこのようなユニゾンを学ぶのであれば、
跳躍せず指を順番に動かせばよいものから入る方が、
苦労が少なくて済むだろうと思います。
例えば、リラ・フレッチャーにはこのような曲があります。
こちらの方が単純でわかりやすいですね。
ただ、オルガン・ピアノの楽曲は誰もが知っている親しみのある曲です。
そういう曲を使用することで音と鍵盤がリンクしやすく、やる気が増すということもあるんですよね。
だから一概にリラ・フレッチャーの方法じゃなきゃダメ!ってわけじゃないんですヨ。
こうやって左右の頻度、両手奏へのアプローチの流れを、
ざざっと把握しながらレッスンすると、
それぞれの教材の長所を生かし、
短所をフォローしながらレッスンすることが可能になります。
あぁ、もうすぐあの楽曲だからコレコレをやっておこう・・・とか、
最近右ばかり使ってるから左を使った楽曲をやってみよう・・・とかネ。
たまに
「バイエルを使っているんですけれど、それでいいんでしょうか。」
なんて質問を耳にすることがあります。
もちろん他の教材でも、今使用している教材でいいんだろうか・・・と。
熱心な親御さんであればあるほど、
使っている教材というものが気になるのだろうと思います。
でも、教材が成長させてくれるわけじゃないんですよね。
どんなにすばらしい教材でも適当に使えば適当なものしか手に入りません。
どんなに短所ばかりが目に付く教材でも長所はあるもので、
その長所を生かして短所をフォローしていけば、
すばらしい教材になるものなんです。
要は使い方次第なんですヨ。
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