2007年10月12日
響かせたい音/第3音
昔ハーモニーを演奏する際に、先生によく言われたこと。 【楽典/本---Amazon.co.jp
『どの音を響かせたら一番キレイな音に聴こえるか、
すべての音で試してみて、いい響きを探しなさい。』
子どもの私にとって、この作業はとぉっても辛いものでした。
だってね、楽譜に書かれたすべてのハーモニーをいちいち取り出して、
1つ1つ試していたらきりがないんですよ。(^_^;)
そこで必要になってくるのが楽典や和声。
これらの知識が演奏に生かされる瞬間がココにあります。
子どもの頃は、こんな生きた楽典なんて知らなかったから、
本当に苦労しちゃったなぁ〜と思います。
本当はね、何故その音を響かせると美しく聴こえるのか、
理由がちゃ〜んとあるんです。
だって、作曲家は意識してそのハーモニーを使っているのですから。
で、第3音なのです。
1つ飛ばしの音で構成された和音。
この1つ飛ばしの和音を”基本形”といい、
一番下の音を根音、一番上の音を第5音、
真ん中の音を第3音といいます。
ドミソから成る和音は、
どんなドミソの組み合わせでも、
根音はド、第3音はミ、第5音はソです。
これがファラドの和音の場合、
ファが根音、ラが第3音、ドが第5音となります。
ここまでは机上のお話デスネ。
ここで、2つの和音を聞き比べてみます。
赤と青の音の幅の違いを感じませんか?
第3音が半音下がっただけなのに、
全然違う響きになりますネ。
ほかの形のドミソでも聞き比べてみます。
第3音の響きの豊かさったら!
わざとこの第3音を他の音より大きめに響かせてみます。
さらに色合い・響きの違いを感じるのではないでしょうか。
作曲家はこの第3音の美しい音色と性格をよぉ〜くわかっていて、
意識的に使っているんだろうな〜と思うことがよくあります。
ギロックは第3音をメロディラインに持ってきていることが多いですね〜!
これがとぉ〜っても美しいのですヨ。
サラバンドの1小節目です。
ドはメロディのド・・・とだけ考えるのではなく、
ハーモニーが美しく響く第3音の”ド”という意識も大切ですね。
こちらはコラールプレリュードの1小節目。
長3和音の第3音がソプラノにあると、
まるで光が差し込んでくるようですネ!
しかしこれらの例のように、
いつでも第3音がソプラノにきているわけではありません。
内声に第3音がある場合だってありますよね。
そんなとき、メロディの動きやバスの動きにだけ意識を使い、
このハーモニーの重要な要素である第3音への意識がなくなると、
とっても空虚な響きになってしまうことがあるのデス。
ハーモニーの変化、どこで変化し、
その変化によって自分はどう感じるのか?
例えばクーラウのソナチネop.20No.1。
8小節目から左の部分だけ抜き出してみました。
8小節目のハーモニーと12小節目のハーモニーの違い。
長3和音が短3和音になったと意識するだけで、
気持ちの込め方がググッと変わってくると思いませんか?
・・・・・ある生徒さんがこれらを色にしてくれたことがありました。
長3和音は赤、短3和音は黒というイメージだそうです。
そこに何を感じるかは人それぞれ。
大切なのは「何か」があるのだと気づくことだと思います。
また、突然表れる14小節目の#ファ。
いきなり一拍目にこれまでの調にはない音が表れます。
この音、実は次の調の導音。
もうソに行きたくて行きたくてたまらなくなる音です。
ソに行きたい〜〜と#ファを意識しながら弾くと、
とても自然な気持ちで第2主題へ行くことができます。
このほか、基本的に左が伴奏で右がメロディの場合。
すべてのバランスを右をしっかり、左を弱く・・・にしてしまうと、
空虚な響きに感じることがあります。
かなぁり細かい例になってしまいますが、
私はこういうちょっとしたニュアンスって大切だと思っているんですヨ。
クレメンティのソナチネOp.36No.2です。
ここまでずっと右手主体で動いてきた指。
でも、ここはハーモニーの動きがとても大切なところだと思うのです。
文章でいう句読点のようなものがココにあるからです。
それをないがしろにして、
これまで通りのバランスでつらつらつら〜と弾いてしまうのはもったいない。
ここで”レファラのファ”を今までの左手よりほんの少し響かせてあげるだけで、
響きがグンッと豊かになります。
そして、右手16分音符の♯ド。
これもと〜〜っても大切な響き。
第3音だから・・・という理由だけではありません。
この♯ドは次の調の導音で、
#ドがあるから次のレが導きだされるという大切な音なのです。
その大切な大切な♯ドを、
16分音符のレの勢いでなんとなく弾いてしまっては、
ぼやけた♯ドになってしまいます。
そうすると、ぜんっぜんカラフルな響きじゃなくなってしまうんですよね。
特にこの♯ドだけを大きく弾く必要はないですが、
”意識”が欲しいトコロ。
意識があるのとないのとでは大きく響きが違ってくるんですヨ。
長3和音⇔短3和音の変化、
音楽の句読点で現れるハーモニーの第3音。
「あっ、この音響かせたい!」
と思う瞬間です。
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この記事へのコメント
「ぴあぴあブリランテ」よりリゴレットパラパラです♪
今日はコメント有難う御座いました。
リンクの件光栄です。
私のほうにも貼らせていただいてよろしいですか?
和音の響き〜本当に奥深いですよね。
子供の小さいお手手で、和音の響きを感じて弾くには時間と、テクニックが必要とされますよね。
先日はコメントを有難うございました。
早速、立ち寄らせていただきました。
和音ってすごい!と私も思います。
自分の感じたことを表現するにはもってこいだと思います。
現在、忙しく、更新もしていませんが
よろしくお願いします。
早速リンクさせていただきました♪
相互リンク、とても嬉しいです!
どうぞよろしくお願いいたします。(*^-^*)ゞ
本当、小さなお手手で和音って、
かなり大変ですよネ。
でも、和音の楽しさを覚えたら、
ピアノの楽しさも倍増ですよネ♪
ピアノってお得な楽器だなって、
和音を奏でると思います。
>ぷるるさんへ
どうもありがとうございます!
早速リンクさせていただきました〜。
ホント、和音ってすごいですよね!
奏で方1つで、音の厚みもまろみも味わいも、
全然違ってくるんですもの♪